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  台北週報2111号(2003.9.11) - 台北駐日経済文化代表処 Taipei Economic and Cultural Representative Office in Japan :::
主要ニュース
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台北週報2111号(2003.9.11)

台湾の出路を見出す元首外交の推進
民主と人権は中国の包囲網打破に大きな力

●十一月にふたたび元首外交

 「第四回中華民国と中米・ドミニカ共和国サミット」において、陳水扁総統の十一月の中米友好諸国訪問が決定した。これは陳総統にとって四度目の外遊になる。元首外交は実務外交の拡大に前向きな意義があり、同時に国際社会に対し、台湾が成熟した民主主義国であり、自由経済の高度に発達した国であることを広く知らせるのに効果的である。

 困難な外交環境において、どのように積極的に友好国との絆を強化し、国際関係を開拓していくかは、台湾にとって重要な課題であり、全民外交、民主外交、人権外交、それに国際協力がメインとして進められている。また台湾外交の現在での主たる目標は、国際社会で「正常な国」としての待遇を受け、各国と政府高官の相互訪問、政府間交渉、条約締結、兵器の輸出入、安全保障対話の制限を緩和するところにある。

 台湾と中米友好諸国との関係は、台湾が国際社会に参入する上に大きな力となっている。国連においても、これら友好諸国の提議によって、両岸関係は徐々に国際社会の注目を集めつつある。現在まだその目的は達成していないが、国際社会はすでに両岸が分治され、中華民国(台湾)が主権独立国家であることを認識しており、台湾が各国に技術チームを派遣し経済発展に協力していることは、それらの国々から高く評価され、感謝されるところとなっている。

 陳総統は就任以来、両岸関係の安定と平和に努力しているが、中華民国(台湾)が主権独立国家であることを実証するためには、起ち上がり、積極的に海外に出て行かねばならない。中国が台湾の外交の場を圧迫し続けている今日、世界に台湾の存在を示すのに元首外交は最も効果的な手段となる。中国の台湾に対する圧力は強まりこそすれ緩和されることはなく、台湾はなおいっそうこの方面への努力を強化しなければならない。台湾が主権独立の信念を強く持ち、民主、自由、平和の信念を固く持っていることを国際社会に知らしめてこそ、中国の包囲網を打破し、国際社会の中で生存の場を確保し拡大することができるのである。

●民主と人権こそ台湾の力

 今回の中米とのサミットは第四回目になるが、これらの場を通じて世界に対し、台湾が高度な民主政治を実施し、人権を保障し、中国とは明確に異なることを示すことは、中国の圧力を跳ね返す重要な鍵となる。

 台湾と中米友好諸国とのサミットは、一九九七年に李登輝総統(当時)がエルサルバドル、ホンジュラス、グアテマラ、ニカラグア、コスタリカ、ベリーズを歴訪し、エルサルバドルにおいて第一回目を挙行し、共同コミュニケに調印したのを始まりとする。各国ともこうした元首外交が相互理解および相互協力の促進に有益であることを認め、翌九八年に同サミットを二年ごとに定期的に行うことを決定したのである。第四回目となった今年は、ベリーズ、コスタリカ、エルサルバドル、グアテマラ、ニカラグア、パナマからは国家元首が、ホンジュラスからは副大統領が、ドミニカ共和国からは大統領府幹事長が台北に集まるという盛大なものになった。

 特に今回、パナマと自由貿易協定を締結したことは、台湾と中米地域との産業技術および経済交流の拡大を促し、さらに中米諸国がアジア市場に進出するため台湾が中継点となり、まさに双方の関係は新たな段階に入ったことを意味しよう。またもう一つの成果は、参加各国が台湾と「中米統合体」との関係強化を進め、さらに一歩進んで台湾が同機構に域外加盟国となることを支持し、積極的にその具体化促進に努力することを表明したことである。

 台湾と中米諸国との友好は、人道支援と経済相互協力によって成り立っているが、台湾が民主政治を実施し、人権を尊重し、国民の自由を保障していることも、民主化を進める中米諸国の参考例として大きく作用している。双方の民主と人権の理念が結合するところに、相互の友好強化ばかりでなく、中国の圧力を跳ね返す力が存在するのだ。

《台北『青年日報』8月25日》

台湾と中米の友好新たな段階へ

 8月21日、台湾は台北においてパナマと自由貿易協定(FTA)を結び、中米諸国と共同コミュニケに調印した。2005年に米州自由貿易区が成立するが、パナマはそのメンバーとなる国である。そことのFTA締結には、台湾と米州自由貿易区とを結びつけるという効果が期待できる。同時にそれは台湾にとって最初のFTAであり、今後他の国々との交渉においても好ましい参考例となるものであり、台湾がパナマにかける期待は大きい。
 
●パナマとのFTA正式調印

 八月八日に林義夫・経済部長とジェイコム・パナマ貿易工業相が台北で台湾パナマ自由貿易協定(FTA)締結共同コミュニケに調印したが、同二十一日、同じく台北において陳水扁総統とモスコソ・パナマ大統領が同協定書に調印し、台湾とパナマのFTAは正式に発足することになった。この協定は台湾とパナマの経済貿易関係が新たな段階に入ったことを示すとともに、台湾にとっては最初のFTAであり、今後の各国との交渉において重要な意義を持つものとなる(同協定の詳細については本誌二一〇九号参照)。

 陳総統はパナマとのFTA締結について、「両国のFTA締結は、台湾と中米諸国との多元的な友好関係が新たな段階に入ったことを示すものである」と表明した。

 このFTA調印式は、同日に開催された「第四回中華民国と中米諸国・ドミニカ共和国サミット」の席上で、参加各国元首および元首代行の見守る中に行われた。同サミットには陳水扁総統、モスコソ・パナマ大統領をはじめムーサ・ベリーズ首相、パイシェコ・コスタリカ大統領、フェラロス・エルサルバドル大統領、ポテユー・グアテマラ大統領、ポラニュー・ニカラグア大統領、ティアス・ホンジュラス副大統領、コロユー・ドミニカ共和国大統領府幹事長が出席した。

 同サミットでは参加九カ国の投資、貿易、観光、地域の連携等に関する問題について議論がかわされ、今後のいっそうの強化を進める共同コミュニケが調印された。またこの中で参加各国は、国際社会において台湾を支持することを改めて鮮明にした。同時に、陳総統とモスコソ大統領は両国のFTA締結が両国の新たな経済貿易関係の開拓につながる新里程標になると宣言した。

 二国間FTA締結後、陳総統は「グローバル化時代の到来に備え、米州地域では二〇〇五年に米州自由貿易区が成立する。これはヨーロッパ地域のEUとアジア太平洋地域のAPECに相当するものであり、台湾とパナマがFTAを締結したことは、中米諸国がアジア市場に進出する入り口となり、かつジャンプ台になることを意味する」と述べた。

