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  中華週報1843号(1998.01.22) - 台北駐日経済文化代表処 Taipei Economic and Cultural Representative Office in Japan :::
主要ニュース
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中華週報1843号(1998.01.22)

「南向政策」強化を再確認 連戦副総統がシンガポール元旦訪問


週間ニュース・フラッシュ


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◆新聞の新規発行、いっそうの自由化に向け進展
 新聞の新規発行を禁じた「報禁」の解除十周年を目前に迎えた九七年十二月三十日、行政院新聞局の顔栄昌副局長は記者会見をおこない、「新聞局は新聞新規発行の許認可に関し、従来の事前申請方式を事後承認要請方式に改める方針を定めた」と語った。これが立法院を通過すると、台湾の新聞発行の自由化はいっそう進展することになる。《台北『中国時報』97・12・31》

◆一九九八年は「新善隣外交」を精力的に展開
 胡志強外交部長は十二月三十一日、年末最終記者会見をおこない、「新年は友好諸国との関係維持、無国交国との実質関係増進、民間外交推進、国際組織への参加、両岸関係改善に全力をあげる」と語り、とくに「東南アジアの状況は急速に変化しており、ASEAN諸国に対し新たな発想をもって、人道外交、交流拡大を主軸に『新善隣外交』を精力的に推進する」と強調した。 《台北『中央日報』1月1日》

◆両岸交渉は良好な環境構築が先決
 蕭万長行政院長は一月一日、江沢民が台湾に政治会談を呼びかけたのに対し、「両岸交流が始まってから多くの問題が生じており、これらの解決がまず必要だ。両岸が良好に相互連動し、北京がわが方への敵意を解消し、相互往来が正常化したなら、われわれはその他の問題について交渉することを排除しない」と表明した。 《台北『中央日報』1月2日》

◆民進党は台湾の安全を強く重視
 民進党の許信良主席は一月四日、「台独の党綱領は民進党の信念であり最終目標だが、台湾はすでに主権独立国家である」と語り、「年末の立法院選挙で三党とも過半数を得るのは困難だ。民進党が与党に加われば、台湾の安全を強く重視するだろう。台湾の安全維持は民進党の義務だ」と述べた。  《台北『中央社』1月4日》

◆「東を圧迫されれば西に出る」
 胡志強外交部長は一月三日、立法院外交委員会において、「南アフリカとの断交によって、その他のアフリカ友好諸国とわが国との関係に、中共が望むような影響は出ていない。中共はわが国を押さえ込むことはできない。われわれは東を圧迫されれば西に出るだけだ」と語った。 《台北『中央日報』1月4日》

◆軍はあくまで憲法によって選出された総統を支持
 蒋仲苓国防部長は一月五日、立法院国防委員会において「軍は憲法および関連法規によって選出された総統を支持する」と改めて強調した。民進党委員が「総統が国名、国旗を変更した場合は支持できるか」と質問したのに対しては、「現在そのような条件は考えられない。総統は台湾二千百五十万同胞の安全を犠牲にするようなことはできないはずだ」と表明した。  《台北『中央社』1月5日》

◆東南アジアの金融問題解決に積極的協力
 胡志強外交部長は一月五日、立法院での答弁において「東南アジアの金融危機は流行性感冒のようなもので、徹底的に解決しなければ、わが国にも波及するだろう。わが国と東南アジア諸国と正式国交はないが『新善隣外交』によってこの問題の解決に積極的に協力したい」と語った。  《台北『中央社』1月5日》

◆中央銀行が「南向政策」推進企業に十億ドル融資
 許遠東中央銀行総裁は一月四日、台湾企業の東南アジア進出を促進する銀行と企業家との座談会で、「中央銀行は東南アジアに進出する企業に総額十億ドルの融資をする用意がある」と発表した。また全国工業総会の高清愿理事長は「いまが東南アジアの企業を買収する好機だ。政府が進出企業を支援するよう要請する」と語り、東南アジア進出に意欲を示した。 《台北『中国時報』1月5日》

◆「白色テロ」犠牲者への補償問題が前進
 立法院司法委員会と国防委員会の連合会議は一月五日、「戒厳令時代に軍事法廷やその他の行為で、冤罪や被害を受けた人々」への補償問題を討議し、一連の「犠牲者」を補償する「戒厳時期不当政治審判および懲罰への補償条例」草案を通過した。同草案はこのあと立法院に送付されるが、社会的懸案となっていた「白色テロ犠牲者」への補償問題は、これで大きく前進したことになる。  《台北『中央社』1月5日》

◆米国は台湾の「急がず忍耐強く」の政策を理解
 陳錫蕃駐米代表は一月三日、サンフランシスコでの記者会見で、「米中(共)交渉が進むなかにおいて、米政府の高官は台湾の二千百五十万住民の安全と福祉を犠牲にすることはないと再三にわたって保証しており、米国の与野党ならびに各界は台湾の大陸政策である『急がず忍耐強く』の政策に理解を示している」と表明した。 《シスコ『中央社』1月5日》

◆二十一世紀にはハイレベル社会を構築
 蕭万長行政院長は一月五日、国民党の会議において「二十一世紀に向かい、世界は経済貿易の自由化と生態・環境保護が重大な課題となっている」と語り、「行政院は今後、科学技術の向上、環境保護の強化、教育改革を三大重点政策とし、二十一世紀にはそれらの実現したハイレベルの社会を構築する。短期間内にこれらに関する具体的政策と法令を策定する」と明らかにした。 《台北『中央日報』1月6日》

