台湾週報2143号(2004.5.20)
世界で高まる台湾支持の声
「北欧五カ国台湾問題会議」が声明
デンマークなど北欧五カ国の国会議員を中心に構成される「北欧五カ国台湾問題会議」は4月27日、コペンハーゲンで大会を開催した。陳水扁総統はこの大会にインターネットを通じて参加し、同会に感謝の念を表明するとともに、台湾の施政方針を説明した。また同大会は、台湾の民主改革を高く評価するとともに、中国に台湾への武力使用を放棄するよう呼びかける声明を採択した。以下はその内容である。
民主北欧の立国精神と台湾
「北欧五カ国台湾問題会議」
デンマーク、ノルウェー、スウェーデン、フィンランド、アイスランド五カ国の国会議員有志を中心に構成される「北欧五カ国台湾問題会議」(Nordic Conference on Taiwan)が四月二十七日、デンマークの首都コペンハーゲンで大会を開催し、陳水扁総統はネットを通じて祝辞を述べ、そのなかで台湾の政策方針を説明した。
同会議は一九九六年にコペンハーゲンで、デンマーク、スウェーデン、ノルウェーの国会議員を中心に発足し、その後フィンランド、アイスランドが加わり現在五カ国となった。同会議の目的は、台湾を中心とした問題を討議し、国会議員参加国の政府ならびに欧州議会に参考意見を提示することを目的としている。今回の会議には五カ国三十名の国会議員ならびに百五十余名の学界、マスコミ界、医学界の代表らが出席した。
陳水扁総統の挨拶内容は以下の通りである。
○ ○ ○
本日、北欧五カ国の国会議員ならびに各界の方々の会議にネットを通じて参加できましたことに、心より感謝申し上げます。まず私は、ジェンズ・ハールド・マディソン主席(デンマーク国会外交委員会委員長)ならびに「北欧五カ国台湾問題会議」のために尽力されておられる方々に感謝し、さらに本日参加された方々が台湾に関心を示しておられることに感謝いたします。
私は総統に就任いたしましてよりほぼ四年を経ますが、政府は台湾の民主主義の深化、人権の向上、および市場経済の法則の下に台湾の国際競争力を高めることを、一貫して施政方針の中心としてきました。具体的に言えば、民主主義の深化については、ついこの前、史上初の公民投票を実施し、国民は初めて公民投票を通じて国家発展の重要問題について意見を表明し、政府施政のための参考を提示することができました。
人権の向上については、台湾を国際人権の軌道に乗せるため、三つの国際人権条約を国内法の中に組み入れ、さらに「国家人権委員会」の設立を進めており、以前の戒厳令時代における不当判決によって被害を受けた人々には一人ひとり合理的な補償をし、名誉を回復しております。
経済繁栄の促進については、十大重点経済建設計画につづいて、インフラ建設への投資計画を進めており、今後五年以内に五千億元(約一兆五千億円)をインフラ建設に投入する予定です。この投資によって、台湾経済の永続的発展ならびに台湾の国際競争力向上のため、良好で確固たる基礎が構築できるものと確信しております。
このほか、台湾政府は各種の主要改革に大ナタを揮い、教育、司法、暴力と金権政治、金融などの主要改革に必要な積極的行動をとり、すでに相応の成果を上げております。
これらはすべて皆様方が代表される北欧五カ国の理念と合致するものであります。北欧諸国は一貫して民主と人権を世界に主張され、特に各方面のバランスのとれた発展を進め、国民に最良の福祉と生活条件を提供しておられます。この方面について北欧諸国は台湾の精神的な同盟国であり、台湾が学ぶべき対象であると言うことができます。
私はこれから新たな四年間の任期において、台湾民主主義の深化、人権レベルの向上、市場経済の繁栄のため継続して尽力して行きます。施政の重点の一つは憲政改革です。台湾の憲法は五十数年前に制定されたものであり、たとえば人権の保障強化、行政構造のスリム化と調整、国会の改革と定数の削減など、多くの問題点は時代とともに進めなければなりません。私は今後四年間において、国民の意思と政党間のコンセンサスを結集し、憲法専門家の参与によって、共同で台湾の新憲法を創生いたします。最終的には、国民全体に示し、公民投票の方式によって共同で決定することが必要です。
また、私はすでに中国に対し、平和の原則を堅持し、対話の方式によって両岸の紛争と対立を解決し、共同で両岸の恒久的平和と安定の相互連動関係を構築しようと呼びかけております。われわれは中国と、双方ともにいかなる前提条件もつけないという状況下に、早急に対話を開始したいと願っております。