 モスコソ大統領は「パナマにとって台湾とのFTA締結は、エルサルバドルとの締結に次いで二番目のものであり、台湾とは十年以内に九五%の貿易品目にわたって関税が減免される。これによって企業が大いに刺激され、貿易量が大幅に増えることは間違いない」と今後への期待を語った。同時に「パナマと台湾のFTAは、単なる経済に関する協定のみにとどまらず、両国の友好がさらに前進するための歴史的な大きな一歩である。これによって両国の各種交流はますます拡大し、両国国民の相互連動もいっそう高まることになろう」と述べた。

《台北『自由時報』8月22日》 

●将来に向けた大いなる開拓

 外交部は八月二十一日、台湾と中米およびドミニカ共和国とのサミットについて以下のプレスリリースを発表した。

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 「第四回中華民国と中米諸国・ドミニカ共和国サミット」は二〇〇三年八月二十一日、台北において開催された。このサミットにおいて、陳水扁総統は開幕冒頭において、台湾の政治経済情勢ならびに今回参加した各国との経済協力関係の現状について説明した。また、参加各国の元首および元首代行と経済貿易、安全保障、投資、観光、相互協力などの問題について意見を交換し、将来に向けての相互連携強化の方向について討議した。参加各国は友好協力関係をさらに強化することで合意し、各国元首ならびに元首代行は共同コミュニケに調印し、会議はとどこおりなく終了した。

 共同コミュニケ調印後、陳水扁総統とモスコソ・パナマ大統領は「台湾パナマ自由貿易協定」に調印した。これはわが国と外国が順調に協議し調印に到達した最初の自由貿易協定であり、陳水扁総統は同協定を高く評価するとともに、「今後友好各国との自由貿易協定締結が進み、中華民国と中米地域との技術交流、経済貿易往来がいっそう強化されることを望む」と表明した。また陳水扁総統は「今回のサミットにより、台湾が中米諸国にとってアジア市場への入り口となり、さらにジャンプ台となって台湾と中米諸国との多元的関係が新たな段階に邁進することを望む」と表明した。

 中米各国元首および元首代行は、中華民国と中米諸国との協調、ならびに「中米統合体」との協調と協力関係の永続的発展に賛成の意を表明し、さらにわが国が同地域組織の加盟国になることに努力することを明らかにした。同時にわが国が各種国際組織に参加することを継続して支持するとともに、わが国が国際社会の一員となることに協力することを改めて表明した。わが国は本サミットにおいて、各国と自由貿易協定を締結したいとの希望を重ねて表明し、各国元首ならびに元首代行は、適切な時期にわが国と協議を進めることに賛意を表明した。

 今回のサミットでは安全保障問題についても討議され、各国元首および元首代行は、今後どのように「反テロ」と「反禁止薬物」の活動を進めるかなどの面において広範な意見を交換するとともにコンセンサスも得られた。陳水扁総統は閉幕式典において「中華民国は国連加盟国ではないが、国連の決議を遵守し、世界平和と安全を維持するため尽力し、国際社会の一員としての責任を果たしたいと願っている。政府は反テロを重点政策の一つにしており、徹底的にテロリズムの陰謀を粉砕する」と表明した。

      【外交部 8月21日】

●台パFTAは今後への指標

 游錫堃・行政院長は八月二十七日「パナマとの自由貿易協定は、わが国がWTOに加盟して以来、最初の国際貿易経済協定であり、台湾と中米諸国の相互協力関係進展への新紀元となるばかりでなく、その他の国々との自由貿易協定締結の希望に向かっても大きな力となるものであり、わが国の世界貿易ネットワーク構築の目標にとって指標となる意義を持つものである」と指摘した。

 同時に「パナマは二〇〇五年に成立する米州自由貿易区のメンバーとなる国である。パナマとの自由貿易協定締結により、貿易の自由化、利便化、各種協力の三大領域において相互連動が進むだろう。わが国の企業にとってこの新たな情勢は、パナマとの関係を活用することによって米州市場に進出するためのジャンプ台になるだろう。グローバル化の過程において、今回のFTAが将来に向かう基礎となり、台湾と世界各国との経済貿易関係が積極的に強化されることを望む。ここに私は経済部に対し、立法院との意思疎通を図り、早急にこの自由貿易協定を批准するとともに、関連法規の修正を進めるよう指示した」と表明した。

 また、行政院のスポークスマンも同日、「台湾パナマ自由貿易協定は、両国の経済貿易の相互連動と友好強化という実質的効果のほかに、わが国が今後その他の国々と自由貿易協定を進め、世界貿易ネットワーク構築という政策を推進するのに有益であり、指標的な意義を持つものである」と表明した。

【行政院 8月27日】

「中華民国」は存在するかしないか

李登輝前総統、陳水扁総統らが各自見解表明

 ●「実質的に存在しない」

 李登輝前総統は、「台湾正名運動連盟」が八月二十三日に台北市内で開いた集会で挨拶し、「中華民国はすでに存在しない」と述べた。

 この中で李前総統は「中華民国」が実質的に存在しない理由として、「中華民国憲法は三十五省を統括すると定めているが、その中華民国はどこに存在するのか、どこにも見当たらない。根本的に存在しないからだ」と述べ、「台湾を『中華民国』といったような不正常な国家から正常な国家に変えなければならない。そのため現在最も重要なのは、アイデンティティーと正名(名を正す)であり、国家の名を台湾に正すことである」と強調した。また「台湾にはまだ旧体制、旧勢力が残っており、これらがかつて台湾を統治したが、そこに台湾のアイデンティティーはなかった」と指摘し、「蒋経国時代、蒋経国総統は中華民国と中国が並立することは不可能であることを認め、任期中に四百年前に台湾に移住したか五十数年前に移住したかを問わず、すべて『新台湾人』であると主張した。選挙の時、ある人々は手を上げて賛成しておきながら、その後はそうしなかった」と語った。

 さらに「『一つの中国』は台湾国民を騙すものであり、根本的にそのようなものは存在しない。選挙の時には『一国二制度』に反対し、後でまた『一つの中国』を叫んでいる者もいるが、根本的に『一つの中国』というような屋根はないのだ。これは中国と結託し、台湾アイデンティティーを崩そうとするものである」と指摘した。

 また李前総統は八月二十六日に台湾団結連盟の立法委員らと会見した時にも、「中華民国は存在しない。これは事実であり、私が総統在任中『台湾における中華民国』と述べ、退任前にも『二国論』を提示したのは、ただわが国の現状と事実を述べたにすぎず、退任した今日、この事実をさらに声を大にして言わねばならない」と述べた。

 同時に「中華民国が国連を脱退してから、国際上の地位は中国に取って代わられた。国際社会で中華民国は一般的に承認されなくなった。中華民国憲法は南京で制定されたものであり、台湾を主体とはしていない」と、憲法の一部修正や追加ではなく新憲法制定を主張した。

《台北『自由時報』8月24・27日》

 ●「まだここに存在する」

 李登輝前総統が八月二十三日に「中華民国は存在しない」と発言したことが甲論乙駁を呼ぶところとなったが、陳水扁総統は翌二十四日、台南市立芸術センターでの「総統教育賞」授与式に出席し、センターから出てきたところで記者団から「中華民国は存在するかしないか」と質問され、笑いながら「まだ存在する」と答えた。さらに記者団が「どこに存在するか」と質問したことに対し、やはり笑顔で「ここ(台湾)に存在する」と答えた。

