蔡英文総統の談話、「民主主義の台湾が、世界を明るく照らす」

蔡英文総統の談話、「民主主義の台湾が、世界を明るく照らす」

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 蔡英文総統は10日午前、総統府前広場(台湾北部・台北市)で行われた双十国慶節祝賀式典で「民主台湾 照亮世界(=民主主義の台湾が、世界を明るく照らす)」と題する談話を発表した。蔡総統は、国際情勢が目まぐるしく変化する中で、台湾は「安定、臨機応変、進歩」という方法でこれに対応し、「安全保障の強化」、「経済的実力の強化」、「社会的セーフティーネットの強化」を通して台湾の実力を高め、台湾を強くしようと呼びかけた。以下は談話の要約。

 過去1年、新たな国際情勢は、あらゆる国々に試練を与えるものとなった。当然、我々もその試練を受けることとなった。国際情勢は劇的に変化しつつあり、米中間の貿易摩擦は、産業の国際分業体制の再編をもたらし、従来の経済・貿易秩序にも衝撃を与えている。また、中国の一方的な言論や武力による威嚇や外交的な圧力は、台湾海峡両岸関係を傷つけるだけでなく、台湾海峡の平和・安定という現状に大きな試練をもたらしている。こうした圧力に対し、政府はより対抗的な立場を取るべきだという人もいる。しかし一方で、我々が譲歩し、妥協すべきだと言う人もいる。しかし、厳しい局面であればあるほど、台湾はより安定を維持し、落ち着いた態度で圧力を解き、冷静に生き残りの道を模索するべきである。これは新政権の発足から2年余り、自分の一貫した考えである。台湾に住む2,300万人の自由と民主主義の生活スタイルと、中華民国(台湾)の持続可能な発展を守り、台湾海峡の平和と地域の安定を維持すること、これは台湾住民の最大公約数であり、責任ある政治家、政党であれば誰もが、最後まで守り抜くべきことである。

 全世界が中国の勢力拡張に対応すると同時に、私が率いる政府も、台湾の強さを世界に示すべきである。台湾を守る最良の方法は、世界にとって台湾を必要不可欠な、取って代わることのできない存在にすることだ。外在の勢力が一方的に台湾海峡の現状を変更しようとするやり方は、台湾住民にとって受け入れられないことである。世界の普遍的価値観に反するいかなる主張も、国際社会の賛同と支持を得ることは絶対に出来ないだろう。だから私は北京当局に対して再度呼びかける。責任ある大国として、地域あるいは世界において、衝突の原因となるのではなく、善性の役割を果たすべきである。

 私は総統として皆さんと約束する。我々が軽々しく対抗の姿勢を強めることはないし、また相手に屈することも、譲歩することもない。一時的な感情に身を任せて、衝突や対抗に走り、台湾海峡両岸関係を危機に陥れることもない。私が民意に背き、台湾の主権を犠牲にすることもない。我々の対応はつまり「安定、臨機応変、進歩」という方法である。この道には多くの試練が待ち受けている。しかし、現段階において台湾が安定した歩みで進むべき道なのだ。

 現在最も重要な任務は、国の安全保障を強化し、経済的実力を強化し、社会的セーフティーネットを強化することだ。絶えず台湾を強くし、実力を高め、国際社会にとって台湾を必要不可欠な存在とすること。これこそ、台湾が永遠に生き残るための道である。

 国の安全保障を強化するための第一の方法は、外交上で価値観の連結を強めることだ。そして、ほかに取って代わることのできない台湾の戦略的重要性を確立することである。台湾は地政学上、重要な地位にある。また、国際情勢の変化に対して、我々が選択すべき戦略は非常に明確だ。つまり、自由、民主主義、市場経済を死守することである。この2つの根本的価値は、台湾がこんにち、アジアの民主主義国家の手本となり、経済的実力を高めることができた重要な基礎である。中国による圧力の下、我々は価値観と理念を堅持し、高度な強靭性を示してきた。その結果、近い理念を持つ国家が続々と、中華民国台湾への支持を表明するようになっている。

