環境部がCOP30のための「戦情中心」開設、随時情報を収集
国連気候変動枠組み条約第30回締約国会議(UNFCCC COP30)が10日から21日までブラジルのベレンで開催されている。台湾はUNFCCCの締約国ではないため、締約国会議(COP)に参加することができない。しかし、前例にならい複数の組織がNGO(非政府組織)としてオブザーバー参加している。COP30の開幕に合わせて環境部は今年も現地の情報を随時収集する「COP30戦情中心」(シチュエーションセンター、危機管理センター)を開設。11日には早速、環境部の彭啓明部長が議長を務めるオンライン会議が行われた。
彭部長は11日、環境部の「COP30戦情中心」からオンライン会議を行い、ベレンにいる工業技術研究院(TIRI)のエンジニアである連振安氏や中華経済研究院の劉哲良主任と、10日に開幕したCOP30に関する見解を共有した。両氏は、「各国はすでに『気候の約束』(Climate Promise)を実際の行動へ移す必要性を強く認識している。温室効果ガスの排出削減を実務的に進め、各分野の協力を統合し、グリーン成長とネット・ゼロへの転換を共同で推進する方向にある」と説明。また、今回のCOP30では、気候変動対策のために先進国が途上国に拠出する「気候資金」の拡充が重要議題となっており、「バクー・ベレン・ロードマップ」が提示されたこと、この計画では年間の「気候資金」を1兆3,000億ドルに引き上げることが提案され、「コンプライアンス・カーボン市場に関するオープン連合」などの枠組みを通じて世界のカーボン市場の成熟と資金循環の促進を目指すことなどが話し合わされたと報告した。
彭部長は、国連事務局が最近公表した各国の「国が決定する貢献(NDC)統合報告書」に言及し、「各国が提出したNDCに基づくと、2035年までに世界全体の温室効果ガス排出量は約10%減少する見通しだ」と説明。台湾はUNFCCC締約国ではないものの、これにならい「NDC3.0」を制定。2035年までに国全体の温室効果ガスの排出量を基準年(2005年)から38±2%削減することを目標に掲げ、10項目の方針を固めているとして、彭部長は「その内容は具体的で実効性が高く、強い意欲と行動成果を示している。COP30開催期間中にぜひ各国と意見交換を行って欲しい」と指示した。
彭部長はさらに、「毎年この時期になると民間団体による気候アクションに関するランキングが発表されるが、その評価手法には議論の余地があり、代表性に欠ける」と指摘。「台湾はこの1年余りで、気候ガバナンスと温室効果ガス排出量の実質的削減において大きな進展があったとして、国際社会に台湾の成果をしっかり発信し、グリーン・サプライチェーンの中で台湾が必要不可欠なパートナーであることを訴えて欲しい」と強調した。
環境部によると、COP 30の開催地であるブラジル・ベレンと台湾の時差は11時間ある。このため「戦情中心」は前日の会議内容を整理し、必要に応じて午後6時から現地関係者とオンライン会議を行う。COP30に関する報告やオンライン会議の中継については環境部気候変遷署の特設サイト「環境部COP30戦情中心」(https://gov.tw/dQK)で見ることができる。今年は政府の各省庁、民間団体、それに政府が実施する「圓夢計画」(夢実現プロジェクト)に参加する若者代表などがベレン入りしており、会場内のブルーゾーンで15件、グリーンゾーンで16件のサテライトイベントを開催することになっている。「戦情中心」は今後もこうした情報を収集し、各界と共有することになる。
Taiwan Today:2025年11月13日
写真提供:環境部
国連気候変動枠組み条約第30回締約国会議(UNFCCC COP30)が10日からブラジルのベレンで始まった。環境部は今年も「COP30戦情中心」を開設して現地の情報を随時収集している。11日には早速、環境部の彭啓明部長(左)が議長を務めるオンライン会議が行われた。
