黄志芳・外交部長（相）が「台湾アセアン関係協会」の設立計画を発表

　３月５日、黄志芳・外交部長（相）は、立法院（国会）の外交および国防委員会で「現在の外交の挑戦と行動」についての報告を行った。黄・外交部長は報告の中で、「国家の外交は継続性が必要であり、さらには、与野党の党派を超えた永続的な外交でなければならない。中華民国台湾の外交は与野党のための外交ではなく、台湾の国民２，３００万人の国際社会における生存の発展を追求するための外交である」と強調した。

　また、陳水扁総統の任期中に友好国が減少したことについては「友好国の数には異なった時代背景がある。１９７０年代～同８０年代初めには、国連脱退と台米断交があった。そのため、友好国の数は、１９７１年の５９カ国から、一度は１９８８年の２１カ国という数まで減少した。１９９０年代は中国の国力はまだ台頭しておらず、その後の天安門事件が国際的な批判を受けたことから、我が国の友好国は最高の３１カ国になった。しかし、この８年、中国の台頭による影響はますます増大し、我が国と断交した国の数が国交を樹立した国より多かったのも事実だ。しかし、陳総統が以前述べたように、国民党の外相か民進党の外相かに関わりなく、どの外相もみな友好関係の維持に全力を尽くしてきた」と指摘した。

　黄・外交部長は、「台湾は今後、アセアン諸国（東南アジア諸国連合）との関係をより一層発展させていくよう尽力していく。最近、中国による輸出入税　　優遇措置の取消し、および労働コストの上昇により、中国に進出した多くの台湾企業はアセアン諸国への進出を検討している。これは、台湾が南向政策を再スタートさせる好機である。最近、台湾とアセアン諸国は非公式な方法で相互連動しており、外交部も「台湾アセアン関係協会」を創設し、アセアン諸国との関係強化を図る」との新しい計画を初めて発表した。

　そのほか黄・外交部長は、「現在、我が国の外交における２つの大きな挑戦は、中国の台頭とグローバル化である。このような態勢に直面し、私は外交実務において、組織的な調整により戦闘組織、環境保護外交の開拓・発展、民主主義と文化を推し進める柔軟外交といった３大革新を行い、また、友好国と地域における多国間協力の構築、初めての台湾名義による『世界保健機関（ＷＨＯ）』と『国連』加盟申請といった『多元的外交』を行っていく」との方針を表明した。

　さらに、「昨年、外交部は初めて台湾名義による『世界保健機関（ＷＨＯ）』と『国連』加盟を推し進めたが、両案の戦略の新しい意義は法理戦および国際世論戦の２大戦線を効果的に拡大することにあり、この２つの戦略目標において、台湾は所期の成果を勝ち取った」との認識を示した。

　続けて、「外交関係の展望について、外交部は受動的な姿勢を主動的に変え、現在の友好国との関係を全力で強化し、新しい友好国を獲得する必要がある。外交部はエネルギー外交と合わせ、中東、北アフリカ諸国との関係を開拓、発展させ、重要な国際組織のあるべき地位を獲得し、これを断じて放棄してはならない」と強調した。

《２００８年３月６日》