陸委会:中国の台湾に対する政治、軍事上の圧迫は両岸関係発展の深刻なる脅威
中国国務院の温家宝・総理(首相)が3月18日、第11回全国人民代表大会(全人代=国会)第一次会議の閉幕後に開催した記者会見の談話について、行政院大陸委員会は以下の声明を発表した。
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中華民国は民主主義、自由、独立を有した国家である。その主権は台湾の国民2,300万人に属するものであり、さらに、台湾の前途も台湾のこの2,300万人の国民だけが決定する権利を持っているのである。中華人民共和国はこれまで台湾に対する主権を持ったことは一度たりともなく、中国政府は当然、台湾の政治的地位に関与、決定する権利もなく、中国の13億人民が、台湾の前途と運命を共同で決定する権利もないのである。
中国の指導者が3月18日に発表した言論は、台湾の現実を顧みないのみならず、中国政府の「平和」と「民主主義」の基本的思考の欠如も顕著にしたものであった。中国政府は、両岸が相互に隷属していない現状を無視し、さらには両岸は「一つの中国」に属するとの政治的枠組みで、台湾国民の主体意識の発展を制限しようと企図しており、これはまさに、両岸関係の正常なる発展および地域内の平和を阻む最大の障害となっている。
国連加盟についての国民投票および、その他の国際組織への加盟の訴えは、台湾の国民が国際社会の集団的安全保障に加わるという基本的人権を追求するものである。しかし、中国は国際社会において、台湾の民主主義のこの訴え、ならびに台湾の国民の心の声に対し、あらん限りの力を尽くして醜悪化、歪曲化しており、台湾の国民の基本的権利を大きく損ない、台湾の国民の心の中にも、中国の覇権行為に対する強い抵抗感を植えつけた。中国が台湾に対し継続的に政治、外交、軍事面で圧迫する「弱者いじめ」の手段と姿勢こそが、両岸関係の進展を難行させている主な原因なのである。
中国は台湾が間もなく行おうとしている総統選挙に冷静に向き合い、理性的な態度で、台湾の民主主義の選挙と国民投票の結果を見守り、受け入れるべきである。そのうえでより深く検討すると共に、台湾に対する膠着化した「一つの中国」のイデオロギーと政策を放棄し、両岸協議の機会の窓を開けるべきである。
現在のチベット情勢については、中国は何ら武器を持たないチベット人民の行動を流血で鎮圧しており、すでに国際社会が共に糾弾と制裁の声を上げるにいたったが、中国は引き続き陰謀論を作り上げ、事実の真相を覆い隠そうと画策しており、あらゆる責任をダライ・ラマ14世に押し付けている。これにより中国政府の人権、人間性に反する残虐な本質が十分に暴露され、さらには、台湾の国民は中国が公言している「両岸関係の平和的発展」に対する憂慮をより深めたのだった。中国政府はただちに武力の使用を停止し、チベット人の合理的な訴えと文化の伝統を尊重し、抗争で死傷した人民および家族に謝罪と賠償をすべきである。今回のチベット事件を通して、国際社会は中国の非平和的台頭および軍事力の大幅な拡張を直視すべきであり、すでに国際社会とアジア太平洋地域の安定に対し、深刻なる危機と影響がもたらされている事実に対し、中国が具体的に改めるよう、必要な措置をとるべきである。
温家宝・首相は、記者会見で、「両岸におけるいかなる問題も話し合うことができる。しかし、それは『一つの中国』の前提の下でなければならない」と重ねて述べた。これに対し、台湾も「総統選挙後、双方が共同で関心を寄せている議題について平等な協議をするよう願っている。しかし、それには中国が一方的に設定した『一つの中国』の前提を受け入れることはできない。これは我々がこれまでずっと堅持してきた立場であり、中国政府は『一つの中国』の枠組みをすべて排除し、すみやかに、現在停滞している各テーマについての協議を再開するよう希望する」と重ねて表明するものである。
【行政院大陸委員会 2008年3月18日】