 なお、訪米中の馬英九・台北市長は同日、ニューヨークで「中華民国が存在するかしないかは客観的事実の問題であり、多くの人が中華民国は確実に存在することを知っている。中華民国は言論の自由な国であり、法を犯さず、他人の自由を侵害しない限り、一人ひとりが言論の自由を持っている。だから李登輝氏が何を言おうと、それは彼の自由だ」と語った。

 李応元・民進党副秘書長は同日、「李登輝前総統の談話は、国家の主体性がないことに対する憂慮の念からのものであり、中華民国は実際に国際上困難に遭遇しているが、陳水扁氏は憲法上、中華民国の総統であり、民進党は両岸が『一辺一国』であることを認めており、党は李登輝前総統の談話を十分に理解しており、反駁することはない」と表明した。さらに「台湾は主権独立国家であるが、国名が改正される前はやはり中華民国であり、民進党はこれが一種の妥協の産物であることを理解している。民主国家は体制や国名の問題を討論することが許されているが、李登輝氏の主張に反対する人でも、台湾の前途に対する氏の憂慮は否定できないはずだ」と述べた。

《台北『中国時報』8月25日》

ニュース  

中国はやがてバブル崩壊へ  台湾発展に大きなチャンス

 中嶋嶺雄・前東京外語大学長は八月十五日、台湾の「李登輝学校」に講師として招かれ、「日本から見た台湾の将来―中国の新体制と両岸関係」と題した講演を行った。この中で中嶋氏は、中国の変わらぬ政治体制、軍部を掌握したままの江沢民の存在、深刻な農業問題、失業者の増加、粉飾された中国経済の実態などの問題点を取り上げ、「二〇〇八年の北京オリンピック開催、〇九年の三狭ダム竣工、一〇年の世界博覧会開催というこの時期に、中国は非常に大きな危機に直面するだろう。外向けに粉飾された政府発表の経済が崩壊すれば、中国経済はバブル化の運命をたどることになり、中国に投資しているすべての外資企業がその影響をまともに受け、中国経済とともに崩れ去ることになろう」との予測を示し、日本や台湾の中国進出企業は事前に対応策を考えておかねばならないと警鐘を鳴らした。

 また台湾の国内問題については、「陳水扁政権と台湾本土派の連携は当面の台湾にとってもアジアの将来にとっても必要なことだ」と指摘し、、台湾が危機を乗り切るためには「国民投票の推進と台湾アイデンティティーの貫徹が必要だ」と述べた。同時に「陳水扁総統の再選、現政権の継続という条件下に国民投票は実現できる」と指摘し、「そうしてこそ多くの難問を解決することができるのだ」と強調した。さらに、国名変更には立法委員四分の三の同意が必要であり、これについて陳総統も「困難」を表明していることを明らかにし、台湾の選択として憲法改正の必要性を強調した。この上で中嶋氏は「台湾が国名変更に成功すれば、中華世界の大改革を誘引し、多くの事情から見て、台湾が中華世界多元化の鍵を握るところとなり、平和的に、また世界注視のなかに台湾は大いなる前途に向かって進むことになろう」と指摘した。

 軍事関係については「もし中国が台湾に対し軍事行動をとったなら、米国は座視しないだろうし、中国はフセインと同じ運命をたどることになろう」と語った。

  《台北『台湾日報』8月16日》

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蕭万長・経済顧問が訪日  日本との実質関係強化に努力

 国民党副主席で総統経済顧問小組召集人(委員長)を兼任する蕭万長・元行政院長は八月十八日、亜東関係協会科学技術委員会主任委員の身分で、蔡清彦・行政院政務委員ならびに経済部、行政院国家科学委員会のメンバーで構成される訪日団の団長として訪日した。日本と台湾の科学技術関係の学術交流は日本の「アジア太平洋科学技術協会」と台湾の「東亜科学技術協会」を中心に進められていたが、今回の蕭氏の訪日は五日間で、目的は学術関係に経済界の人脈も加え、双方の実質関係を一層強化するところにある。

 訪日団一行は二十日、東京・白金台の台北駐日経済文化代表処で、日本財界人らも参加して行われた晩餐会に出席し、そこでの記者会見で蕭万長氏は、「今回の訪日の目的は日本の科学技術界、産業界の研究機関を訪問するところにある。日本は近年来経済が低迷しているが科学技術には膨大な予算を投入しており、ここに日本の遠大な計画性が見られ、参考にする価値がある」と述べた。同時に「日本は現在、生命科学、通信情報産業、ナノテクノロジー、環境保護の四項目に重点を置いている。これらは台湾政府と産業界が重点的に推進している内容と同じであり、ここに両国が相互協力しあう大きな場がある。台湾は日本と緊密な相互協力の構造を確立する必要がある」と指摘した。

 同時に「かつて日本の産業界は、台湾を労働集中型の加工センターと見なしていたが、現在の日本の科学技術界、産業界はいずれも台湾との交流強化を望んでいる。今後台湾は双方の交流強化を進めるべきであり、これは台湾の産業構造転換、産業のレベル向上に大きな力となる。同時に日本が急務としている周辺諸国との経済協力関係の構築を台湾が助けることにもなる」と指摘した。

 同行した黄茂雄・台湾工商協進会理事長も「過去の両国経済交流は企業対企業で、技術移転もその範囲内で行われていた。今後は科学技術行政のレベルに拡大する必要がある」と強調した。

《台北『中央社』8月18~20日》

陳総統、六カ国協議を注視   韓国の野党議員が台湾訪問

 韓国ハンナラ党の金満堤、朴鍾根ら野党議員が八月二十七日、台湾を訪問し、陳水扁総統と会見した。

 陳総統は「かつて韓国の経済企画院長官を務め副大統領にも就いた金満堤議員は、韓国を代表し台湾との閣僚会議に出席されるなど、両国の交流に大きく貢献された」と述べ、感謝を示した。また「台湾はアジア太平洋諸国の一員として、地域の平和と安定に非常に関心を寄せている。本日から開催される北京での六カ国協議にも大きく注目しており、協議の結果、朝鮮半島の緊張が緩和され、朝鮮半島に平和の光が差し、核問題が解決されることを期待している。台湾の立場は非常に明確だ。すなわち、非核化を支持し、いかなる紛争も平和的に解決されるべきだ」と強調した。

 台湾、韓国の交流は九二年の国交断絶後も密接な関係にあり、昨年の双方の貿易高は百十五億八千万ドルで、韓国が三十八億四千万ドルの黒字となっている。台湾は韓国にとって五番目の貿易相手国で、一方韓国は台湾にとって第四の輸入国、五番目の輸出国である。

 陳総統は両国の平等と相互尊重の立場を強調したうえで、両国の航空機直行便の問題に触れ、「ふたたび再開されることを期待している」と述べた。

【総統府 8月27日】

インテルが台湾にR&D設立
次世代通信技術に本格進出

 米半導体業界大手のインテルが、次世代の通信技術の研究開発センター(R&D)を台湾に設立する。同社のクレイグ・バレットCEO(最高経営責任者)が八月二十四日、台湾を訪問し、游錫堃・行政院長をはじめ取引先の企業トップらと会見し、記者会見の席で発表した。

