台湾の「国連気候変動枠組条約(UNFCCC)」へのオブザーバー参加について
今年11月28日から12月9日に、気候変動に関する国際連合枠組条約(略称:国連気候変動枠組条約、UNFCCC)の第17回締約国会議(COP-17)が南アフリカのダーバンで開催される。その会議で世界各国の代表団は2013年以降の気候変動に関する国際枠組み、大気中の温室効果ガスの安定、京都議定書の将来とカンクン合意の実施などについて議論を行う予定である。
中華民国(台湾)は目下UNFCCCのオブザーバー参加を果たしていないが、気候変動の緩和と適応に向けたグローバルな努力の一員となることを目指している。これを達成するために、台湾は2020年までに現状維持比(BAU)のベンチマークに対して少なくとも30%の温室効果ガス排出量を削減することを決定し、温室効果ガス削減に関する法案を策定し、立法院(国会)に提出した。
台湾の参加は、条約の精神及び目的に一致している。条約では、気候変動がグローバルな性質を持つことから、可能な限り広範な協力を呼びかけている。条約の第7条第6項によると、「オブザーバーとしての参加は条約の対象に含まれている」ので、台湾の行政院環境保護署(EPA、日本の環境省に相当)が締約国会議(COP)の会議にオブザーバーとして参加することを認めるべきである。
さらに、台湾はすでに他の国連関係の会議や活動に参加してきた。2009年5月から、台湾の行政院衛生署(日本の厚生労働省に相当)は、世界保健機関総会(WHA)に招待され3年連続「チャイニーズタイペイ(中華台北;Chinese Taipei)」の名義でオブザーバーとして出席している。1995年に定めたストラドリング魚種および高度回遊性魚種の保存および管理に関する1982年12 月10日の海洋法に関する国際連合条約の規定の実施のための協定(略称:国連公海漁業協定、UNFSA)は台湾がさまざまな地域漁業管理機関(RFMO)に参加のための法的根拠を提供している。台湾は2002年以来、「チャイニーズタイペイ」の名義で漁業実体(Fishing Entity)としていくつかの地域漁業管理機関(RFMO)のメンバーになっている。
この度、ドイツのボンで開催された条約の「補助機関会合(SBI)」第三十四会期(SBI-34)のワークショップでは、オブザーバー組織が条約への関与を強化する方法について議論された。ワークショップ議長は「国際社会はチャイニーズタイペイがオブザーバーとして参加することを支持する、との提案がなされた」という内容を了承し、最終報告書にまとめた。
SBIの責務は条約事務局に「国連枠組みを参考しながらオブザーバー組織における最善の参加実例を考慮する」ように要請することである。条約事務局はチャイニーズタイペイの前述したWHA、地域漁業管理機関(RFMO)又はSBI議長の例を参考すべきである。条約事務局は上記のWHA、RFMOなどの例を参照して、台湾の締約国会議(COP)へのオブザーバー参加を許可していただきたい。また、台湾の参加は条約プロセスにおけるオブザーバー組織による関与をさらに高めることになろう。
世界第二の太陽電池と最大のLED生産国として、台湾のグリーンエネルギー産業は世界の二酸化炭素排出量の削減及びエネルギー効率を高めることに大いに貢献している。にもかかわらず、これらグリーン製品の製造工程においては、台湾の温室効果ガス排出量を増やしている。実際台湾の二酸化炭素排出量のレベルは2010年に急激に増加し、国際エネルギー機関(IEA)の発表によるとその年は史上最高の二酸化炭素排出量である。明確なのは、世界の温室効果ガス排出量をいかにして削減するかは喫緊の課題であるということであり、世界では早急に新たな気候変動体制が必要となっている。
気候変動は国境を問わずに世界の国々に影響を及ぼしている。台湾も他の国々と同様にこの問題に直面している。異常気象、例えば過度の熱波、干ばつや洪水を含む現象はもはや常態化し且つ頻繁になってきている。台湾の年間平均気温は1911年と2009年の間に1.4℃増加し(10年間あたり年摂氏およそ0.14℃増加)これは世界平均値の倍に近い。過去30年間で、10年間あたり約0.29℃上昇し、過去100年の世界平均値のほぼ倍である。また、台湾の降雨も徐々に減少している。雨の日の年間平均数は、1911年と2009年の間に十年ごとに約4日間の割合で減少してきた。1980年以降、この割合は十年ごとに6日間悪化した。
我々は共にこの懸念される趨勢に対して早急に対処する必要があるが、台湾は国際社会と協力し合わなければ、共に解決することができない。条約は気候変動に対処する重要な手段である。台湾はすでに準備を整えており、グローバルな気候変動体制に参加して、地球を保護していくことを切望している。そこで、台湾の国連気候変動枠組条約(UNFCCC)の締約国会議(COP)へのオブザーバー参加をご支援いただきたい。同様に、国連気候変動枠組条約(UNFCCC)は気候変動問題の克服に成功するためにも、台湾の協力が必要となるであろう。
《2011年10月19日》