台湾と北欧は遠く離れておりますが、民主、人権、平和など各方面において、いずれも共通の価値観と理念を持っております。われわれは北欧の友人が、台湾国民が民主、人権、平和の理念を追求することができるように、EUの友邦各国とともに、中華人民共和国がいまだ国内での民主と人権の尊重を改善せず、台湾に対するミサイルと兵力配備を撤去しないなかにおいて、軽々しく中国への武器禁輸を解除し、台湾海峡とアジア太平洋地域の安定に衝撃を与えることのないよう望むものであります。私は、北欧の友人の方々に、立国の精神を堅持し、また積極的な具体的行動をもって、台湾が国際組織へ参加し、国際社会での各種活動に平等に参画し、世界のあらゆる人々が享有すべき権利と福祉を台湾国民も平等に享受できるようになることを支持していただくよう望みます。
最後になりましたが、本日ご出席された各位ならびに貴賓の皆様に改めて感謝いたしますとともに、マディソン主席のご指導下に「北欧五カ国台湾問題会議」がとどこおりなく進み、成功を収められることを祈念いたします。
【総統府 4月27日】
北欧に台湾支持の声高まる
北欧五カ国会議が声明採択
「北欧五カ国台湾問題会議」大会が四月二十七日にデンマークの国会議事堂で開催されたが、マディソン主席は冒頭において、デンマーク国会に正式に「台湾友好委員会」が成立したことを明らかにした。さらに大会は台湾海峡問題を討議し、以下の共同声明を採択した。
(一)台湾が第三回総統直接選挙によって民主精神を示し、実践がすでに台湾社会に根付いたことを称えるとともに、成熟した民主国家では常に見られる僅差による結果、いかなる不確定要素も台湾の司法ならびに政治の過程において迅速かつ平穏に解決されることを信じる。
(二)台湾の経済繁栄と社会の均富は世界が羨望するのみならず、粛然と進む民主改革も高く評価に値するものであり、国際社会からとどこおりなくその一員となることを歓迎されるべきである。
(三)世界平和の理念に基づき、また欧州議会を支持する立場から、中華人民共和国に対し台湾海峡両岸問題の武力解決を放棄するとともに、台湾海峡沿いに配備したミサイルを撤去あるいは削減することを呼びかける。本会は中華人民共和国が台湾への武力恫喝を放棄し、台湾とともに地域の平和と安定のため共に努力したなら、国際社会から多大の尊敬を受けるものと確信する。
(四)台湾国民の人権と自由は国内では十分に保障されているが、台湾国民は関連する国際協力にも参加する権利が当然あると確信する。本会は、台湾と同じ民主自由の欧州諸国、特に北欧の政府と国会が、台湾と政治、経済、科学技術、文化など各方面の関係を拡大するため具体的措置をとることを呼びかける。
外交部は四月二十八日、「北欧五カ国台湾問題会議」が前述の声明を出したことに、歓迎ならびに感謝の意を表明した。さらに外交部は、「国際間の友人が引き続きわが国支持の声を上げてくれるため、また国際社会からさらに多くの支持を勝ち取り、台湾が国際社会で当然受けるべき各種の権利を回復するため、全力をあげて努力する」と表明した。
【外交部 4月28日】
さらに重要となる日米との関係
日台議員交流拡大と対米関係の強化
●日台議員交流を拡大
陳水扁総統は四月三十日、小林興起・衆院議員(自民党)を団長とする国会議員訪台団と会見し、「小林議員は二十一世紀委員会の主要幹部であるとともに日台議員友好連盟の会長であり、台湾に対し常に友好的な活動をしていただいている。今回ゴールデンウィークを活用し、私と呂副総統の再選を祝賀するため訪台団団長としてご来訪いただいたことは、日台間の政党外交ならびに議員外交がますます緊密になっていることを示すものだ」と語った。さらに小林議員が以前から台湾正名(台湾の名を正す)運動および世界保健機関(WHO)へのオブザーバー参加を支持していることに対し「五月に開催されるWHO年次総会で、日本が台湾のオブザーバー参加を支持されるよう期待する。日本政府には昨年も台湾の年次総会オブザーバー参加を支持していただいた。米国は今年も支持を表明しており、日本にも引き続きお願いしたい」と述べた。
小林議員は陳水扁総統の再選を祝賀するとともに、「今後とも積極的に日台国会議員の交流活動を進めていきたい。国会外交の推進が、双方の実質的な交流と相互協力関係強化の一助となることを期待する」と表明した。