 インテルが通信技術分野で海外にR&Dを設立するのは台湾が�めてで、これにより通信分野の進出を強化し、世界のコンピュータおよび通信の技術応用という大局の趨勢に、総力をあげて取り組むとされる。

 台湾に設立を決めた理由について同社は、「台湾はコンピュータ産業において堅実な実力と枠組みを備えており、とくに携帯電話や無線LANの分野では世界で重要な位置を占めている。台湾は将来の情報と通信の融合に、世界で重要な役割を果たすだろう」と述べ、台湾の投資環境の優位性を強調した。

 游錫堃・行政院長は記者会見の席上、五千億元(約一兆七千億円)規模の新十大建設計画における「M台湾計画」を宣言した。「M台湾計画」とは、無線LANの通信基地を増やし、街中に接続センターを設置し、無線LANの環境整備を充実させることを目的としたもので、地方自治体の参入を奨励している。政府は自治体にインターネットのコンテンツ(情報内容)を提供する考えで、コンテンツ業者にとっては大きなビジネスチャンスが期待できる。

 インテルの台湾でのR&D設立は、今年六月末に関係者と経済部との間で協議が行われ、インテルから一千万ドル以上の投資案が出されていた。

政府筋によると、インテルは台湾で通信の核となる技術ではなく、それを可能にするシステムの枠組みを提供するとされており、これにより台湾の通信メーカーはそのシステムに直に触れることができ、企業のシステム能力の向上に役立つと期待されている。

 何美玥・行政院経済建設委員会主任委員は「政府は台湾の技術力を強化するため、外資の台湾でのR&D設立に積極的に取り組んでいる。インテルが海外で初めて通信技術のR&Dを台湾に設立する意義は大きい」と語った。なお、インテル以外にDELL、HP、IBM、マイクロソフト、日本のSONYなど九社の多国籍企業が台湾でR&Dを設立している。

《台北『工商時報』8月25日》


台湾の投資はグローバルな視野で㊤
北部県市長と企業家による座談会

 今年十月十九日~同二十二日、台北市で世界の学者や企業家を招き、台湾への企業誘致を目指す「台湾投資フォーラム」が開催される。『経済日報』はさきごろ台湾の投資をめぐる問題と課題について、台北、桃園、新竹の県市長、ならびに企業家を招き、座談会をおこなった。以下は、その要旨である。

【新竹】

一、交通を改善し、人材を吸収せよ

 ●張崇徳・聯電副会長

 新竹県と新竹市の人口増加にともない、道路と公共施設に飽和現象が現われている。新竹県と新竹市が協力し、統一計画を立て、全体構成を拡大することを希望する。新竹県と新竹市が共同で高速輸送を推進し、交通を大幅に改善し、高速輸送を便利にすれば、マイカー族も自然と減少する。これは、従業員の通勤と交通の改善、沿線道路の繁栄などに非常に有益である。

 人材の育成は、現在、最も切迫した課題であり、新竹科学園区のメーカーを含む多くの企業が、次々と中国に事務所などの拠点を開設し、中国の人材確保に着目している。これは中国の人件費が安いためではなく、資質の高い人材に照準をしぼっているためである。 

 台湾は深刻な人材不足問題に直面している。一方では失業率が高く、一方ではハイテク産業の人材不足というおかしなアンバランス状態を呈している。現在養成している人材は、数量の面でも専門性の面でも、業界の需要とはひらきがある。各学部でどこも百名募集するといったような揃った平均的な要求をするのではなく、調整を行なう必要がある。資源を的確な場所に用いてはじめて、新竹が独自の新たな道を切り開くことが可能となり、台湾のシリコンバレーとなり、ハイテクの心臓部とすることができるのだ。

 ●孫弘・盟立公司総裁

 生産基地が分散しすぎており、メーカーにとっては輸送関連コスト高の要因となっている。友達公司は台南科学園区に工場を開設せず台中地区を選んだが、それは新竹から台南まで少なくとも四時間かかり、交通コストが高すぎることを考慮しての結果である。最も理想的なのは、生産基地間の移動時間が十分程度なのが望ましい。新竹県と新竹市は生活環境、生活機能、生活の質ともに近年大幅に向上した。しかし、車の渋滞問題は依然として残っており、特に最近、新竹に大型ショッピングセンターが開店してからは、市区部はほとんど通れなくなってしまった。周辺に多くのレストランがある新竹県庁舎の周辺も、駐車が難しくなった。

 ●童兆勤・翔準先進光罩副理事長

 新竹県・新竹市が直面している交通と、科学園区の用地取得問題は、すべて地域計画がうまく行われていないことに起因する。新竹が山の多い地区であることから見ても、交通の問題は避け難く、さらに人の競争意識が追い討ちをかけている。しかも、中山高速道路の新竹部分は合流箇所が少なく、渋滞を招きやすい。これも、建設当時の土地徴収での、地元住民との紛争の結果である。

 台湾の産業水準を向上させるには新竹生活圏全体を健全化するべきであり、そうしてはじめて、レベルの高い人材を吸収し、引き留め、台湾の経済発展の力となり、メーカーが事業に専念できるようになるのだ。

●鄭永金・新竹県長

 交通問題は新竹県と新竹市の最大の障害であり、立法院の交通委員会任期内に、新竹科学園区内に中山高速道路を引き込み、北部第二高速道路の新竹県宝山と新竹市茄苳との接続道を完成させることを目指している。一カ所建設するのに十億元(約三十五億円)の費用が必要であり、新竹県・市政府の負担は二・六億元(約九億円)になる。大きな負担ではあるが、県・市政府は解決に向け努力している。

 新竹県政府が交通大学と進めている璞玉計画に、台湾大学と台湾科学大学の竹北キャンパスを加えることで、将来のハイテク人材を養成する土台ができる。

●林政則・新竹市長

 渋滞と駐車場の問題を身を持って感じている。交通問題のボトルネックの打開と、駐車場の増設は施政における重要方針である。高速輸送の計画に関しては、新竹県政府と、交通局との意思疎通を強化する。

新竹市は、国際化・科学化した良質な生活環境の創造に努力している。国際的人材を台湾に吸収する一助となるであろう。

二、科学園区と県市が一丸となり企業の進出を吸収すべき 

●林政則・新竹市長

 「科学園区と市の協力」態勢のもと、新竹科学園区は「単一窓口」と安定法規を設置しており、これは、すでに企業投資吸収の最大の誘因となっている。政府は地方に対して地方税の徴収を開始したが、新竹市は決して地方税を徴収せず、「金の鶏」を誇る新竹科学園区のメーカーが今後も金の卵を産み続けられるようにする。

