両岸両会による6月12日、「江・陳会談」の報告 その2
台湾の「財団法人海峡交流基金会(以下、海基会)」と中国大陸の「海峡両岸関係協会(以下、海協会)」は、6月12日に行われた両岸の週末チャーター便の運行ならびに中国大陸からの旅行客による台湾観光開放の2項目の協議が合意を得たことにより、翌13日午前9時、北京の釣魚台賓館において、海基会の江丙坤・董事長(理事長)と海協会の陳雲林・会長により署名が行われた。
6月18日、行政院大陸委員会(以下、陸委会)の頼幸媛・主任委員(閣僚級)ならびに海基会の江丙坤・董事長、海基会の高孔廉・副董事長兼秘書長は、立法院の内政委員会に出席し、同委員会において陸委会の頼主任委員が「6月12日、両岸の江・陳会談の状況」についての報告を行った。以下はその内容である。
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4.両会会談の重要な意義
一、両会の制度化された協議の再開
海基会、海協会両会の正常な相互連動は、長年にわたり、国内外の各界が両岸関係発展を観察する上での重要な指標であった。今回の会談では、両項目の協議に署名したほか、さらに重要であったのは、両会のトップによる直接対話を通して、両会の正常なる相互連動および制度化された協議ルートの再開を確立したことにある。海協会の陳会長は、先ごろ台湾側の海基会、江董事長による直接の要請を受け入れ、適切な時期に台湾を訪問する意向である。我々は「第二回 江・陳会談」も希望しており、両会のスケジュール打ち合わせにより、年内に実現できることになり、両岸における両会の制度化された相互連動の基礎は、より一層強固なものとなる。
二、両岸の週末チャーター便運行、中国大陸からの旅行客による台湾観光の協議ならびに署名を順調に終了
今回の協議は、政府による十分な職権委託の下で、両項目の協議の署名を達成させ、週末チャーター便の運行および中国大陸からの旅行客による台湾観光を順調に推進した。また、両岸が近い将来において、貨物チャーター便運行のすみやかなる協議ならびに署名に対しても取り決めを行い、両岸の住民が、両岸の交流往来の中で関心を寄せる重要な議題に対する期待を実現させるようにする。今後、政府は、国民が関心を寄せている議題について、評価を行い、制度化された協議システムを通して、協議を行っていく。
三、両岸の良性な相互連動の新起点を切り開く
今回の両岸両会の会談再開は、今世紀の両岸関係発展における重要な一里塚であり、会談では、両岸の国民の権利に関する両項目の協議に署名し、若干のコンセンサスを達成させた。これは、両岸住民および国際社会の対話再開に対する期待に合致するのみならず、両岸関係の改善および地域の緊張緩和に対しても、十分な意義を備えたものであった。
5.各界の評価
一、国内面
江董事長の今回の訪問は、両岸情勢に新たな局面が現れたことを象徴しており、両岸関係の発展が、改めて正しい軌道に乗ったものであり、きわめて意義のあるものだった。国内の各界は、今回の訪問に対し、高い関心を寄せた。全体的に言えば、各界は両岸両会の協議の全体的な成果に対し、その多くが高い評価を示しており、両会が制度化された協議を再スタートさせることは、両岸関係の正常化を推し進めるのに役立つと考えている。今後の両岸両会の後続協議は、海基会、海協会の相互連動の形式および両会トップの相互連動の日程など、引き続き各界から高い関心が寄せられると予想される。
二、国際面
国際社会および両岸各界は、両岸の協議再開について高い関心を寄せた。米国政府は両岸の協議再開に歓迎の意を示しており、このような発展は、台湾海峡双方が、両岸間における議題の平和的な解決に尽力する上で重要であると認識し、双方による継続的な対話を希望している。欧州連合(EU)は、両岸間のこのような情勢の発展に対し、評価を示している。日本政府も台湾海峡の平和と安定は、アジア地域および全世界にとり、きわめて重要であり、両岸間の直接会談は台湾に関する議題の平和的解決をもたらすものであってほしいと正式に表明した。米国、日本、フランス、フィリピンなどの国際メディアもこれを評価しており、両岸の世論も、今回の協議の両岸関係に対する意義をストレートに評価している。
6.結論
政府の中国大陸政策の目標は、台湾海峡の平和維持、地域の平和促進であり、最終的な目的は、台湾の国民の権利、福祉、尊厳を護持することである。両岸関係は過去数年間の一時期停滞していたが、現在、両岸両会は協議を再開し、これは両岸にとり、得がたい歴史的なチャンスであると認識している。今後、両岸は、争議を棚上げし、積極的にウィンウィンの関係を追求していくべきである。政府も、「台湾を主体とし、国民に役立つ」の原則の下、台湾の主体性および全国民の利益を護持していくものである。陸委会は関連機関と各方面の意見を取りまとめ、効果的にリスク回避を行う下で、両岸の交流および対話協議を継続して推進し、それにより、共同で両岸の平和共栄の新しい局面を切り開いていくようにする。
【行政院大陸委員会 2008年6月18日】