この訪台団は小林議員のほか熊代昭彦、中野正志、中西一善、桜田義孝各議員によって構成された。
呂秀蓮副総統も同日、訪台団一行と会見し、米国が台湾関係法を制定して米台間の実質関係を維持していることを例にあげ、日本の国会も同様の法案を通過し、両国の関係強化を図るよう要請した。さらに八月十四日から開催される第二回「民主太平洋大会」に多くの国会議員が参加するよう要請した。
訪台団側は「台湾の安全保障は世界およびアジア太平洋地域の安全保障と相関関係にあり、台湾の安全保障は日本の平和と密接不可分の関係にある。われわれはこのことを十分に認識しており、日台の友好協力関係と交流をさらに深めるよう努力したい」と表明した。
【総統府 4月30日】
●台米間の基本関係に変化なし
総統府国策顧問で台湾独立連盟主席の黄昭堂氏は四月三十日、台米関係について「台湾の対米政策は長期間変化していない。米国の対台政策にも変化はなく、変化しているのは米国の対中政策だ」と語った。その背景として「米国は時には国際協調の立場から対中関係緩和を進め、ある時は中国を押さえるため強い姿勢を示してきた。このため米中関係はその都度変化するものと見てよい。それがまた米国の対台政策にも影響を与えるのだ」と述べた。さらに「米国の基本的かつ長期的な対台政策は『防衛協力』であり、この構造は過去に一度も変化したことはなく、今後とも変化しないだろう。したがって、台湾国民は台米関係を見る時、台湾が地域の安全に果たしている役割に自信を持ち、少しの動きに台米関係が揺らいだなどと心配する必要はない。台湾の安全にはもとより米国の協力が必要だが、米国もアジア太平洋戦略にとって同様に台湾を必要としているのだ。もし強固な台湾が存在しなかったなら、米国および日本を含むアジア諸国は中国の脅威に一層深刻に直面することになるのだ」と指摘した。
また中央研究院欧米研究所の裘兆琳・研究員は四月二十四日、群策会の主催したフォーラムで講演し「今年は台湾関係法二十五周年になるが、一九七九年まで米国は中華民国を承認しており、台湾内部に台湾は国かどうかといった問題は存在しなかった。米国が中国と国交を結んでより争議が発生し、米国の台湾への関心は一歩前進した。台米断交後の米中台関係の進展状況を見れば、一つの法則があり、それは台湾が米国あるいはその他の国々と外交関係を強化するには、自己努力が必要だということだ。国際社会はすでに台湾に自我意識が芽生えていることを認識しており、台米関係においても七〇年代の構造はすでに通用せず、新たな思考での国際社会参加の努力が必要だ」と指摘した。
《台北『自由時報』4月25・30日》
陳唐山・外交部長就任挨拶
力結集し台湾の存在を世界へ
五月二十日の陳水扁総統就任式に向け、現在新内閣の組閣が進行中であるが、主要ポストの一つである外交部長には、すでに辞任した簡又新氏の後任に陳唐氏が指名され、四月十六日、新旧外交部長の交代式がおこわれた。以下は陳唐山新外交部長の就任挨拶要旨である。
陳水扁総統と游錫堃・行政院長の指名により、今回外交部長というこの重要な任務を引き継ぐこととなり、非常に光栄に感じている。簡部長はじめ外交部各位の努力により築かれてきた基礎のもと、この重責をつつがなく引継ぎ、力を尽くしていきたいと思う。過去二年余の間、簡部長がその外交活動の中心に据えた「民主人権、経済共栄、平和安全」という三つの柱は、国際状況を十分に把握し、さらにわが国全体の戦略的目標と完全に合致したものであり、今後の外交活動を進める上で深い意義と啓示をもつものであった。また、国家元首の外交、国交締結、台米、台日、台欧間の関係強化、世界保健機関(WHO)への加盟など、さまざまな分野で甚大な努力をし、成果をあげてきた。これらのどの仕事をするにせよ、団結の精神があってこそ任務をまっとうできるのだと信じている。簡部長が過去二年余の間、ゆるぎない基礎を築き上げてきたことに対し、私はここに改めて謝意を表明し、この基礎のもと、引き続き台湾の対外関係を開拓するため努力していきたい所存である。
