陳副総統、台湾は世界の公衆衛生改善のため努力を継続
陳建仁副総統は19日、デング熱をテーマにした「登革論壇(デング・フォーラム、9/18-9/19開催)」に出席するために台湾を訪れた米エモリー大学のMichael Malison客員教授、Global Dengue & Aedes-Transmitted Diseases Consortium(GDAC)の尹仁奎(In-Kyu Yoon)理事長、オランダ・アムステルダム自由大学のHan Bosch教授による表敬訪問を受けた。
台湾では昨年、台湾南部・台南市に設置された「国家蚊媒伝染病防治研究中心(=国家蚊媒介感染症予防治療研究センター)」が学者、専門家らと協力し、蚊媒介感染症を制御する新技術を開発した。このほか台湾は、米国とデング熱ワクチンの開発で協力する協定を結んでおり、米国国立衛生研究所のStephen Whitehead博士やAnna Durbin博士といった優秀なワクチン専門家と協力し、世界初の高齢者を対象としたデング熱ワクチンの開発を目指している。さらに、今年、衛生福利部(日本の厚生労働省に類似)疾病管制署が研究・開発した「デングウイルスNS1抗原迅速測定キット」は、すでに台湾のメーカーへのライセンス供与を行うと共に、食品薬物管理署(FDA)の許可・承認を得ている。
陳副総統はこうした事例を紹介した上で、中華民国政府が現在推進する「新南向政策」も、今回の「デング・フォーラム」と関係があると説明。陳副総統によると、「新南向政策」は人的交流を主体とした長期計画で、南アジア、東南アジア、オセアニア地域との結びつき、コミュニティとしての意識を強化することを目指すものだが、その旗艦計画の一つに「医療協力の推進」も含まれている。特にデング熱はこれらの地域で非常に広く見られる蚊媒介感染症であることから、陳副総統は「高齢者を対象としたワクチンを開発できれば、これらの地域の高齢者の健康増進に役立つと信じている」と述べた。
陳副総統はまた、「デング・フォーラム」を主催した台湾研発型生技新薬発展協会 (TRPMA)に対して、このフォーラムによって人々の力を集結することができたとして、その成果を高く評価すると共に、感謝の意を伝えた。
デング熱は世界各地でよく見られる蚊媒介感染症の一つだが、感染者の多くは明らかな症状が出ないため、感染に気付かないまま感染症を拡大させることがある。このためWHO(世界保健機関)は「顧みられない熱帯病(Neglected Tropical Diseases)」の一つにデング熱を挙げている。しかし、台湾は単純に政治的理由から、デング熱の予防・治療のスキームから排除されている。
これは、世界で感染症が拡大した際、台湾が関連の医療情報を直ちに得ることができないだけでなく、台湾からも関連の医療情報や経験を海外へ向けて発信できないことを意味している。陳副総統は、「これは世界の感染症予防・治療のネットワークにとって大きな欠如であり、しかも、世界の公衆衛生及び安全保障体制に対しても深刻な脅威を与えるものだ」と指摘。このため、台湾が国際的な公衆衛生組織においてしかるべき地位を得られるまでは、非政府組織や専門家による交流が、台湾にとって非常に重要なパイプとなると強調した。
台湾はこれまでも、台湾と米国が締結している「グローバル協力訓練枠組み(Global Cooperation and Training Framework, GCTF)」に基づき、各国の学者や専門家を台湾に招き、デング熱に関するシンポジウムなどを開催したことがある。陳副総統は、これは各国がデング熱という蚊媒介感染症に対する理解を深めるのに役立っただけでなく、台湾が世界の公衆衛生を維持、改善するために努力、貢献していることを世界に知らしめるきっかけになったと説明した。
Taiwan Today:2017年9月20日
写真提供:総統府
陳建仁副総統(右)は19日、デング熱をテーマにしたフォーラムに出席するために台湾を訪れた海外の学者や専門家らの表敬訪問を受けた。