故宮で最も人気のある文物は「翠玉白菜」と「肉形石」

　台北の国立故宮博物院に展示されている文物の中で「翠玉白菜」と「肉形石」が最も人気のある国宝であり、故宮に来て必ず見る文物でもある。翠玉白菜は清朝の光緒年間に光緒帝の瑾妃の宮殿である永和宮に陳列されていたもので、瑾妃の嫁入り道具といわれており、その白さは純潔さを象徴しており、子孫繁栄を願ったものである。また、肉形石は清朝の雍正帝の宮殿の養心殿の三希堂に陳列されていたものである。

　故宮では、この「翠玉白菜」と「肉形石」の両文物の前に常に多くの人だかりができるため、独立して展示するようにした。これによりこの超人気の両文物はさまざまな角度から鑑賞できるようになった。

　「翠玉白菜」は全長１８．７センチ、幅は９．１センチ、厚さ５．７センチの大きさで、本物の白菜とほぼ同じような形をしている。この文物は白と緑が組み合わさってできた一つのヒスイを用いてできており、そのヒスイの自然に変化した部分を巧みに使い、みずみずしい白菜に彫り上げた作品だ。身近なモチーフとヒスイの色の使い方の絶妙さで、誰もが知る親近感のある文物となっている。また、葉の上にとまっているキリギリスとイナゴは子孫繁栄の吉祥の意味が含まれている。

　かつて光緒帝の瑾妃の嫁入り道具として永和宮に陳列されていたこの「翠玉白菜」は、本来は金銀糸を象嵌した七宝焼きの植木鉢の上に盛られた一部分で、当時は全体で寓意的な吉祥のものが並べられていた。

　骨董専門家の分析では、ヒスイの材質と白菜の造形は清朝中・後期に流行しだしたもので、白菜と昆虫をモチーフにした作品は元の時代から明朝初期の昆虫画の中でよく見られ、その頃からずっと民間でも吉祥のモチーフとして歓迎されていた。

　高さ５．７３センチ、幅６．６センチ、厚さ５．３センチの「肉形石」は故宮で「翠玉白菜」と並び称される人気のある収蔵文物だ。一見すると、赤身と脂身が合わさった新鮮でおいしそうな豚肉にそっくりで、「東坡肉（豚の角煮）」の高級食材のようである。

　この「肉形石」の材質である髄玉はメノウ類の鉱物で、大自然の中で長い年月の積み重ねと共に、異なった時間、各種雑多な物質の影響や生成の色の違いにより一層一層異なった色を形成していった。その後、職人の巧みな磨きによって表面の石をこの肉の皮、脂身、赤身のそれぞれの層にはっきりと分けられ、毛穴や肉のキメなど全て真に迫ったもので、実際の豚肉と見紛うばかりの文物となっている。

　現在、故宮ではホームページの「玉燦珠光」中で日本語による常設文物の説明を提供している。上記の両文物をはじめ、そのほかの有名文物の紹介や玉の研磨についての説明なども掲載されている。

《２００７年４月５日》

故宮で最も人気のある文物は「翠玉白菜」と「肉形石」

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