四月十一日の行政院での記者会見で、游院長が私のことを「実務的な理想主義者」と紹介したが、院長のこうした形容は、台湾が現在直面している外交的立場を少なからず表している。つまり、理想から言えば、国民は台湾が主権独立国家として平等、尊厳、互恵の精神に基づき、世界各国と交流し、国際社会の一員となることを望んでいるのだが、現実には、中国の「一つの中国」政策という圧力のもとで、われわれは工夫して独特の方法を編み出し、外交活動を進め、国内で日増しに強まる国家の主体的意識を現実の国際情勢のなかに反映していかなければならない。したがっていかに現実と理想のバランスを取り、実務的で柔軟な外交戦略を打ち出していくかが、今後外交部の最大の課題となるはずであり、外交部内の協力と団結、関係各位のご指導とご鞭撻を賜りたい。
わが国のように、隣国の強権国家から国際社会において全面的圧力を被り、他国との国交締結が非常に制限されていながらも、国際社会から広く尊重されているケースは世界でも稀である。台湾はこうした独特の立場にあるが、これは台湾がすでに民主化と経済の発展を遂げ、国際社会において積極的な貢献者としての役割を担っているからであり、こうしたわが国の優位性を発揮し、旧来の政治的枠組みを超えることができれば、国際社会における台湾の外交の場はさらに広がるだろう。私はここに、外交部長に就任後なすべきこととして、以下の三つを挙げたい。第一に、中華民国の国家主権と国家としての地位を堅持する。台湾はすでに三回の直接投票による総統選挙と、二〇〇〇年には政権の平和的交代を実現させており、正真正銘の民主国家である。私は今後、台湾の民主深化に対する決意を国際社会に知らしめ、わが国の国際組織への参加を促すために全力を尽くしたい。第二に、台湾海峡の平和と安定を堅持する。それは台湾のみならず国際社会共同の利益であり、今後われわれは米、日、東南アジア諸国と協力しこの地域の安全を確保していかなければならない。第三に、国際協力への参加を堅持する。台湾は今後も各国と民主化、経済貿易および安全保障に対する協力を拡大し、国際社会に積極的に貢献する。
私には夢がある。外交部と台湾のあらゆる知識、経済と国民一人一人の力を結集し、西太平洋に島国があり、数十年来自立するため戦い、中国の強権に断固対抗してきており、その国の名は『中華民国』、すなわちわれわれ台湾であるということを、世界の人々に知らせることである。
【外交部 4月16日】
新幹線の来年十月開通は問題なし
軌道敷設は約半数が完成、九月から車輌の試運転開始
台北―高雄間(全長三四五㎞)をわずか一時間半で結ぶ台湾高速鉄道、いわゆる台湾版新幹線の建設工事が来年十月末の開通予定に向け、急ピッチで進められている。軌道敷設はほぼ半数が完成し、今年九月には日本から運ばれる車輌の試運転が、さらに年末には駅周辺開発の特定区における企業誘致も始まる。いま資金調達をはじめ建設のピークを迎えている台湾新幹線の建設と運営を一手に引き受ける高速鉄道公司(以下、高鉄)は五月四日、殷琪会長みずから国内のあらゆるメディアを招待し各地の建設現場を訪れ、工事の進捗状況や資金の調達問題、今後の展望などについて語った。
●工事はすべて発注済み
高鉄によると、建設工事の進捗状況は、現在線路用地が九九・二二%、駅舎が三九・三六%、メンテナンス基地・車庫が一八・九一%、軌道敷設が四八・八五%、機電システムが一四・五六%となっている。高鉄は開通までに段階的に増資を行い、建設に必要な資金を国内外から調達する計画で、今年二月に行った増資では調達できた資金が目標額を下回ったため、一部で今後の建設への影響や予定通りの開通を危ぶむ声が出された。これに対し殷琪会長は「工事はすべて発注済みで、総経費は三千八百億元(約一兆一千四百億円)となったが、国内の金利が大幅に引き下げられたため、予測された膨大な利息分のコストが大きく節約できる見込みだ。建設費が当初より九十三億元(約二百八十億円)増えたが、これは銀行から融資を受けず、自己資金を千四百十五億元(約四千二百五十億円)に引き上げて処理する。今後、大株主五社から百四十五億元(約四百四十億円)、国営事業からも百三十八億元(約四百十億円)の投資が見込めるうえ、年明けには海外でも投資説明会を行い、資金を調達する」と述べ、「工事は順調に進んでおり、来年十月の開通は問題ない」と自信を示した。
●九月から車両の試運転
