台湾と米国、公衆衛生に関する協力覚書に調印
台湾を訪問中のアメリカのアザー厚生長官は10日午前、まず総統府を訪問して蔡英文総統を表敬訪問した。午後は中央感染症指揮センター(新型肺炎対策本部に相当)が設置されている衛生福利部疾病管制署(=台湾CDC)を訪れ、午後3時には公衆衛生に関する協力覚書(MOU)の調印に立ち会った。台湾と米国の公衆衛生分野での協力は20年以上の歴史を持つが、協力覚書の調印は初めて。双方は、協力の範囲をより拡大し、実質的な協力を展開し、台湾と米国の国民の健康と福祉、ひいてはグローバルヘルスセキュリティを増進することで一致した。
■アザー厚生長官、「台湾のコロナ対策は世界で最も成功した例の一つ」と称賛
アザー厚生長官は10日午前、総統府を訪問して蔡英文総統を表敬訪問した。蔡英文総統は会見の冒頭で、米国のトランプ大統領、ポンペオ国務長官、それにアザー厚生長官など多くの政府高官が、新型コロナウイルスの封じ込めに成功した「台湾モデル」の世界貢献を評価すると同時に、台湾の国際組織参加を強く支持していることに感謝すると述べた。蔡総統はまた、台湾と米国が新型コロナウイルスのワクチンや治療薬の共同開発及び生産において、さらなる進展が得られるよう期待すると述べた。
台湾と米国は今年3月、「Taiwan-U.S. Joint Statement on a Partnership against Coronavirus(新型コロナウイルス対策に関する台米パートナーシップに関する共同声明)」を発表し、感染症対策物資の交流やワクチン・治療薬の研究・開発などで協力を強化している。蔡英文総統は、「ホワイトハウスの官僚がMade in Taiwanの文字が刻印されたマスクを着用している様子が報道された。台湾の住民はその様子を見て、台湾で生産されたマスクがパートナー国家の助けになっていることを大変嬉しく思った」と述べた。
アザー厚生長官は蔡英文総統に対し、「台湾の新型コロナウイルス対策は世界で最も成功した例の一つ」とした上で、「この成功は台湾の社会と文化に透明性と民主主義の価値観が存在していることを示している」と称賛した。アザー厚生長官はまた、「今回の台湾訪問は、台湾を強く支持し、友好的であるというトランプ大統領の意向を伝えるためのもの」とも語った。
なお、アザー厚生長官は蔡英文総統の表敬訪問を終えたあと、自身のツイッターを更新し、「私の訪台を歓迎してくれた蔡英文総統に感謝する。米国の台湾に対する強力な支持と友好的立場を伝えることができたことは大変光栄だ」と投稿した。
■公衆衛生に関する協力覚書、台米協力の範囲拡大へ
アザー厚生長官は10日午後、中央感染症指揮センターを訪れ、公衆衛生に関する協力覚書の調印に立ち会った。中華民国(台湾)の対米国窓口である台湾米国事務委員会(TECRO)の楊珍妮主任委員と、台湾における米国大使館に相当する米国在台協会(AIT)台北事務所のウィリアム・ブレント・クリステンセン代表(=駐台大使に相当)が双方の政府を代表して調印に臨み、証人として中華民国衛生福利部(日本の厚労省に類似)の陳時中部長(=大臣)とアザー厚生長官が立ち会った。
台湾と米国はこれまで、新興伝染病の予防や治療、デング熱のワクチン開発など公衆衛生分野で20年以上にわたり協力している。今回の協力覚書では、両国の協力の範囲がグローバルヘルスセキュリティ、伝染病の予防・治療、公衆衛生実験室、慢性病の予防・治療及び健康の促進、女性・こども・青少年の健康、環境衛生と労働安全衛生、たばこの規制、健康格差、デジタルヘルス、薬物の乱用、ヘルス・コミュニケーション、保健医療人材などに拡大されることが盛り込まれた。
双方は今後、この協力覚書の枠組みの中で、共同プログラムや科学・研究プロジェクトの実施、人的交流、訓練、相互訪問などを促進する。また、双方の連絡窓口を設置し、ベストプラクティス、専門知識、情報の交流を行うなど、実質的な協力を通して台湾と米国の国民の健康と福祉、ひいてはグローバルヘルスセキュリティの増進を目指す。
Taiwan Today:2020年8月11日
写真提供:中央社
中央感染症指揮センターで行われた台湾と米国の公衆衛生に関する協力覚書調印式の様子。左からAIT台北事務所のウィリアム・ブレント・クリステンセン代表、アザー厚生長官、陳時中衛生福利部長、台湾米国事務委員会(TECRO)の楊珍妮主任委員。