◆北京のいう「一国二制度」の定義は受け入れられない
 蕭万長行政院長は一月六日、台湾訪問中のロックフェラー米上院議員と会見し、「北京当局がわが方に政治会談を提唱しているのは興味深いが、台北を一地方政府と位置づける北京の『一国二制度』の提議は受け入れられない」と語り、ロックフェラー議員は「米国は自由民主の理念を中華民国と共有している」と台湾への支持を示した。  《台北『中央社』1月6日》

◆北京が台湾海峡で軍事行動起こせば米中(共)関係は壊滅
 米国の軍事専門家バンドリー氏は最近、米航空専門誌に「一九九九年は中華人民共和国建国五十周年にあたり、北京は台湾への統一攻勢を強め軍事行動を起こして台湾海峡の危機を惹起する可能性がある。台湾問題は中国人の国内問題だが、北京がもし台湾海峡あるいは南シナ海で軍事行動を発動すれば、米国と北京との関係は壊滅状態になるだろう」と、北京の軽挙妄動を牽制する論文を発表した。 《台北『中国時報』1月7日》

◆当面の経済政策は安定成長を優先
 蕭万長行政院長は一月六日、中華経済研究院での東アジア金融危機に関する会議で、「政府は東アジア金融危機に対し高度の警戒心を持っており、今年の経済成長は六・三から六・七%の間を保ち、消費者物価上昇率は三%以内に押さえられよう。政府の当面の経済政策は、安定成長の維持を最優先課題にする」と明らかにした。 《台北『中央日報』1月7日》

◆胡志強外交部長がセネガル訪問、両国の友好強化
 胡志強外交部長は一月五日、西アフリカの友好国セネガル訪問に出発し、同七日、セネガルの首都ダカールでアブドゥ・ディウフ同国大統領と会見した。胡志強部長は「両国間の関係は今後ますます拡大できる」と語ったのに対し、ディウフ大統領は「今後両国の農業技術、漁業協力を推進し、中小企業の交流を深め、二国間関係のレベルアップを期待する」と表明した。  《パリ『中央社』1月7日》

◆北京は台湾圧迫を停止せよとナイ前国防次官補が表明
 香港訪問中のジョセフ・ナイ前米国防次官補は一月七日、「今後十~十五年で台湾海峡両岸問題は逐次出口に向かって進むのではないか。武力衝突は絶対に避けねばならず、米国は同問題の武力解決は受け入れられないと再三北京に表明している。北京は、台湾が国際社会で活動するのを認めなければならない」と所見を述べた。 《台北『中国時報』1月8日》  


一致団結し新たな目標に向かって邁進

     李登輝総統「一九九八年元旦祝辞」全文

 李登輝総統は新年を迎えるにあたり、大晦日の夜に中華民国の国運隆盛を祝うとともに、改革を断行して行政効率のよい民主政治を確立し、国民とともに新たな道程を邁進する決意を盛りこんだ「一九九八年元旦祝辞」を発表した。以下はその全文である。

 本日は一九九八年元旦であり、国家建設が改めて新スタートを切りました。これからの一年間、新たなさまざまな事柄が待ち構えていますが、そこにはこれまで以上の新たな契機と新たな希望が満ちあふれていると思います。全国民が確固とした目標に向かい、いっそうの自信を持って絶え間なく努力したなら、かならずやさまざまな困難を克服し、その任務を達成し、さらに輝かしい国家の前途を切り拓くことができると信じております。われわれは、この一九九八年が国家建設の再出発となり、ふたたび成果をおさめ、新たな段階に向かって進む一年になるものと確信しております。

●すべての困難を克服し歴史の新局面を切り拓く

 これまでの半世紀間、われわれは国内が成熟しないまま、外からの挑戦と脅威に間断なく遭遇するという環境下に、全国民の強い団結と奮励努力、さらに不撓不屈の精神を発展への原動力とし、国家安定の堅実な基礎を築いてきました。とくに最近の十年間におきましては、全国民のさらに高度な叡智と堅い意志によって、再三ならず困難な問題を克服するとともに挑戦を跳ね返し、自由と民主と繁栄の新たな歴史の一頁を開拓し、これまでにない栄えある成功を勝ち取りました。

一、成熟した民主政治の確立について

 この十年間、わが国は主権在民の原則を堅持し、民主改革を逐次推進し、昨年には第四回目の憲法修正を完成させ、バランスのとれた中央行政機構の運営に向かって一歩進み、さらに政府組織の簡素化をおこない、民主化への過程を最終的な完成の段階にまで進め、近代的文明国家の隊列に入ることができました。

二、経済の安定した発展と繁栄について

 数十年来、わが国は前向きな経済政策によって構造転換に成功し、さらに高度成長を持続させ、非常に大きな成果を収めることができました。最近、東アジアに金融危機が発生していますが、政府は状況の進展を注意深く見守り、適切な措置を講じているため、台湾経済への影響は比較的小さなものとなっています。これによって今年の経済成長は六%以上が見込まれ、わが国の経済政策が正確であったことを証明するとともに、その体質が健全で前途にも楽観すべきものがあることを明確に示し ています。

三、国家の安全強化について

 わが国は民主化の推進に卓越した成果を収め、世界の民主陣営に新たな力を添え、台湾における中華民国の存在とその発展の事実を世界に認識させ、尊重されるようにもなり、これによって国際社会のわが国への政策が逐次変化しはじめました。これと同時に、わが国は国防の整備に努め、軍事防衛力を向上させ、いっそう強固に国家の安全を保障して国民の生活を守り、世界の平和にも具体的に貢献するようになりました。

四、大陸政策の発展について

 わが国は十年前に国民の大陸への親族訪問を解禁して以来、一連の実務的かつ弾力的な大陸政策をとり、双方が隔絶し行き来もしないといった状態から、今日のように頻繁に往来し、相互に連動するといった緊密な状況へと発展させ、相互理解を増進させたばかりか、台湾海峡の平和と安定を維持するようにもなりました。このことは、両岸人民の生活と福祉、さらに国家の前途に対し、大きな意義があると思います。

