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  許世楷・駐日代表、台湾「中央社」のインタビューに答える - 台北駐日経済文化代表処 Taipei Economic and Cultural Representative Office in Japan :::
主要ニュース
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許世楷・駐日代表、台湾「中央社」のインタビューに答える


許世楷・駐日代表、台湾「中央社」のインタビューに答える

 台北駐日経済文化代表処の許世楷・駐日代表は、2004年7月に同職に就任したが、間もなく離任を迎える。このたび、許世楷・駐日代表は、台湾の通信社である「中央社」のインタビューに応じ、就任以来4年近い歳月を回顧し語った。

 許・駐日代表は、「私は、政治学と国際政治を専攻し、津田塾大学で教鞭をとっていた時、同大での国際関係のカリキュラムは、私が、一番最初に開いたものだった。幸いなことに、私が大学において講義していた理論が、駐日代表に就任後、実際に運用でき、理論と実務が共に結びつき、きわめて意義のあるものとなった」と述べた。

 許・駐日代表が、1972年に「東京大学出版会」より出版した、日本語の著書『日本統治下の台湾』は、多くの読者からの強い要望により、36年の歳月を経た今年5月に日本で復刊され、このことは、同書が高い評価を受けていることを物語っている。

 許・駐日代表は、日米両国による台湾の安全保障に対する重要性を強調し、「米国は、台湾に最も協力してくれるであろう国家である。しかし、米国が世界の中で処理しなければならない問題は山積している。もし、台日関係が緊密であれば、日本の支持は台湾の安全に役立つものとなり、さらには、台湾の重要性について米国に示唆することができ、台米関係の増進にも役立つものとなる」と言及した。

 新任となる駐日代表の人選問題については、「日本人の考え方は特別なものがあり、新任の代表には、日本語が話せ、さらには、日本を理解した人物がふさわしい」との考えを示した。

 今年5月、胡錦濤・中国国家主席が訪日し、日本に対し関係強化の外交活動を行ったが、これについて許・駐日代表は、「中国の最大の目標は、北京オリンピックを順調に開催したいということだ。訪日を通して有利な局面を作ろうと、あわよくば日本の皇室による開幕式出席を期待したが、状況は厳しく、中国に失点がなければ得点になると考えさせるものであった。台湾問題についても、日本に対して強く迫ることができなかった」と分析した。

 中国が積極的に日本との交流関係を推し進めていることについては、「台湾は数の上では、中国と比べられるものではないが、質の面で比べるべきだ。観光客で言えば、現在、台湾から日本へ訪れる観光客は、130万人を突破したが、今後、さらに多くとも200万人を超えることはないと予想される。しかし、台湾の観光客が日本へもたらす好印象は人数よりはるかに重要である」と強調した。

 さらに、四川大地震の救済については、「台湾は大国ではなく、義援金の面での多寡を比べるよりも、台湾のハイレベルな医療を提供するほうが良い。四川の被災地域において今後発生が予想される伝染病に対し、医療サービスの提供は最良の救援方法であるはずであり、中国の被災民に台湾の医療水準の高さを認識してもらい、中国の国民が、世界的な防疫問題のために、台湾の世界保健機関(WHO)への加盟の必要性を認識してもらうのに役に立つ」と述べた。

 また、馬英九・総統が、総統就任演説において日本について言及しなかったことに対しては、「日本の来賓席は米国の来賓席の列の次に設けられたことからも、日本に対する重視を明らかにしており、また、馬総統は、台湾の水利事業に貢献した日本人技師、八田與一氏の慰霊祭にも出席しており、これらは日本を重視した態度であることを十分に反映している」と説明した。

 4年近くの任期において、最も満足とする成果については、「日本政府による、台湾からの観光客へのビザ免除措置は、台湾の国民それぞれが享受できる待遇であり、日々訪日する台湾の国民は、このような便利な措置の恩恵をこうむっており、さらには、両国もこれにより互恵平等を達成した」とその意義を述べた。

 中国との交流の動きに直面していることについては、「台日両国は意思疎通を強化し、相互の不必要な懐疑心を回避しなければならない。外交は、相手側が意外であると感じさせるものであってはならない。日本はかつて、ニクソン米国大統領の突然の中国訪問がもたらした驚きを、現在でも記憶として留めておくべきである。台湾と日本がもし、それぞれ別に中国とより深く接触していくには、台日両国間でその情報を伝えるルートを持つべきであり、そうしてこそ両国の信頼関係が磐石なものとなる」との見解を示した。

 許・駐日代表が、多年にわたり日本の国会議員と頻繁に交流を行ってきたことに対して、「現在、日本の国会議員の多くは、国内外の大きな問題に対し、きわめて豊富な知識を持っており、世界の現状とリンクしている点は好感を持っている」と述べた。

 今後の台日関係の展望に対しては、「楽観視しており、双方が信頼関係を維持し、情報を伝えるルートが順調であれば、民主主義、自由という共通の価値観を有する両国の今後の交流関係は、引き続き増進していくはずである。台日両国は現在の良好な基礎の下で、その関係を絶え間なく発展させていくことを強く希望する」と期待の意を示した。

 許・駐日代表の離任後の計画については、「私の人生の中で、この4年間は意外なことが多かった人生の『1ページ』であったが、きわめて達成感のあった『1ページ』でもあった。当時、大学を早期退職し、台湾に戻り、執筆などの目標を立て計画していた矢先に、思いがけなく、突然同職の任を受け、駐日代表となった。離任し帰国後は、かつての計画を実現するよう努力したい」と希望を語った。

 なお、許・駐日代表と盧千恵・駐日代表夫人の送別会が、6月1日、東京都内のホテルで、日本の政界を含む日本の各団体および、日本にある台湾僑胞の各団体など合計60団体を超える団体により開催される予定である。

《2008年5月29日》