李逸洋・駐日代表が台湾を代表し広島平和記念式典に初出席
台北駐日経済文化代表処の李逸洋代表は8月6日、台湾を代表し初めて広島平和記念式典に出席し、ジョージ・グラス駐日米国大使ら各国の外交使節および国際機関の代表らと交流した。李・駐日代表は「今回、台湾が初めて式典に参加したことは、台湾が戦争に反対し、平和を守る決意を示すものとなり、台湾と国際社会が密接に連携していることを象徴するものともなった。この意義はきわめて大きい」と述べた。李・駐日代表はさらに、「台湾は引き続き日本、米国など民主主義の国々と連携し、権威主義の拡大に共に立ち向かい、台湾海峡およびインド太平洋地域の平和と安定を護持していく」と強調した。
台日メディアの取材に応じた李・駐日代表は式典終了後、記者会見を開いた。主な内容は以下の通り。
1947年に広島市が初めて平和記念式典を開催してから、今年で78年になり、台湾は今回初めて式典に招かれた。広島での原爆投下当時、日本で勉強や仕事をしていた多くの台湾人も被害を受けた。そのため、台湾も広島での悲劇を他人事とは思っていない。台湾は広島市が訴えている核廃絶および世界恒久平和の理念と目標に、深く賛同している。
広島市および各界の協力により、台湾が初めて平和記念式典への出席が実現したことに感謝の意を表すと共に、今後も毎年出席できるよう願っている。式典会場で米国のグラス駐日大使とあいさつした際にも、米国が台湾海峡の平和と安定を重視していることに感謝の意を表した。今後もグラス駐日大使と連絡を取り合っていく。
中国の台湾に対する武力による脅威については、「我々は民主主義の台湾および地域の平和と安定を護持する決意である」が信念や決意のみでは十分ではない。社会全体が防衛のレジリエンス(強靭性)を強化し、自主防衛力を強化すると共に、理念の近い民主主義の国々と連携して共同で対応していく必要がある。
日本が2025年防衛白書の中で、中国が台湾周辺での常態的な活動により既成事実へと変えようと目論んでいることを取り上げている。また、中国軍機の日本領空侵犯、中国空母による日本の排他的経済水域(EEZ)への進入など、日本は初めて中国を「最大の戦略的挑戦」と定義した。日本は同盟国および同志国と中国の脅威に対応すべきとしている。そのため、台湾、米国、日本、オーストラリアなど民主主義の国々は連携し、中国の軍事拡張に対応し、地域の平和を護持しなければならない。
台湾海峡情勢は近年、国際社会から注視されており、理念の近い国々が台湾への支持を表明しており、台湾海峡の平和と安定はすでに国際社会のコンセンサスとなっている。今年2月の日米首脳会談、3月のG7外相会合、4月の日米韓外相会談、6月の日・フィンランド首脳会談、7月の第30回日・EU首脳協議や豪英の外務・防衛閣僚協議、そして昨年6月のG7首脳会合と9月の外相会合の共同声明でも、台湾海峡の平和と安定が国際社会の安全と繁栄にとって不可欠だと表明された。
広島と台湾との交流については、これまでに深い交流を重ねてきた。1982年に広島市が核兵器反対を推進するため「平和首長会議」を設立し、世界の各都市に参加を呼びかけた。同会議は2025年8月時点で、台湾の台北市、台南市、高雄市、台中市などを含む8509都市が参加しており、今後さらに多くの台湾の都市が参加することを期待している。また、広島市議会および広島県議会の「日台友好議員連盟」は、長きにわたり台日友好を推進しており、台湾の国際社会への参加を支援してきた。たとえば、2022年12月には広島市議会が台湾のCPTPP(環太平洋パートナーシップに関する包括的及び先進的な協定)参加を支持する意見書を採択し、2020年12月には広島県議会が台湾のWHO参加への支持を求める意見書を発表した。我々はこれらの取り組みに深く感謝するとともに、経済、貿易、科学技術、文化などの分野で台日交流をさらに深めていくことを願っている。
写真1.広島平和記念式典に出席した李逸洋・駐日代表
写真2.あいさつを交わす李逸洋・駐日代表(右)とジョージ・グラス駐日米国大使(左)
写真3.李逸洋・駐日代表(右3)一行 会場入り口にて
【台北駐日経済文化代表処 2025年8月7日】


