WHOインフルエンザワクチン株推奨会議、台湾はやむを得ず欠席
WHO(世界保健機関)は2月21日午前、中国・北京で2019/2020シーズンの北半球季節性インフルエンザワクチン株推奨会議を開催した。北半球と南半球で各1回開催されているもので、台湾は2014年以降、毎年招待を受けて衛生福利部(日本の厚生労働省に類似)疾病管制署(Centers for Disease Control、 略称CDC)の職員や感染症の専門家を派遣してきた。しかし、今年は参加申請に対する同意が著しく遅れたため、やむを得ず会議の参加を見送った。台湾が同会議を欠席するのは2014年以来初めてのこと。
衛生福利部国際合作組の許明暉前技監によると、台湾はすでに会議参加の申込みを行っていたが、同意の返事が届いたのは会議当日となる21日の零時1時のことだった。これまでも何度か参加申請に対する審査が長引くことはあったものの、台湾は準備と移動に必要な時間さえ確保できれば、どのような困難があっても出席していた。しかし今回は、会議の開催地が中国・北京であり、飛行時間と準備に必要な時間を考慮すると、「我々の会議参加は同意を得られたものの、参加することは事実上不可能だった」と語る。
会議前日になって同意の返事が届くことは過去にも何度かあった。台湾が派遣した専門家が現地入りしたあとに同意の返事が届いたこともある。しかし、これまでの開催地は台湾が在外公館を設置しているスイス・ジュネーブや米アトランタなどだったため、比較的柔軟に対応することができた。
外交部(日本の外務省に相当)はこれまで、WHOが主催する会議、枠組み、活動などに台湾が出席できるよう、衛生福利部と緊密に連絡を取り合い、これを支援してきた。今回も衛生福利部が会議参加の意思を示したため、直ちに駐ジュネーブ弁事処(スイス・ジュネーブにおける中華民国領事館に相当)を通し、WHO事務局に参加申込みを行ったほか、その後も交渉を続けた。しかし、WHOは2005年に中国と交わした密約に基づき、台湾からの参加申込みの事実を中国に通知。しかも、会議当日になってようやく台湾の参加申請に同意した。このため、台湾の専門家は準備が間に合わず、会議に参加することが出来なかった。
外交部はこうした行為に強い憤りを表明し、駐ジュネーブ弁事処を通してWHO事務局に抗議した。外交部は、「台湾に住む2,300万人の公衆衛生と幸福を守ることができるのは台湾の政府だけだ。WHOが政治的配慮に基づき、これからも台湾を排除するならば、台湾住民の健康権を著しく侵害するばかりか、世界の感染症予防ネットワークに抜け穴を作り、全人類の健康に危害を及ぼすことにもなり兼ねない」として、WHOが専門的立場に立ち戻り、政治的圧力を跳ねのけ、一日も早く台湾の正常な参与を認めるよう呼びかけた。外交部は今後も衛生福利部と協力し、国民の健康を守るために積極的に努力する考え。
なお、今回のインフルエンザワクチン株推奨会議では2019/2020シーズンの四価ワクチンとして、A型H1N1がブリスベン(ブリスベン系統)、B型2株がコロラド(ビクトリア系統)とプーケット(山形系統)と決まった。残るA型H3N2のワクチン株は、流行するウイルスの消長があり、現時点では判断が難しいため、発表を3月21日に持ち越すことになった。
Taiwan Today:2019年3月4日
写真提供:外交部
WHO(世界保健機関)は2月21日午前、中国・北京で2019/2020シーズンの北半球季節性インフルエンザワクチン株推奨会議を開催した。台湾は毎年招待を受けて参加しているが、今年は参加申請に対する同意が著しく遅れたため、やむを得ず会議の参加を見送った。外交部は強い憤りを表明し、WHO事務局に抗議した。