地方と中央の権限と責任の配分において、より柔軟性の高い調整が必要であり、実際に、新竹科学園区の成功は、科学技術全体の集中効果が発揮されたことにあり、新竹市は世論の各種評価でも、子供を育てる環境としては台北市に次いで全国第二位と評価されている。産業形態の分業面では、新竹県は新竹科学園区三期を推進する県有地の再生計画がほぼ完了しており、新竹市は観光レジャーサービス産業を開発することが決まっている。同時に、ハイテク産業メーカーへ水と電力供給問題を解決するために、新竹市では海水の淡水化工場の設立を積極的に推進中であり、また、台湾電力と協議して六基の風力発電ユニットの増設を実施中である。

●鄭永金・新竹県長

 新竹には新竹科学園区によるハイテク産業集中効果がある。そのため、「台湾投資・新竹優先」のスローガンを打ち出した。科学技術の発展は非常に速く、製品の生命サイクルは短くなっている。時機とビジネスのタイミングは非常に重要である。新竹科学園区はすでに国際的なブランドイメージと確かな品質を確立している。新竹科学園区の集中効果を拡大し、科学園区の近隣地区を台湾投資の重点にすれば、間違いなく小さな労力で大きな成果を生むことができ、再び台湾経済に奇跡をもたらすことができる。新竹県は面積が広く、近隣の新竹科学園区がまだ徴収していない三期八百八十ヘクタールの土地がある。また、県政府が交通大学と協力して計画している璞玉の千二百ヘクタールの土地は、メーカーの工場拡張のニーズに提供できるだけでなく、従業員の良質な生活のために提供する計画も可能で、例えば、交通(高速鉄道、高速道路、東西方向の高速一般道)や、医療(台湾大学病院が医学センターを建設予定)、教育(大学七校)、レジャー(観光レジャー農業)がある。新竹地区は最も競争力のある発展地区といえる。中央政府は遠くを眺めて近くを見落とすことなく、集中効果を発揮させ、新竹への投資を積極的に進め、県三期計画と璞玉計画を早急にリードしてほしい。

三、法規認証を加速し、世界との連動を

●巫建嶔・先進国際医薬理事長

先進国際医薬は、礼来製薬工場の新竹工業区での生産基地を見込んでいた。二カ国語の国際品質管理システムというメリットを持ち、製品の国際市場での販売に有利であることから、礼来製薬工場の生産基地を受入れ、創業のスタート地とした。

バイオ薬品の販売で最も重要なのは法規認証である。国際市場で発展するには、国内の関連法規の国際化と、国際社会との連動が頼りとなる。国内の衛生署や衛生局などの衛生主管行政システムは、限られた人力と予算の下で、法規の国際化がまだ不十分であり、早急に智慧を結集させて広く意見を求め、法規の国際化を加速しなければならない。

バイオの研究開発でまず重要なものは人材である。新竹地区の清華大学、交通大学、工業研究院、食品科学研究所は、バイオ企業に豊富な研究開発支援を提供しており、新竹科学園区内の三百社以上の企業は、新竹地区の新設企業にとってベストモデルを作り上げている。

人材は企業の中心である。新竹工業区付近の交通はまだ改善の必要があり、より便利な交通条件が提供できれば、企業がより多くの北部地区の人材を吸収する手助けとなる。新竹県の交通は最近大きく改善されてはいるが、まだまだ改善の余地は多く、更に高いレベルを目指す事が可能である。

バイオ企業の創立について言えば、台湾は製品の技術開発においても、また、チームの結成でも周辺支援でも、条件はすべてアメリカより優れている。台湾に戻ってバイオ企業を創立し、アメリカの技術環境に台湾の人材と資金をリンクさせれば、短期間内に製品を国際市場に進出させられると考えている。

【桃園県】

一、木火土金水のすべてがある

●朱立倫・桃園県長

 桃園県政府は、企業経営に必要となる資金問題を解決できないことを除いて、土地、人材、水、電力は十分にあることは、二十五日に台湾プラスチック社傘下の亜朔開発の桃園科学技術工業区が建設着工されたことでも証明される。同時に、光電子産業が持っている人材を提供すべく、大同社とエイサーグループの光電学院設立も要請している。

企業の関心の中心はまさに「木火土金水」、つまり土地、水、電力、人的資源、資金である。これは、県政府の関心の重点でもある。土地を例にとると、桃園県では多くの企業が山の斜面にあり、容積率や建ぺい率、高さ、環境アセスメントなどで制限を受けている。県政府は昨年三月に、行政院農業委員会と制限の緩和について積極的に協調し、エイサーの渇望園区と台湾プラスチックの華亜科学技術園区、林口工三工業区をすべて規制緩和し、大同グループの華映龍潭園区も先週、問題解決した。この部分では六百五十ヘクタールの土地を提供しており、企業と近隣農地との特別処理事項二十件を加算すれば、総計一千ヘクタールの土地を提供したことになる。

長年のびのびになっていた桃園科学技術工業区開発案も、台湾プラスチックの王永慶理事長の投資を積極的に獲得し、地価や開発上の障害を低減することに協力し、今月二十五日に建設が着工された。一坪(三.三㎡)二万元(約七万円)の地価は、メーカーのコスト競争力にとっては、新竹科学技術園区、台中科学技術園区、台南科学技術園区よりメリットが大きいと確信している。

ここ二年ほど、桃園県は給水制限の問題に直面している。朱立倫氏は昨日、桃園県が水不足にならないと述べたが、それは中央の供給調整問題に起因する。昨年、中央が適切な時期に休耕を行っていれば、補償費用は約十五億元(約五十二億五千万円)で済んだと推算され、給水制限が逆に年産額一兆元(約三.五兆円)の県内産業に損害をもたらした。

 桃園県は四三%が農業用水であり、適切に休耕すれば、農業用水を民生用に調整活用でき、水の問題は解決できる。毎日百八十万トンの水があり、水使用量の非常に大きい光電子産業工場でもわずか三万トンの使用であることを例に取れば、十カ所の大型工場が桃園県に建設されても、用水不足の問題は発生しない。また、桃園県の電力使用量は全台湾の各県・市のトップであるが、県内には長生発電所や欣桃発電所、国光発電所、台湾電力林口発電所があり、大潭発電所も現在建設中であり、電力不足の心配はない。

人的資源については、桃園県には七万人の外国人労働者がおり、十四校の大学や専門学校および近隣の台北や新竹から優秀なエンジニアが供給できる。とくに、中正国際空港は自由貿易特区に選定されることが必至であり、そうなれば人材供給はますます充実する。このほか、大同やエイサー等の協力による光電学院の設立実現をめざし、企業が研究開発やオペレーションセンターを備えるための資源とすることを希望している。

メーカーの桃園県への投資を奨励するために、特別の奨励税制を提供する。建物と土地の課税を二年免税、三年減税する優遇策をとるが、租税法令の制限があるため、先にメーカーから徴税し、後から各企業に補助金を交付する。同時に、専任担当者と専門項目によって投資企業にサービスをする。これは、過去の『民が役人にお願いする』や『商人が役人にお願いする』といった官僚態勢とはまったく異なるもので、『企業と民衆が中央に立ち、役人が両側に立つ』態勢で、全力で企業や民衆にサービスをする。

