中国の天安門事件から30年、陳副総統が追悼イベントに出席
陳建仁副総統は4日夜、台湾北部・台北市内で開催された天安門事件から30年の追悼イベントに出席した。陳副総統の談話の概要は以下のとおり。
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我々はきょう、深い悲しみと沈痛な思い、厳粛な気持ちでここにやって来た。歴史は鏡である。過去を鑑みることで、今を知ることができる。我々は歴史を鏡として、過去を振り返り、未来に思いを馳せることが出来る。しかしながら、現在中国の若者たちは1989年に発生した悲劇を全く知らず、(天安門事件が)歴史の記憶から完全に抹殺されようとしている。これは非常に悲しむべきことである。
1980年代、台湾と中国には同じように、自由化や民主化を求める風潮が高まっていた。そして同じように若い学生たちが立ち上がり、民主化や改革を求める声を上げた。
それから30年が経った。台湾では「野百合学生運動」から「ひまわり学生運動」まで、台湾をより自由で、より民主的で、そしてより人権を尊重する偉大な国家とするべく、若い世代が次々と立ち上がった。彼らは自らの自由と、描いていた人生設計を犠牲にして戦った。その過程は紆余曲折に満ち、多くの困難が立ちはだかった。運動に参加したことで投獄された人もいた。しかし最後に台湾は、全世界が目を見張るような民主化を成し遂げることが出来た。中国の若者たちがこのように幸運でなかったことは非常に残念だ。
すでに起こってしまった過ちを、なかったことにすることはできない。犠牲になってしまった若者たちの貴い命は、二度と戻ってこない。しかし、歴史の真相を明らかにし、無実の罪をすすぐことで、次の世代が二度と同じ過ちを犯さないようにし、より不幸な事件が発生しないように回避することはできる。これが天安門事件から30年が経過したきょう、我々がここに集い、追悼イベントを開催する最大の意義である。
きょう、ここで天安門事件から30年の追悼イベントを行うことには、もう一つ重要な意義がある。それは、台湾が数十年かけて手に入れたかけがえのない自由と民主をもっと大切にしなければならないと、我々が敢えて自分に言い聞かせることである。民主主義は天から落ちてきたものではない。当然ながら自由も同じだ。人権の保護に至っては、あっという間に後退してしまうことさえある。台湾に住む2300万人が意を決し、具体的な行動によって台湾の民主主義防衛のメカニズムを強化してこそ、華人社会において世界で唯一の民主主義のともし火である台湾が、民主主義の道のりを安定して歩き続けることが出来るのである。
専制制度に対抗するための最前線に立ち、我々が台湾の民主主義を守り、台湾の民主主義を輝かせることが、中国の民主主義の発展を後押しする前向きな力になるだろう。天安門事件で流れた血は、中国の民主主義のための種子である。その一つ一つの種子が、中国において遠くない将来、芽を出し、成長し、たくましく育ち、そして中国の人々が自由、平等、法治、人権といった美しい未来を享受できる日が来るよう願っている。
Taiwan Today:2019年6月5日
写真提供:中央社
陳建仁副総統は4日夜、台北市内で開催された天安門事件から30年の追悼イベントに出席した。陳副総統は、「台湾の人々が台湾の民主主義を守ることが、中国の民主主義の発展を後押しする力になる」と述べた。