●新たな観念によって新たな契機をつかむ

  これまでの成果は、もとよりわれわれが自信を持つのに十分なものがあります。しかし時代は日進月歩の勢いで発展しており、国家の建設も永久に歩みつづけるものです。今日わが国の政治は完全に民主化され、経済もまた高度に繁栄して新たな社会に入っています。ここにおいてわが国に必要なのは、新たな課題と新たな方法であり、それによってこそ新たな問題に対応でき、新たな契機を創造できるのです。

 また、国際間での相互依存関係はますます深まると同時に国際競争も激しさを増しており、外的環境からの挑戦はいよいよ厳しさを増しております。最近、金融危機の波が東アジア各国を席巻したことなどが、それの顕著な例であります。わが国に対するこれの影響は大きくないとはいえ、決して軽視できるものではなく、十分な警戒心をもって有効に対応していかねばなりません。

 このため、新たな一年を迎えるに際し、われわれは新たな情勢を見極め、次に掲げる五つの努力目標を完遂し、いっそうの発展を実現していかねばなりません。

一、わが国は経済競争の体質を強化しなければなりません。今回の東アジア金融危機は、われわれの経済体質に再検討を加えねばならないことを証明しているとともに、良好な経済体質を維持することの重要性をも示唆しております。これからの一年、わが国は内外情勢の変化を注視しながら各種の金融関連対策を強化し、さらに国内需要を高め、経済の繁栄を維持していかねばなりません。

 これと同時に、課税一元化をふくむ税制改革や世界貿易機関(WTO)加盟に関する農業問題の調整などに対しては、緻密な計画を立て慎重に対処し、総合的に経済環境の健全化を進め、将来の挑戦と競争に対応する能力を備えるようにしなければなりません。

二、われわれは勤勉の気風を培わねばなりません。わが国は天然資源に乏しく、これまでの成功の主要な要素は、国民の普遍的な勤労精神と忍耐力でした。しかし経済が繁栄し社会が裕福になるにつれ、怠惰や享楽的な観念が蔓延しはじめております。これが長くつづけば経済の活力をそぎ、将来の社会の病根となり、総合的国力の向上に影響を及ぼし、国際競争力を減退させるものとなります。

 このため、われわれは心の改革を進め、 改めて勤勉と質実剛健の美徳を喚起するとともに教育改革を促進し、健全な精神と積極的な人生観を培い、新たな活力を呼び起こし、いっそう大きな進歩を求めるようにしなければなりません。

三、われわれは順法精神を確たるものにしなければなりません。民主と法治は一体両面的なものです。民主の発展には法治の強化が必要であり、それによってこそ、個人の自由が尊重される環境下において全体の調和が得られ、民主制度の機能を発揮することができるのです。このため、われわれは司法改革を貫徹し、社会正義を実践し、同時に治安の維持を強化し、欠点を改善し、社会の安定を維持し、民主的で秩序ある文明社会を建設 しなければなりません。

四、わが国は責任感の強い効率的な 行政体制を確立しなければなりま せん。現在は「主権在民」の民主時代であり、また急速に変化する多元的社会の時代となっており、国民の行政効率向上への期待にも大きなものがあり、行政府の責任もますます重くなってきております。

 昨年、第四回憲法修正をおこない、中央政府の構造にバランスを持たせるとともに行政構造の簡素化を促進しましたが、その目的は、責任を負い行政効率のよい政府を確立し、国民の期待と需要を満たすためでした。今後、各レベルの行政府、とくに市民生活の福祉に直接たずさわる地方行政機関は、法による行政を推進しなければならないという原則下に、責任感を強く持ち、創造的な精神を発揮し、政府機関の行政効果を拡大し、その効率を高め、真に市民のための民主政府を樹立しなければ なりません。

五、われわれは優れた文化の満ちた高レベルの社会を構築しなければなりません。経済発展を求めるなかに、文化建設にも尽力しなければなりません。そうしてこそ、物質文明と精神文明のバランスが保てるのです。今日、相対的に経済生活は裕福になりましたが、精神生活面は比較的貧困となり、社会から寛容さや優しさが失われ、さまざまな問題が発生しています。このため、われわれは文化建設を強化し、精神文明を培い、文化の育成と経済の建設を並行して促進し、調和がとれ優れた文化の満ちた高レベルの社会を構築しなければなりません。

●新たな年に心を一つにし苦楽を分かち合う

 この半世紀来、台湾における中華民国は時代の風雨による深刻な試練を受けてきましたが、終始揺るがず厳然と屹立してきました。その要因は、われわれがそれぞれ異なる段階において、すでに培った基礎の上に新たな目標を定め、新たな任務を企画し、政府と国民が心を合わせて協力しあい、団結奮励して目標を逐次達成し、国家全体を成功へと導いていったからに他なりません。

 政府も国民も共同の目標に向かって団結を強化し、苦楽をともに分かち合い、確たる自信を持ち、強大な力を結集し、一九九八年の光明ある新たな道路を切り拓いていかねばなりません。

 新年にあたり、中華民国の国運隆盛を祝うとともに、国民全体の健康を祈念いたします。  

《台北『中央日報』1月1日》


連戦副総統がシンガポールを訪問

両岸問題、金融危機克服を話し合う


 連戦副総統は一月一日からシンガポールを訪問し、ゴー・チョクトン首相、リー・クアンユー上級相、オン・テンチョン大統領らと会見するなど「休暇外交」を展開し、同月四日に帰国した。当日、中正国際空港で記者会見し、両岸問題、金融危機、南向政策などについて、次のように語った。