 第二の方法は、国防戦力の向上である。「多重の威嚇、強固な防衛」は、我々の軍事戦略だ。その核心的価値は、中華民国国軍の戦力向上にある。第三の方法は、外来勢力による台湾への影響力の浸透と破壊行為を阻止し、民主主義制度と社会・経済の正常な運営を確保することだ。台湾の多様な民主主義は、我々が守り通さなければならない価値観だ。しかし、ほかの国が台湾社会の自由を利用し、台湾への影響力を強め、台湾内部の混乱を生み出そうとするならば、我々はあらゆる手段をもってこれを防ぐ。手をこまねいて座視することは決してない。

 第四の方法は、世界経済・貿易戦略の再構築と全く新しい布陣である。米中貿易摩擦、世界の経済秩序の再建という大きな変化に直面する中、我々は地域経済、そして世界のサプライチェーンにおける台湾の役割を調整しなければならない。我々は、海外進出する中型、大型の台湾系企業が持つ地域分業の統合能力と世界展開能力、それに中小企業が持つ活力を活かし、全く新しい戦略を展開し、台湾経済の全面的な高度化を促進しなければならない。

 我々は三つの重要なことをやらなければならない。第一に、産業構造と資源の相互補完の角度から、研究・開発及び最先端製造の分野において、米国、欧州、日本などの工業先進国と緊密な産業分業と技術連携を構築し、全く新しい、高効率のサプライチェーンを創出すること。第二に、資源と市場の共有という角度から、発展潜在力を持つ新南向政策対象国及びその他の新興市場において、多様な協力を通して、経済発展と生活・福祉に関連する産業のサプライチェーンを構築し、経済の共同発展を促進すること。第三に、国交を持つ国々において、現地の政府に協力し、気候変遷によってもたらされる課題に取り組み、新たな発展のチャンスを模索し、そして持続可能な発展の基礎を打ち立てること。そして、台湾のために未来の新市場、新生産拠点、そして世界発展のための新拠点を開拓することなどである。

 経済構造の高度化のカギを握るのは科学技術である。政府は現在、「システム主導、ソフトとハードの統合、軍民協力、国際協力」を4大目標に掲げ、技術レベルと研究・開発能力の急速な向上を、経済力向上の重要な基礎としている。

 最後に、きょうの式典で国歌斉唱をリードした代表たちに感謝したい。彼らは台湾各地にある灯台の灯台守(とうだいもり)である。台湾の全国各地の海岸には、合計36の灯台が設けられている。そしてそこには、灯台のメンテナンスを行い、航海の安全を守る人々がいる。

 私は国を代表して、孤独と困難に耐えて、海岸を明るく照らす彼らに感謝したい。台湾は一つの灯台だ。我々が成し遂げた民主主義への転換は、自分がかつて来た暗い道を明るく照らすだけでなく、民主主義を追求するすべての人々のために、暗闇の中のともし火となっている。だから、香港、中国大陸、そして世界各地のあらゆる片隅にいて民主主義を追求している人たちは、ぜひ台湾の方向を見て欲しい。台湾の民主主義が、世界を明るく照らすだろう。

 世界が台湾の美しさを見てくれるだけで、台湾が孤独を感じることはない。私は海外の人々に伝えた。この道を、私たちは勇気をもって歩き続けると。

 台湾の民主主義は騒がしいものかもしれない。しかし、我々は台湾という名の下に団結し、そして団結するたびに強くなってきた。この国は、ここに住む2,300万人の人々のものである。だから、この国を完全なままで、子子孫孫に引き継いでいかなくてはならない。

 私はいつも信じている。台湾人は、その特有の強さをもって、止むことのない内外からの試練に向き合ってきた。団結して、国家をより良くしよう。これこそが、今年の双十国慶節のテーマ「台湾共好(Taiwan Together)」が目指すものである。

Taiwan Today:2018年10月11日

写真提供:中央社
 蔡英文総統は10日午前、総統府前広場(台湾北部・台北市)で行われた双十国慶節祝賀式典で「民主台湾 照亮世界(=民主主義の台湾が、世界を明るく照らす)」と題する談話を発表した。