馬英九総統が米国のスタインバーグ前国務副長官と会見、防空識別圏について語る

　馬英九総統は１２月５日、総統府で米国のジェームズ・スタインバーグ（James B. Steinberg）前国務副長官と会見した。

　このなかで馬総統は、「就任以来ここ５年余りの間に、『活路外交』を積極的に推進し、中華民国の国際関係および両岸関係を過去の『悪循環』から『好循環』に転換してきた」と述べ、「中華民国は平和を愛する国であり、平和的な方法での争議の解決を望んでいる」と強調し、今年４月に日本と調印した「台日漁業協議」により両国の４０年余りにわたる漁業問題を解決できたとの認識を示した。

　馬総統は、最近中国大陸が「東シナ海防空識別圏」（ADIZ）を設定したことに関して、「わが国は１９５０年代に『防空識別圏』を設定したが、そのうち面積約２万３千平方キロメートルが今回中国大陸が設定した『東シナ海防空識別圏』と重複している。そこでわが国政府は、大陸側が『東シナ海防空識別圏』を設定後、ただちに声明を発表し、わが国の釣魚台列島（日本名：尖閣諸島）に対する主権を再度表明すると同時に、周辺各国に対してわが国が昨年８月に提起した『東シナ海平和イニシアチブ』を参考にして、平和的な方法で争議を解決するよう呼びかけた」と述べた。

　さらに馬総統は、「中国大陸が『東シナ海防空識別圏』を設定した際に、わが国との事前協議はなく、これは両岸関係の前向きな発展に何らプラスにならず、わが国軍が同地域で演習・訓練の実施にも影響を受けることはない」と指摘した。

　一方で馬総統は、「台湾は台北飛行情報区を管轄しており、台北飛行情報区を通過し、中国大陸に飛行計画を提出する必要がある航空会社の内、わが方に代わりに提出してもらいたいという要請については、わが方からしかるべきサービスを提供する。実際にこれまでわれわれの民間航空機が日本の飛行情報区を通過する際には、われわれも日本当局に飛行計画を提出していた。なぜならわが国は民間航空機の飛行安全と乗客の福利を最優先に考えているからだ」との認識を示した。

　そのうえで、馬総統は、中国大陸が「東シナ海防空識別圏」を設定したことに対して改めて厳正なる立場を表明し、中国大陸が今後その他の地区にも防空識別圏を設定する可能性についても懸念を示した。馬総統は、周辺各国と中国大陸が「東シナ海防空識別圏」重複部分について二者協議を行うことを呼びかけ、話し合いと交渉を通じて争議を解決し、東シナ海を「平和と協力の海」に戻すことができるよう期待を示した。

【総統府　２０１３年１２月５日】

馬英九総統が米国のスタインバーグ前国務副長官と会見、防空識別圏について語る

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