駐日代表処で『龍瑛宗全集』日本語版新書発表会が開催


駐日代表処で『龍瑛宗全集』日本語版新書発表会が開催



駐日代表処で『龍瑛宗全集』日本語版新書発表会が開催

 東京白金台の台北駐日経済文化代表処で6月16日、国立台湾文学館(台南市)が発行する『龍瑛宗全集』日本語版および『呉新栄日記全集』の新書発表会(出版記念会)が行われ、鄭邦鎮・台湾文学館館長、龍瑛宗氏(本名:劉栄宗)の子息である劉文甫さん、劉知甫さんらが出席した。

 龍瑛宗氏は1911年に新竹北埔で生まれ、日本統治時代の台湾で1937年に『パパイヤのある街』で文学界デビューして以来、日本語で創作する台湾人の代表的作家としての地位を確立した。

 劉文甫さんは、家庭では客家語を話し、週末に日本語を教えてくれたという龍瑛宗氏を「父は内向的な性格で、人と話すとき、どもることもあり、うまく表現できないので、口数も少なく、文章とは対照的だった。社会的弱者に同情し、植民地体制化のインテリの苦悩を描いていた」と振り返り、龍瑛宗氏が戦後、1947年の二二八事件を機に文筆活動を中止し、銀行員としてひっそり暮らすしかなかったことを「植民地時代に漢文を学ぶ機会を奪われ、戦後は得意の日本語で創作する機会を奪われた。これは大きな損失でしかない」と語った。

 また、龍瑛宗氏が1980年代から中国語による創作を始めたことについて、劉文甫さんは、「晩年、父が中国語で書いた中国語の文にびっくりした」とも語った。

 劉知甫さんは、「ある評論家は、父のことを日本統治時代にもっとも世界観を有した作家と評した。その著作の原文はほとんど日本語であり、構想から実現まで10年の歳月がかかった復刻版の出版を機に、日本で父の作品を知っていただけると幸いです」と述べた。

 このほか、同会では日本統治時代の1930年代に文学運動、社会運動、政治運動を含めた台湾民族解放運動に取り組んだ呉新栄氏(1907~1967)の、日本統治時代から戦後へと二つの時代にまたがった33年間にわたる日記をまとめた『呉新栄日記全集』の出版についても、歴史資料としての価値がきわめて高いと紹介された。

《2008年6月17日》