来来台湾

 紅楼劇場に日曜茶館オープン

 台湾の文化と芸術の新たな発信地として昨年八月に復活した台北市西門町の「紅楼劇場」で七月二十七日、開幕一周年を記念し、日曜茶館が正式にオープンした。

 この一年間に紅楼劇場で挙行された演目は百三十八回、イベントも百三十六回を数える。歌仔戲(台湾オペラ)や皮影戲(影絵芝居)など伝統芸能をはじめ、現代演劇、ナツメロ、若者に人気のバンド演奏など、さまざまなプログラムが上演されてきた。最近は文化関係の記者会見のほか、ファッションショーの会場としても利用されている。

 一階が喫茶エリアとショップになっており、二階の劇場(二百五十人収容)は伝統的な茶館を模したシアターレストランの造りで、観客は台湾茶を飲みながら演目を楽しむ趣向だ。二階の劇場は、これまでにも試験的に休日茶館として開放されてきたが、一周年を機に、今後日曜の午後に限り茶館として正式に開放することにしたもので、一人当たりの最低消費額は百元(約三百五十円)。

《台北『聯合報』7月28日》


ホエールウォッチングに標識

 台湾では毎年夏になると、宜蘭、花蓮、台東の東海岸の沖合いで、イルカやホエールウォッチングを楽しめる。ホエールウォッチングの人気は年々高まる一方で、見学者はこの五年間で年間六千人から二十二万人に急増し、昨年は九億元(約三十一億円)の経済効果を生み出した。だが、一方で業者間の過当競争も生み出し、業者の中にはイルカやクジラの群れに至近距離で接近したり、何隻もの観光船が一斉に囲み、かれらの活動を阻むなど、生態を脅かす行為が問題となっている。このため、行政院農業委員会はこのほど、業者が提供するサービスの質や生態への配慮など四十一項目にについて、一定の基準に達した業者に対し「ホエールウォッチング標識」の認証を発行することを決めた。この認証は、国内では初めてエコツアーを対象に発行されるもので、「消費者はこの標識を参考にホエールウォッチングを楽しんでほしい」と呼びかけている。

《台北『聯合報』8月11日》

黄金博物園区が本格着工

 台北県の金瓜石で進められている「黄金博物園区」建設が七月二十八日、正式に着工した。

 周囲を山に囲まれ、日本統治時代には金鉱の町として発展したこの地一帯を「黄金博物園区」として整備し、新たな観光地とする計画だ。この日、博物館の建設工事が始まり、関係者が集まって起工式が行われた。

「黄金博物園区」の運営には、開館三年目を迎え、多くの参観者が訪れている台北県の「鶯歌陶磁器博物館」があたり、来春の開園を予定している。鶯歌陶磁器博物館の呉館長は「『台北人の心のオアシス』になるに違いない」と期待を寄せている。

「黄金博物園区」の核となる「黄金博物館」は、当時の台金鉱業が使用していた坑道や機器、施設を利用して建設される。周辺の金瓜石の町には、当時皇太子だった昭和天皇が行幸された「太子賓館」や黄金神社、日本式家屋など、由緒ある建造物が多く残されており、歴史と文化の香る博物園区建設が期待されている。

《台北『聯合報』7月29日》

東京で台湾の張栩本因坊の就位式
両親、師匠らもかけつけ祝う

 七月十日〜同十一日に行われた第五十八期本因坊決定戦で、四勝二敗の成績で加藤剱正本因坊(五十六歳)に勝利し、見事初タイトルの本因坊を獲得した台湾出身の張栩氏の就位式が八月二十六日、東京・一ツ橋の如水会館で行われた。

 張栩本因坊は台北市出身で、今年二十三歳。九〇年に十歳で来日して日本棋院の院生となり、九四年に初段を獲得。二〇〇一年の本因坊戦では同じ台湾出身の王銘琬氏に破れたが、〇二年にはNHK杯、新人王戦で優勝し、今年四月には八段に昇進した。本因坊獲得と同時に九段に昇進し、張栩氏の二十三歳の本因坊は史上二番目に若く、しかも九段棋士として日本最年少の記録を打ち立てた。

 就位式には台湾から張栩氏の両親、師匠の林海峯名誉天元夫妻らがかけつけ、祝った。出席者は二百五十人にもおよび、日本側からは、齋藤明・毎日新聞社社長、利光松男・日本棋院理事長、来賓として羅福全・台北駐日経済文化代表処代表が出席し、祝辞を述べたあと、張栩氏に本因坊弁許状と三千二百万円の賞金目録、記念品としてパソコンが贈られた。

 張栩本因坊は「今回の対戦は、何度も苦しい局面があったが、最後に優勝できたのは、周りの人たちの応援があったから。今後も努力を重ね、みなさんの期待に応えたい」と挨拶した。

 張栩本因坊は九月二十六日に台湾へ戻り、台湾棋院の活動に参加するほか、十二月にも台湾に帰国し、後輩棋士の指導を行う予定だ。

《台北『中央社』8月26日》

水水台湾—二〇〇三科学週間
水資源の永続的活用を探る

 台湾の河川や海洋など水資源の永続的活用を探究する「水水台湾—二〇〇三科学週間」のイベントが、八月二十二日から、台北、台中、高雄、屏東、澎湖の各地で始まった。

 行政院国家科学委員会、農業委員会、教育部、経済部などが主催するもので、台北の会場には初日、陳水扁総統が開幕式に出席した。

 台湾はここ数年旱魃が続いており、今夏は水不足のうえに猛暑が重なり、一時は給水制限も検討された。その後、前線の活動や台風などで降雨量は増えたが、水資源の確保と有効利用が大きな課題となっている。

 陳水扁総統は「台湾は周囲を海に囲まれ、河川や海洋とは密接な依存関係にある。国民一人ひとりが水に親しみ、これを慈しみ、さらに水への理解を深めさえすれば、台湾は水のしたたる麗しの島になる」と挨拶し、今後政府の各種政策の実施に、水資源の確保と永続的活用の概念が不可欠だと強調した。

 各会場では、国の天然記念物に指定されているサクラマスや、兜ガニなど、台湾に生息する貴重な海洋生物の特別展示などがおこなわれ、小学生から大人まで、大勢の参観者が訪れた。

《台北『中国時報』8月23日》

世界に羽ばたく「布袋戯」
伝統に現代的な味付けし、新たな発展

国際人形劇祭に正式招待

 台湾の伝統人形劇「布袋戯(ポテーヒ)」の劇団「諸羅山木偶劇団」が七月下旬、ベルギーのゲント市でおこなわれた「国際大道人形劇芸術フェスティバル」に招かれ、三回の公演をおこなった。同フェスティバルは、世界的に有名な野外人形劇の芸術祭で、毎年世界中からレベルの高い劇団が招待されている。「諸羅山木偶劇団」は昨二〇〇二年、クロアチアの「第三十五回国際人形劇フェスティバル」に参加し、最優秀賞を獲得したが、このときの公演を見たベルギーの関係者の招きで、今回の芸術再参加が実現した。