線路用地の工事は六月中にすべて完了する見込みで、これにより全長三四五㎞が一本の龍となって結ばれる。また日本の企業連合七社が受注した日本の新幹線「7〇〇T」型車輌(十二両編成)が五月二十五日に高雄港に陸揚げされ、同二十九日に高鉄の燕巣整備工場に搬入、組み立てられたあと、今年九月から台南六甲と高雄大社区間約六〇㎞で試運転を開始する。新幹線建設の大きな節目となるそれら線路用地工事の完了と車輌の試運転開始にあたり、高鉄は大規模な記念式典を行い、開通への自信と期待を国民に示す考えだ。さらに国民の新幹線への理解を深めるため、世界各国の新幹線を紹介し、台湾の新幹線のあらましと開通後の人とモノの未来図を展示する「高鉄探索館」を今年七月に新竹駅に設立する。館内には3Dシアターも設置され、時速三〇〇㎞の新幹線を試乗体験できる。
●駅特定区の企業誘致も年内に
新幹線の開通は、単に台北―高雄間を一時間半で移動する高速輸送手段が登場するというにとどまらず、沿線の西部各都市が一大ゾーンを形成し、台湾の南北が日帰り圏となる、まさに台湾全体にかかわる大規模な国土再開発となるものだ。
行政院と経済建設委員会は、新幹線の五つの駅周辺にニュータウン建設を進めるための「高鉄新市鎮開発建設小組」を発足させた。約半年間の協議の結果、香港の地下鉄の経験を参考に、高鉄と高速鉄路工程局(交通部管轄、以下高鉄局)、台糖公司とで開発連合を結成し、各駅周辺のニュータウン建設を共同で進めることを決定した。建設規模は一五〇〇㌶に及び、台湾のニュータウン建設で最大規模となる。
開発の具体的手法については、開発連合の三団体が所有する土地を合わせて「核心開発区」を設立し、ここを優先開発区とする予定だ。各駅の核心開発区をいくつかの項目に分け、企業参加奨励規則の「連合開発」モデルを採用し、全体計画を作成したのち民間企業の誘致を行い、土地は開発連合が提供し、民間が建設費用を出資する方式をとる。
高鉄では、五つの駅のうち最初に新竹六家駅について今年末から企業誘致を開始し、他のニュータウン建設の指標とする考えだ。開発面積は四万坪、投資額は四十億元(百二十億円)程度を見込んでおり、ビジネスホテルやビジネスセンター、住宅などが計画されている。高鉄によると、すでに日本企業が投資に名乗りを挙げ、同駅周辺のニュータウン建設を一手に引き受ける意欲を示しているという。ニュータウン建設全体の投資額は政府の産業専用区を除いて一千五百億元(約四千五百億円)~二千億元(約六千億円)が見込まれており、台湾の不動産市場の大きな戦場になると見られている。
《台北『経済日報』5月5日ほか》
●政府と民間の緊密な協力がカギ
薛昭信・高鉄顧問はこのほどメディアのインタビューに応え、新幹線の開通が台湾にもたらす意義と成功のカギについて、およそ以下のように語った。
問:新幹線建設の意義について。
答:台湾の政治、産業、経済の中心はずっと北に集中したままで、これをいかに西部ゾーンに広げるか、新幹線開通は大きな改革の機会となる。新幹線建設の意義は非常に大きく、とくに空間革命という意味で、台北から台中までわずか四十六分という距離間は現在の台北と淡水間に相当し、台北から嘉義までの七十分は台北―新竹間に相当する。
問:台湾ではこれまでニュータウン建設で成功した例がない。
答:台湾の都市開発の最大の問題点は乱開発、つまり全体計画なしに個別にそれぞれの利益に基づいて開発がなされている点だ。たとえば、高雄の左営駅付近にはプレハブ住宅と十七階の高層ビルとが隣り合わせに存在する。淡海や林口のニュータウンも似た状況にある。新幹線駅周辺のニュータウン建設は、これらと同じ轍を踏んではならない。高鉄にとっては一区画の土地にすぎなくとも、台湾にとっては国土の再開発、西部の各都市が一大ゾーンを形成する絶好の機会であり、この機会を逃すことは台湾全体が負けることであり、開発の成否は高鉄の殷琪会長一人にあるのではない。
問:ニュータウン建設の具体策は。
答:これは私たちが半年間考えてきた問題で、香港の地下鉄が参考になると考えている。香港ではケースによって外資と国内企業が共同で計画、開発し、非常に成功した。建設にはまず「核心開発区」を設立し、これを優先的に開発する。たとえば桃園駅の特定区は四九〇㌶で、六万人の人口を見込んでいるが、このうち高鉄の一九㌶と高鉄局の二一㌶を合わせた四〇㌶を核心開発区とする。全体計画を策定したのち企業連合を結成し、開発内容を四項目に分けて、それぞれ異なる企業に建設を依頼する。
問:土地は高鉄、高鉄局、台糖が提供し、開発は連合方式を採用するとして、資金はどこが出すのか。高鉄は出すつもりはあるか。
