蔡総統、今国会で「移行期正義促進条例」成立を

　蔡英文総統は28日、台湾北部・台北市の二二八和平紀念公園で開催された「二二八70周年中枢紀念儀式」（228事件70周年中央政府記念式典）に出席した。蔡総統は、「景気改善だけでも手が回らないこの時期に、なぜ『移行期正義』（Transitional Justice）を追求する必要があるのか、という声がある。また、『移行期正義』の追求は政治闘争だという人もいる。しかし、真相を明らかにしなければ、過去は永遠に過去のものとはならない」と指摘した上で、「促進転型正義条例（＝移行期正義促進条例）」の今国会成立に期待を寄せた。「228事件」とは、1947年2月28日に発生して台湾全土に広がった、当時の政府軍による民衆に対する流血弾圧事件。「移行期正義」とは、民主主義体制に移行した政権が、過去の人権侵害や大規模な虐殺について真相を明らかにした上で、社会の再建を試みること。

　蔡総統は、「和解は真相の上に成り立つ」とした上で、政府の公文書を管理する国家発展委員会档案管理局が3月1日より、「228事件」などに関する公文書を整理、分析するプロジェクトをスタートさせると説明。档案管理局は、これまで各機関に散在していた「228事件」に関する資料や、その後の「白色テロ」と呼ばれた恐怖政治時代の自白や供述に関する調書、内偵資料、判決資料、公文書などをすべてリストアップし、内容の判読を進めた後、「国家転型正義調査報告（移行期正義に関する調査報告）」を作製する際の材料とする。蔡総統はこれについて「我々は最も厳粛な態度で『228事件』の責任の所在を追及する」と説明した。

　蔡総統はまた、「228事件」とその後の「白色テロ」時代の真相を明らかにするため、行政院（内閣）と与党・民進党の立法院党団が23日に話し合い、「移行期正義促進条例」を今国会の優先法案とすることで一致したことを明らかにした。蔡総統自身も、「この法案が今国会で可決することを希望する」と述べるとともに、「『移行期正義』追求の目的は、和解を目指すことであって、対立を招くことではない。これは政府にとって譲ることのできない原則だ」と説明した。

Taiwan Today：２０１７年３月１日

写真提供：中央社
　蔡英文総統（写真）は28日、台湾北部・台北市の二二八和平紀念公園で開催された「二二八70周年中枢紀念儀式」（228事件70周年中央政府記念式典）に出席した。蔡総統は、「『移行期正義』追求の目的は、和解を目指すことであって、対立を招くことではない」と説明した。