陳明通・陸委会主委：部分的な人民元両替と中国観光客受け入れは同時実施可

　馬英九・次期総統が先日、年内に中国大陸の通貨である人民元の両替を全面開放する方針を示したことに関して、陳明通・行政院大陸委員会主任委員は、「人民元の部分的な両替開放の準備はすでに整っており、いつでも実施できる。中国観光客の台湾観光開放が確定し、双方が関連協議を締結後、両岸人民関係条例第３８条を改正すれば、人民元の部分両替の措置が実現できる」との認識を示した。

　人民元両替の全面開放について陳主任委員は、「人民元と台湾元の両替の全面開放には、先に決済制度を締結しなければならないが、政治的な議題となるので、難易度が高い」と指摘した。

　また、決済制度締結前の単方向開放の可能性について、陳主任委員は「オフショア金融センター（ＯＢＵ）や外為指定銀行（ＤＢＵ）を通じて、人民元を受取ることができるが、人民元は国際的に強い通貨ではないので、金融機関が為替両替による損失を引き受ける理由がない。さらに、一旦為替両替を全面開放すると、取り扱い金額が莫大となり、決済制度の支えがなければ、金融機関は人民元を取得する担保がない状況では、空転する恐れがある」との問題点を挙げた。

　一方で、陳主任委員は「単方向の人民元部分的両替開放については、一日あたりの最大金額が２，０００万人民元（約２億８，０００万円）（一日あたり最大開放人数１，０００人、一人あたりの上限額が２万人民元（約２８万円）で計算）であり、これはコントロールできる範囲内である」と述べた。

　そのうえで、陳主任委員は「（人民元両替の）部分的な開放に関わる法律については、両岸人民関係条例第３８条だけであり、問題は大きくない。今後は両岸が中国観光客の台湾観光開放に関する協定を締結すれば、空港や主なホテル、観光スポット、外為指定銀行等で人民元の両替業務を実現できる」との認識を示した。

《２００８年４月８日》