世界的な絶滅危惧種のクロツラヘラサギが台南の台江国家公園に

　国際的な絶滅危惧種に指定されているクロツラヘラサギ（黒面琵鷺）は、毎年冬になると、台湾南部の台南市安平区にある「台江国家公園」に越冬のために飛来してくる。２０１４年１２月１３日の調査では、大台南地区に飛来してきたクロツラヘラサギの数が、これまでで最高の２，２７８羽を記録した。また、２０１５年１月の「クロツラヘラサギ　世界一斉調査」においても、大台南地区は１，７９５羽に達し（高雄市茄萣区、嘉義県の布袋および鰲鼓湿地を含む）例年の記録を更新し、数は２０１４年度の調査と比べ３７５羽多く、これは国際的な渡り鳥の保育において、新しい一里塚となった。

　台湾の大台南地区に飛来して来るクロツラヘラサギは、台湾全土で確認される内の８割以上を占めていることから、この鳥の舞う姿をウォッチングしようとするなら、望遠鏡を持って台江国家公園（http://www.tjnp.gov.tw/)を訪れるのが一番だ。

　クロツラヘラサギに関する研究および生息数の調査は、専門家および地元のＮＧＯ（非政府組織）が連携し共同で行っており、クロツラヘラサギの生息地の生態を構築し、数を確保するため、中国大陸、韓国、ロシアなどの専門家らと積極的に連絡を取り合い、その飛来経路を研究した。さらには、台南市の七股地区で、クロツラヘラサギが生息しやすい環境を作り、餌を確保するようにしたことにより、毎年飛来するようになった。

　台江国家公園管理処と台南大学は、使用されなくなった養殖池を活用し、クロツラヘラサギが餌をとるのに適した水深の浅い海水の養殖池に復活させ、養殖池が秋・冬の季節に養殖魚の収穫を終えた休養期に、クロツラヘラサギが台湾で越冬する際の餌とりの時期とを巧みに連結できるようにした。養殖池の休養期間中、低水位の養殖池は豊富な餌場となり、餌をとり生息しやすい環境を提供している。

【内政部　２０１５年２月２０日】

写真提供：台江国家公園