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  中華週報1845号(1998.02.05) - 台北駐日経済文化代表処 Taipei Economic and Cultural Representative Office in Japan :::
主要ニュース
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中華週報1845号(1998.02.05)


新基金設立構想しだいに具体化
東南アジア諸国の感触良好


1月19日午後、蕭万長行政院長(前列中央)がインドネシアへ


週間ニュース・フラッシュ


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◆省政府リストラ実施案は年内に作成
 行政院台湾省業務効率委員会と組織調整委員会が一月十四日、行政院において第一回委員会議を開いた。主催は蕭万長・行政院長で、宋楚瑜・台湾省長も出席した。蕭院長はこのなかで今年十二月二十日までにリストラ実施案を完成するよう指示した。案作成について宋省長は「①憲政体制を遵守すること、②国家の需要に合致させること、③省民の福祉を確保すること、④作成過程が透明であること」の四原則を提示し、蕭院長はこれを了承した。 《台北『中央日報』1月15日》

◆高雄の三種類鉄道合同駅建設にゴーサイン
 蕭万長・行政院長は一月十五日、行政院院会(閣議)において、これから工事の進む高雄市市街区鉄道地下化計画、高雄市高速輸送システム、南北高速鉄道(新幹線)の高雄駅をまとめ、一つの合同駅にすることに合意する案に賛意を表明し、呉敦義・高雄市長も歓迎の意を示した。 《台北『中華日報』1月16日》

◆台湾はIMF加入の条件を備えている
 元駐北京米国大使で台湾を訪問中のジェームス・リリー氏は一月十五日、台北で胡志強・外交部長と会見し、「台湾の経済および金融状況は、国際通貨基金(IMF)に加入する条件をすべて備えており、加入してこそ台湾がアジア経済の再建に力量を発揮できる」と語った。  《台北『聯合報』1月16日》

◆陳水扁・台北市長が民進党主席選挙に出馬の意志匂わす
 陳水扁・台北市長は一月十五日、テレビ局の取材に応じ、「現時点で年末の台北市長選挙に出馬しないと断言はできないが、台北市長再選を目指すことを堅持しない」と語り、目下人々の関心を集めている民進党主席選挙への出馬に意欲があることを匂わす発言をし、話題になっている。 《台北『自立早報』1月16日》

◆新基金設立構想に台湾は五億~十億ドル出資用意
 台湾はアジア開発銀行の構造下に地域共同基金を設立することを提唱しているが、梁成金・中央銀行副総裁は一月十六日、クアラルンプールでマレーシア中央銀行副総裁と会談したおり、「この基金の規模は五百億~一千億ドルとなろう。台湾はこのうち五億~十億ドル出資する用意がある」と語った。  《台北『聯合報』1月17日》

◆世界半導体委員会に台湾の四月加盟濃厚
 半導体主要生産国で構成されている政府間組織「世界政府フォーラム」への台湾加盟がほぼ確定しているが、経済部国際貿易局は一月十六日、「世界政府フォーラム(GGF)に加盟したあと、今年四月には民間の世界半導体委員会(WSC)にも加盟する可能性が強まった」と発表した。 《台北『工商時報』1月17日》

◆「急がず忍耐強く」は適切とジェームス・リリー氏表明
 台湾訪問中のジェームス・リリー元駐北京大使は一月十六日、李登輝総統と会見し、李総統が両岸関係に関し「急がず忍耐強く」の政策を説明したのに対し、「急げばかえって失敗する」と語り、中華民国政府の大陸政策を支持した。なおジェームス・リリー氏は元米国在台協会台北事務所長でもあり、現在米マリラン大学・世界中国事情研究所長として活動している。 《台北『中央日報』1月17日》

◆北京の潜在的脅威に台湾も米国も要注意
 ジェームス・リリー氏は一月十六日、許信良・民進党主席とも会談し、許主席が「台湾海峡は国際新秩序下における最後の高度な危険地帯だ」との見解を示したのに対し、「米民主党は台湾海峡問題に楽観的な見方をしているが、台湾も米国も北京による軍事上の潜在的脅威を決して軽視してはならない」と語り、台湾の国防力増強を支持した。 《台北『中央日報』1月17日》

◆一九九八年も台湾経済は安定成長
 中華経済研究院と中華アジア太平洋経済管理協会の主催による「一九九八年経済展望フォーラム」が一月十七日に中山大学で開催されたが、経済学者の周済氏は席上「今年の台湾経済は、昨年の成長率六・七%には及ばないものの、五・九二%を越す安定成長を見せるだろう」との見解を示した。ただし周済氏は「金融危機の波及を最小限にくい止めてはいるが、経済の自由化、民営化、国際化をいっそう進めなければ、安定成長は望まれない」と警告した。  《台北『中央社』1月17日》

◆MADSミサイル、今年中に実戦配備
 中華民国陸軍総司令部は一月十八日、「陸軍が米国から購入した改良型防空システム(MADS)ミサイル三組はすでに台湾に搬入され、コンピュータ・シュミレーションも完了し、その訓練はすべて正常で、今年中に実戦配備し台湾防衛の任務につく予定である」と明らかにした。  《台北『聯合報』1月19日》

◆英『エコノミスト』が台湾の経済体を高く評価
 アジア金融危機が進行しているなかに台湾経済のみが安定成長をつづけ、世界の注目を集めているが、英国の経済専門紙『エコノミスト』は最新号でこの台湾経済の状況を紹介するとともに、安定成長の要因は「台湾経済体は①外債の負担がない、②銀行管理が行き届いている、③他のアジア諸国の経済体にくらべ柔軟性に富む」の三点であると分析している。 《台北『自由時報』1月19日》

◆台北市長選挙、新党からは王建(火+宣)氏出馬が濃厚
 台湾では目下年末の台北市長選挙に各党から誰が出馬するか注目を浴びているが、王建(火+宣)・新党秘書長(幹事長)は一月十九日、「私は台北市民のために尽くしたいと願っている。総統選挙のとき、台北市での新党の得票率は三七%であり、私が台北市長選挙に出馬すれば勝算は十分にある」と、台北市長選挙出馬への意志を示した。《台北『台湾新生報』1月20日》

◆台湾は決して核兵器を持たない
 孔繁定・中華民国国防部スポークスマンは一月二十日、最近米国の「科学と国際安全研究所」が中華民国政府に「核武装計画の資料」を開示するよう求めたことに対し、「核兵器の開発をおこなわないというのがわが国政府の一貫した方針であり、軍は研究を考慮したこともなく、政府の方針を遵守している」と語った。  《台北『中央社』1月20日》

