台湾デジタル大臣の唐鳳氏、英上院公聴会で台湾防疫経験共有

　デジタル担当としてその手腕を発揮している行政院（内閣）の唐鳳（Audrey Tang、オードリー・タン）政務委員（無任所大臣）は8日午前、英国の上院（貴族院）公共サービス委員会の公聴会にビデオ会議システムで参加し、台湾がどのように科学技術を駆使して新型コロナウイルスの感染拡大防止に対処したかを説明した。

　唐鳳政務委員は会議で、「台湾は『迅速、公平、興味性』というシンプルで覚えやすい3F（fast, fair and fun）をモットーに、新型コロナウイルスの危機に対応した。また、リアルタイムで市民の疑問に回答し、普及率の高いインターネットサイトを利用して、市民が新型コロナウイルス感染状況を更に理解できるよう努めた」と説明した。

　唐鳳政務委員はまた、新型コロナウイルス対策で他国がまずやるべき簡単な方法は、相談窓口を確立することだと指摘した。例えば台湾では、無料の伝染病予防ホットライン、1922に電話すれば、新型コロナウイルスの通報、相談、防止対策などに関するサービス提供が受けられ、誰もが気軽に利用できるようになっている。さらに中央感染症指揮センター（新型コロナウイルスの対策本部に相当する）は、ライブ配信の記者会見において、市民の疑問にリアルタイムで回答し、あらゆる問題に対して迅速な回答・対処を可能としている。

　公平性について台湾では、マスクの在庫状況がわかるアプリケーション「マスクマップ」を通じて、誰もが携帯電話で、すぐに近所の薬局にどのくらいのマスクの在庫があるかを知ることができる。これは韓国でも同様のwebサービスを導入しているという。

　興味性について、台湾の衛生福利部（日本の厚生労働省に類似）による新型コロナウイルス予防キャンペーンでは、イメージキャラクターとして柴犬が起用された。愛嬌のある柴犬の画像で、正確な手の洗い方、ソーシャルディスタンス（社会的距離）を保つことなどが紹介され、市民により親しみやすい方法で啓発活動を行っている。

　唐鳳政務委員はこのほか、台湾のインターネットの普及率は高く、ブロードバンドネットワークの推進は基本的な人権だと強調した。この強みを生かして、著名な疫学専門家としても知られる陳建仁前副総統は、オンラインによる無料の「伝染病予防の基本を学ぶ入門クラス」を開講し、市民の各種伝染病に関する知識がさらに深まるよう取り組みを行っている。

Taiwan Today：２０２０年９月９日

写真提供：中央社
　台湾は「迅速、公平、興味性」の3F（fast, fair and fun）で新型コロナウイルスと闘っていると説明した行政院の唐鳳政務委員。台湾の防疫対策は世界からも注目を集め、唐鳳政務委員は8日、英上院の公聴会に出席した。