台日共同制作の『繍襦夢』、台湾戯曲センターで上演始まる

　中華民国（台湾）の国立京劇団である国光劇団と日本の横浜能楽堂（神奈川県横浜市西区にある能楽専門の公演場）が共同制作した『繍襦夢』は、崑劇（音楽の部分は崑曲と呼ぶ）と日本舞踊、三味線などの伝統芸能を融合した演目。国境並びに異なる文化を跨いだ3年間に及ぶ準備の末、14日に台湾戯曲センター（台湾北部・台北市）での公演が始まった。

　公演は3部構成で、観客は段階的に崑劇と日本舞踊がそれぞれ持つ芸術的な深み、そして垣根を越えた融合の難しさを仔細に体験する。第1部は伝統的な崑劇の『繍襦記・打子』。演じるのは国光劇団の唐文華さんと温宇航さん。第2部は伝統的な日本舞踊の『汐汲』。日本の藤間恵都子さんと水木佑歌さんが演じる。そして第3部では、新たに創作された『繍襦夢』を上演する。出演は温宇航さんと劉珈后さん。

　第3部の『繍襦夢』では従来型のハッピーエンドを大胆に変更、日本の能における「夢幻能」（霊的な存在が主人公となるもの）の表現法と情感を用いた。魂が過去を振り返るという設定で、中国の古典である『鄭元和と李亜仙』を全く新しく解釈。主人公である男性、鄭元和は晩年、自身の生涯を回顧し、人生をより深く知ることになる。女役の演じる「繍襦」は鄭元和が懐かしむ恋人、李亜仙が自ら縫ったマントで、愛情の潤いによって生命を獲得し、鄭元和の思い出と想像の間の媒体となる。最後まで2人は別れたままだが、鄭元和の魂は幾分の癒しを得るのである。

　この演目は横浜能楽堂の中村雅之館長が3年前、合作対象を探しに台湾を訪れたことからスタート。中村さんは、日本ではここ数年「台湾旋風」が起きており、台湾は今年、日本の人たちが「年越しの連休に行きたい国ランキング」のトップに輝いたと指摘した。中村さんはまた、2011年の東日本大震災の時、台湾から寄せられた巨額の義援金が日本を感動させたことは今も語り草だと強調、日本人にとって台湾は、「距離と心」がいずれも極めて近い国であり、今回のコラボレーションによって、双方が互いの伝統文化をより深く知ることになればと期待した。

『繍襦夢』は9月14日から16日まで、台湾戯曲センターの大演劇ホールで公演中。

Taiwan Today：２０１８年９月１４日

写真提供：国立伝統芸術センター提供、中央社
　国光劇団と日本の横浜能楽堂が共同制作した『繍襦夢』は、崑劇と日本舞踊、三味線などの伝統芸能を融合した演目。3年間に及ぶ準備の末、台湾戯曲センターでの公演が始まった。

台日共同制作の『繍襦夢』、台湾戯曲センターで上演始まる

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