台湾出身の東山彰良（王震緒）小説『流』が直木賞受賞

左１：東山彰良（王震緒）さん［直木賞］
右２：又吉直樹さん［芥川賞］
右１：羽田圭介さん［芥川賞］

　台湾出身で日本在住作家の東山彰良（本名：王震緒）さんの小説『流』（りゅう）が第１５３回「直木三十五賞」（直木賞）を受賞した。台湾系作家の「直木賞」受賞は、邱永漢、陳舜臣に続いて３人目となった。

　公益財団法人日本文学振興会が主催する第１５３回「芥川賞」および「直木賞」の選考会が７月１６日、東京・築地の料亭「新喜楽」で行われ、「直木賞」に東山彰良『流』が選ばれた。また、「芥川賞」には又吉直樹『火花』と羽田圭介『スクラップ・アンド・ビルド』が選ばれた。

　１６日夜、東京都内のホテルで、受賞者らの記者会見が行われ、「直木賞」の東山彰良さん、「芥川賞」の又吉直樹さんおよび羽田圭介さんが出席し、受賞の喜びを語った。また、受賞決定後、台湾の洪孟啓・文化部長（文化相）から祝電が届き、朱文清・台北駐日経済文化代表処台湾文化センター長より東山さんに手渡された。

　東山さんは１９６８年台湾台北市生まれ。９歳のときに日本に移住し、現在は九州の福岡県に在住。「東山彰良」はペンネームで、２００３年にミステリー小説『逃亡作法-TURD ON THE RUN』でデビューした。『流』は、１９７５年の台湾で祖父を何者かに殺された１７歳の主人公がその真相を追うというストーリーで、台湾生まれ、日本育ちの東山さんにとって「家族こそが確固たるアイデンティティー」だとの思いから同小説を書き上げた。

　「直木賞」の北方謙三・選考委員は、「台湾の複雑性さを踏まえながら、汗の匂い、血の色もある青春小説で、２０年に１作ともいえる傑作」と評した。

　「直木賞」および「芥川賞」の贈呈式は、８月下旬に東京都内で開催される。

左：朱文清・台北駐日経済文化代表処台湾文化センター長
右：東山彰良（王震緒）さん

《２０１５年７月１７日》