電動スクーターの革命児Gogoro、外資も関心
電動スマートスクーターの睿能創意有限公司(Gogoro)の招きを受け、ゴア米元副大統領が現在台湾を訪問している。日程は明らかにされていないが、Gogoroの従業員約1,200名のために講演を行うのがその目的の一つだと伝えられている。
Gogoroは2011年に創業した。統計によると、同社の電動スクーターの利用者(ナンバープレート発行枚数)は4万人、その走行距離は合計1億キロメートルを超える。愛好者らが立ち上げたフェイスブックページ「Gogoro Fan Club」のフォロワーは6万6,000人を超えている。「Gogoro」の「ファン(中国語では「粉絲」)」という意味の「狗粉」が彼らの自称だ。
Gogoroを成功に導いたのは、バッテリーの「充電」ではなく、「交換」という新しいモデルだった。これは、オートバイ愛好者らが、ガソリンを捨てて電動(EV)を選ぶ強い誘因となった。2015年、Gogoroは「Gogoro1」を発売し、市場の関心を集めた。今年、より安価になった「Gogoro2」を発売すると、市場の需要を掘り起こすことに成功。今年10月までに、同社の電動スクーターの利用者は4万人を超えた。Gogoroはいまや、台湾オートバイ市場の御三家と呼ばれたヤマハ、光陽(Kymco)、三陽(SYM)に並ぶ、第4のオートバイブランドとなっている。
Gogoroが電動スクーターを発売するまで、消費者の電動スクーター(あるいは電動自転車)への印象は「遅くてパワーが小さい」というものが大多数を占めていた。主婦や高齢者が愛用する「ママチャリ」のようなイメージであり、オートバイやスクーターを主に利用する学生や社会人にとって、電動バイクやスクーターは全く眼中になかった。
しかし、「Gogoro1」が発売されると、そのパワーはガソリンを使用する125ccバイクにも劣らないことが分かった。しかも、Gogoroが採用したバッテリーを「交換」するというシステムは、バッテリーの消耗を心配する必要もなく、交換もわずか数秒で完了してしまうというものだった。これは、ガソリンスタンドを探して給油する時間とそれほど変わらない。なによりも、従来の充電式電動バイクやスクーターに必要だった「充電のための待ち時間」を解消した。
Gogoroは昨年、ドイツのボッシュとアライアンスを締結。ボッシュ傘下のCoupと協力し、ドイツ・ベルリンやフランス・パリなどで電動スクーターのシェアリングサービスを開始した。現在、ベルリンには電動スクーター1,000台を、パリには400台を配置している。
Gogoroの創業者である陸学森(ホレイス・ルーク)CEO(最高経営責任者)は、当初から電動スクーター事業を「オートバイ産業」とは考えておらず、「スタートアップのハイテク産業」と位置付けていた。陸学森CEOはかつて「Gogoroが売るのはバイクではなく、モバイルエネルギーだ」と語ったことがある。都市のエネルギー運用方法を変えるというこの夢が、財界の重鎮たちを引き付けた。会社立ち上げの資本金5,000万米ドルは、コングロマリット(複合企業)である潤泰グループ(Ruentex Group)の尹衍樑総裁やスマホ大手である宏達国際電子(HTC)の王雪紅董事長(=会長)らが出資した。
Gogoroは2015年、2回目となる1億3,000万米ドルの第三者増資を行った。潤泰グループの尹衍樑総裁に加え、日本のパナソニック、台湾の行政院国家発展基金などが投資に参加した。今年は3回目となる3億米ドルの第三者増資を実施。さらにシンガポールの政府が所有する投資会社テマセク・ホールディングスや、ゴア米元副大統領が立ち上げたジェネレーション・インベストメント・マネジメント、フランスに拠点を置く世界最大級の電力・ガス事業会社ENGIE. (エンジー)グループ、それに日本の住友商事など、外資が続々と増資に参加した。
第三者増資による新たなパートナーの獲得は、Gogoroが進めるエネルギーのスマート配給ネットワークとバッテリーの交換システムが、その他の車両や商品に広く応用できるビジネスモデルであり、これが海外の投資家の賛同を得ていることを証明するものだろう。
Taiwan Today:2017年11月17日
写真提供:中央社
2011年に創業したGogoroは現在、利用者4万人、その走行距離は合計1億キロメートルを超える。台湾オートバイ市場の御三家と呼ばれたヤマハ、光陽(Kymco)、三陽(SYM)に並ぶ、第4のオートバイブランドとなっている。写真中央はGogoro社員に向けた講演を行うために台湾を訪れたゴア米元副大統領。