◆マラウィは中華民国との国交堅持
 最近国際メディアの一部が、南アフリカと北京の国交樹立により、アフリカ諸国のなかにこれに追従する国がでるとの観測をしきりに流しているが、台湾を訪問中のピンガンジラ・マラウィ文相は一月二十日、李登輝総統と会見しモロス・マラウィ大統領の言葉として「マラウィは中華民国との関係を非常に重視しており、これを変更する意志はまったくない」と伝え、今後とも両国の関係強化を進めることを表明した。 《台北『中国時報』1月21日》

◆APEC科学技術交流展示会が開幕
 第二回APEC科学技術交流展示会が一月二十一日、台北市世界貿易センターで開幕した。期間は五日間である。同展示会は中華民国経済部、外交部、教育部、交通部、国家科学委員会、農業委員会が主催し、APEC加盟経済体のうち十三の経済体から五百一社、一千百を越す大学および研究機関が参加し、このなかには中国大陸も含まれている。 《台北『中央日報』1月22日》

◆華米両国が「航空開放協定」に調印
 台湾と米国は一月二十一日、航空機の相互乗り入れの便数と範囲を拡大する「航空開放協定」に調印した。調印はワシントンで陳錫蕃・駐米代表とリチャード・ブッシュ米国在台協会理事長とのあいだでおこなわれたが、これによって台湾と米国間には航空機の便数制限がなくなるとともに、路線の共同運営も認められ、航空機の相互乗り入れは相当増えるものと見られる。 《台北『工商時報』1月22日》  


蕭万長行政院長がインドネシア訪問

南向政策推進で東南アジアとの経済関係強化

●善隣外交の出発点

 蕭万長行政院長は一月十九日、スハルト・インドネシア大統領とアジア金融危機の解決および地域協力、二国間の投資と貿易の機会増大などについて協議するためジャカルタを訪問した。なお、蕭万長院長には程建人・外交部政務次長、李大維・新聞局長らが随行した。蕭院長にとってこの会談は、一月十二日にマニラを訪問しラモス・フィリピン大統領および佐藤光夫・アジア開発銀行総裁と会談したのに引きつづき、アジア金融危機に関し二度目の外遊による東南アジア首脳との会談である。

 また、マハティール・マレーシア首相が一月十七日にジャカルタを訪問し、スハルト首相と短時間会談したがすぐに帰国した。このため今回の外遊でマハティール首相と会見する機会はなかったが、蕭院長は「適切な時期にクアラルンプールを訪問しマハティール首相と会見する可能性を排除しない」と語った。

 蕭院長は二十日午前、時期を同じくして東南アジア投資貿易視察団をひきいてジャカルタを訪問した江丙坤・経済建設委員会主任委員からアジア経済情勢の報告を受けたのち、午後にスハルト大統領と会見した。これについて蕭院長は記者会見で、「わが国はアジア太平洋経済共同体の一員であるとともに、この地域の重要な構成員であり、わが国の経済力からすれば、わが国は積極的な役割を演じなければならない」と語り「帰国後、国内で論議を十分に尽くし、東南アジア諸国との協力関係を強化する具体策を検討するだろう」と表明した。

 ASEAN諸国が金融危機に見舞われているなかでの蕭万長院長の二度にわたる外遊は、北京による外交包囲網を打破するものであるとともに、南向政策の積極的推進による善隣外交の出発点でもある。実務的な地域協力の強化には、台湾とASEAN諸国との長期的な視野に立った総合計画が必要であり、今回の外遊により今後の発展が期待できる。
《台北『中央日報』1月21日》

  

●投資研究機関の設立を提議

 蕭万長行政院長は一月二十一日午後、ジャカルタでのスハルト・インドネシア大統領との会見を終えて帰国し、桃園国際空港での記者会見で「南向政策は一つの方向と目標であって具体的なものではなく、政府は国内の企業に、東南アジア地域がわが国の投資にとって有利なことを伝えるのみで、リスクもともなうがこの政策は不変である」と語った。

 同時に蕭院長は「投資において為替変動によるリスク回避を政府が保証することはできないが、政府は各種情報を企業に提供しなければならない。このため東南アジア経済研究所を設立し、情報の収集と提供をおこなえば、リスクを最小限にくいとめることができよう」と語り、「東南アジア経済研究所」の設立を提議した。消息筋によれば、この研究所は中華経済研究院の下に組織される可能性が強い。
《台北『経済日報』1月22日》


●国際協力は金権外交ではない

 北京は台湾の実務外交を封じようとして中共「外交部」スポークスマン沈国放が「台湾は東南アジアの金融危機を利用して金権外交をおこなっている」と非難した。これに対し胡志強・外交部長は一月二十一日、「東南アジアはわが国の隣邦であり、わが国は東南アジア経済圏の一員として、近隣に危機が発生した場合、他への波及も考えられ、その状況の進展に注目するのは当然のことである。わが政府の上層部が何度も現場を訪問するのは、関係諸国と協力しあって危機解決の道を探ろうとするものであり、これがどうして金権外交と言えようか」と反論した。
《台北『中央日報』1月22日》

タイも台湾の経済構想支持  江主委とチュワン首相会見

 江丙坤・経済建設委員会主任委員がひきいる東南アジア投資貿易視察団は一月十一日にフィリピン、インドネシア、タイ、マレーシア四カ国訪問に出発したが、同十三日夜にフィリピンからタイのバンコクに到着し、十四日にはターリン蔵相、スパサイ商業相をはじめタイの政府および民間金融界トップと精力的にアジア金融危機解決への意見交換をした。タイの官民とも、台湾が提議しているアジア開発銀行の構造下に地域共同基金を設立し互助方式によって金融危機を打開しようとする構想に賛意を表明した。またターリン蔵相とスパサイ商業相は、江丙坤主委が台湾とタイの間で定期的に経済閣僚会議を持つよう提議したのに対し、前向きに検討することを約束した。
 同十五日に江主委はチュワン首相と会見したが、チュワン首相は金融危機の最中における台湾経済団の訪問に感謝の意を表し、共同で打開策を講じたい旨を表明した。  《台北『工商時報』1月16日》

辜振甫氏の大陸訪問提議   昨年につづく呼びかけ

  昨年十一月七日、台湾の海峡交流基金会が大陸の海峡両岸関係協会に対し、辜振甫・海基会理事長が十一月中旬か下旬に大陸を訪問し、閉塞状態となっている両岸交渉を打開することを建議したが、大陸・海協会からはなんら正式な善意ある回答はなかった。このため台湾・海基会は本年一月十九日、「本会は昨年十一月七日、貴会に電文を送り、本会の辜振甫理事長が十二月中旬か下旬に直接大陸地区を訪問することを建議したが、今に至るも貴会からの正式な回答をいただいていない。如何なることだろう。ご返答を請う」との電文を送った。
 これは両岸交渉の再開を希望する台湾・海基会の二度目の大陸・海協会に対する善意ある呼びかけであるが、かりに今回も大陸からの正式な回答がなかったとしても、この呼びかけは返答のあるまで有効なものであり、台湾側は忍耐をもって大陸側の善意を待つことになる。 《台北『台湾新生報』1月20日》

