蔡総統、外国人聖職者の台湾に対する貢献に感謝
蔡英文総統は1日、台湾で長年奉仕するカトリック教会の外国人聖職者と会見した。蔡総統は「ここに集まってくれた聖職者の方々の台湾での奉仕年数を合算すると1200年以上になる。1人当たりの奉仕年数は平均36年だ。このような奉仕の精神と、長年にわたって何かをやり抜くという強い気持ちで台湾に愛情を注ぎ、手を差し伸べてくれたことに、台湾の人々は心から感謝している」と述べた。
イタリア出身で台湾滞在57年になる修道女の周寧慧(Flaviana Sebis)さんは、台湾北部の新竹県や新竹市のへき地で幼児教育や社会的弱者への支援を行い、昨年、中華民国国籍を取得した。曽顕道(Murray Eugene Michael)神父は、60年前の1958年に宣教師として台湾にやってきた。今回集まった聖職者の中で、台湾滞在年数が最も長い。台湾中部・台中市清水区を拠点に教育事業に取り組む。恵まれない家庭の子どもたちや外国人労働者に関心を寄せ、定期的に刑務所を訪れて講話を行っては受刑者たちを激励している。昨年、中華民国国籍を取得した。
フィリピン出身の修道女、満詠萱(Anuna O Losa)さんは、薬剤師としての専門能力を活かし、台湾で脳性まひの重症患者の世話を行ってきた。長く嘉義県(台湾中南部)で奉仕活動を行い、心身障害者や社会的弱者のために尽くしてきた。このため2007年には当時の行政院衛生署(現在の衛生福利部=日本の厚生労働省に類似)より「第17回医療奉献奨(貢献賞)」が贈られた。昨年、中華民国国籍を取得した。
蔡総統は、曽顕道神父の台湾での奉仕年数が60年になることについて、「自分の年齢とほぼ同じで、これは容易なことではない」と称えた。また、「どの聖職者たちも台湾の物資が十分ではなかった時代に、台湾の人々と一緒になって台湾に尽くし、台湾のために働いてきた。いまこそ、台湾が皆さんに恩返しをするときだ」と述べた。
内政部は2011年より「馬偕計画」を展開している。これは、台湾に貢献のあった満65歳以上の外国人を対象に、永久居留証(永住権が付与された外国人登録カード)に台湾住民の高齢者と同等の優遇措置を受ける権利があることを明記するというもの。現在、天主教の聖職者167人が対象となっている。公共交通機関の利用、台湾各地にある国公立風景区の入場料、文化施設の入館料などが割引かれるほか、台湾の長期介護サービスを受けることなどができる。
また、台湾では2016年12月21日より改正「国籍法」が施行されており、台湾に特殊な貢献をした外国人は、母国の国籍を喪失することなく中華民国国籍を申請できるようになっている。例えば2017年の双十国慶節祝賀式典の冒頭で国歌斉唱をリードした米国出身の甘恵忠(Brendan O'Connell)神父は、改正「国籍法」に基づいて中華民国国籍を取得した外国人第1号。蔡総統は、「甘恵忠神父や、身体障害を持つ児童の教育に力を入れている呉道遠(Hugo Peter)神父などは、台湾への特殊な貢献が認められて中華民国国籍の取得が認められた良い例であり、ほかにも中華民国国籍の取得を希望する聖職者がいれば、この方法で台湾人になることを歓迎する。皆さんの老後の世話を台湾に任せて欲しい」と述べた。
Taiwan Today:2018年10月2日
写真提供:中央社
蔡英文総統は1日、台湾で長年奉仕するカトリック教会の外国人聖職者と会見した。左手前はイタリア出身で台湾滞在57年になる修道女の周寧慧(Flaviana Sebis)さん、右手前は台湾滞在60年になる曽顕道(Murray Eugene Michael)神父。