答:資金は建設業者に出してもらう。高鉄局が土地を提供し、われわれは投資全体を台湾の投資規模に最も合う規格、だいたい五億元(約十五億円)~二十億元(約六十億円)程度に区分けし、一つの項目を三年ないし五年、または十年規模で開発する計画だ。高鉄は現在資金調達のピークを迎えており、大衆輸送業務の本業経営に集中するため、現段階で駅周辺のニュータウン建設、およびその関連事業への投資は考えていない。
問:ニュータウン建設には地方自治体の協力が欠かせないが、各地ですでに先行して建設が進んでいる。
答:地方は新幹線の開通を自らの位置付けに積極的に活かすべきだ。単に交通が便利になっただけでは北部の発展が加速されるだけである。新幹線の建設は地方自治体が積極的に参加し、政府と民間の緊密な協力がなければ成功しない。新幹線は単なる高速輸送手段にとどまらず、国土の再開発、台湾の将来の発展の大きな試金石となる。
《台北『中国時報』5月3日》
ニュース
米台の目標は抑止力強化
台湾に必要な兵器供給継続
ロードマン米国防次官補は四月二十一日、米下院国際関係委員会の台湾関係法に関する公聴会において「台湾関係法は二つのことを規定している。一つは台湾の防衛力維持に協力すること、二は台湾がもし武力攻撃を受けたなら、これに対応することである。また米国と台湾の国防関係の目的は、台湾自身の軍事的抑止力を強化し、中国のいかなる武力侵犯も阻止できるようにするところにある」と表明した。
またケリー米国務次官補は「中国は米国と国交を結んでより二十五年になるが、台湾海峡問題の平和解決を保証したことは一度もなく、逆に台湾海峡沿いにミサイルを増強している。このため米国は台湾関係法によって台湾に必要な防衛性の兵器を供給しなければならない。米国の政策と兵器輸出の目標は、台湾が自衛力を維持することに協力し、北京の脅威に十分対抗できるようにするところにある」と表明した。
《台北『中国時報』4月24日》
中国が五百基以上のミサイル
米国防総省筋が議会で証言
ローレス米国防次官補は四月二十二日、米上院外交委員会の公聴会において「中国軍は台湾海峡での軍事衝突の準備をしており、北京が宣伝する一国二制度の下に平和統一を求めるとする政策にはきわめて疑わしいものがある」と指摘した。さらに「中国は現在、台湾の対岸に五百基から五百五十基の短距離ミサイルを配備しており、これをさらに一年間に七十五基のスピードで増強している。中国の短距離ミサイルは質量ともに向上している」と証言した。
同時にローレス次官補は「中国軍は改革と現代化を加速しており、その目標の一つは、台湾が永久分離の方向に向かった場合、台湾を武力で脅迫するためであり、第二は台湾海峡で武力を行使する際に、第三者の介入を阻止あるいは遅らせるところにある。中国軍は目下最新兵器を輸入し現代戦争に対応できる制度と組織を整えようとしているが、目的はこの二点にある」と指摘した。
《台北『自由時報』4月25日》
両岸交渉再開の好機はいつ
立法委員選挙後に可能性大
五月二十日の陳水扁総統就任式のあと、両岸交渉再開のチャンスがあるかどうかに国際社会は注目しているが、これについて行政院大陸委員会上層部は最近「中国はいま総統選挙結果の行方を見守っており、その態度は年末の立法委員選挙まで続くだろう。野党連合が過半数を維持するか、与党連合がどれだけ議席を伸ばし、また過半数を制するかを見てから、中国は台湾に対する政策を調整することになるだろう。つまり両岸交渉の再開は年末の立法委員選挙の後が可能性大となる」との分析を示した。同時に「立法委員選挙後から二〇〇六年までが交渉再開の重要な時期であり、この機を逃せば、双方の内部事情によって交渉再開は複雑となる。〇六年には台湾は新憲法を制定し、中国は〇七年の第十七回全人代の準備に入る。〇六年までの時期を逃せば、次の機会は〇八年の総統選挙のあとまで持ち越される可能性もある」と指摘した。
《台北『自由時報』4月26日》
「辜汪会談」十一周年迎える
両岸対話の早期再開望む
一九九二年、辜振甫・海峡交流基金会理事長が中国の汪道涵・海峡両岸関係協会会長とシンガポールで会談し、両岸の相互交流のための制度化された対話ルートを確立した「辜汪会談」が、今年で十一周年を迎える。これに際し辜振甫理事長は四月三十日、書面で特別談話を発表し、当時の会談と今後の両岸関係について見解を述べた。