問:今回シンガポールの政府高官と会見されたおり、両岸問題について話し合ったか。その時の印象はどうか。第二次「辜汪会談」はまたシンガポールで開催できそうか。

答:各会談において話し合った。私は常に、両岸交渉の再開は両岸双方が現実を踏まえ、なんら前提条件をつけずにおこない、誠意をもって現有する多くの問題を共同で解決しなければならないとする、わが国の見解を説明した。また、すでに多くのマスコミが報じているとおり、わが国は台独を主張しているのではなく、中華民国は一つの主権独立国家なのだ。大陸にはまだ統一を話し合う条件が整っていない。かれらはまだ民主・自由・均富の環境にないためだ。だが、対立したり争議を惹起したりするのはよくない。こうしたわが国の見解を、シンガポールはよく認識しているとの感触を受けた。

問:今回の訪問はわが国の南向政策に意義あるものと見られているが、東南アジアの金融危機はまだ収束しておらず、この政策を大々的に進めることは可能か。

答:この金融危機により、シンガポールをのぞき東南アジア各国はいずれも深刻な影響を受けている。この状況はまだしばらくつづくだろう。各国とも国際通貨基金に多くの具体的要求を示しており、それらが作動すれば、各国とも徐々に危機を克服し、回復に向かうだろう。その時期はまだ誰も予測することはできない。だがシンガポール当局者は、その時期が東南アジアへの投資をふくむ経済活動のチャンスだと認識している。もちろん、それはあくまでチャンスであって、いきなり「大々的に進める」ことを意味するものではない。前段階として慎重な調査が必要だ。しかし、チャンスはあるのだ。このチャンスは、平常時のものより大規模なものと言えよう。わが国はこのチャンスを見逃してはならない。

問:今回の訪問で南向政策がふたたび表面化したが、政府は台湾の企業にどのような支援ができるか。

答:政府はこの政策について十分な指導と支援をするだろう。政府は各現地の状況と各産業の需要を詳しく調査し、民間企業に投資のチャンスを重視するよう奨励する。政府はあくまで協力と補助の立場であり、この件はすでに進行中だ。

問:わが国は東南アジア諸国の金融危機克服を支援する計画を持っているか。

答:わが国は国際通貨基金(IMF)を通じてこれらの国々を支援しようとする強い熱意を持っている。しかし、わが国は目下国連加盟国ではないため、それができないのだ。昨年のAPECバンクーバー会議で、わが国の代表がAPECの系列下に一つの基金(APEC FUND)を設立することを提議した。各国に反対されたわけではないが、協議の結果IMFを通じたほうが効果的ではないかとの結論になった。わが国にとって東南アジア諸国は重要であり、今後支援の方法を積極的に研究することになろう。


《台北『中国時報』1月5日》

政府「南向政策」の歩み

▼一九九三年十二月二十七日

 行政院経済部が立法院に「南進政策」を提示し、政府が東南アジアに投資する企業を大々的に支援する計画を立てたことを説明。

▼一九九三年十二月三十日

 連戦行政院長がマレーシアとシンガポールを訪問し、これが「南進政策」の端緒となる。

▼一九九四年二月六日

 連戦行政院長が「南進政策」の名称を「南向政策」に改めると発表し、ASEAN諸国をその対象として国際貿易の場を開拓すると表明。

▼一九九四年二月九日

 政府の「南向政策」に合わせ、経済部が二段階投資協力計画を策定し、初期目標をフィリピン、インドネシア、ベトナムとし、この三カ国を同政策の基礎に据えると表明。

▼一九九四年三月二十六日

 統一企業とタイの三社が共同出資でバンコクに工場建設の契約に調印し、南向政策の具体的な第一弾となる。江丙坤経済部長が経済官僚と専門家を率いてベトナムを訪問し、投資拡大と農業技術協力を協議。

▼一九九四年四月一日

 李樹久経済部次長が三十人を越す国営事業視察団を率いてインドネシアを訪問し、「南向政策」具体化への基礎を固める。

▼一九九四年八月三十一日

 フィリピンのラモス大統領が中央日報のインタビューを受け、フィリピンは台湾の「南向政策」を歓迎すると表明。

▼一九九四年十二月二十七日

 政府の「南向政策」発表より一年が経過し、その効果顕著。九カ月間で、台湾からマレーシアへの投資は六・六倍、インドネシアへの投資は三十一倍となる。

▼一九九五年六月十三日

 行政院主計処が、「南向政策」推進いらい台湾の東南アジア貿易は約二倍となり、総額で二百億ドルを越えたと発表。

▼一九九五年七月二十六日

 江丙坤経済部長が経済官僚と企業集団を率いてベトナムを訪問し、同国との経済貿易協力を全面的に推進。両国は最恵国待遇を含む貿易協定に調印し、台湾は年内にベトナム人労働者二千人の受け入れを決定。

▼一九九六年六月十六日

 政府の「南向政策」に合わせ、全国工業総会が四十人の貿易ミッションを組織し、インドシナ半島を訪問しビジネス・チャンスを醸成。

▼一九九六年九月二十六日

 台湾企業のベトナム投資が活発化し、すでに二十六社がハノイ市当局と土地賃貸契約を結ぶ。

▼一九九七年四月十四日

 政府が「対ビルマ工作小組」を組織し同国への投資拡大に乗り出す。

▼一九九七年十月十三日

 東南アジア金融危機とタイ国政府の政策変更により、台湾工業製品の対東南アジア輸出が打撃を受ける。

▼一九九七年十二月二十七日

 蕭万長行政院長が、経済建設委員会の江丙坤主任委員が近い内に企業集団を率いてインドネシア、フィリピン、タイを訪問し、金融危機克服支援の実際行動を開始すると発表。

▼一九九八年一月一日

 連戦副総統がシンガポールを訪問し、「南向政策」重視を表明。  

《台北『自立早報』1月5日》

世界のメディアが台湾経済を評価
金融危機に揺るがない強靭さを注視

 東アジア金融危機のなかに台湾は昨年のGNP成長率は七%に迫り、失業率は二・八%と低く、消費者物価上昇率もわずか一%と安定成長をつづけている。この状況に各国のメディアが注目し、台湾経済を高く評価するとともに、頻繁に解説記事を掲載しはじめた。

