外交部、国連復帰目指すための今年の3大訴求を発表
第73回国連総会が9月18日(現地時間)より、米ニューヨークの国連本部で開催される。中華民国(台湾)は1993年以降、国連復帰を目指す働きかけを行っている。外交部(日本の外務省に相当)はこのほど、今年の台湾の3つの訴求を発表した。
今年の国連総会は9月18日より始まる。そのうち、各国が重視する課題について問題提起し、それぞれの立場について述べる一般討論演説(General Debate)は、9月25日から10月1日まで開催される。今年の一般討論演説のテーマは「全ての人に関わりある国連を目指して:平和で公正、かつ持続可能な社会のためのグローバル・リーダーシップと共通の責任(Making the United Nations relevant to all people: global leadership and shared responsibilities for peaceful, equitable and sustainable societies)」であり、昨年に引き続き「持続可能な開発目標(SDGs)」を重視する国連の立場を強調するものとなっている。
昨年の国連総会開催期間、台湾は「持続可能な開発目標(SDGs)」に対する台湾の取り組みの成果、及び国際社会に対して行ってきた貢献などを盛り込んだ台湾初の「自発的国別レビュー(Voluntary National Review)」を発表した。これは、国連の加盟国にも注目され、高い評価を得た。台湾は今年もこの前向きなエネルギーを引き継ぎ、『「持続可能な開発目標(SDGs)」実現における重要なパートナーとしての台湾』という訴えを主軸とし、この地域、あるいは世界の中における台湾の理性的、前向き、そして貢献的なパワーを正視するよう、世界各国に向けて改めて訴える。
今年5月、世界保健機関(WHO)は政治的要因から、台湾が「ユニバーサル・ヘルス・カバレッジ」の模範生であるという事実を無視し、台湾のオブザーバー参加を再び拒否した。これは、台湾に住む2,300万人の住民に対して非常に不公平であるばかりか、世界の感染症対策に抜け穴を作る可能性を無視したものである。世界人類の健康と幸福を犠牲にしてまでも、台湾を排除しようとするWHOの立場は理解しがたく、不可思議としか言いようがないものである。
こうした状況にも関わらず、「持続可能な開発目標(SDGs)」実現において台湾が重要なパートナーであると評価する声は、国際社会の中でもますます大きくなっている。WHO総会では今年、台湾を支援する発言を行ったWHO正規会員国、あるいはWHO総会オブザーバー国の数が過去最多を更新した。また、地域間あるいは二国間協力において、台湾と近い理念を持つ国々が何度となく、台湾は価値観を同じくし、且つ世界に貢献する能力がある重要なパートナーであること、民主主義の成功例であり、また世界に存在する善良なパワーである、などと公の場で発言している。
国連システムはここ数年、台湾の住民あるいは報道関係者が、中華民国政府が発給した証明書(国民身分証など)を持って国連本部を訪れたり、国連の活動に出席、取材することを拒否しており、ひどい場合には、台湾住民が中国大陸を訪問するときに必要な「台湾居民来往大陸通行証」の提示を求めたりしている。こうしたやり方は、国連が追求する公平・正義の原則に大きく反するもので、報道の自由の保護に力を尽くし、「国境なき記者団」(RSF、パリ)が行う報道の自由度に関するランキングで6年連続アジア首位の評価を得ている台湾にとっては、想像するのも難しく、決して受け入れられることではない。
こうしたことから、台湾は引き続き国連復帰を目指して働きかけると同時に、「持続可能な開発目標(SDGs)」の実現にとって、台湾が建設的なパートナーであるという前向きな訴えに重点を置くことで、国際社会の台湾に対する賛同と支持を拡大していく。
台湾は今年も国交を持つ国々に対し、国連総会の一般討論演説で台湾のために発言を行うよう協力を求めるほか、国交樹立国の国連大使らが連名でアントニオ・グテーレス国連事務総長宛てに書簡を出し、事務総長が国連憲章を遵守し、公平・正義の原則にのっとり、台湾住民2,300万人が国連システムから排除されているという問題を解決し、国連が代表する普遍的人権の価値、「持続可能な開発目標(SDGs)」が追求する全人類を対象とした、公平で持続可能な社会という目標が一日も早く実現できるよう求める考えだ。
台湾の今年の訴求は、大きく以下の3つにまとめられる。
(一)
台湾住民は世界市民と同等の権利を享受すべきである。国連は、台湾に住む2,300万人の人々が除外されている現状を解決しなければならない。
(二)
国連は、台湾住民が国連本部を訪れたり、会議に出席、あるいは活動に参加したりする基本的人権、それに台湾のメディアが国連の関連の会議について取材する平等な権利をはく奪すべきではない。
(三)
国連は、「持続可能な開発目標(SDGs)」を実現するための関連の会議、枠組み、活動に対して、台湾が平等で、尊厳ある参与を行う権利を確保しなければならない。
外交部(日本の外務省に相当)の呉釗燮部長(大臣)は近く、台湾の訴求を国際社会に広く伝えるため、関連の文章を発表する。外交部はまた、台湾の「持続可能な開発目標(SDGs)」実現に向けた取り組みを宣伝するショートフィルムも制作。国際社会に対して、クリーンエネルギー、ユニバーサル・ヘルス・カバレッジ、循環型経済など各方面における台湾の優れた成果をアピールする。
今年の3つの訴求は昨年とほぼ同じものだが、今年はさらに「多元的なパイプの活用」、「発言の音量拡大」といった方法により、台湾の人々の訴えと心の声を反映していく。具体的な方法としては、呉部長による署名入りの文章を各国メディアに寄稿すること、ショートフィルムの制作を通して台湾の「持続可能な開発目標(SDGs)」実現に向けた取り組みの成果を国際社会にアピールすること、国連総会の開催期間中、米ニューヨークで持続可能な開発に関連したイベントを開催することなどが含まれる。また、台北駐ニューヨーク経済文化弁事処(=米ニューヨークにおける中華民国領事館に相当)は今年も「創意環境芸術競賽展(Creative Climate Awards、略称CAA)」と呼ばれるコンテストを開催するほか、「持続可能な開発目標(SDGs)」実現へ向けた台湾の取り組みに関する「自発的国別レビュー」を発表する。外交部は同時に、外交部が運営するフェイスブックページ、ツイッターなどの多様なルートを通じて、国連復帰に向けた台湾の訴えを宣伝していく考えである。
Taiwan Today:2018年9月10日
写真提供:外交部
今年の国連総会は9月18日より始まる。外交部はこのほど、国連復帰を目指す台湾の今年の3つの訴求を発表した。