ペリー前米国防長官が訪台  李総統が台湾の立場を説明

  ペリー前米国防長官は米国の「戦略的安全問題視察団」をひきい、中国大陸と香港の視察にひきつづき一月十六日に台湾を訪問し、同十九日に李登輝総統と会見した。一行の目的が安全問題に関する視察であるため、李総統は「中華民国は両岸会談の再開に大きな期待を寄せている。わが方はつねに交渉再開の大門を開いている」と語り、「中華民国政府と国民が国家統一を追求する立場は不変であり、われわれは独立を目指しておらず、その必要性もない」と両岸問題に対する台湾の基本的立場を説明した。
 同時に李総統は、「残念なことは、ようやく開始された辜汪会談を北京が一方的に中断し、現在両岸の相互連動関係が停滞してしまっていることだ」と交渉再開への強い意志を表明するとともに、かつて大陸に「平和の旅」に赴く意思表示をしたことを強調し、その意思に変化のないことを示した。  《台北『中央日報』1月20日》

ロシアと正式に通航開始  華露両国の経済関係強化

 台湾とロシアの貿易関係を強化する「華露海運通航議事録」は今年一月九日にモスクワで調印されたが、同二十日台北において欧鴻錬・台北モスクワ経済文化協調委員会主任委員とオレグロボフ・モスクワ台北経済文化協調委員会主席との間で確認の書簡が交換され、両国の海運通航関係が正式に発足することになった。なお両国間の航空協定はすでに結ばれており、今年三月二十九日に台北-モスクワ間で双方の航空機が初フライトする予定である。
 一九九二年以来、両国の観光、経済、科学技術、学術、文化関係は毎年大幅成長を示し、統計によれば一九九六年の双方貿易総額は十二億ドル、九七年には同十四億五千万ドル(前年比一七・九%)であった。
 烏元彦・外交部スポークスマンは「海運、航空運輸が開始されれば、経済貿易関係のみならず、両国の多方面にわたる協力関係の強化が期待できる」と表明した。 《台北『台湾新生報』1月21日》


中華民国・台湾の大陸政策概要㊦

  張京育・大陸委員会主任委員記者会見

●質疑応答・2

問:大陸の学歴を認める件が国民の誤解を招いているようだが。

答:それについては「台湾地区と大陸地区人民関係条例」で関係機関が考慮するように規定されている。大陸委員会がこの条例を作成するとき、将来大陸住民が婚姻や親族同居などで台湾に定住するケースが増えると想定し、そのとき大陸で受けた教育を認定しなければ就業にも支障が出ると考え、関係機関が考慮するよう制定した。

 この草案を立法院に送ったとき、台湾地区の住民が大陸で学位を得て帰ってきた場合の学歴認定も考慮するようにとの意見が付された。そこで教育部は五年の研究を経て、また大陸委員会と何度も協議し、専門家の意見も聴取し、最後に教育部政務次官が大陸の教育事情を視察し、その認定が大陸委員会を通過し、ふたたび立法院に送り決議された。それが公布された一九九七年十月二十二日、教育部は承認する大陸の七十三校も発表した。

 このとき各方面からさまざまな意見が出された。それらの多くは認可そのものに対してではなく、多くの学校を承認したことへの影響についてであった。このため蕭万長行政院長は関連規定の制定を検討するように指示し、大陸委員会と教育部で検討したあと、再度立法院に送付し、それが通過した。したがって現在は段階的に認可を実施するところとなっている。

問:李登輝総統が以前大陸訪問の意志を表明したが、大陸の反応はまだない。江沢民氏の訪台を要請する用意はあるか。

答:上層部の相互訪問は将来進展するだろう。両岸の指導者が平等と尊厳を認め合った上で対話を推進すれば、両岸の関係改善に有益だとわれわれは認識している。対話の方式と時期については、今後の両岸関係のなかに協議されなければならない。この種の対話には、事前作業が必要だからだ。いかなる上層部の対話も、基礎を十分に固めてこそ実施できるものだ。現在は双方が意志を表明しあう段階であり、実際に推進する段階ではない。

問:大陸委員会は、両岸における今後五年間の国防力の状況をどう見ているか。

答:わが国の国防政策は、あくまで専守防衛である。わが方は戦争の発生を抑止しうる確固たる防衛力を保持しようとしている。相手方は強大な軍事力を持っているが、それがわが方と直接関係しているわけではない。したがって両岸の軍事力を比較するのは困難だ。政府の多年来の努力により、現在われわれは精強な国防力を保持している。しかし、わが方は一貫して「和をもって貴しとなす」という観念から、軍拡競争は必要なく、平和で互恵の方向に進んでこそ、両岸人民の利益にかなうものと認識している。だが安全は必要であり、当然自衛能力は備えなければならない。

問:あなた(張京育・大陸委員会主任委員)は、現在の両岸関係の進展に満足しているかどうか。また責任の所在はどこか。

答:一九九七年の両岸関係は、九六年にくらべて比較的平穏だった。たとえば大陸委員会は香港アモイ関係条例の制定や香港事務局の開設などで、これまでの多くの関連法規を単一のものにするとともに窓口も一本化し、各種専門家の交流をしやすくし、その成果を上げやすくした。両岸の経済貿易関係も平穏に進み、大陸地区のわが方に対する依存度もかなり高くなった。海外海運センターも九七年四月十九日にスタートし、すでにその成果も上がっている。

 われわれは、大陸側が開港地をもっと増やせば、高雄港はさらに活動できるものと思っている。両岸交渉の面では、まだ正式交渉を再開していないが、実務的要員の相互交流は推進しており、わが方からは副秘書長クラスも大陸を訪問した。一般的なスポーツ、学術、科学技術、経済交流なども進展を持続している。したがって一九九七年は比較的平穏だったと言える。

 九八年は両岸が安定のなかに漸進的に発展することを期待している。同時に、両岸が定期的な交渉を復活させるよう希望している。これがわれわれの努力目標だ。われわれは両岸関係に対し、つねに積極的な姿勢を保持している。だが両岸関係は一方による交渉や交流で推進できるものではなく、双方が平等な観念と善意と相互尊重を維持してこそ発展しうるものだ。このため大陸委員会は前述の姿勢を保持しながら、各関係機関が共に努力していくよう希望している。

問:香港が大陸に復帰してより、すでに半年たった。九七年七月一日以降、香港の変化に合わせた新香港政策に検討を加えただろうか。また、目下検討を加える必要はあるだろうか。大陸委員会は北京が香港に対してとっている「一国二制度」の推進状況をどのように見ているか。

