報告を述べる前に、台湾教育部華語文奨学金の採用を頂き、念願の台湾留学が叶いました事について、台北駐日経済文化代表処教育部の皆様、並びに推薦状を執筆して頂いた名桜大学の恩師の方々、本留学に関してお世話になったすべての方々へ心より感謝を申し上げます。誠にありがとうございました。
私は本奨学金を受給し、2019年9月より2020年2月末まで国立政治大学へ半年間の語学留学を行いました。私にとっては本留学が初の海外長期滞在であったこともあり、当初は留学先で出会える物事への楽しみがありつつも、文化や言語の違いによる緊張と少しの恐怖心が混在していました。しかし、月日が経つにつれて台湾の方々の温かさや、独特な台湾食文化、美麗な伝統芸能・工芸に触れ、さらには言葉も次第に話せるようになり、四ヶ月程経った頃には留学後も台湾に住み続けたいと考えるほど、台湾が好きになりました。
本留学の目的としては中国語の学習を第一に、加えて学習計画書内でも述べた、①「現地の台湾文化を深く学ぶ」、②「台湾の言語政策から学ぶ」、③「海外の客観的な視点で日本や沖縄を知る」の三つを目標として挙げ、留学中にはこれらを心掛けつつ様々な文化活動に参加しました。その中でも特に印象に残っているのが、国立政治大学内のサークル活動として行われた、写真1(次頁添付)の文化活動です。この活動は、台湾人にとって重要な文化の一つである「茶藝」を嗜みながら、中国式麻雀を体験するという活動で、日本にも茶道文化やボードゲームとしての麻雀は存在するものの、それぞれ一風異なった歴史や作法があり、楽しみながら貴重な経験を得ることが出来ました。
また、国立政治大学は非常に国際色の溢れた大学で、アジア圏だけでなく中南米、欧州圏の生徒も非常に多く、そのおかげもあり、目的③に挙げていた「国外からの自国の印象を知る」という目的も比較的容易にこなすことが出来たのではないかと思います。実際に、海外から日本への印象という点においては、私自身が思っている以上に日本は海外に知られているのだと感じました。様々な国の方と一緒にご飯を食べたり、お酒を飲んだりしている際に、日本の話題になると「アニメ」、「サムライ」、「スシ」などの文化的側面から、憲法第九条に関する問題やアメリカ米軍基地問題などの政治的な側面まで、多くの外国人が日本の文化や社会問題を認知してくれているのだと知り、良くも悪くも嬉しく感じました。しかしその反面、こんなにも知ってくれている相手の国の文化を殆ど知らないという場面にも時折遭遇し、その時の相手の少し悲しそうな顔を見てしまった際には、自分の勉強不足と不甲斐なさを感じることもありました。ですが、その経験は自分を見つめなおすと共に、さらに幅広い視野で文化を知る良いきっかけにもなったのではないかと思います。
次に留学中の授業に関して、私は大学在学中に台湾・東アジア文化について研究を行うゼミナールに所属していたこともあり、台湾文化には元より強い興味はあったものの、中国語の学習については今回が殆ど初めての状態でした。そのため、初めのクラスは最も簡単なB1レベルから始まりました。このようにまっさらな状態から基礎をしっかりと現地で学習していくことで、理解度の深さという面で、今後中国語学習を続けてゆく上での大きなアドバンテージになるのではないかと思います。私は半年の留学でしたので、最終的にB3レベルまで学ぶことが出来ました。さらに課外学習では、台湾独自の音声記号である注音符号(ボポモフォ)を学習したり、台湾食文化である湯圓の手作り体験をしたり、充実した授業内容で非常に有意義に過ごすことが出来ました。期間の関係もあり、留学中には中国語に関する資格の取得は叶いませんでしたが、今後の予定としては、TOCFL高階級(Level4)の取得、HSK5級の取得を目標に中国語の学習を継続していきたいと考えています。
また、留学の決定以前から、今年4月より沖縄県内での就職が決まっていた為、今後の台湾渡航や交流に関する予定は未明ではありますが、この留学で得た経験や刺激は何にも代えられない部分が多く、台湾に魅せられてしまった自分がいますので、何らかの形で必ず台湾へ貢献できるように力を尽くしたいと考えております。
改めて、このように非常に有意義な機会を与えてくださった中華民国政府教育部及び台湾教育部華語文奨学金の採用に関わりました方々には非常に感謝しております。本当にありがとうございました。