辜理事長は「この十一年、両岸関係は予想以上に険しい道となり、両岸の各レベルでの交流はますます発展し、経済貿易、文化や人材交流など、双方で取り組むべき問題も浮き彫りとなったが、一方で両岸の対話は常に妨害されてきた」と指摘した。また「両岸双方は政治問題を棚上げし、会談当時のように双方が受け入れ可能な方式によって、異なる意見を寛容に受けとめ、対話を継続させる必要がある」と述べ、対話の早期再開により、両岸関係に新たな局面が開かれるよう強く訴えた。
《台北『中央社』4月30日》
対中投資は貿易にシフトを
対中国経済政策は調整必要
中国の景気過熱防止策により、アアおよび台湾の株式相場が下落している現状について、黄天麟・総統府国策顧問はこのほど、自由時報の取材に応え、自らの見解を述べた。
黄顧問は「株価が下落しても、台湾の投資環境は欧米や韓国と比べて良好であるため、台湾から外資がすべて引き上げるような事態を招くことはないだろう」とコメントした一方で、「今年三月の台湾から欧州への輸出額は、輸出総額の一四・五%、米国への輸出額は同一六・四%だが、対中輸出は総額の三六%に達している。しかもこの大半は台湾商品の輸出ではなく、中国へ進出している企業の原材料輸出など、投資から派生した輸出である。こうした『貿易を投資に代える』方式は中国経済の煽りを直接受ける原因となっており、この十四年、中国に対しとってきた経済開放政策には調整が必要だ。今後は『投資を貿易に代える』方式に転換すべきである」と強調した。
《台北『自由時報』5月3日》
両岸平和小組が初回会議
平和綱領の早期制定目指す
陳水扁総統、呂秀蓮副総統は五月六日、「両岸平和安定相互連動小組」の構成員である辜振甫、李遠哲両氏と初回の会議をおこなった。
陳総統はこのなかで、選挙前からの公約通り、「両岸の平和安定相互連動枠組み」を構築し、両岸の安定した環境を創造し、経済の繁栄を追求することを再度表明した。
総統府ではすでに、両岸九人小組を基礎として、「両岸平和発展委員会」を設立する方針を固めており、陳総統自ら主任委員を務め、九人小組の共同召集人である辜振甫・海峡交流基金会理事長、李遠哲・中央研究院院長が副主任委員および今後設置される予定の研究機関を主管し、執行長と同等クラスの職務に就くことが内定している。
陳総統は、同委員会により与野党と国民全体のコンセンサスを得たうえで、両岸平和発展のための綱領を制定し、これを後の両岸関係構築の準則としたい旨を表明した。
《台北『中国時報』5月7日》
中国海軍八隻が香港に入港
うち三隻が台湾海峡を通過
中国海軍のミサイル駆逐艦や潜水艦など八隻が四月三十日朝、香港に入港し、五月五日に出港した。総統就任式の五月二十日以前に中国軍がなんらかの形で台湾に対する威嚇行動をとる可能性もあるため、国防部は十分な監視体制をとった。八隻の香港繋留中の五月三日、薜石民・国家安全局長は立法院国防安全委員会において「中国は艦隊の香港入港を建軍五十五周年を祝うためとしているが、主要な目的は、香港市民に主権を誇示するところにある。また香港は台湾に近く、わが方はその動向を十分に掌握している」と語った。
国防部筋は六日「南海艦隊所属の三隻は南下し、北海艦隊所属のミサイル駆逐艦『ハルピン』と東海艦隊所属の護衛艦二隻は台湾海峡中間線の西側を北上し、宋級潜水艦二隻は台湾東側の太平洋水域を通過した。台湾海峡通過の三隻はわが方の偵察を警戒し、レーダーと電子戦系統を閉じていた」と発表した。
《台北『中国時報』5月7日》
「阿扁後援会」が当選祝賀会
在日華僑二百人が一堂に集う
五月九日、海外阿扁後援会日本総会が主催する陳水扁総統当選祝賀会が、日本阿扁之友会、台医人協会、蓬莱医師会、台医婦女会、世界台僑台商総会、世界投資を楽しむ会、公平対待台湾委員会の共催で、浦安市のホテルで開催された。祝賀会には約二百名の在日台湾華僑が出席し、羅福全・台北駐日経済文化代表処代表、水野賢一・自民党衆議院議員、中津川博郷・民主党衆議院議員らが祝辞を述べた。また、評論家の汪笨湖氏が講演し、「台湾の建国には、教科書改訂とメディアの大幅改革が必要だ。華僑は未来の台湾を担う偉大な力である」と強調した。
《台北『自由時報』5月10日》
人気高まるシルバーマンション
本格的な高齢者社会に向け政府も建設に着手
台湾では六十五才以上の高齢者人口が全体の九%以上に達し、すでに高齢化社会に入っている。他の先進国同様、医療の進歩と少子化により、高齢者の割合は今後ますます増えると予想されており、こうしたなか高齢者を対象にした賃貸型シルバーマンションが台湾でもここ数年人気を集めている。
