第75回WHO総会が閉会、国際社会に広がる台湾支持の強い声
スイスのジュネーブで開かれていたWHO(世界保健機関)の第75回年次総会(=WHA)が28日に閉会した。中華民国(台湾)の国交樹立国、近い理念を持つ国々などは、WHO総会という世界でも最も重要な公衆衛生のプラットフォーム、あるいはその場外において、これまでよりもさらに強く、より高いレベルで、そして多様な方法で、WHO及びWHAへの参加を目指すわが国の訴えへの支持を見せた。今年は世界88か国の行政府の高官、国会議員など計3,800人以上が台湾支持を表明した。
【世衛行動団(WHO行動団)】
今年のWHO総会に合わせて台湾は、衛生福利部(日本の厚生労働省に類似)の李麗芬政務次長(=副大臣)を団長とする「世衛行動団(WHO行動団)」を現地に派遣した。一行はジュネーブ滞在期間中、外交レセプションやWHOが主催するウォーキングイベント、専門家によるフォーラム、在外台湾人が主催するイベントなどに参加したほか、海外メディアからの取材に応じた。また、米国、チェコ、リトアニアなどの代表団や国際医療組織などと、29回に上る二者会談を行った。
【国交樹立国】
今年のWHO総会では、中華民国(台湾)と正式な外交関係を持つ13カ国が「台湾をオブザーバーとして招き、WHO総会に参与させる」ことを総会の議事日程に加えるよう提案した。また、セントビンセント及びグレナディーン諸島、ベリーズ、エスワティニ王国、ツバルの4か国が総務委員会と全体会議で、わが国のWHO総会参与についてディベートを行い、中国側の一方的な虚言と謬論に反論した。
【近い理念を持つ国々】
今年は近い理念を持つ国々からもより強い支持を得ることができた。米国、英国、オーストラリア、フランス、ドイツ、カナダ、ルクセンブルク、リトアニア、チェコ、日本、ニュージーランドの11か国とマルタ騎士団は、直接あるいは間接的な発言で台湾のWHO総会参加支持を表明した。そのうち、フランス、ドイツ、ルクセンブルク、リトアニア、チェコの5か国がWHO総会で台湾支持を表明したのは初めてのこと。
【近い理念を持つ国々の場外での発言】
近い理念を持つ国々からは、多国間あるいは二国間の対話の枠組みなどを通しても、積極的に台湾支持の発言があった。カナダ、フランス、ドイツ、イタリア、日本、米国、英国から成る主要7カ国(G7)及び欧州連合(EU)の外相会合は、昨年に続き今年も共同声明で台湾のWHO及びWHO総会参加を支持する姿勢を明確にした。今年はG7保健大臣会合も初めて、共同声明で台湾支持を表明した。台湾と近い理念を持つ国々の高官では、例えばカナダのジャスティン・トルドー首相、米国のアントニー・ブリンケン国務長官、日本の林芳正外務大臣、チェコのヤン・リパフスキー外相、スウェーデンのアン・リンデ外相なども、公式発言、国会やメディアでの質疑応答、声明の発表、SNSの投稿などの方法で、台湾のWHO総会参加を支持すると表明した。米国、オーストラリア、英国、カナダ、日本など5か国が台湾に設置する政府代表機関は、共同プレスリリースを通して台湾のWHO総会参加を表明した。
【各国の立法府、多国籍の議員連盟などによる支持】
各国の行政府のほか、立法府及び多国籍の議員連盟なども、法案、決議、動議の可決や、WHO事務局や行政府に書簡を送ったりするなどして、相次いで台湾のWHO総会参加支持を表明した。米国連邦議会は「台湾のWHO総会オブザーバー復帰を実現するための戦略を立てるよう国務長官に求める法案」を可決。この法案は後日、バイデン大統領によって署名された。カナダでは国会議員140余りが、カナダ政府に対して引き続き台湾を支持するよう求める書簡を出した。日本では全国47都道府県のうち、41の地方議会が台湾のWHO総会参加を支持する決議を可決した。欧州エリアでは、台湾の国際参与を支持する声が一層強くなり、欧州議会、ドイツ、英国、デンマーク、チェコ、スロバキア、ルクセンブルクなどの国会で、台湾に友好的な決議や動議が相次いで可決された。とりわけドイツとルクセンブルクでこうした動きが見られたのは初めてのことで、その意義は大きい。
