COP30がまもなく開催、行政院が台湾としてのNDC3.0を承認

　国連気候変動枠組み条約の締約国会議（Conference of the Parties）の開催を目前に控え、行政院は3日、パリ協定に基づき全ての締約国に5年毎に提出・更新する義務が課されている温室効果ガスの排出削減目標「国が決定する貢献（NDC）」に当たる「NDC3.0」を承認した。国際社会に向け、台湾における二酸化炭素削減及び持続可能な発展に向けたシフトチェンジの努力と成果を発信する。環境部（環境省）は、これはCOP30議長国のブラジルが提唱する「Global Mutirão」の精神に応えるものと表明している。Mutirão」とはブラジルのポルトガル語で「協働」を意味する言葉。

　環境部によると、台湾は気候変動に関する国際連合枠組条約（UNFCCC）の締約国ではないものの、自らパリ協定やCOP28で採択された決定を遵守し国際社会との歩調を合わせるべく、行政院の鄭麗君副院長（副首相に相当）のリーダーシップのもと、今年１月には総統府の国家気候変動対策委員会にNDC3.0のベータ版が提出された。このほど11月3日に正式に承認されたNDC3.0では、2035年までに国全体の温室効果ガスの排出量を基準年（2005年）から38±2%削減することを目標に掲げ、10項目の方針を固めた。

　環境部の彭啓明部長（大臣）は6日、行政部に臨時動議として「2035 NDC3.0二酸化炭素削減目標」報告を提出し、台風4号（ダナス）や台風18号（ラガサ）など台湾にも甚大な被害をもたらした今年の極端気象現象を挙げ、気候変動による災害のリスクが顕著に高まっていると指摘した。これらのリスクについて、中央と地方との連携により防災体制を整備しているものの、地球温暖化のもとで、台風の風速や雨量が増大し複合災害にもつながっているため、国際間においてもこれらのリスクを低減し適応するべく行動が行われていると述べた。

　彭部長はまた、台湾が策定したNDC3.0は、アジアでは日本に次ぐ非常にハードルの高い目標を掲げているが、社会の認識と産業間の協力を求め、中央と地方の連携によりシフトチェンジを進めていき、国際的な動向にも合わせて随時検討調整を行い、国際的な責任と国としての競争力を両立させつつ引き続き推進していくとの姿勢を示した。

Taiwan Today：２０２５年１１月７日

写真提供：環境部
　行政院はNDC3.0策定に向けた一連の作業として「第三期温室効果ガス段階的抑制目標」を今年5月に承認、環境部は策定までに6回の公聴会を開催し、参加者は会場とオンラインを合わせて延べ1,500人に上った。