答:第二の質問の「一国二制度」についてだが、北京はそれを「香港人による香港統治」、「高度自治」、「五十年不変」と解釈している。したがってわずか半年の経過によって今後四十九年の状況を論じることはできない。北京の言う「一国二制度」がどのように実施されるか、初期の評価をするにしても、二度ほどの立法会の選挙を見なければならないだろう。この半年間の状況に限っていえば、経済面と社会面については、北京の介入によって大きな変化は見られていない。

 だが政治面においては、香港地区全国人民代表大会代表の選挙を少数の者で選出しており、われわれが理解している民主的な選挙によるものではなかった。立法会が将来、たとえば転覆や分裂の防止などに対し修正を加えるかどうか、現在のところ分析は困難だ。「一国二制度」は大きな実験であり、大陸の一党独裁と閉鎖的な体制が、香港の自由で開放的な法治体制とどのように交わるか、長期間見なければならず、相応の観察の時間が必要だ。最初の質問の、わが方の香港政策に検討を加える必要があるかどうかについてだが、香港と将来のマカオに対する政策は、すべて「香港マカオ条例」に定めている。香港の地位の変化に対してわが方が法制上の作業を進めるには、大陸地区の状況も見なければならない。われわれは、これまでの自由往来が持続するよう望んでおり、また以前よりも交流が進展することも願っている。

 この基本的精神において、わが方の香港駐在機関の業務、ならびに香港市民へのサービス提供などが、いままでどおり安定的に進展するようにわれわれは研究している。香港政府にまだ大幅な改善は見られないが、双方の経済貿易、観光、文化交流の強化が今後望まれる。香港事務局の香港駐在員における香港市民へのサービスをいかに拡大し、台湾と香港の関係を強化するかだが、これにはまだ発展の余地はある。

問:「台湾地区と大陸地区人民関係条例」第九十五条によれば、両岸の「三通」(直接通商、通航、通信)実施の議題が、もし立法院で可決されたなら「三通」は即実施されることになっているが、このとき「国家統一綱領」に定めた中期段階の位置付けによる拘束はあり得るか、政府はどのように対応するか。政府は「三通」の議題に対し精神的な準備をしているか、両岸交渉が再開された場合、この議題は交渉の対象となるだろうか。

答:われわれは、過去に論議された現有する議題はまだ解決されておらず、これらを継続して協議し、解決すべきだと認識している。当然新たな議題も出されようが、将来必ず双方が共に関心を持っている議題から、段階的かつ実質的に協議が進められなければならない。 「三通」問題についてだが、「国家統一綱領」のほかにも、九六年末の「国家発展会議」において「両岸三通問題は、安全と互恵の原則において、時期の成熟したときに協議し解決する」とのコンセンサスを得ている。わが方はすでに海外海運センターを始動させており将来安全が保障された状況下に互恵の原則によって協議し、国民のコンセンサスを得たい。立法院も安全問題が解決されたなら、互恵の原則によってこの議題を論議することになろう。    (完)
《行政院大陸委員会・1月1日》


1997年中華民国・台湾国情統計㊤

  1、国際関係状況

①外交関係のある国:29カ国(1998年1月2日)
 アジア4カ国、欧州1カ国、アフリカ10カ国、中南米14カ国
 ※そのほか、フィジー、バヌアツ、パプアニューギニアと相互承認書にサインをした

②中華民国駐外機関:131カ国(1998年1月2日)

大使館29カ国、総領事館3カ国、代表処62カ国、事務所37カ国

150カ国以上の無国交国とも経済、貿易の往来がある。また63カ国の無国交国に99カ所の代表処と事務所を設置しており、13カ所は「中華民国」の名称を使い、79カ所は「台北」、他は「中華旅行社」を使用している

③外国の駐華機関:大使館15カ国、駐華機関51カ国

④国際会議参加回数:政府間149回、非政府間1308回(1996年)

⑤国際活動参加回数:政府間1回、非政府間521回(1996年)

⑥国際組織加盟数:政府間12機関、非政府間917機関(1997年10月)

⑦1996年会計年度対外援助総額:

  同期のGNPに占める割合0.085% 
  同期の中央総予算に占める割合0.54% (1996年)

⑧1997年年会計年度対外援助総額:

  同期のGNPに占める割合0.074%
  同期の中央総予算に占める割合0.51% (1997年)

2、重要社会指標

①人口:2161万5000人(1997年9月)

②男女人口比:男性:女性 105.8:100(1996年)

③人口密度:598.5人/平方キロメートル(1997年6月)
  世界第2位、バングラデシュに次ぐ

④平均寿命:男性72.0歳(1996年)  女性78.0歳(1996年)

⑤就業率:合計58.44%(1996年) 男性71.13% 女性45.76%

⑥失業率:2.60%(1996年)

⑦犯罪率:809.1人/10万人(1996年)

⑧社会保険(国民健康保険)加比率:96.17% (1997年9月) 

⑨集会・デモ件数:3577件(1996年)

⑩政党数:84党(1997年11月)  A主要政党名、B存在年数、C主席

 A中国国民党、 B103年(1929年11月24日~)、 C李登輝
 A民主進歩党、 B10年(1986年9月 28日~)、 C許信良
 A新党、 B4年(1993年8月22日~)、 C周陽山

⑪宗教団体数:13団体(1997年11月)

 ・主な宗教および信徒の割合(1995年)
  仏教44%、道教35%、天主教3%、基督教4%、回教0.5%、一貫道8%、その他5.5%

3、重要経済指標

①経済成長率:5.7%(1996年)

②国内総生産(GDP):2730億5000万ドル (1996年)

③国民総生産(GNP):2751億4400万ドル   (1996年) 

④1人あたりのGNP:1万2872ドル(1996年) 

⑤中央政府予算

 1997年度中央政府予算
  総収入=1兆409億元(約4兆1636億円)
  総支出=1兆1943億元(約4兆7772億円)
  赤 字=1534億元(約6172億円)

 1998年度中央政府予算
  総収入=1兆1206億元(約4兆4824億円)
  総支出=1兆2435億元(約4兆9740億円)
  赤 字=1229億元(約4916億円)

⑥国民貯蓄がGNPに占める割合(貯蓄率) 25.0%(1996年)

⑦国内投資総額がGNPに占める割合(投資率) 21.2%(1996年)

⑧最高所得家庭の最低所得家庭に対する倍率 5.38倍(1996年)

⑨消費者物価指数増加率:3.1%(1996年)

⑩卸売物価指数増加率:-1.0%(1996年)

⑪外貨準備高:857億5200万ドル(1997年9月)  世界第4位

(第1位:日本=2255億6900万ドル  第2位:中国大陸=1340億7000万ドル  第3位:香港=881億ドル)

⑫貿易総額:2183億ドル(1996年)  世界第15位

⑬輸出入貿易増加率:1.4%(1996年)

⑭中華民国の輸出入品目(1996年)

 ●輸出品目
  工業製品:96.5%  農産加工品:3.1%  農産品:0.4%

 ●輸入品目
  農工業原料:69.0%  資本設備:17.9%  消費雑貨:13.1%

⑮華僑および外国人の台湾投資統計(1996年)

