蔡総統、パラグアイ共和国のベニテス大統領と共同声明
蔡英文総統は8日、台湾を訪問した南米パラグアイ共和国のマリオ・アブド・ベニテス(Mario Abdo Benitez)大統領と会見した。蔡総統とベニテス大統領は共同声明に署名し、両国の関係が新たな段階に入り、投資の促進、貿易の増進、インフラ建設の推進で協力することを宣言した。新たな計画は2018年から2023年にかけて実施する。
今年8月に就任したベニテス大統領にとって、大統領の身分としての台湾訪問はこれが初めて。台湾が就任後初の外遊先となった。
蔡総統は8日午前、国立中正紀念堂(台湾北部・台北市、蒋介石元総統のメモリアルホール)前広場で行った栄誉礼で、ベニテス大統領を盛大に歓迎した。その後、首脳会談を実施し、共同声明に署名した。
蔡総統は、台湾とパラグアイが各分野で協力を深めており、両国国民の汗と血の結晶は、人々の理想と期待で満ち溢れていると指摘。台湾は今後も、パラグアイの学生に対する奨学金の提供や、各種技能訓練などで協力するほか、パラグアイ産牛肉の輸入割当を引き上げるなどして、双方の経済・貿易関係の促進を図りたいと述べた。
台湾とパラグアイの経済協力協定は今年2月に発効したばかり。ベニテス大統領は今回の台湾訪問で、自ら対パラグアイ投資説明会を開催し、双方の財界関係者の交流を促進する予定。今年は中華民国(台湾)とパラグアイの国交樹立61年目の年でもあり、パラグアイでは新政権が誕生。8月には蔡総統がベニテス大統領の就任式典に参加し、今回ベニテス大統領が台湾を訪問するなど、国家元首の相互訪問が実現したことなどから、蔡総統は「台湾とパラグアイの交流と協力は新たな進展を迎え、新たな成果が得られるだろう」と期待に胸を膨らませた。
ベニテス大統領は挨拶で、大統領就任後の最初の公式訪問先を台湾に決めたのは、両国の関係が共同の価値観に基づくものだからだと説明。地理的距離は遠いが、互いに似通った歴史を持つことから、「両国の友情は、似たような信仰に基づくもので、それは決して利益の交換によるものではない」と述べた。
60年前、アルフレド・ストロエスネル(Alfredo Stroessner)大統領の私設秘書を務めていたベニテス大統領の父親は、大統領と共に台湾を訪れ、中華民国(台湾)とパラグアイの国交樹立の瞬間に立ち会っている。このことからベニテス大統領は、「今回の台湾訪問は自分にとって特別な意味を持つものだ」と指摘。当時父親たちが撒いた理想と夢のタネを、引き続き大きく育てていきたいと語った。ベニテス大統領はまた、「パラグアイは台湾にとっての真の友人であり、両国は今後もいっそう協力関係を深め、両国国民の幸福を追求していきたい」と述べた。
ベニテス大統領は過去に国会議長の身分で台湾を訪れたことがあり、そのとき中正紀念堂で当時父親が台湾を訪問したときの写真を見つけ、非常に感激していたという。ベニテス大統領はそのとき、「歴史に足を踏み入れたような気がした」と述べており、このことから中華民国との父子2代続く縁を強く感じ、この友情を引き続き大切にしていきたいと考えているという。
Taiwan Today:2018年10月9日
写真提供:総統府
蔡英文総統(右)は8日、台湾を訪問した南米パラグアイ共和国のマリオ・アブド・ベニテス(Mario Abdo Benitez)大統領(左)と会見し、共同声明に署名した。