●台湾と韓国は好対照

 米国の経済専門誌『フォーブス』は最新号で台湾の現状を詳しく紹介し、「台湾は北京の圧迫下に国際通貨基金や世界銀行から締め出されているが、かえってそれによってみずからの力を蓄え、国民の貯蓄率が高く、海外からの投資に門戸を開き、八百億ドルの外貨準備高を持ち、世界の主要な債権国になった。反対に韓国は国内の財閥を優遇しすぎ、政府は財閥の利益を保護して海外からの投資を押さえて閉鎖的市場をつくり、台湾の二倍の人口を持ちながら、金融危機発生時には外貨準備高は三百億ドルしかなく、債務国になっていた」と、韓国との比較に力点を置いた報道をした。

 同時に『フォーブス』誌は、「台湾は世界で最も効率的な資本市場である。台湾は中小企業を中心とした経済構造であり、それは通信産業が必要としている産業構造に合致するものであり、ハイテク時代を順調に歩んでいる。台湾のこうした経済体質の優秀さは、東アジアが金融危機に見舞われているなかに際立っており、アジア諸国が十分に参考とすべきものになっている」と解説した。

●新陳代謝が進んだ産業構造

 また英国の経済専門週刊誌『エコノミスト』は最新号で、「アジアに金融危機が吹き荒れているなか、台湾経済のみが動揺せず安定成長を持続している秘訣は、新たな企業を起こしやすい環境にある」とする解説記事を掲載した。

 同記事は化学関連産業を例にとり「一九九一年において台湾の化学関連製品の四〇%は、一九八六年には存在しなかった企業によって占められている。現在、台湾のプラスチック製品の三分の一、金属製品の五〇%は、設立五年に満たない企業で生産されている。台湾の産業界は、その他の部門においてもこうした変革を経てきた。一九八一年に金属、紡績、プラスチック関連の製品を製造していた企業は、その後十年間で五分の四が倒産ではなく、業種転換を果たした。こうした創造性が新技術の普及につながった」と解説し、台湾の活力の源泉に迫った。

●台湾との関係強化を主張

 タイの英字紙『ナショナル・デイリー』(1月7日)は、「経済危機によって東南アジアに近づく台湾」と題した評論文を発表し、そのなかで安定成長をつづける台湾の現状を紹介するとともに、「タイの前政権は親中共政策をとっていたが、現政権はバランスのとれた政策を模索しており、『一つの中国』政策を維持すると同時に、台湾の膨大な資金力と投資能力にも注目している」と、現政権が台湾を重視していることを示唆した。 同時に元旦にシンガポールを訪問した連戦副総統の「休暇外交」にも言及し、「これは台湾の東南アジア重視を改めて示すもの」と述べ、さらに「シンガポールもマレーシアも北京と良好な関係を維持し『一つの中国』政策を支持しているが、台湾との経済関係も緊密化しようとしている」と解説した。

●自由経済の優秀さを示す

 香港の『信報』(1月7日)も台湾経済に関する特集記事を載せ、「今回の金融危機による影響は台湾が最も小さく、自由市場の構造下に新たな資本主義を絶え間なく創造している」と表現し、中国大陸の統制経済を暗に批判した。

 『信報』も英『エコノミスト』と同様の見方を示し、「台湾経済がASEAN諸国を大きく引き離している要因は、台湾経済の構造が中小企業(軽工業と電子工業)を中心とした『向上型』経済であるところにある。とくに財閥主導の『保守型』経済である韓国とは対照的である」と強調し、同時に台湾には債務がなく、世界三大債権国の一つであることも紹介した。   
《台北『中央社』1月8日》

台湾情報機器産業 発展へのシナリオ ③

     『聯合報』東京特派員  王 淑珍

  リスキーな「運命共同体」

●コンパックの戦略が一石

 昨年、IBMが台湾メーカーに発注した額は、一千億台湾元(約四千億円)に達し、このうちエイサーは半分の五百億台湾元(約二千億円)を受注した。IBMの発注額増大には、パソコンのライバルメーカー、コンパックの生産体制見直しが大きな影響を及ぼしたようだ。

 コンパックは、九四年に台湾のパソコンメーカー、神達と提携、マーケティング以外のすべてを神達に任せた。これによりコンパックは世界のトップメーカーに躍り出て、三年連続でその座を守っている。

 コンパックの生産方式は、パソコンの設計から製造、仕入れ、安全規制、品質管理、物流までを台湾メーカーにゆだねる世界規模の「物流・生産方式」だ。

 IBMをはじめ世界の上位二十に入るパソコンメーカーが相次いでコンパックと同じ生産戦略を取り、台湾の情報機器メーカーもこれに対応できるよう、新しい生産体制づくりに動きだしている。

 大衆電脳は、二〇〇〇年までに一億ドルを投じて、世界に三十カ所の組立工場とサービスセンターを設ける「全世界物流システム」を構築する計画だ。

 同社は、米国、ドイツ、中国、チェコなど八カ所に組立工場とサービスセンターを設けていたが、昨年、一千万ドルを投じてブラジル、メキシコにも拠点を置き、デスクトップ型パソコンやノート型パソコン、マザーボードを組み立てている。