 華僑:A件数=52件、B金額=1億7045万1000ドル
 外国人:A=448件、B=22億9038万5000ドル
 合計:A=500件、B=24億6083万6000ドル

⑯対外投資および対外技術協力統計(1996年)

 対外投資:A=470件、B=21億6540万4000ドル
 対外技術協力:A=1件

⑰各職種別人数と就業人数全体に占める割合

 工業:A就業人数=339万9000人、B就業人数全体に占める割合=37.5%
 サービス業:A=475万1000人、B=52.4%
 農業:A=91万8000人、B=10.1%

⑱100人あたりの自動車保有台数  24.2台(1997年9月)

⑲出国人数:延べ571万3000人(1996年)

 ◆出国者の外国での消費総額:64億9300万ドル (1996年) 

 ◆来華した旅行者数:延べ235万8000人(1996年) 

(以下次号)


第四回憲法修正に対する分析②

長期的安定の基礎を築いた憲政改革

    台湾大学政治学科教授  包宗和


 李登輝総統は九七年七月二十一日、国民大会に対して提出した国情報告において、以下の三点を指摘した。すなわち、台湾の政党政治はすでに成熟に向かっていること、今回の憲法修正における「省レベルの自治選挙の凍結」および「立法院の行政院長に対する同意権の取り消し」の通過によって国家は長期的安定の基礎を築いたこと、またこれは政府の国家重大建設の推進に大きなプラスとなるということである。

 国民大会における憲法修正には四分の三の賛成が必要なため、どの政党もこうした多数に達していない現状のもとでは、政党間協力は避けられない状況にあった。しかし、政党にはそれぞれ自らの政策やイデオロギーがあり、先入観や偏見を捨てなければ協力し合うことはできない。今回の憲法修正が少なからぬ成果をあげることができたのは、政党が一時的に理念の違いを超えて協力し合うことができたところに大きなカギがある。今回、政党が協力して憲法修正をおこなったことは、政党政治の良好な運用という面から見ると、民主政治のプラス方向への発展といえるだろう。

 民意と国情という点から言うと、中華民国の総統が「実権のない元首」ではないということは明らかだ。また立法院の将来の発展について考えると、どの政党も過半数に満たないという事態はつねに起こりうる。総統が実権を持つ以上、行政院長が与党から出ているかどうかは非常に重要である。従来の憲法では、立法院が行政院長任命に対し同意権を有していたため、三党(国民党、民進党、新党)がいずれも過半数に達しない場合、行政院長人事に混乱が生じ、総統と立法院の対抗という憲政の危機も避けられない状況にあった。

 今回、立法院の行政院長に対する同意権を取り消したことによって、少なくとも行政院長人事に関して大きな問題はなくなった。しかしながら、もし総統の行政院長任命に重大な問題があったり、立法委員の多数意見をまったく考慮しなければ、立法院の内閣に対する不信任案提出という圧力に直面することになる。さらに議案差し戻しの「敷居」が低くなっていることにより、立法院の行政当局に対する牽制力が大幅に増大することが考えられ、さらに総統は受動的な立法院解散権しか持たないため、行政院長の任命には、立法院の構成や意見を考慮しないわけにはいかなくなる。

 また、総統の受動的な立法院解散権は、立法院が政治性を欠いた角度から軽率に内閣不信任案を提出することを防ぐことにもなる。言い換えれば、立法院の不信任案提出権であれ総統の立法院解散権であれ、民意の支持なしに好き勝手に行使することなどできないということだ。よって、憲法修正後の政治体制は、なおも「権利と責任の合致」という精神を体現していると言えるのだ。

 行政組織の簡素化は、行政効率を強化し、国家支出を節約するものである。また、台湾省の行政区域は、中華民国が現在管轄する国土と九八%が重複しており、このため、一つの国家に広範な民意の基礎を持った二人の政治家が同時に存在し、対抗することは避けがたく、政治倫理を損なう結果を生み出している。よって、行政組織の簡素化は、中央体制の調整同様、国家の長期安定の基礎を築くためなのだ。ただ、政府が台湾省に所属する職員の権益を守ることは絶対に必要である。

 李総統は国情報告の中で、今後政府は経済、社会、国防面での建設に力を尽くすこと、国際関係の開拓および両岸関係の改善について非常に大きな期待を抱いていることに触れた。李総統は、さらに「中華民国は建国以来一貫して存在し続けており、独立を追求する必要などない。わが国の長期目標は『自由・民主・均富』の統一された中国を建設することにある」と重ねて表明した。政府が民主憲政を実現し、両岸関係に心を砕き、国際社会に目を向けていけば、国家発展の道のりがいかに困難であっても、いつかは明るい日が訪れるに違いない。 (以下次号)  《行政院新聞局・97年11月》


《行政院新聞局・97年11月》


宝島あれこれ 


お客様は台湾から

 このところの円安は、日本人の海外旅行熱に少なからず水をさしているようだが、海外からの観光客は、逆に一時期より日本に来やすくなった感がある。さて、日本の旅行業界にとって、一番の「上客」はどこの国の人なのだろうか。

 統計によると、一九九六年に台湾から日本を訪れた人は、のべ七十二万人で、韓国からの九十二万人に次いで第二位であった。しかし、韓国の場合、観光のための訪問は三〇%にすぎず、それ以外の七〇%はビジネスか親族訪問が目的である。一方、台湾からの訪問者は、実に七〇%が観光客であり、こうして見ると、台湾は日本にとって、いわば「観光客の輸出国」と言えるだろう。

 こうしたことから、昨九七年秋に台北でおこなわれた「台北国際旅行展」には、日本からは四十四の観光団体と六十四の旅行業者からなる大規模な代表団が参加した。日本のテーマ館も、全参加国の中で最大規模で、日本の旅行業界の台湾市場に対する熱い期待がうかがわれる。

 また、昨九七年一月から十月の間に、台湾を訪れ宣伝活動をおこなった各都道府県の訪問団は百十一団体に及び、こうした熱烈なラブコールに台湾側の関係者も驚きを隠せないようすだ。

 日本観光協会事務所の村上仁所長によると、最近の台湾からのツアーは、「地域限定、短期間」という傾向にあるそうだ。台湾では、九八年から隔週週休二日制が導入されることから、週末を利用した日本へのツアーがますます増えることが予想され、日本の観光業界にとっては、まさに大きなビジネスチャンスである。

 現在、台湾との間に直行便があるのは、福岡、大阪、名古屋、東京、那覇の五都市であるが、今後これらの都市と近隣の観光地とを組み合わせた短期間のツアーが続々と登場する予定で、台湾の観光客にとっては選択の幅が大きく広がりそうだ。
《台北『中国時報』97・11・8》

 

