呉伯雄・国民党主席が日本外国特派員協会で記者会見

　呉伯雄・中国国民党主席は１２月１０日午前、東京有楽町の日本外国特派員協会で記者会見を開き、台湾新政府与党の対日政策や両岸政策について語った。

　呉主席は今回の訪日について、国民党が野党だった過去８年の間に日本との交流が希薄になったことから、今回は今年５月の政権交替後初めての台湾与党党首として訪日し、日本の各政党との交流を深めると同時に、馬英九総統が台日関係を「特殊なパートナー関係」と位置づけて非常に重視していることを日本側に伝達したことを説明した。

　呉主席は「両岸関係の関係改善による緊張緩和が、日本やアジア全体の利益となる」と指摘し、台湾は平和を守ると同時に、米国から必要な武器を購入し、自衛能力を維持する考えを示した。また、米国のオバマ次期大統領就任式には台湾から大規模な祝賀団を派遣する意向を表明した。

　台湾の国家主権の立場に関して、呉主席は「馬総統の政策は明確である。台湾多数の民意を反映し、中華民国の現状を維持し、両岸の戦争危機をもたらす台湾独立運動を支持しない。しかし、現時点では両岸の統一の条件が揃わないため、争議を棚上げして双方の利益を追求するのである」と説明し、両岸統一の可能性について呉主席は「両岸協力が進んだ後に人々の民意を見る必要があり、短期的に、馬総統の任期中に統一問題を話し合うことはない」と言明した。

　また、呉主席は「両岸関係の往来が密接になれば、台湾の民主主義の方式が大陸への参考となり、両岸の緊密な協力が大陸をさらに開放社会へと導くことにプラスになる」との考えを示し、「台湾はトラブルメーカーなどではなく、ピースメーカーである。日米も両岸関係の緊張緩和を評価している」と理解を求めた。

　このほか、釣魚台（日本名：尖閣諸島）問題に関して、呉主席は「釣魚台は台湾宜蘭県の一部である。台湾が『釣魚台は日本のものだ』とは言えるわけがない。それは日本が『釣魚台は台湾のものだ』と言えないのと同様である」と指摘したうえで、「基本的立場は異なっていても、主権問題を棚上げし、共同資源開発や漁業権問題等、協力することはできる」と述べ、平和的、理性的に問題の解決をはかる姿勢を改めて示した。また、呉主席は「釣魚台問題は台湾・中華民国と日本の問題であり、複雑化は望まない」と強調した。

《２００８年１２月１０日》　

呉伯雄・国民党主席が日本外国特派員協会で記者会見

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