立法院、「著作権法」の一部を改正する法案が可決・成立
立法院(国会)で16日、「著作権法」第87条及び第93条を改正する法案が可決・成立した。今後、セットトップボックス(STB:Set Top Box)やアプリを利用して違法動画配信サイトにアクセスできるようなサービスを提供した場合、2年以下の懲役もしくは50万台湾元(約181万日本円)以下の罰金、またはこれを併科する。新興技術の派生による新たな権利侵害の形態に法改正で対応し、インターネットを利用した悪質な権利侵害に歯止めをかけるのが狙い。
近年市販されているセットトップボックスやアプリには、利用者が簡単で便利な方法で違法配信サイトにアクセスし、コンテンツを違法に視聴できるようにしているものがある。業者は合法的なライセンス供与を受けずに、利用者から月額利用料を徴取し、セットトップボックスを売るなどして暴利をむさぼっている。これは、著作財産権者あるいは正式なライセンス供与を受けたOTT業者の権益を著しく侵害し、台湾のコンテンツ産業の発展に影響を与えている。
台湾の知的財産権保護を徹底するため、このほど立法委員(国会議員)によって「著作権法」の一部改正案が提出された。これは、以下の3項目を著作権侵害行為に追加するというもの。違法行為が認められた場合、著作権を侵害された人は相手方に対し、民事上の賠償責任と共に、2年以下の懲役もしくは50万台湾元以下の罰金、またはこれを併科するという刑事責任を問うことができる。3項目の行為は以下のとおり。
一、違法な映像・音声コンテンツを集めたサイトにアクセスできるアプリ(中国語で「追劇神器」と呼ばれる)をGoogle PlayやApple Storeなどのプラットフォームやその他のサイトに公開し、ユーザーがダウンロードできるようにした場合。
二、コンピュータ・プログラムを直接提供するのではなく、ユーザーがコンピュータ・プログラムをダウンロードできるよう指導・協力、あるいはその方法を公衆に対して提供し、ダウンロードできるようにした場合。例えばセットトップボックスには前述のアプリケーション・プログラムが内蔵されていないが、ユーザーに対してセットアップの指導・協力を提供する、あるいはセットトップボックス内でプログラムをセットアップできるような仕組みを提供し、ユーザーが自身でセットアップを行って利用できるようにしている場合。
三、前述のコンピュータ・プログラムを搭載した設備や機材を製造・輸入、あるいは販売した場合。例えば、こうしたアプリケーション・プログラムが内蔵されたセットトップボックスを製造・輸入、あるいは市販する。販売しているセットトップボックスが、ユーザーにコンテンツの違法ダウンロードを提供できるものだと知りながら、販売を継続した場合も違法行為とみなされる。
悪徳な業者は月額使用料無料、あるいはケーブルテレビ(第4台)の使用料を無料にするなどの宣伝文句で、多数の著作権侵害のコンテンツにアクセスできるセットアップボックスを消費者に売りつけている。改正「著作権法」は、こうした悪質なセットアップボックスやアプリに打撃を与えるものとなっている。但し、科学技術の中立の原則に基づき、コンテンツの違法ダウンロードができるアプリを搭載していないスマホ、タブレット、あるいは合法的なOTTセットトップボックスなどは、いずれもこの影響を受けない。このほか、こうしたセットトップボックスやアプリをすでに購入あるいはダウンロードしたユーザーは、まだ違法ダウンロードを行っていないとしても、これらが提供するコンテンツが合法的なものではないため、随時取り締まりの対象となり、配信が中断することがある。このため、智慧財産局(日本の特許庁に相当)は販売元がはっきりしないセットトップボックスを購入しないよう呼びかけている。
今回の法改正は、権利侵害に歯止めをかけ、台湾のクリエイティブや映像産業の発展を促進するものであり、智慧財産局は積極的に宣伝活動を強化し、法改正の内容の周知を図りたい考え。
Taiwan Today:2019年4月16日
写真提供:立法院の国会中継サイトより
立法院(国会)で16日、「著作権法」第87条及び第93条を改正する法案が可決・成立した。今後、セットトップボックス(STB)やアプリを利用して違法動画配信サイトにアクセスできるようなサービスを提供した場合、2年以下の懲役もしくは50万台湾元(約181万日本円)以下の罰金、またはこれを併科する。インターネットを利用した悪質な権利侵害に歯止めをかけるのが狙い。