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蔡英文総統、2019年「新年の談話」を発表

蔡英文総統は1日、総統府大礼堂(大ホール)において2019年の「新年の談話」を発表した。蔡総統は、「民生の安定を図り、民主主義を守り、台湾の主権を守る一年にしたい」と新しい年への抱負を語った。談話の概要は以下のとおり。

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2018年の中央政府の取り組みは、その多くが2019年に向けた準備だった。例えば今年元日より労働者の最低賃金は月額2万3,100台湾元(約8万2,800日本円)に、パート・アルバイトの最低賃金時間額は150台湾元(約537日本円)に引き上げられる。台湾では3年連続で最低賃金が引き上げられており、低賃金で働く若者の代名詞となっていた「22k(2万2,000台湾元の賃金を意味する)」と正式に決別した。

毎年5月は確定申告の時期だが、今年から4項目の所得控除額が引き上げられ、月給3万台湾元(約10万日本円)以下の労働者は基本的に所得税を納める必要がなくなる。国民の家計を助けるために政府が本当に努力していることを、誰もが感じることができるだろう。

台湾では過去2年にわたり、経済のプラス成長が続き、税収も予想を大きく超えた。このため我々は行政院(内閣)が急ぎ具体策を講じ、収入が比較的少ない国民から優先的に、経済成長で得た利益が還元されるよう指示している。民生の安定を図るために全力を尽くし、若者や弱者により配慮した支援策を講じることは2019年の重点施策の一つである。

自分は総統就任以来、国際情勢の変化を極めて重視してきた。国家元首として、自分の責任はこの不確定要素あふれる国際環境の中で、台湾のために生存と発展の空間を探し出すことにあると考えている。2019年は私の責任がより増すだろう。すでに国家安全保障を担当する部門や政府各省庁に対し、それぞれ対策を講じるよう指示している。台湾経済は米国と中国という2つの国の影響を強く受けているため、絶対に気を抜くことはできない。

幸いなことにこの2年間、政府はこの日のために最大限の努力をしてきた。「5+2産業イノベーション計画」は台湾経済のレベルアップをもたらし、大規模建設投資計画「前瞻基礎建設計画(将来を見据えたインフラ建設計画)」の推進は公共建設によって内需を拡大してきた。また、「新南向政策」によって世界各国と多様な関わりを持ち、過度に中国市場に依存してきたこれまでの経済・貿易戦略を調整しようと努力してきた。これらはいずれも、来たるべき国際社会の急激な変化に対応するためのものだ。

台湾は今年元日から3年間、海外進出している台湾企業が台湾に戻って投資することを歓迎する措置「歓迎台商回台湾投資行動方案」を実施する。これは、海外進出している台湾企業に、帰郷のための平坦な道を準備するための措置だ。いまこそ、海外進出している台湾企業の帰郷と対台湾投資を歓迎する最良の時期だ。

今年11月に行われた統一地方選挙の結果は、執政者に大きな衝撃を与えるものだった。しかし、我々は強調しなければならない。この選挙の結果は、台湾の基層の世論が我々の主権を放棄しようとしていることを意味しているわけではなく、台湾の人々が台湾の主体性において譲歩したわけでもない。

我々は台湾海峡両岸の正常な往来に反対するわけではないし、ましては都市交流に反対するのでもない。しかし、その交流は健康的且つ正常であるべきだ。あいまいな政治的前提や、他人に承認を強いる政治的用語に頼って行われるべきではない。台湾海峡両岸に本当に必要なことは、それぞれの価値観、信仰、生活様式、政治制度などの根本的な違いを、互いが実務的に理解することである。

私は中国に対して「4つのすべき」ことを提起する。(1)中華民国台湾が存在するという事実を直視すべきである、(2)2,300万人の住民の自由と民主主義に対するこだわりを尊重すべきである、(3)平和で対等な方法によって我々の間に存在する見解の違いを処理すべきである、(4)政府あるいは政府によって権利を授与された公権力を持った機関同士が腰を据えて話し合うべきである―。この「4つのすべき」こそが、台湾海峡両岸が正しい方向へ向かって発展できるかどうかの基本的且つ最も重要な鍵を握るものである。

また、台湾の安全を守るため、我々は台湾海峡両岸の交流のために3つのセーフティーネットを確立したい。

第一は民生の安定を図るためのセーフティーネットである。最近、中国各地でアフリカ豚コレラの感染が拡大しているが、中国政府は一向に、関連の協議に基づいて感染症に関する情報を正しくタイムリーに台湾に伝えるという作業を行っていない。アフリカ豚コレラのまん延が台湾に及んだ場合、台湾の関連の産業は深刻なダメージを受けるだけでなく、民生や経済にも影響が及ぶ。何より大きな問題は、中国に対する印象が悪化するということだ。我々はこうした状況が発生するのを避けたいと考えている。

もし、中国が感染症の拡大防止についてすら誠意をもって協力できないとするならば、「台湾海峡両岸は一つの家族」などと言えるだろうか。さまざまな手段を使って、台湾の政治家の口から政治的な意味を持つ合言葉を引き出そうとするよりは、台湾海峡両岸の住民が最も関心を寄せる民生の安定を図るために協力するほうが現実的ではないだろうか。政府は何としても感染症の侵入を防ぐための手を緩めない。私はここでもう一度、全国の国民に呼びかける。「アフリカ豚コレラ」の深刻性を直視して欲しい。中国政府に対しても、偏見を捨て、対立を止め、民生の安定を重視して欲しいと再度呼び掛ける。

第二は情報セキュリティのセーフティーネットである。国防力は軍事力を引き続き強化すると同時に、我々は国家安全保障の範囲を情報戦にまで拡大すべきである。民主主義は操作可能なものだ。これは、世界の民主国家が最近意識するようになった問題である。台湾では中国から発信されたフェイクニュースが、人々の心を動かすまでに氾濫している。フェイクニュースの氾濫については、行政院に具体的な対策を講じるよう指示している。また、中国系企業が関与する情報セキュリティ問題は、国際社会も関心を寄せている。私は国家安全保障を担当する各機関がこの問題を重視し、問題の所在を整理し、国家の安全を左右する基礎施設の機密の安全を確保し、いかなる抜け穴も作らないよう求めている。

第三は台湾海峡両岸の相互交流における民主主義のセーフティーネットの強化である。我々は民主国家であり、台湾海峡両岸間の政治問題は、中国側が一方的に主張し、それを台湾が受け入れるように迫るようなものであってはならない。両岸間の政治的対話には、台湾住民の参与と監督が欠かせない。このため私はすでに、国家安全保障を担う機関に対し、両岸間の相互交流のうち、主権に影響を与える議題について、民主主義的な監督を強化するメカニズムを確立するよう求めている。法治方面における取り組みを通して、台湾のためにしっかりとした民主主義のセーフティーネットを確立したいと考えている。

2019年元旦の総統府国旗掲揚式のテーマは「勇敢自信、世界同行(=勇気と自信を持ち、世界と共に)」である。世界情勢が目まぐるしく変化する中、民主主義の道を歩み続け、世界各国の理念の近い人々と手を取り合って前進することは、台湾にとって最善の選択なのである。

Taiwan Today:2018年1月2日

写真提供:中央社
蔡英文総統は1日、総統府大礼堂(大ホール)において2019年の「新年の談話」を発表した。蔡総統は、「民生の安定を図り、民主主義を守り、台湾の主権を守る一年にしたい」と新しい年への抱負を語った。また、中国に対して「4つのすべき」ことを提起した。
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