馬英九総統が日華議員懇談会の訪問団一行と会見
8月4日、馬英九総統は総統府において、矢野哲朗参議院議員を団長に、参議院の椎名一保議員、島尻安伊子議員、大江康弘議員、松下新平議員により組織された日華議員懇談会の訪問団一行と会見した。馬総統は一行に対し、中華民国政府および台湾の国民2,300万人を代表し、衷心よりの歓迎の意を示すと共に、わが国が対日関係の推進に尽力し、アジア太平洋地域の平和、安定の促進にも努力していることを説明した。
馬総統は「台日間は国会議員による交流のほか、民間交流もきわめて頻繁であり、これまでの台湾の国民に対する観光ビザ免除措置、両国の自動車免許証の相互承認、台湾観光団の日本へのチャーター便運行の開放など、いずれも双方の交流と友好の相互連動に役立っている。昨年、台湾から日本への旅行者数は138万人に達し、日本から旅行やビジネスで台湾を訪れた人も116万人となっており、双方を加えると250万人を超え、これまでの記録を更新した。矢野議員が帰国後、台日双方の往来について、より一層の協力と促進をしていただき、さらに多くの日本人が台湾へ旅行、ビジネス、遊学に訪れるよう期待し希望するものである」と述べた。
また、馬総統は「新政府が5月20日に発足し3週間足らずで、台湾の遊漁船『聯合号』が釣魚台(日本名、尖閣諸島)海域において日本の海上保安庁の巡視船に接触し沈没する事件が発生した。これについて台湾の一部の国民はきわめて興奮し、強硬な対応をとるよう要求したが、この事件の処理は当時の台日関係における一つの試練となった。幸いにも双方の政府トップの態度は一致しており、平和的で冷静な処理を行う原則を堅持するものであった。また、日本交流協会台北事務所の池田維・前代表とわが国の外交部(外務省)関係者の積極的な努力の下で、この『聯合号』事件は最終的には平和的な雰囲気の中でピリオドを打つこととなった。この事件が一段落した後、日本の高村正彦外相もテレビのインタビューの中で、わが国政府の対処に対し評価を示した」と強調した。
馬総統はさらに「釣魚台の問題はもとよりきわめて敏感な問題であったが、双方の政府トップが相互信頼の基礎の下、平和的、理性的な方法で処理を行えば、今後多くの問題もこの方法に則り円満に解決できるであろう。私は釣魚台問題を研究しすでに30年が過ぎ、かつて英文での書籍も出版しており、釣魚台の主権の帰属については日本政府と異なった見解があり、一部の人はこのことから私を『反日派』と見なしている。しかしこのような見解を述べる人々は、常に私の著作や見解を読んでいないか深く研究していないかである。なぜならば、私の文章の中には『平和的、理性的』な態度をもって釣魚台問題の解決方法とすると重ねて強調しているからである」と指摘した。
また、両岸関係の改善について、馬総統は「これについては訪問団各位は安心してほしい。両岸関係の改善は、台日間の関係と長きに渡る友好に絶対に影響をおよぼすものではなく、その目的は海峡両岸の平和と繁栄を追求するものであり、これは東アジア地域の安定にも効果がある。これは当然のことながら日本の国益にも合致するものであり、私は2年前に福田首相や麻生外相と会見した時、両氏はこの観点についても支持と承諾を表明された。また同時に日本はこの数年、中国大陸との関係改善を継続させており、双方のトップによる相互訪問も頻繁になっており、わが国も同様にその成功を喜ばしく見ている」との見解を示した。
さらに馬総統は「国際社会において、東アジア情勢についての最大公約数は『平和と繁栄』である。わが国のやり方はこの方向に向かって努力することであり、米国も同様の見方をしている。米国のブッシュ大統領は7月30日にメディアのインタビューにおいて、現在の両岸関係は比較的良好に改善され、喜ばしいと明確に表明している」と強調した。
矢野議員は、日華議員懇談会による日台友好関係堅持の願いを重ねて表明し、「今回の訪問団のメンバーも同様の態度で台湾を訪問した。今後も我々は最大限の努力を払い、台日双方の実質的な関係と協力交流を推進ならびに強化していく所存である」との考えを示した。
【総統府 2008年8月4日】
写真提供:中央社