伊での台湾航空便受け入れ停止受け、外交部長が「WHOは間違いを改めよ」
新型のコロナウイルスによる肺炎の感染が拡大している影響で、イタリアの航空管理当局が1月31日(現地時間)正午に中国大陸、台湾、香港、マカオの航空会社7社を集めて会合を開き、イタリアへのフライトをしばらく受け入れないことを宣言した。期間は2月2日から4月28日まで。
チャイナエアライン(中華航空)イタリア支社の呉順益総経理(社長)によれば、会合で同氏は、台湾-イタリア路線は中国大陸と関係が無いほか、台湾で確認されている数人の患者はその多くが海外で感染したケースだとして台湾における感染対策の効果を強調、事態がより深刻とされる多くの国々と比べた場合、台湾-イタリア路線は運航停止の対象とすべきではないと強く主張した。
イタリアの航空当局は、こうした主張は政府に伝えるとしながらも、運航停止措置はイタリアの首相が前夜に閣僚たちと検討して決めたもので、航空当局にもあらかじめ伝えられていなかったと説明、見直しの余地があるかどうかはイタリア政府の判断にゆだねるしかないと述べたという。
航空路線の運航停止に関しては、ベトナムも1日午後、台湾からの旅客機の受け入れを一時拒否したが同日夜にはこれを撤回し、正常な運航に戻っている。
イタリアによる運航停止措置に対し、外交部(日本の外務省に相当)の呉釗燮部長(大臣)は2日午前、外国メディアを対象とした記者会見を開き、中国語と英語の2言語を用いて外交部の立場を国際社会に説明した。呉外交部長はこの中で、台湾-ベトナム路線が運航を再開したのに対してイタリア政府は誤りを正しておらず、極めて遺憾だと述べた。呉外交部長は、「誤った決定」は間違った認識と情報によるものであり、新型コロナウイルスの感染区域についての正確な評価に基づくものではないと主張した。
呉外交部長によれば、この「誤った決定」を引き起こした間違った情報源は世界保健機関(WHO)の2019年新型コロナウイルスに関するレポート。このレポートでは中国において確認された感染者数に香港、マカオ、台湾も一緒に加えており、呉外交部長は、WHOが台湾を中国の一部とみなすやり方はすでに台湾及び台湾の2,300万人を困惑させていると抗議した。台湾において直接選挙で選ばれた政権がWHO総会(世界保健総会、WHA)に参加できないばかりか、台湾の専門家が正当な理由なくWHOの技術的会議参加を拒否されることなどがその例。呉外交部長はこうした例を挙げた上で、WHOの「座右の銘」が「health for all」(全人類の健康)、ならびに「leave no one behind」(誰1人としておきざりにはしない)だとしたならば、台湾の人々はこうした対応を受けておらず、台湾を排除することは台湾の2,300万人に対して不公平であり、さらには本来台湾からの協力を受けられるはずの国の人々にもフェアではないと主張した。
イタリアでの状況について呉外交部長は、WHOが台湾を中国の一部とみなすやり方がはっきり示された例だと指摘、このことはすでに台湾の人々に不利益を与えており、他国の空港に足止めされた大勢の台湾の旅客は航空会社からもWHOからも何ら補償を受けられないのだと強調した。そして呉外交部長はWHOに対し、「台湾は台湾であり、中華人民共和国の一部ではなく、中国政府の管轄下にはない」という簡単な事実を認めよと呼び掛けた。呉外交部長は、台湾と中国の公衆衛生がそれぞれ独立し、互いに隷属していない衛生機関によって管理されていること、そして台湾と中国の飛行情報区も、それぞれ独立し、互いに隷属していない民間航空機関によって管理されていることはシンプルな事実だとしている。
呉外交部長によると、イタリア政府による今回の決定の根拠となったイタリア保健衛生省の提言内容はWHOの言い方そっくりで、そこには直接の関連性がある。一方、イタリア政府は1月31日に台湾からの旅客機がイタリアの飛行情報区を通過することを許可、2月1日にはさらに台湾の旅客機3機がイタリアで足止めされた台湾の人たちを連れ帰ることを認めるなど、政策を調整し始めているとのことで、呉外交部長は、イタリア政府が1日も早く通常の運航再開に踏み切るよう希望。また、各国に設置している在外公館(大使館や代表処など)に対し、台湾が中国の感染区域の一部ではないことをそれぞれの国でしっかりと説明していくよう命じていることを明らかにした。
呉外交部長は、駐ジュネーブ弁事処、外交関係を結んでいる国、ならびに友好的な関係にある国々のパイプを通じてWHOに対し、台湾に関する誤った認定を改めるよう働きかけていると述べた。
Taiwan Today:2020年2月3日
写真提供:中央社
新型肺炎拡大の影響で、イタリアの航空管理当局が中国大陸、台湾、香港、マカオの航空会社7社を集めて会合を開き、イタリアへのフライトをしばらく受け入れないことを宣言した。外交部の呉釗燮部長は2日の記者会見(写真)で、イタリアの誤った決定はWHO(世界保健機関)の間違った認識と情報によるものだとしてWHOに是正を求めた。