合言葉は「マサル」

  台湾最南端のリゾート地・墾丁で、最近「マサル」という言葉がはやっている。

 「日本人の男の子の名前?」と誤解してしまいそうだが、実はパイワン族のあいさつで「ありがとう」の意味。昨九七年初め、墾丁国家公園が主催した「墾丁地区あいさつ言葉ランキング」で、トップに輝いたのがこの「マサル」で、ホテルの中には、電話を受けた第一声が「マサル!」というところもあるそうだ。

 いきなり「マサル!」と声をかけられて面食らう観光客も少なくないらしいが、関係者の間では、覚えやすく響きがいいことから、ハワイの「アローハ」と同じように有名になるよう期待が高まっているとか。
《台北『中国時報』97・10・31》

台湾情報機器産業 発展へのシナリオ

     『聯合報』東京特派員  王 淑珍


  ハイテクアイランド目指す

●高付加価値産業を全土展開

 台湾の“シリコンバレー”新竹科学工業園区(新竹科学工業団地)は、台湾の経済発展に大きく貢献してきた。昨年、台湾政府は、新竹に続け、と約二十カ所の「ハイテク工業団地」の建設計画を発表した。台湾全域にハイテク工業団地を広げて、二〇〇〇年までに台湾の産業構造をハイテク、高付加価値産業に転換させ、「ハイテクアイランド」を目指している。

 現在、新竹科学工業団地には約百八十社のメーカーが進出。年間総生産高は四千五百億台湾元(一台湾元=約四円)に達し、台湾の工業生産高の五%を占めている。生産高は二〇〇〇年までに一兆台湾元になり、台湾の工業生産高に占める割合は二〇%に達し、従業員も三万から十万人に増えるとみられている。

 半導体やコンピューターメーカーが九割以上を占める新竹科学工業団地の九五年の平均収益率は、台湾の製造業平均の四.六二倍と高く、台湾を代表する高付加価値産業の集積地となっている。新竹科学工業団地に進出した企業が成功を収めた最大の要因は、台湾政府が工業団地開発の資金をすべて負担し、メーカーに用地を貸している点だ。

 このため、ハイテクメーカーは、極めて安いコストで工場を建設できた。また、効率的なサービスを提供するため、団地内に行政サービス総合窓口を設け、融資、為替取引、税務申告、通関、会社設立や工場建設などの審査、手続きを工業団地の中でおこなえるようにした。手厚い優遇政策もある。「新竹科学工業団地管理条例」により、工業団地内のメーカーは進出当初の五年間は免税となる。法人税の税率も二〇%と他の工業団地などに比べ五%低い。八三年から九五年までの同工業団地の免税額は百八十三億台湾元にものぼっている。

●新時代を狙う台南と南港

 現在、新竹科学工業団地は満杯で、これ以上拡大できない状況だ。このため台湾政府は、台湾全土の均衡ある発展を目指し、新しいハイテク工業団地建設計画を決めた。新しいプロジェクトの中で、もっとも注目されるのは台南科学工業団地と南港ソフト工業団地だ。二つとも新しい時代にふさわしい工業団地と考えて設計した。

 台南科学工業団地は二〇一〇年の完成時点で、百三十社のハイテクメーカーが四万人科学技術者を雇用し、年間総生産高は九千億台湾元になると予測されている。総面積は六百五十ヘクタール、半導体、生物化学技術、電子・精密機器などの産業を誘致する計画だ。新竹科学工業団地に進出しているエイサー、聯華、太平洋電線電纜、華邦電子など大手メーカーはすでに、台南科学工業団地に進出することを決めている。 台南科学工業団地は、新竹科学工業団地に次いで台湾の経済発展のけん引役になると期待されている。

 台南科学工業団地計画が発表されたとき、当時の工業局長(現経済部工業担当次官)の伊啓銘氏は「新竹科学工業団地は歴史的な役割を達成した。今後は台南科学工業団地が新しい科学技術で新しいページを開いていく」と強調した。

●政府が研究開発環境も整備

 昨年、国家科学委員会の謝長宏副主任委員は米国を訪れ、華僑技術者向けの説明会を開いた。このなかで、台南科学工業団地の特徴は、産業界と大学研究機関が提携して技術開発を推進し、「新竹科学工業団地」のように台湾政府がインフラを提供するだけではなく、研究開発環境も整える点にあると話している。

 ソフトウエアの面では、「南港ソフト工業団地」はじめ三つのソフトウエア工業団地をつくる予定だ。「南港ソフトウエア工業団地」は着工中で、九八年に完成する。台湾全体では今後、合計三千二百九十四ヘクタールの工業団地が建設される。それらがすべて完成すれば、台湾の産業構造はハイテクを主体とするものになりそうだ。

政府関連団体の一部民営化

●ハードウエアの十分の一規模 

台湾のソフトウエア産業に最近、大きな動きがあった。台湾経済部(通産省に相当)の外郭団体である台湾情報機器産業促進会が、台湾最大のソフトウエア開発会社「拓宇科技」設立を決定したのだ。

 台湾のソフトウエア産業の九五年の生産高は四百億台湾元(一台湾元=約四円)で、ハードウエアの生産高の十分の一の規模にすぎない。しかし、世界の情報機器産業の流れからすると、ハードウエアは製品の標準化が進み、利益が減少する傾向にあることから、ソフトウエアの重要性がますます高まるとみられている。

 ソフトウエア開発企業の中にもコンピューターウイルス対策ソフトのリンク科技、コンピューター画像・文字ソフトの華康、友立などは売り上げの五〇%以上を輸出で占めており、国際化が進んでいるところもある。だが、国際市場で台湾のハードウエアが高い地位を占めているのに対し、台湾製ソフトウエアは台湾市場向けがほとんどで、国際市場で通用する製品は少ないのが実情だ。台湾のソフトウエア産業が弱いままでは台湾の情報機器産業全体の発展に大きな障害になる、との危惧が台湾産業界に広がっている。このため、経済部は、政府をあげて育成してきた「台湾情報機器産業促進会」の一部の民営化を決めた。

 同促進会の中で、最も利益をあげているのはネット、研究開発、製造開発の三つの部門で、数百人ソフトウエアのエンジニアを抱えている。この三つの部門と数百人エンジニアを新会社「拓宇科技」に移す。

●企業規模拡大三分野にマト

 台湾のソフトウエア産業が弱い原因の一つは、企業規模が小さいことにある。資本金が数百万台湾元から数千万台湾元がほとんどで、一億台湾元を超えるのは十社程度だ。「拓宇科技」の資本金は一億台湾元とみられており、台湾情報機器産業促進会の社員のほか、裕隆、三光行、神達、中鋼など大手企業も出資する。新会社の業務は、国際ネット、企業内部のネット、金融ネットサービスの三つの分野のシステム開発が主になる。一方、経済部工業局は、ソフトウエア産業の構造改革を進めるため、九六年七月に「ソフトウエア産業の生産効率を高める五カ年計画」を打ち出した。

