蔡総統が「中国医学の日・慶祝大会」に出席、漢方と西洋医学の結合に期待

　蔡英文総統が14日午前、「第91届国医節慶祝大会及第13届台北国際中医薬学術論壇大会」の開幕式に出席し、中国医学（＝中医、漢方医学・東洋医学）と西洋医学を結び付けた治療モデルが臨床上で発展を続け進歩することで、より多くの患者に幸福がもたらされるよう願った。「国医節」は「中国医学の日」。中国医学の業界が定めている記念日で3月17日。

　蔡総統はあいさつの中で、昨年新型コロナウイルスが世界に広がり始めると、台湾の中医薬（漢方薬）業界は「中医と西洋医学を組み合わせた治療法」を積極的に考案し、国内外の注目を集めたと指摘。その例として、衛生福利部（日本の厚労省に類似）中医薬研究所が業界と協力して開発した漢方薬（処方）「台湾清冠一号」を挙げた。権利を取得した台湾の製薬会社が生産するこの漢方薬は欧米諸国で人気となり、台湾の名を世界に知らしめた。

　蔡総統は、これほどの優れた成果は全て中医薬業界が長年努力を重ね、強力な研究開発力を蓄積してきたおかげだと称賛すると共に、中華民国中医師公会全国聯合会（中医師同業組合全国連合会）が協力する中で、台湾の進める中医と西洋医学の二本立てでのケア体系が徐々に成熟してきたとする見方を示した。

　また中医薬の発展ぶりについて蔡総統は、すでに「中医薬発展法」が施行されていることに言及、行政院（内閣）でも「中医優質発展5カ年計画」を決定して中医師の訓練や中医学によるプレシジョン・メディシン（精密医療）モデルの発展などを着実に進めていくことにしていると説明した。

　一方、蔡総統は漢方薬の品質管理の面でも、輸入材料に対する水際での検査制度、検査基準、製造品質、及び「台湾中薬典」（台湾漢方薬辞典）の編纂などで国際的な基準を満たせるよう積極的に取り組んでいく考えを示した。

　蔡総統は、産業としての競争力の角度から見て、台湾が持つ漢方薬の開発と製造の力、中医医療管理、中医と西洋医学を組み合わせる経験の対外輸出などにはいずれも世界の市場を開拓するビジネスチャンスがあると強調。とりわけ、「新南向市場」進出の機会を生かせるよう期待した。

　「新南向市場」は、「新南向政策」の対象国を経済的な市場としてとらえた言い方。同政策で政府は、東南アジア、南アジア、ニュージーランド、オーストラリアの計18カ国を対象に幅広い関係強化を目指している。

Taiwan Today：２０２１年３月１５日

写真提供：総統府
　蔡英文総統（中央）が「中国医学の日」に関するイベントに出席、新型コロナウイルスの治療薬を開発した台湾の中医学業界を称賛すると共に、西洋医学とのさらなる結合に期待を示した。