衛生福利部長がWHOに呼び掛け、3年連続でWHO総会への招請状届かず
世界保健機関(WHO)の最高意思決定機関であるWHO総会(世界保健総会、WHA)が今月20日から28日まで、スイス・ジュネーブで開催されることになっている。台湾は2009年以降、8年連続でオブサーバーとしてWHO総会に参加してきた。しかし、中国の圧力により、2017年と2018年はWHO事務局から招請状が届かず、2年連続で参加を見送った。今年も参加登録期限の6日までにWHO事務局から招請状が届いておらず、3年連続で参加できない可能性が高まっている。
衛生福利部(日本の厚生労働省に類似)の陳時中部長(=大臣)は、アジア太平洋地域の時事問題をテーマとする外交誌『The Diplomat』オンライン版に、『Taiwan Seeks to Share Its Advances in Digital Healthcare』と題する文章を寄稿。台湾の全民健康保険制度(国民皆保険制度のこと)の実施から24年が経ち、台湾では全方位的且つ高い品質の医療サービスが提供され、誰もが平等に受診する権利を与えられていること、この制度は世界でも最も優れた健康保険制度の一つとなっていることなどを強調した。
陳部長は、台湾の全民健康保険制度が成功した理由として(1)単一の保険者によって運営され、政府、雇用主、個人(被保険者)の三者が保険料を負担し、且つ所得に応じて保険料を強制的に徴集していること。(2)総額予算による医療費給付制度を採用していること。医療サービスの総額補助の上限を予め政府が決定することで、政府の保険財政の支出を効果的に制御している。(3)総合的な予防医療と被保険者による医療費自己負担という原則により、医療の品質を確保していること。(4)不公平をなくすため、低所得者などのマイノリティに対する保険料補助を提供していること、などを挙げている。
また、台湾の全民健康保険制度の先進性と発展についても詳しく説明。医療情報のクラウド検索システムが確立され、カルテや処方された薬の記録もクラウド管理されており、国民やコミュニティ全体の需要に応じて、デジタル化した医療ケア技術を確立し、受診の質を高め、受診の重複による潜在的な健康リスクを減らしていると紹介している。
陳部長はまた、「台湾は世界に通用するこの医療ケア改革の経験を各国と共有したいと考えているが、政治的な干渉によって台湾のWHO総会参加が妨害されている」と指摘。このような状況の中でも、台湾は依然として地域及びグローバルな医療・公衆衛生問題で各国と協力し、医療改革の経験や能力を共有したいと考えていると述べている。
陳部長はさらに、「台湾がWHOのテクニカルミーティング(技術会合)、メカニズム、活動などに参加することについて、国際社会から幅広い支持を得ている。WHOは、その憲章の精神に立ち戻り、この問題を直視するべきだ。なぜなら台湾はWHOにとって最も信頼できる良きパートナーだからだ」と締めくくっている。
Taiwan Today:2019年5月10日
写真提供:The Diplomat』オンライン版スクリーンショット
衛生福利部の陳時中部長(=大臣)は、アジア太平洋地域の時事問題をテーマとする外交誌『The Diplomat』オンライン版に、『Taiwan Seeks to Share Its Advances in Digital Healthcare』と題する文章を寄稿した。寄稿文は、台湾の全民健康保険制度の成功について詳しく説明し、WHOに対して台湾の参加が妨害されいてる事実に向き合うよう呼びかける内容となっている。