蔡英文総統、日本からの李登輝元総統弔問団一行と会見
蔡英文総統が9日午後、7月30日に死去した李登輝元総統に弔意を示すため台湾を訪れた日本からの訪問団一行の表敬訪問を受けた。訪問団は11名。日本の森喜朗元首相が団長を務めて日本の国会議員らが党派を超えて参加、日帰りで台湾を訪問した。
蔡英文総統は森元首相に特に感謝、森元首相は「人情家」であり、李登輝元総統が総統退任後に訪日出来たのは森元首相の努力によるものだと指摘した。また蔡総統は、自身が「よく対面する」とした、台湾との関係強化を目指す日本の超党派議員連盟・日華議員懇談会の古屋圭司会長、安倍晋三首相の実弟の岸信夫衆議院議員、衛藤征士郎衆議院議員の3名をはじめとした訪問団のメンバーが長期にわたって台日関係をサポートし、それに貢献していることに台湾の人々は感銘を受けていると述べた。
蔡総統は李登輝元総統について、台日関係を非常に重視し、総統退任後も台湾と日本の友好関係促進に力を尽くしたとした上で、李元総統と訪問団のメンバーらが共に努力したことでここ数年、台日関係は大幅なレベルアップを遂げたと説明。台日間の観光客数、両国民が互いに持つ好感度のいずれにおいても前向きに成長しているところだと指摘した。その例として蔡総統は、日本語でツイートすると日本のネットユーザーから反響を得られると紹介、さらに数日前に自身の顔が日本の漫画雑誌の表紙に描かれたことに触れ、「思いがけないこと」と驚いたことを明かした。
蔡英文総統は、今回のコロナ禍の中、台日間では多くの協力活動が公式に行われたとし、ダイヤモンド・プリンセス号やペルー、インド、フィジー、ロシアでのチャーター便などでの協力はその都度、台湾と日本の深い友情を証明したと述べた。クラスターが発生した大型客船ダイヤモンド・プリンセス号では、未感染だった台湾の乗船客をチャーター便で日本から帰国させた。またペルーでは台湾、インド、フィジー、ロシアでは日本が手配した旅客機で、現地に滞在していた台湾の人もしくは日本人の帰国を支援する取り組みが行われた。蔡総統はそして、ツバルに滞在しているとされる日本人2名の帰国にも喜んで協力するとした。
蔡総統は、日本の安倍首相、麻生太郎副総理、菅義偉官房長官、茂木敏充外相が様々な場で、台湾のWHO総会(世界保健機関の年次総会、WHA)参与を支持する発言を行っていることに感謝。その上で、新型コロナウイルスの感染拡大が続いている中、感染に関する情報の共有、ワクチンと医薬品の研究開発、医療専門家の交流などで台湾と日本がより幅広い協力関係を築けるよう希望した。
蔡英文総統はまた、本来なら現在行われているべき東京オリンピックが感染拡大の影響で延期されたことを多くの人々が残念がっているだろうとし、特に大会組織委員長の森元首相が開催に向けて力を尽くしてきたことを思いやった。蔡総統は、各国が力を合わせて感染拡大を1日も早く抑え込み、来年夏のオリンピックが無事開かれることを望むとした上で、その時には台湾政府と人々がそれを全力で支援することで「台日友好」が引き続き深まることに期待した。
森喜朗元首相は、日本の与野党の国会議員が党派を超え、共に訪台して李登輝元総統を追悼することの意義を強調すると共に、コロナ禍の中で訪問を受け入れた台湾政府と関係機関の手配に感謝した。
森喜朗元首相は安倍首相による弔意を伝達、台日関係に対する李登輝元総統の生涯を通じた貢献に感謝し敬意を表した。そして蔡英文総統の健康を祈ると共に、台湾がさらに発展し、台湾と日本の友好が永遠に続いていくことに期待した。
Taiwan Today:2020年8月10日
写真提供:総統府
蔡英文総統(右)が9日、7月30日に死去した李登輝元総統に弔意を示すため台湾を訪れた日本からの訪問団一行11名の表敬訪問を受けた。訪問団は日本の森喜朗元首相(左)が団長を務めた。