外交部:中国大陸が東シナ海防空識別圏を発表したことに対する影響と対策
林永楽・外交部長は12月2日、立法院外交及び国防委員会に出席し、中国大陸が東シナ海防空識別圏を発表したことに対する影響と対策について報告した。以下はその要旨である。
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(一) 中国大陸国防部は11月23日午前、一方的に「東シナ海防空識別圏」(East China Sea Air Defense Identification Zone, ADIZ)を設定したことを宣言し、「東シナ海防空識別圏における航空機識別規則」を発表した。中国大陸が今回「東シナ海防空識別圏」を設定したことは、東シナ海の現状を変更する意味を持ち、地域の安定に影響をおよぼす恐れがあることから、日本、米国、韓国、オーストラリア、欧州連合(EU)などの関係各方面は、相次いで抗議または懸念を表明した。わが国も情勢の発展を強く懸念するものであり、関係各方面が緊密に意思疎通をはかって連携し、平和的な話し合いを通して争議を解決し、地域の平和と安定を共に維持していくことを願うものである。
(二) わが国政府は、上記の情報を入手後、11月23日午後3時に国家安全会議(国安会)を通じて内政部、外交部、国防部、行政院大陸委員会(陸委会)の首長と対策を協議し、以下の4項目からなるわが国政府の対外声明を発表した。
1. 中華民国は釣魚台列島の主権を有しており、この立場は中国大陸が「東シナ海防空識別圏」を発表したからといって何ら変わるものではない。わが政府は今後も釣魚台列島の主権を堅持し、漁民の権益を保障し、漁業操業を保護する行動を引き続き進めていく。
2. 東シナ海における地域情勢の展開に対して、馬英九総統は2012年8月5日に「東シナ海平和イニシアチブ」を提起し、関係各方面に対して、対立をエスカレートさせる行動を自制し、争議を棚上げして対話をあきらめず、国際法を遵守して平和的な方式で紛争を処理するよう呼びかけた。中華民国政府は、地域の緊張情勢をエスカレートさせないために関係各方面が引き続き平和的な対話を通じて、地域の争議を解決していくよう呼びかける。
3. 中国大陸が発表した「東シナ海防空識別圏」とわが国の防空識別圏が重複する部分に関して、わが国軍は「東シナ海平和イニシアチブ」の原則を守り、平和的な方式で争議を解決していくものであり、適切な処置をとり、わが国空域の安全を確保していく。
4. 中華民国政府は中国大陸による「東シナ海防空識別圏」発表後の情勢の発展について強く懸念しており、地域の平和と安定を守るために、今後関係各方面と緊密に連携し、意思疎通をはかっていくものである。
(三) 行政院は11月29日、中国大陸が「東シナ海防空識別圏」を設定したことに対して、改めてわが国政府の立場を表明した。中国大陸が今回「東シナ海防空識別圏」を設定する際に、事前にわが方に通知しておらず、わが方の防空識別圏および飛行情報区の一部と重複することとなった。わが国政府は、この挙動は両岸関係の前向きな発展にプラスにならないと認識している。これについて、わが方はチャンネルを通じて大陸側に厳正なる立場を伝えた。
(四) 中国大陸が一方的に「東シナ海防空識別圏」を設定したことは、国際社会の広い懸念を招いた。外交部は国安会の4項目の声明および行政院の声明を指導原則とし、引き続き本件の関連情勢の発展に対して強く注視していくと同時に、関係各方面と緊密に連携をとりながら、「東シナ海平和イニシアチブ」の精神に基づき、東シナ海の緊張情勢がエスカレートしないよう、平和的な話し合いを通じて、共に地域の平和と安定を維持していく所存である。
【外交部 2013年12月2日】