 布袋戯は戦後、テレビの普及など時代の変化に合わせて変貌を遂げ、一九五〇~六〇年代には、人形を大型化し、音楽にシンセサイザーを取り入れた、いわゆる「金光戯」が全盛期を迎えた。「諸羅山木偶劇団」はこの「金光戯」の流れを汲む劇団で、国際的に高い評価を受け、これまで、東ヨーロッパやアジア、米国、中国などで公演をおこなってきた。今回は西ヨーロッパでの初の招待公演ということで、台湾の風俗や文化をストーリーに取り入れた新作をお披露目した。

《台北『民生報』6月6日》 

 布袋戯に魅せられたオランダ人

 台北市の旧市街・迪化街には、布袋戯をテーマにした小さな博物館「大稲埕偶戯館」がある。二十坪という狭いスペースながら、台湾だけでなく、ベトナム、チェコ、イタリアの人形も展示し、毎週土曜日午後には無料で公演もおこなっている。

 館長の羅斌さんは布袋戯を研究するオランダ人で、二年前に友人三人と一人十万元(約三十五万円)ずつ出資して、この博物館を設立した。

 羅斌さんは、祖父が遠洋漁船の船長だった関係で、幼い頃から、インドネシアや日本、中国の話を聞いて育った。アジアの文化に強い興味を持つようになった彼は、成長すると東洋研究で有名なライデン大学に入学し、中国語を学んだ。一九八六年、大陸のアモイ大学に留学し、修士論文を完成させた後、指導教官の「伝統人形劇を研究するなら台湾に行くべき」との勧めにしたがい、一九九一年に台湾に渡った。羅斌さんは、台北で博士論文を書き上げ、台湾女性と結婚した。台北在住も十年となり、台湾語も話せるようになった。

 「大稲埕偶戯館」は、伝統的な人形劇文化を広めることを目指しているが、羅斌さんは、「金光戯」など新しい布袋戯について、「現在、多くの国では伝統劇が衰退し、保存の対象となっている。その一方で、台湾の人形劇がメディアの力を利用して新たな発展を遂げているのは、大変ユニークだと思う」と語っている。

 ●大稲埕偶戯館:MRT淡水線「双蓮」 http://www.taiyuan.org.tw

《台北『中国時報』7月3日》

 新荘市にも布袋戯の拠点

 台北県新荘市は、台湾北部の布袋戯の本拠地で、さまざまな団体が活動している。そのなかでも「西田社布袋戯劇団」は、台湾大学修士など高学歴のメンバーが揃っていることで知られているが、昨二〇〇二年十月、同劇団専用の活動拠点となる「咱兜新荘布袋戯館」」が誕生した。 

 「咱兜」とは台湾語で「われわれの家」という意味で、西田社布袋戯基金会の理事長の曾文龍氏が、五十坪の展示スペースと地下の練習場を無償で提供した。曾氏が長年収集してきた千体以上の人形も展示されているが、すべて台湾で作られたもので、珍品も多い。新荘は台北市内からも交通の便がよいことから、新たな布袋戯文化の拠点として期待されている。

 《台北『民生報』7月6日》

「第48回新日台交流の会」
  「東京の中の沖縄と東アジア」

「新日台交流の会」は過去三回にわたり、沖縄近現代史研究家の又吉盛清氏(沖縄大学講師)をゲストに迎え、東京や近郊にある台湾ゆかりの史跡をめぐるフィールドワークをおこなってきた。さて今回は、「沖縄大学又吉学級学外学習会」との共催企画として、台湾を含めた東アジアおよび沖縄も視野に入れ、「東京の中の沖縄と東アジア」をテーマに、八月二十四日、二十五日の二日間、フィールドワークをおこなった。残暑厳しいなか、沖縄からの参加者を含めた約三十名が参加し、又吉氏の解説のもとバスで各地を見学した。

 初日の二十四日は、巣鴨プリズン(現・東池袋公園)、新宿御苑、明治聖徳絵画記念館、明治神宮、東郷神社、乃木神社、青山墓地、多摩霊園を巡った。巣鴨プリズンでは戦後、BC級戦犯として、台湾出身者百七十三名が有罪とされ、うち二十六名が刑死している。新宿御苑には、日本庭園の一角に純台湾風建築の「台湾閣」がある。昭和天皇ご成婚を記念して、一九二八年に台湾住民の拠金によって建てられたもので、設計者は、台湾総督府などを設計した著名な建築家・森山松之助である。明治神宮の現在の大鳥居は、台湾の丹大山(阿里山の連山)から運んだ樹齢千五百年の大檜が用いられている。これは二代目で、初代の鳥居は、台湾総督府より献木された阿里山の檜を用い一九二六年(大正一五)に完成したが、落雷で破損したため、一九七五年(昭和五〇)に建て替えられた。

二日目の二十五日は、琉球屋敷跡(現・都立九段高校)、靖国神社、北の丸公園、国会議事堂、帝国ホテル、谷中霊園、寛永寺などを回った。寛永寺では、寺側のご好意により、特別に第十五代将軍・徳川慶喜が謹慎した葵の間を見学させていただいた。

日本の近代史を語る上で、沖縄や東アジアとの関係は避けては通れない重要な要素である。台湾を中心にしたこれまでのフィールドワークに加えて、より広い視野で日本の近代史を捕らえなおすことができ、大変貴重な体験となった。

《取材:玉置充子》

鄭成功を映画に
新聞局が積極後押しを表明

 十七世紀に台湾をオランダの支配から解放した英雄で、日本でも「国姓爺」として知られる鄭成功を主人公とした映画が、行政院新聞局の後押しで製作される動きが出ている。

 游錫堃・行政院長は先ごろ、「台湾の開発史を世界の人々に知ってもらう」ため、新聞局に対し、鄭成功をテーマにした歴史大作の製作について計画するよう求めた。世界に通用する作品を撮るには、少なく見積もっても二~三億元(約七~十億円)の資金が必要で、新聞局では近く、企業などに打診し、出資者を募る予定である。

 監督候補としては、米国在住の李安(アン・リー)監督の名前が挙がっている。関係筋によると、新聞局は、新作の米映画『ハルク』のPRのため帰国中の李監督に内々に打診したが、返事は保留されているとのことだ。李安監督は、世界的に活躍する台湾出身の映画監督の一人で、二〇〇一年にファンタスティックなカンフーアクション映画『グリーン・デスティニィー』でアカデミー賞外国映画賞など四部門を受賞し、評価がさらに高まった。現在日本でも公開中の秦の始皇帝暗殺をテーマにした中国映画『HERO』(張芸謀監督)は、中国政府が巨額の資金を援助したとも言われ、豪華な配役とCGを多用した迫力ある格闘シーンでアジア各国で大ヒットしている。。李監督による鄭成功映画が実現すれば、『HERO』に匹敵する世界的な話題作となるのは確実であるが、つねに十本以上の企画を抱える売れっ子の李監督がこの話を受けるかどうかは微妙なところだ。

 《台北『中国時報』7月26日》

週間ニュースフラッシュ  

◆国連加盟とイラク復興援助をあらためて主張

 国連の駐イラク事務所を襲った自爆テロで多数の犠牲者が出た事件を受け、外交部は八月十九日、声明を発表し、犠牲者とその家族に哀悼の意を述べ、あらためて台湾が国連への加盟とイラク復興への援助を望んでいることを主張するとともに、国際社会に対し共同で反テロ行動に取り組む姿勢を強調した。