 二〇〇五年のソフトウエア産業の生産高を三千億台湾元と予測し、台湾のソフトウエア産業が世界のトップテンに入ることを目指した政策だ。今後五年間に、①ソフトウエア開発専業八十社と情報機器メーカー三百社の支援をする②台湾のソフトウエア開発の上位三十社が台湾株式市場に上場できるよう「情報機器産業促進会」と「台北市コンピューター組合」が共同で指導、支援する③ソフトウエア開発企業が不動産などの担保がないからの理由から株式市場ですら資金調達するのが難しい状況にあることを改善するため、政府は「第三類株式ハイテク事業審査重点法」を見直す-の三つの施策を展開する。

●専門工業団地に外貨を誘致

 このほか、ソフトウエア産業を育成するため、台湾政府は台北市郊外の南港で、年末の完成に向けて台湾初の「ソフトウエア工業団地」の建設を進めている。南港に続いて「台中ソフトウエア工業団地」と南部ソフトウエア工業団地」も建設する。 三つの「ソフトウエア工業団地」には台湾政府が積極的に海外の大手ソフトウエア会社を誘致する計画だ。台湾のソフトウエア産業にインパクトを与えるとみられ、台湾政府のソフトウエア産業振興策にも力が入りそうだ。     (以下次号)
《東京『日本工業新聞』97年8月18日、9月1日より原文通り転載》


お知らせ

中正堂会館映画鑑賞会

●二月の上映予定(入場無料)
日時 2月21日(土)午後一時半~
☆記録映画『中国工芸之美』
☆劇映画『黒皮與白牙(色黒と白い歯)』87年 99分
 監督:楊立国 主演:張瓊姿、李立群、蕭紅梅ほか(英語・中国語字幕)

[性格も境遇も違う幼なじみの三人の少年と、その一人、内気な敏傑がひそかに憧れる「黒皮」と「白牙」というあだ名の二人の少女。成人後、刑事になった敏傑は、他の四人と意外な「再会」をするが…]

会場 中正堂会館(港区南麻布5-10-25 ℡03-3473-2333)
地下鉄日比谷線広尾駅三番出口より徒歩一分

中国語教室生徒募集
(詳細はお問い合わせください)

●中山中文班
期間 四月より毎週一回一年間
会場 中正堂会館(地下鉄日比谷線線広尾駅三番出口徒歩一分)
時間 (入門)二十名 小学生以上  水/16:30~18:00
    (一般)若干名   火または木/18:30~20:00
問合せ 東京中山学会     03-3473-2333(周)

●台湾ファンの会
期間 毎週土曜日計十回
会場 日華資料センター3階(港区三田5-18-12)
時間 (初級)9:00~10:30
    (中級)10:40~12:10
問合せ 日華資料センター     03-3444-8724


「報禁」解除後の台湾マスメディアの動向
―活字メディアの場合―
澁 澤 重 和 


Ⅳ報禁とその解除(続)

 第一点の登記制限は、新たな登記が認められないという意味であって、すでに登記ずみの新聞社を買収することは認められた。また、一九六〇年にも七社の登記が許可されている。ただし、これを最後に新規の登記は一切認められず報禁が解除される一九八八年までの二十八年間、日刊紙三十一紙体制が続いた。この三十一紙には党や政府や軍の機関紙が七紙含まれている。国民党中央委員会の機関紙の中央日報、前述のように国民党台湾省党委員会の機関紙の中華日報、台湾省政府の機関紙の新生報、国防部の機関紙の青年日報、忠誠報、金門日報、馬祖日報である。三十一紙といっても、機関紙七紙に夕刊紙六紙と経済紙(経済日報、工商時報)、スポーツ紙(民生報)、英字紙(中国郵報、英文中国日報)などの専門紙六紙を除くと民間資本による朝刊紙は十二紙という計算になる。

 台北では十五紙が発行されていた。首都で発行されている新聞は、とくに朝刊紙の場合は、全国紙としての役割を担う結果となるのがどこの国でも一般的だ。十五紙のうち朝刊は十二紙。この中から党営二紙、省営、軍営各一紙、専門紙六紙を除いた、つまり民間資本による一般紙は中国時報(一九五〇年創刊)と聯合報(一九五一年創刊)の二紙しかなかったということになる。 林慧兒は一九八五年に発表した論文の中で「三十一紙のうち、聯合報と中国時報がもっとも大きく、両社だけでそれぞれ百万部に達する発行部数を持っている。これは全発行部数である三百五十万部の過半数を超す量であり、取材、広告、販売などの各面で、この二大紙は日本と同様、激しい競争を続けている」と述べている。二大紙時代である。

 ただし、この二紙にジャーナリズムが本来持っているべき権力に対するチェック機能を期待することはできなかった。それは二紙を発行している新聞社の経営首脳の体質からくるものだといってよい。

 聯合報は黄埔軍官学校出身の職業軍人である王暢吾が創設した新聞である。一九五〇年に副師団長(大佐)で退役して、まず民族報の社長に就任した。その翌年、全民日報、経済時報の二紙と合併して聯合報とした。「六〇年代に聯合報は社会ニュースを中心に紙面をつくったが、大衆的な紙面は省政府や国民党などの機関紙の堅い紙面にものたりなかった一般の人気を勝ち取り」部数を伸ばした。かたや中国時報を創刊したのは、抗日戦時代に中国青年軍政部主任をしていた余紀忠である。「台湾に渡ったあと経済専門紙の徴信新聞をはじめ一九七〇年に中国時報と改題したあと、文芸欄、家庭欄の拡充につとめ、これが読者の時代的要求とマッチして急速に紙数を増やした」。

 王暢吾、余紀忠の二人は、ともに国民党中央委員でもあった。一九七九年には蒋経国主席を長とする国民党の最高機関である中央常務委員会のメンバーに迎えられている。それぞれ聯合報グループ、中国時報グループを築き上げた二人のオーナーだが、ともに蒋介石軍とともに大陸から渡ってきたいわゆる「外省人」であって、政権と強力なパイプがあったことは容易に推測できる。そうした環境が新聞社の経営にとっても有利に働いたであろうし、そのことは逆に新聞社の体制批判の矛先を鈍らせることにもつながったのではないか。

 一九八七年七月、戒厳令が解除される。そして、一九八八年一月一日を期して「報禁」も解除となった。「報禁」解除の理由としては「対外的に民主化イメージを打ち出す必要があるほか、①マスメディアの多元化、商品化が進み、統制が困難となった、②売れ行きの悪い官営紙による財政窮迫―からだ」という見方が一般的だ。だが、「報禁」解除の土台となった戒厳令の解除そのものが、台湾経済の発展に伴って社会が安定したという背景を無視しては語れないと考える。