 世界に三十七カ所のパソコン組立工場をもつエイサーは、IBMからの大型受注に対応するため、フィリピンのマザーボードとノート型パソコンの生産ラインを拡大、メキシコには二番目の生産拠点を建設した。コンピューター周辺機器メーカーの致福もフィリピン、中国、米国などに工場を設けた。

●飛躍のカギは人材確保

 こうした急速な世界展開は、台湾の情報機器メーカーに国際的な人材確保を迫っており、人材確保が世界市場でのさらなる飛躍のカギを握っている。

 台湾メーカーの国際展開は北米市場が中心で、欧州や日本の市場の開拓が遅れている。言葉の問題もあるが、経営ノウハウや国際的な人材の不足が大きな要因、といわれるからだ。

 「台湾メーカーは国際化と言っているが、実際は"地域限定の国際化"にすぎない」

 創業以来、多国籍企業を目指してきたエイサーの施振策(スタン・シー)会長は、台湾メーカーの国際化の現状をこうとらえ、「世界規模の運営システム、人材育成、管理ノウハウ、財務など、台湾の企業には時間とコストをかけて学ばなければならない課題が山積している」と指摘する。

 台湾で初めて世界規模の物流・生産方式に対応した神達は、台湾本社の社員五百人に対し、英国、米国、中国の海外法人の総社員数は三千五百人にふくらんでいる。

 神達は異文化の社員を管理するため、九四年から会社全体の管理や財務、物流などすべてのシステムの再構築を進め、国際企業に変身しようとしている。

●大きな意味持つパートナー選択

世界規模の物流・生産方式は台湾のメーカーにとって、受注額が大きい、取引先が集中、出荷が安定するなどのメリットがある。

 その反面、リスクも大きい。パソコンメーカーの英業達は、ノート型パソコンの生産量の六割以上がコンパック向けで、コンパックの戦略に経営を左右される。

 海外の大手パソコンメーカーの物流・生産方式に組み込まれ「運命共同体」といえる関係が強まっているだけに、台湾のメーカーにとってパートナーの選択が大きな意味を持っている。

中国は最大の海外生産地

  ●96年の生産高は22億ドルに

 台湾の情報機器メーカーの中国大陸への投資が急増している。昨年、台湾情報機器業界の国・地域別投資先で中国が一位に躍り出た。

 世界の情報機器の生産基地・台湾はいま、対中投資をテコに生産基地の規模拡大を強めている。 現在、海外に進出している台湾の情報機器メーカーの七割にあたる約四十社が中国に投資している。

 台湾の情報機器産業サービスセンターの統計によると、台湾のコンピューターメーカーの中国における生産高は、九一年は一億七千万ドルにすぎなかったが、九六年には二十一億七千万ドルに膨らんだ。中国での生産高は台湾情報機器メーカーの海外生産高の四三%を占めており、台湾にとって中国は東南アジアにかわる最大の海外生産地となった。

 百社あまりの台湾情報機器関連企業が上海に”電子街”を作っている。面積は六千平方メートル、総投資額が四百二十万ドルにのぼり、上海の情報機器の供給拠点にしている。

 また、それら企業は台北市コンピューター組合、中国ソフト開発協会の支援を受け、北京に「情報機器製品展示センター」を設立しており、上海、北京という中国の二大消費地に製品販売、供給の足場を築いている。

●上海と蘇州に拠点集中

 生産面では、エイサー、大衆電脳、神達、致福、光宝、中華映管など台湾の大手パソコンメーカーはみな中国に進出している。 しかも、最大の消費地である上海に近い江蘇省を中心として上海と蘇州に拠点を集中させており、この地域が中国の「パソコン生産基地」になっている。

 エイサーグループの明碁コンピューターは九五年に二百万ドルを投じ、蘇州に年産百万台の規模のモニター工場を建設した。これを機に、明碁の下請けパーツメーカーが相次いで江蘇省の近くに工場進出した。

 他の情報機器メーカーも、消費地の近くに工場を設けることで物流を合理化できると判断、大衆電脳は嘉定に百万ドルを投じてマザーボードとパソコン用電源などの生産拠点を建設、金宝電子は上海に二千三百万ドルを投じてファクシミリと電卓の工場を設けている。

 大衆電脳の簡明仁会長は「台湾の情報機器産業は高い設計・開発力を持ち、優れたエンジニアが大勢いる。中国大陸と合作を進めることで、シナジー効果が出る」と、中国大陸での合作に力を入れる構えだ。

●世界の大手メーカーも進出

 中国大陸進出は、台湾の情報機器メーカーだけではない。 中国のパソコン・マーケットの急速な成長を背景に、九〇年代に入ってからコンパック、IBMなど世界の大手メーカーが深(王+川)や天津などに中国企業との合弁工場を建設している。

 世界の大手メーカーの中国進出は、中国が将来、アジアで最大の消費国になるとみているからだ。

 台湾市場での九六年のパソコン出荷台数は六十六万台だったが、中国の出荷台数は前年比三九%増の二百十万台になり、韓国を抜いてアジアでは日本に次ぐ市場になった。九七年は二百九十万台、二〇〇〇年には七百九十五万台の出荷台数になる、とみられている。

 エイサーの施振栄会長も「中国大陸はアジアの生産の中心地になりつつあり、期待できる市場だ。エイサーが世界のトップ・ファイブのメーカーになるためには中国大陸での展開が不可欠だ」と中国大陸を戦略市場に位置づけており、台湾の情報機器メーカーの対中国大陸の投資はますます進展しそうだ。(以下次号) 

