行政院、3つの少子化対策に年間382億台湾元拠出へ
頼清徳行政院長(首相)は16日午前、「少子化対策:0歳児から5歳児に対する幼児教育及びケア」記者会見を開いた。頼行政院長は席上、昨年の新生児は20万人を下回った他、今年第1四半期の新生児数も前年同期比2,500人のマイナスだったと指摘、少子化の趨勢を改善できなければ台湾の人口は2025年に減少に転じ、2035年には2,000万人を下回ることになると強調した。
頼行政院長によれば、台湾の出生率が極めて低いことの原因は多いが、中でも最も大きいのは、適齢期の若者で結婚する人の割合が低いこと、仕事と家庭の両立が難しいこと、そして経済的な原因の三つ。行政院は16日に発表した、育児にやさしい環境を整える政策で出生率を引き上げたい考え。
少子化を改善するために今回打ち出した三大措置はまず、公共化された教育と保育サービスの拡大。具体的には行政が設け、民間が運営する託児施設、並びに公立の「幼児園」(幼稚園と託児所が統合した施設)と非営利の「幼児園」の増設。そのうち0歳児から2歳児を対象とし、行政が設けて民間が運営する託児施設は2018年から2022年までに受け入れ許容量で5,280人分増やす。2歳児から5歳児を対象とした公立及び非営利の「幼児園」は2017年から2022年までに2,247クラス、6万人分あまり増やす。
第2に、私立の「幼児園」と私立の託児施設の「準公共化」。政府は規定を満たす保母、私立の託児施設、私立の「幼児園」と契約したり、補助金を提供したりして保護者の託児・育児費用を一部負担する。研究によれば、保護者が毎月負担可能な託児・育児費用は可処分所得の約10%から15%で、8,000台湾元から1万2,000台湾元(約2万9,200日本円から4万3,800日本円)。将来的には私立の託児施設もしくは私立の「幼児園」の料金と保護者の負担可能な金額との差額を政府が補助する。
0歳から2歳までの幼児を、政府と契約して「準公共化」された保母、もしくは私立の託児施設に預ける場合、総合所得税率が20%以下の一般家庭ならば衛生福利部(日本の厚労省に類似)が幼児1人につき毎月6,000台湾元(日本円2万1,900日本円)を補助する。また中低所得世帯の場合、衛生福利部の毎月の補助金は1人あたり8,000台湾元(約2万9,200日本円)、低所得世帯の場合は同1万台湾元(約3万6,500日本円)に増額する。そして第3子から政府はさらに1,000台湾元(約3,650日本円)上乗せし、保護者の毎月の負担を1,000台湾元軽減する。この措置は今年8月から実施する予定。
2歳から5歳までの幼児については、「幼児園」の料金基準と個々の家庭の収入に応じて、幼児1人あたり毎月3,500台湾元から1万台湾元(約1万2,700日本円から3万6,500日本円)の補助金を業者に支給する。「準公共化」された「幼児園」に中低所得世帯と低所得世帯の幼児が通う場合は無料。この措置は今年8月から行政院(内閣)直轄市(6都市)を除く15の県と市で実施され、来年8月には全国に広げる。
第3に、育児手当の拡大。政府は育児手当を支給する対象となる家庭の資格制限を緩和する。また、0歳から4歳までの幼児がみなこれを受け取れるようにする。総合所得税率20%以下の家庭であるか、育児休暇手当を受領しておらず「公共化」もしくは「準公共化」サービスも受けていないならば、0歳から4歳までの幼児がいた場合、毎月2,500台湾元(約9,120日本円)、年間で3万台湾元(約10万9,530日本円)が受け取れる。第3子以降はさらに1,000台湾元が支給される。
0歳児から2歳児までの育児手当拡大方法は今年8月に実施予定で、恩恵を受ける人はそれまでの14万3,000人から26万6,000万人に増える。2歳児から4歳児までが対象の部分は2019年の8月に実施する予定で、恩恵を受けるのは約40万人だという。
来年の8月にこれら三大政策がそろって以降、政府は毎年382億8,400万台湾元(約1,397億7,300万日本円)を予算に計上する。内訳は衛生福利部(日本の厚労省に類似)が毎年143億8,400万元(約525億1,500万日本円)、教育部が239億台湾元(約872億日本円)。
Taiwan Today:2018年5月17日
写真提供:中央社
頼清徳行政院長(右から4人目)は16日、「少子化対策:0歳児から5歳児に対する幼児教育及びケア」記者会見を開き、年間382億台湾元を投入する3つの少子化対策を打ち出した。写真は記者会見の様子。
