中国当局は4月25日、各国の航空会社44社に対し、各社のホームページ上で台湾を「国家」として扱わないよう、表記の変更を要求していた。中国当局は当初、30日間を期限としていたが、その後、これを7月25日まで延期。これを受けて、各国の航空会社が25日までに、台湾に関する表記を「台湾-中国(Taiwan-China)」、「中国台湾(Taiwan, China)」、「中華台北(Chinese Taipei)」などに改めた。台湾の外交部(日本の外務省に相当)は25日、ニュースリリースを発表し、「中国政府は政治力をもって、横暴なやり方で民間企業の商業行為に干渉した」とし、中国政府を強く譴責した。また、「台湾は台湾であり、中国政府の管轄下にはない。台湾は民主主義国家だ」、「台湾が国際社会に存在することは客観的な事実だ。中国当局の圧力によって台湾が消えることはない」と指摘。それと同時に、台湾は理念の近い国々との協力を強化し、国際社会における中国政府の横行を共に阻止するとし、他国の商業行為への中国の干渉を常態化させてはならないと訴えた。
中国当局の圧力を受け、海外の航空会社は25日までに相次いでホームページ上での台湾に関する表記を改めた。米アメリカン航空のホームページは「台湾」の文字を削除し、台北、高雄、桃園など都市の名称のみを残している。米ユナイテッド航空のホームページは当初、台湾の各都市の後ろに「台湾(TW)」と併記していたが、現在は「台湾(TW)」を削除している。米デルタ航空も台湾の都市名の後ろに「台湾(Taiwan)」と併記していたが、こちらも現在は「台湾(Taiwan)」の文字を削除している。
カナダのエア・カナダのホームページは、台湾を中国の一部として表記。トルコのターキッシュ・エアラインズは、台湾を「台湾-中国(Taiwan-China)」と表記している。英ブリティッシュ・エアウェイズは台北や高雄などの都市を「台湾-中国(Taiwan-China)」として分類している。
アラブ首長国連邦のエミレーツ航空のホームページは、「国家/地域」の選択肢で台湾を「台湾、中国(Taiwan, China)」と表記。シンガポール航空とスクート・タイガーエアは「中国台湾」と表記している。独ルフトハンザドイツ航空のホームページの航空券購入欄でも、出発地や行き先の選択肢が「中国台湾(Taiwan, China)」となっている。インドのエア・インディアは台湾の表記を「中華台北(Chinese Taipei)」としている。
日本の日本航空(JAL)と全日空(ANA)の2社は、出発地と行き先の選択肢を、使用言語別に「台湾」と「中国台湾」で使い分けていた。その後、両社は公式サイトの表記を再調整し、現在は「中国台湾」の表記が消えている。現在、出発地と行き先の選択肢は、台湾も中国も同様に都市名のみとし、国名を表記してない。
韓国のアシアナ航空は中国からの圧力を受け、公式サイトで台湾に関する表記を一時、「中国大陸及び香港、マカオ、台湾」に改めた。その後、外交部が在外公館を通して交渉した結果、現在同社の公式サイトは、国名ではなく都市名を選ぶ方法に変更されている。
外交部は25日、中国当局が各国の航空会社に対して台湾に関する表記を改めるよう要求していることについて、改めて強く非難した。外交部は、他国の商業行為への中国の干渉を常態化させてはならないと訴えた。