 「報禁」下であっても、国民党批判の姿勢をとる新聞がまったくなかったわけではない。一九四七年に創刊され台北で発行されていた夕刊紙自立晩報がそれである。戒厳令こそ解除されたとはいえ、親族の大陸訪問がまだ解禁されていなかった一九八七年九月(解禁は十一月)自立晩報は二人の記者を東京経由で大陸に派遣した。政府の許可は得ていなかった。二人の記者は反体制派知識人の方励志へのインタビューや各地のルポを送稿した。この中華人民共和国が成立して以来初めての試みは大成功となり、部数が伸びた。そこへ「報禁」の解除とタイミングが合ったため、新たに朝刊を創刊して二大紙に挑戦状をたたきつけた。これに聯合報、中国時報の側は逆にそれぞれ聯合晩報、中時晩報という夕刊紙を発刊して応じた。まさに「新聞界は激しい生き残り競争の時代に入った。新聞は十二頁建てに制限されていたが、政府当局はこれを二十四頁建てに拡大した。すでに二十四頁建ての過当競争が展開されている」という状況になったのである。

Ⅴ新聞界の現況

  三十一社(実際には一社が倒産していたので三十社)体制で迎えた「報禁」解除だったが、現在、登記している新聞社の数については、さまざまな数字がある。一九九六年版『中華民国総覧』は「一九九五年末には三百八十五社」とし、日本経済新聞は「現在、当局に登記している新聞社は二百七十四社」と報道している。行政院新聞局副局長の顔栄昌は今回のヒアリングに「現在は三百数社に上る」と説明した。実際に新聞を定期発行しているのは半分以下とみられるにしても、新聞の発刊が自由化されたことを証明する数字だといえる。総発行部数は「五百万部以上の新聞が購読されている」「一九九五年の調査では四百八十万部程度と推測される」ので、約二千百三十万の人口に対し四人に一人という普及率となる。これはアジアでは日本に次ぐ数字である。

 「報禁」下の新聞界は二大新聞全盛だったが、「報禁」解除十年後の一九九七年にその勢力図はどのように書き換えられたのかを判断するためには、台湾聯亜行鎖研究顧問股有限公司(SRT)の「昨日閲報率」が参考になる(表1)。「昨日閲報率」とは、「昨日よんだ新聞は何か」という設問への回答を集計したものだ。一種のアンケートだが各紙の発行部数の推測ができる。ただし、読んだとしても職場で読んだのかそれとも自宅で読んだのかについては問うていない。定期購読しているかどうかまでは、この数字からは浮かび上がってこない。日本では各紙の発行部数は日本ABC協会の考査部数で把握できるが、台湾では信頼性の高いABCシステムがないので、「昨日閲報率」を一つの目安とする。

 全部で十紙の一九九六年第一四半期から一九九七年二四半期までの閲報率が示されている。上の八紙が朝刊紙、下の二紙が夕刊紙である。民生報は聯合報グループが発行しているスポーツ・レジャー紙だが、日刊紙で四位につける閲報紙は、さすがにグループのドル箱といわれているだけのことはある。民衆日報は高雄市に本社のある日刊紙だ。また、聯合晩報は聯合報グループが、中時晩報は中国時報グループが発行している夕刊紙である。 こうしてみると、「報禁」時代の二大紙は依然として人々に読まれ続けている。しかし、トップの座には一九九六年の第二四半期から自由時報が躍り出た。  (以下次号)
《昭和女子大学近代文化研究所『学苑』第693号より原文通り転載》

 


春夏秋冬

 いまや世界は協調の時代であり、そのなかにおいて日本は対外関係を律する上で、世界に誇るべき一つの原則を持っている。かつて六〇年安保のとき、日本社会には対外的の行動を考える場合において、そこに「米帝」とか「死の商人」といったイメージが重なり、武器輸出は絶対にしないという原則を定着させた。このことは、非常に好ましいことだ。

 だがここで提起したいのは、鉄砲を持ったから人を殺せるというような単純なものではなく、経済援助でも多方面から周到に検討されたものでない限り、そこには原爆を与えるよりも恐ろしいことが起こりうるということだ。日本の当局者はこの重要な点について、見て見ぬふりをしているのではないか。

 日本の対外援助(ODA)の量は多く、それだけ世界への貢献も大きいと言うことができるが、その半分以上が中国大陸に費やされている。それに対してわれわれは異議をさしはさむものではない。要するに、中国大陸の経済構造を根本的に改善し、さらに教育水準を引き上げるというような、純然たる平和目的にそれが使用されるなら、日本の対中国大陸ODAには世界中がこぞって賛成するはずだ。アメリカのみならず、台湾の中華民国政府もそれには賛成しているのだ。

 ただし、それが別の用途に使われたらどうだろう。昨年十二月十九日に産経新聞の記者が李登輝総統に単独インタビューしたとき、李総統は「日本の中国(共)への政府開発援助(ODA)は慎重にしてほしい。幹線道路とか橋というインフラづくりへの資金投入は一体、どんな効果があるのか疑問だからだ。たとえば台湾に近い福建省での鉄道建設に日本がODAを提供するような場合、その鉄道はミサイルさえ運べるから、いざという際の中国側の台湾に対する軍事攻撃能力の増強につながる」と述べている。

 そうした事態は、大陸からの脅威に常にさらされている台湾の中華民国にとっては、死活問題となるのである。ここでさらに声を大にして呼びかけたいのは、もし北京にそういう計画があるとするなら、日本の政界や財界、官界は慎重に対処しないと、アジアで唯一の親日国家である台湾の中華民国が、結局は日本の無思索なODAによって反日に転向し、日本は有形無形の大きな損害をかぶらなければならなくなるということである。

 羊飼いは状況判断によって狼が来る前にツノブエを鳴らし、周囲に危険を知らせる。ここにおいてわれわれは、日本の各界に強く警鐘を鳴らしつづけたい。      (CY)



新 刊 紹 介 


『七つの中国』   王文山=著、金美齢=訳

 共産中国は建国以来「中華民族の統一」と「失われた版図」の回復を目指し「富国強兵」の道を邁進している。だがこれは、数千年来の大陸王朝が興亡と戦乱のなかに幾度となく繰り返されてきたことだ。現代の「共産王朝」だけがこの歴史を免れる保障はどこにもない。この「天下大乱」と「群雄割拠」の歴史のなかで、常に苦しむのは何千万という無名の人々である。そこで筆者は中国人がこの苦しみから逃れるために、大中国ではなく「七つの小中国」を提議する。本書はその現実性を余すところなく説き、金美齢氏の名訳がその本意を正確に伝えている。 (文芸春秋刊 ¥1238+税)

 なお『中華週報』の読者に本書を先着順五十名様に贈呈いたします。日華資料センターにFAXで読者ナンバー、住所、氏名、電話番号を明記の上お申し込み下さい。 FAX〇三(三四四四)八七一七