《東京『日本工業新聞』97年6月2日、6月9日より原文通り転載》


お詫びと訂正

本誌第一八四一号第十三頁の連載「台湾情報機器産業 発展へのシナリオ」の出典は『日刊工業新聞』ではなく『日本工業新聞』です。ここに訂正するとともに関係各位にお詫び申し上げます。          編集部

「武侠小説」日本に進撃

台湾の古龍作品、日本で出版の動き  


●中国語圏に浸透する武侠小説

 「武侠小説」とは、剣士や武術家、侠客が活躍する中国の「チャンバラ時代小説」で、唐代の伝奇小説以来の伝統を持つと言われ、台湾や大陸、東南アジアなど中国語圏では大衆文学の一ジャンルとして根強い人気を誇っている。この武侠小説の大家として特に有名なのが香港の「金庸」だ。作品のほとんどが映画化やドラマ化され、その人気は、「金迷」と呼ばれる熱狂的なファンが存在し、彼の作品の研究が、紅楼夢を研究する「紅学」に倣って「金学」と言われるほど。

 金庸の作品は、日本でも翻訳され、九六年秋より徳間書店からシリーズが出版されて話題となったが、これに続き、日本の大手出版社がこのほど、台湾の武侠小説家として最も有名な「古龍」の作品の版権を取得し、日本で大々的に紹介することになった。特筆すべきは、小説という形式にとどまらず、漫画、アニメーション、テレビゲームなどのさまざまなメディアを通して、紹介されるという点だ。

 一九八五年に病死した古龍(本名熊耀華)は多作で知られ、百作を超える作品を残している。金庸の作品が歴史背景を踏まえ、ストーリー性を重視したものだとすると、古龍の作品は、より奇想天外でテンポのあるストーリー展開が特徴である。台湾のある出版関係者は、古龍の作品を「ポスト・モダンな作風」と評しており、まさにアニメやテレビ・ゲームなどデジタル時代の出版物の原作としてふさわしいものといえるだろう。

  ●日本出版界の救世主となるか

 今回、古龍作品の日本における版権取得に活躍したのは、版権代理業者の尾形英夫氏である。尾形氏は、徳間書店常務理事を退職後、T.M.F(音楽、出版物の版権仲介会社)を設立。また台湾でも合弁により「巨人文化公司」を設立している。

 自らを「台湾迷(ファン)」という尾形氏は、古龍の作品について「いわゆる大衆小説に必要な要素をすべて備えており、これこそ最近の日本の作家に欠けている部分だ」と高く評価し、低迷する日本の出版界に新風を吹き込むものとして大きな期待を寄せている。また尾形氏によると、古龍作品の翻訳には、作家の守屋洋氏が当たるとのこと。

 実際には、古龍作品が日本でどれだけ受け入れられるかはまだ未知数だ。しかし、日本の漫画やアニメ、テレビ・ゲームの中には、カンフーをテーマとしたような「中国風」のものが少なくない。また、日本人は『西遊記』や『三国志』をはじめとする中国の古典に古くから親しみ、さらに武侠小説を原作や原案とした香港などの映画にも、知らず知らずのうちに接している。こうしてみると、日本にはすでに武侠作品を受け入れる素地のようなものがあり、それに加えてマルチ・メディア時代にも適した古龍の作品は、尾形氏の言うように、日本の出版界の「救世主」となりうるかもしれない。

《台北『中国時報』97年11月30日》

 

宝島あれこれ 

鍋料理には豆腐が欠かせない!

 今年の冬はエルニーニョ現象で暖冬と言われてはいるものの最近は寒い日が続いており、こんなときには鍋料理を食べて体を暖めたいものだ。

 台湾でも鍋料理を食べるのが、最も盛んな季節が冬であり、また鍋を食べるときに主流となる具が豆腐である。夏に冷や奴を食べるのを除いて販売量四割が冬に集中している。

 現在台湾の豆腐市場は毎年十億元(約四十億円)以上の売上に達し、一丁はだいたい十数元(約四十数円)から二十元(約八十円)である。一年の中で豆腐の消費量が最も多いのは夏の冷や奴で、この時期は非常に暑いためさっぱりした食べ物がほしくなる。そのため鱈入り豆腐やピータン豆腐に人気が集まり、豆腐の販売量の六割以上を占める。その次に販売量が多いのは鍋料理に使われる豆腐である。ここ数年特に多く、今では豆腐は鍋料理に欠かせない食品になっている。

 市場でよく目にする豆腐は、板豆腐、苦り豆腐(通称:小豆腐)、鍋用豆腐、輸入品の絹ごし豆腐、そして板豆腐を凍らせて作る凍り豆腐などである。苦り豆腐は塩水を使って煮る。これはほかの豆腐と比べると水分が多く、嫩豆腐(柔らかめに作った豆腐)に似ている。

 このほか、卵や豆乳を混ぜて製造する芙蓉豆腐や、板豆腐を三角形に切って、それを油で揚げて作る三角豆腐などがある。

 板豆腐の値段は一丁約十元(約四十円)、苦り豆腐と絹ごし豆腐は百グラム十五元(約六十円)から二十元(約八十円)とまちまちである。最も高いのは芙蓉豆腐で、百グラム二十五元(約百円)もするが、値段が高いだけあって栄養度もほかの豆腐より高い。

 しかし豆類は、痛風の人などにはタブーとされている食品で、特に現在の健康ブームで健康管理を気にかけている現代人にとっては、いくらおいしくても考えながら食べなくてはならない食品になっている。 

《台北『中国時報』97・12・29》


コンビニエンスストアの活躍

外食する人が増加するにつれ、便利な現代社会の中で、バイキング形式の店(自助餐店)のほかにコンビニエンスストアもしだいに多くの学生やサラリーマンに受け入れられてきている。仕事が忙しい時には簡単で便利な食品の需要が多く、バイキング形式の店や迅速かつ手軽に食品を提供できるコンビニが活躍し、この状況は特に都会で顕著である。