【外交部 8月20日】

 ◆七月の海外からの受注件数、単月で過去最高に

 七月の海外からの受注件数は百四十三億ドルに達し、単月では過去最高を記録した。増加率も一四・八%となり、二カ月連続して二ケタ成長となった。製品別では情報通信分野の受注が最も多く、前年同月比六億五千万ドル増となり、次いで電子分野が同四億二千万ドル増となった。経済部では、世界的に景気の回復基調が確定してきたことや、情報電子産業が生産の最盛期を迎えたためと見ており、今後三カ月もシーズンにあたるため、七月を上回る受注件数を記録する可能性もあると指摘している。

《台北『工商時報』8月22日》

 ◆八割が両岸の現状維持望む

 両岸直航が大きな話題となっているなか、行政院大陸委員会は八月二十二日、両岸関係に対する世論調査(政治大学に依託し、八月五日〜同八日、電話質問形式で実施。有効サンプル一千百四十九人、誤差±3%)結果を発表した。それによると、約八割が「現状維持」を支持し、七五%が「一国二制度」に反対と答えた。

《台北『青年日報』8月23日》

 ◆投資環境、台湾は世界第四位

 スイスの研究機関BERIが行った今年八月の第二回世界投資環境リスク評価で、台湾はトップレベルの投資環境にランクされ、世界主要国五十カ国中第四位、アジアでは日本に次いで第二位につけた。台湾は今年四月、新型肺炎(SARS)の感染地域に指定されたが、世界は依然台湾が投資環境において優れていることを証明した。

《台北『工商時報』8月23日》

 ◆多元民族文化こそ台湾最大の資産

 陳水扁総統は八月二十三日、ケタガラン学校「先住民族研究班」第一期卒業式に出席し、「多元民族文化こそ台湾最大の資産だ。国民党政権は先住民に対し漢民族の名前を強制し、かれらの固有の言語と文化を剥奪し、漢民族化をすすめてきた。こうした過った認識や姿勢が、先住民を政治、経済、社会、文化の各方面で困難な立場に追いやったことは、事実が証明している」と述べ、今後政府としてそれらを全面的に見直していく考えを強調した。

《台北『自由時報』8月24日》

 ◆台湾は東アジア第二の商品供給国

 世界銀行の最新の研究によると、日本を除く東アジアの新興国は世界の「域内貿易」において最も活躍しており、台湾は同地域で中国に次ぐ二番目の商品供給国であるとしている。台湾の二〇〇一年の対東アジア輸出高は約六百二十四億ドルで、同域内における輸入全体の一五%を占めている。行政院経済建設委員会は「産業の高度化と構造転換を加速することが、域内の競争力を長く維持することにつながる」と指摘した。

《台北『中央社』8月26日》

 ◆国連の東アジア海洋会議に台湾が出席

 今年十月にマレーシアで開催される国連の「東アジア海洋会議」に主催国のマレーシア政府から招待状が届き、台湾も出席することになった。これにより台湾は今後国連にオブザーバー参加する道も期待できる。同会議は地球の永続発展をテーマに、漁業資源や海上交通について協議する。

《台北『自由時報』8月26日》

お知らせ

「台湾の街角から」 新聞局ウェブサイトで紹介

 台湾でフリージャーナリストとして活躍する片倉佳史氏が、八月から新聞局のウェブサイトで「台湾の街角から」と題したフォトエッセイを連載中だ。

 台湾各地の秘境、秘湯、さらに山奥の台湾先住民族の居住区にも足を伸ばし、かれらの生活ぶりをカメラにおさめている。長年台湾のガイドブックや旅行書の編集を手がけている氏が「それらでは紹介できなかった『穴場』を紹介したい」との言葉どおり、一般の旅行では触れることのできない風景を垣間見ることができる。内容は毎週一回更新される。

●新聞局ウェブサイト:http://www.roc-taiwan.or.jp

 第17回台湾映画上映研究会

 八月九日に予定していた第17回台湾映画上映研究会が台風のため中止となったため、九月は一カ月遅れて同作品を上映します。

日 時 9月20日(土)午後4時〜
作 品 皇天后土
ゲスト 田村志津枝(ノンフィクション作家)
 ※ 参加無料
会 場 日華資料センター3階(東京都港区三田5―18―12
交 通 都営地下鉄三田線、営団南北線「白金高輪」2番出口徒歩三分
連絡先 日華資料センター
(℡ 03―3444―8724)
( E-mail:chuka@tkb.att.ne.jp)


春 夏 秋 冬 

 いま北朝鮮問題がクローズアップされ、日本で安全保障の問題といえば北朝鮮しか考えられないような風潮にある。だが、実際にはもっと大きな脅威が存在する。それは核開発疑惑や数基のテポドンの比ではないのだ。日本の社会もマスコミも、一向にこの方へ注意の目を向けようとしないのが不思議だ。

 7月30日のことになるが、米国防総省が「中国の軍事力に関する年次報告書」を発表した。それによると、台湾に照準を合わせた短距離弾道ミサイルは、昨年の報告書では現有350基で年間50基のペースで増強されるとしていたのが、100基も増えて450基となり、年間75基のペースで増強されると修正されている。さらに、弾道型ではなく衛星で誘導できる「東風15」(射程600km)の改良型を目下開発中で、やがてこれが前方配備される。その時は台湾ばかりか沖縄も射程範囲内に入る。また中国は米国を射程に入れたICBMを約20基配備しており、2010年には性能向上とともにこれが60基に増強される可能性が強い。しかもその国は北朝鮮程度の核開発疑惑などではなく、歴とした核武装国なのである。しかも冷戦後各国が国防費の比率を低減させている中、逆に年間二ケタ台の拡張を続け、実質的にその額は公表の3倍以上で、米国に次いで世界第2位と見られている国である。

 この中国が台湾に「平和統一」を呼びかけるのは、戦う前の屈服を強要しているに過ぎない。中国が台湾だけでなく米本土へのミサイルを増強するとともに、沖縄まで射程に入れた改良型を開発するのは、速戦即決によって米国に介入の隙を与えないようにするのが目的であることは明らかだ。

 これがなぜ日本への脅威になるのか?8月21日から3日間にわたってワシントンでヘリテージ財団主催による日米台の戦略シンポジウムが行われた。ここで岡崎久彦氏(元駐米公使、駐サウジアラビア、タイ大使)は「中国がもし工業が発達し経済の繁栄した台湾を併呑したなら、後は西太平洋水域を押さえて米国の影響力に挑戦するばかりでなく、南シナ海のシーレーンを押さえて全東南アジアを勢力下に収め、日米の戦略的利益を破壊することになろう」と指摘した。この場合、東シナ海もそうなるだろう。

 ここに日米にとっての台湾の重要性と、また万が一の場合の危険性がある。この危険を防ぐには、日米台が一丸とならねばならないだろう。そこには、明らかに日本の将来がかかっているのだ。
         (K)