【各地のフォルモサクラブ】
欧州、ラテンアメリカとカリブ海、インド太平洋、西アジアとアフリカの4つ地域の「フォルモサクラブ(=親台湾派の議員連盟)」のメンバーが、台湾支持を表明するために積極的に動いた。欧州地域ではウクライナを含む34か国、1,500人の議員がテドロスWHO事務局長宛ての書簡に署名。インド太平洋地域のフォルモサ会議は初めてオンラインで年次総会を開き、台湾がWHOを含む国際組織に参加することを支持する宣言書を読み上げた。
【台湾によるプロモーションの展開】
外交部(日本の外務省に相当)は今年、海外で国際医療協力に取り組む台湾の医師たちの貢献を取り上げた短編動画『遠くからやってきた友人(英語名:Sweetness of Friendship)』を制作・発表した。動画の再生回数は延べ1,676万回に達し、世界貢献を願う台湾の決意と、その能力があることを世界にアピールすることに成功した。衛生福利部の陳時中部長(=保健大臣に相当)の寄稿、外交部の在外公館による投書、それに各国の学者や専門家による台湾に友好的な論評、コラム、関連の報道などは、世界60か国近くのメディアで取り上げられた報道は約410本以上に達した。
【台湾の国会議員による視察団】
立法院(=国会)の陳玉珍立法委員(=国会議員)、林静儀委員、王婉諭委員、李徳維委員らが組織する視察団が、わが国の与野党を代表してジュネーブを訪れ、さまざまな活動に参加した。一行は国際社会からより多くの支持を取り付けるために奔走したほか、台湾を常にWHOに参加させるべきであるという訴求を直視するようWHOに訴えた。
【世界の非政府組織による支持】
世界医師会(WMA)、欧州医師常設委員会(CPME)、欧州ジャーナリスト協会(AEJ)など世界の重要な非政府組織、それに欧州、アジア、ラテンアメリカ、アフリカなどの国際医療・公衆衛生の専門家などが、WHO事務局長への書簡や、声明の発表などの方法で、台湾のWHO総会参加支持の声を上げた。外交部所管の外郭団体である財団法人国際合作発展基金会(日本の国際協力機構=JICAに相当。略称は国合会、ICDF)は、WHO総会開催期間中にノルウェー難民評議会(NRC)とシンポジウムを共催し、台湾がヘルスケア分野の国際協力で高い能力を持つことをアピールした。
【まとめ】
世界各地のさまざまな人々が台湾のWHO総会参加のために声を上げてくれたことは、これらの人々が政治的な問題を棚上げにし、台湾をWHO及びWHO総会に参加させてこそ、新型コロナウイルスのパンデミックから抜け出し、より強靭性をもった公衆衛生体系を世界に作り出し、全人類の健康と福祉、それに安全を共同で保障できると考えていることを示している。我々はこれからも「専門、実務、貢献」を原則に、世界の公衆衛生の安全のために各国と協力し、台湾のWHO及びWHO総会参加を目指して、よりしっかりとした土台を築き、エネルギーを蓄えていきたいと考えている。
Taiwan Today:2022年5月30日
写真提供:外交部
スイスのジュネーブで開かれていたWHO(世界保健機関)の第75回年次総会(=WHA)が28日に閉会した。今年は世界88か国の行政府の高官、国会議員など計3,800人以上が台湾支持を表明した。写真は外交部本庁舎外観。