 台湾に一千五百軒あるセブンイレブンは三年前から積極的におにぎりや手巻き、寿司などを販売しはじめた。この種の食品の最大の特徴は「便利である」という点で、そのためもちろん売れ行きは好調であり、最も多いときにはおにぎりが一カ月に百三十万個も売れたという記録がある。

 関係者によると、コンビニ各店それぞれが、夕食用の食品が営業額の一〇%を占めるとみており、また外食をする人口の増加により、夕食の売れ行きも今後ますます増えていくとみている。

《台北『中国時報』97・10・18》

お知らせ 

「新日台交流の会」第十五回研究・懇親会のお知らせ

  今回は、門間貴志(もんま・たかし)氏(山形国際ドキュメンタリー映画祭コーディネーター、映画評論家、明治学院大学非常勤講師)をメインゲストにお招きし、左記の通り開催いたします。著書:「アジア映画にみる日本(一)中国・香港・台湾編」(社会評論社)

日 時 1月24日(土)午後3~6時

場 所 日華資料センター会議室

テーマ 「日本と台湾映画交流史」

  本会は、台湾に関心ある人々の知識向上と親睦を目的に、ふた月に一度(奇数月)土曜日に開かれております。多くの方々のご参加を心よりお待ちしております。

〒108-0073   東京都港区三田5-18-12 TEL03(3444)8724
                         FAX03(3444)8717

交通 JR山手線/京浜東北線 田町駅西口または都営浅草線三田駅A3出口から、都営バス渋谷駅ゆき(田87系統)に乗り魚籃坂下にて下車徒歩1分(詳細地図FAXにて送付可)

「第11回東京大学生産技術研究所学術講演会」開催

  東京大学生産技術研究所では、アジアや日本で学術・技術交流を担う学界、産業界の指導者を講師に招き、「アジアにおける技術交流」というテーマの講演会を開催します。
 この講演会に、台湾からも黄瑞耀(財団法人工業技術研究院東京事務所所長)、羅福全(国連大学高等研究所副所長)の両氏が出席し講演をおこないます。参加ご希望の方は、左記問合せ先までお申し込みください。

日 時 一月三十日(金)午後一時~

会 場 東京大学生産技術研究所第一・二会議室(地下鉄乃木坂駅または六本木駅)

問合せ 総務課庶務掛 03-3402-6231(内線2006)  http://www.iis.u-tokyo.ac.jp/ announce/event/index.html


 
春夏秋冬

 新聞がアジアの経済を報じる場合、やはり各紙によって視点が異なる。だが、最近の香港の株価暴落について、ここで一つの視点を提供しておきたい。香港での株価暴落は、まずマレーシアで株価暴落が発生し、それがタイに飛び火し、ついで香港を含む東南アジア各地に波及していったことによる。結局このなかで台湾はほとんど影響を受けず、フィリピンもさほどの暴落はしなかった。それはどうしてか、この原因がどこにあるかを考えねば、香港の明日を知ることはできない。

 それは東南アジア諸国に産業の空洞化ならず、資金の空洞化が発生していたからである。そこに原因がある。それはどういうことかといえば、中国大陸の外貨保有高は公称一千億ドルではあるが、北京の実質的な対外債務は二千億ドルもあるのだ。つまり北京が喧伝する外貨保有高一千億ドルというのは見せ金にすぎず、実際の北京外貨事情は火の車なのである。

 そのような切迫した状況において、北京はシンガポールのリー・クアンユー上級相に巧言を弄して蘇州に経済特区を造らせ、シンガポールの財界が大々的に大陸に投資しはじめた。それにつられてタイやマレーシアの華僑資本も大量に大陸に流れはじめた。同時にそれは、香港の不動産や株式への大量投資ともなった。

 こうして東南アジアの経済を握っている華僑資本が香港と大陸に流れ、それぞれの国で資金の空洞化が発生したのある。資金の空洞化はその国での新規投資の減少となってあらわれ、そこに東南アジア諸国での株価暴落と金融危機が発生した。この点、台湾とフィリピンは、大陸への大型投資を忍耐強くセーブしていたのである。

 一方、そうなるとマレーシアやタイの当局は、流出した資本を呼び戻さなければならず、それら自国居住の華僑を呼びつけ、まず流動資本を動かしやすい香港から資金を回収するよう示唆した。そこで今度は急激に香港から資金が東南アジア諸国に回流しはじめた。そこに香港での株価暴落がはじまったのである。華僑たちは自分が居留する国の政府に逆らうことはできず、したがってこれらの資金がふたたび香港に流入することはまずあり得ない。

 当面は北京の出血的PKOによって香港の不動産や株価は最悪のパニックに陥らないよう、かろうじて支えられてはいるが、香港ドルが米ドルとの固定相場をいつまで続けられるかが問題で、北京の外貨事情から考えれば、それの崩壊はもう目前に迫っていると見てよいだろう。対外債務が外貨保有の二倍もある北京には、無制限な買い支えをする余裕はないのだ。

 同時に、北京が香港の対米為替レートを変えない限り、東南アジアの輸出力が増大し、相対的に中国大陸の競争力が低下するという困難な問題も、中国大陸は抱えているのである。これを克服し、東南アジアに対する競争力を高めるためには、北京は慢性的に香港ドルと人民元の切り下げを続けていかなければならなくなる。そこに地域経済協力どころか、熾烈な地域経済競争が発生する。

 もう一つの視点としてこのように見るのが、今日の香港の株価暴落のポイントである。またこのように見れば、香港の経済、ひいては中国大陸の経済が今後どのように展開していくかは、およその見当がつくであろう。  (CY)