中国の王毅氏が台湾の地位が「七重の根拠で確定」と一方的に主張したことに対し、李逸洋・駐日代表が5点の声明で強く反論

　李逸洋・駐日代表は12月9日、中国の王毅・外相が台湾の地位について「七重の根拠で確定」されているなどと一方的に主張していることに対して、声明を発表し、強く反論した。

　中国外交部のウェブサイトは12月9日早朝に、王毅・外相が北京を訪問したドイツのヨハン・ワーデフール（Johann Wadephul）外相に、「カイロ宣言」、「ポツダム宣言」、国連総会第2758号決議（アルバニア決議）などを引用し、台湾問題に関して説明したことを発表した。このなかで王毅は、台湾の地位が「七重の根拠で確定」され、「台湾独立を企てることは中国の領土を分裂させることであり、台湾独立を支持することは中国の内政に干渉することだ」などと一方的に主張した。

　これに対して、李逸洋・駐日代表は以下の5点の声明を発表し、強く反論した。

一、第二次世界大戦後、国際法の効力を有する「サンフランシスコ平和条約」が、カイロ宣言、ポツダム宣言などの政治文書に取って代わった。「サンフランシスコ平和条約」は台湾を中華人民共和国に引き渡すものではない。

二、中華民国が成立したのは1912年、中華人民共和国が成立したのは1949年である。中華民国は主権独立国家であり、主権は台湾の住民に属し、中華人民共和国とは互いに隷属しない。中華人民共和国はこれまで一日たりとも台湾を統治したことはなく、両国が互いに隷属しないのは否定しようのない事実である。

三、国連総会第2758号決議は、1971年10月25日に第26回国連総会での表決により採択された。その内容は、「中華人民共和国の国連における合法的権利の回復問題」に関する決議であり、台湾の主権地位には言及されず、台湾の国際参加を排除するものではない。国連総会第2758号決議案の150の単語の中に、台湾はまったく言及されておらず、台湾を中華人民共和国に引き渡すものでもなく、中華人民共和国に台湾の代表権を付与するものでもない。

四、最近米国が公表した2025年度『国家安全保障戦略』（NSS）では、米国が「台湾海峡におけるいかなる一方的な現状変更も支持しない」と明確に表明した。米国は日本、韓国、オーストラリアなどの同盟国に防衛予算増額を要求し、より多くの行動で台湾を支援し、中国の脅威を抑止し、中国による台湾占領を阻止できるようにすると記している。これは国際社会が中国の武力脅威に対して共同で警戒していくことをはっきりと示している。

五、中華民国台湾は世界の民主主義の模範であり、民主主義指数でもアジアのトップクラスに入る高度な民主主義と自由を有する国である。一方、中華人民共和国は、民主主義、自由、人権がいずれも欠けている国である。

　これらを踏まえ、李逸洋・駐日代表は、「中国による台湾の主権に関するいかなる主張も、まったく正当性がない」と強調した。