●看板は五つ星のサービス
台湾で最初にシルバーマンションが登場したのは一九九〇年。大手建設会社が手がけたが、成功しなかった。次に登場したのはそれから六年後で、建設、服飾、流通、医療と幅広い分野で事業を展開する企業グループが台北県の淡水に打ち出した。明確なサービス内容で多くのリッチなシルバー族を引きつけ、賃貸総数の三百戸はすぐに満室となった。さらに同グループは、高齢者だけでなく親子が同居できる三世代同居型マンションを台北県新店に建設したが、こちらの評判も上々だ。
同グループのシルバーマンションは五つ星ホテル並みのサービスが売りで、各戸とも独立した約十五坪ほどのワンルームとなっている。自分で身の回りのことをできることが入居条件で、日常生活のサービスから健康管理、レジャーまで、経営する同グループが提供する。入居には、保証金として約五百万元(約千五百万円)と、毎月の賃貸料一万七千元(約五万一千円)を支払い、退去時には保証金は全額返還される。同マンションの入居者のほとんどが高学歴高収入者だという。
このほか、いま最も注目されているのが、桃園県亀山郷に建設予定の養生文化村だ。台湾の財閥を代表する人物が手がける。部屋の広さが十四坪と二十坪の二種類から選べ、毎月の管理費はそれぞれ一万八千元(約五万四千円)と二万六千元(約七万八千円)で、男性が六十才、女性が五十才以上、ともに自分で身の回りのことをできることが入居条件となっている。このシルバーマンションが人気なのは、五つ星クラスのサービスと合理的な賃貸料に加え、入居者に預金金利の優待があることだ。入居者が養生村に預金すると、市中銀行の平均金利に三%がプラスされ、最高で四・五%となる。万単位で預金した場合、利息分を賃貸料に回すことも可能で、たとえば四百八十万元(約千四百万円)預金すると、毎月の利息は一万八千元(約五万四千円)となり、賃貸料すべてを利息でまかなうことができる計算だ。
●中所得者層にも門戸広がる
こうしたシルバーマンションに対するニーズの高まりを受けて、政府もシルバーマーケットに本格的に乗り出した。内政部は花蓮県平林の四十六ヘクタールの土地に、二千戸の住宅、合わせて三千人の高齢者を収容できるコミュニティーを建設することを決定した。
同地は兆豊農場の北側に位置し、のどかな自然のあふれる場所だ。花蓮市内から車で四十分、鳳林栄民病院へもわずか十五分の距離にあり、さらに鯉魚潭風景区や理想国渡假村、海洋公園にも近い。
計画では、退職後の高齢者を対象に賃貸とし、住宅は二階建ての吹き抜け形式と、建物全部が吹き抜けの五階建てのマンションで、入居者の保証金の額によって住宅を選べるようになっている。住宅のほか、コミュニティー全体の施設として、音楽や芸術を楽しむカルチャールーム、保健センター、レクリエーション農園などが整備される予定で、高齢者住宅建築技術規則に則り、すべての住宅でバリアフリーが施される。
建設はBOT(一定期間経営後、政府に経営移譲する)方式を採用し、今年四月から投資企業の誘致を開始する。一般に入居時の保証金は三百万元~五百万元(約九百万~一千五百万円)が相場で、これは中級所得者の退職金にほぼ相当する。建設予定地は国有地のため、開発業者は土地代を回収する必要がなく、賃貸料は一般の民間の施設より大幅に低く抑えられる見込みだ。これまで富裕層が主な対象だったシルバーマンションだが、政府が参入することで一般のサラリーマンにも門戸が広がるものと期待されている。
《台北『民生報』3月25日》
台湾観光年
公営企業が観光に積極進出
経済の自由化が進むなか、国営事業の多角経営が進んでいる。なかでも観光への投資が増えており、政府の進める「観光客倍増計画」も追い風となっている。
●台糖公司:リゾート村を推進
台糖公司は以前観光事業に進出したことがあるが、当時は成果があがらなかった。このほど新しく就任した龔照勝・董事長は今年一月「レクリエーション事業部」を立ち上げた。王振夷・執行長は「台糖には多くの観光資源がある。ミニ機関車をはじめ江南と牧野にはそれぞれリゾート村があり、花卉農園も持っている。それらを組み合わせて一つの観光コースをつくり、旅行社にPRしたい」と話す。
観光経営について龔董事長は、江南リゾート村の潜在力に最も注目している。氏は世界中を旅しているが、「江南の景観は六星クラスに相当し、かならずや世界中のビジネスマンの垂涎の的となる」と強調する。だが問題がないわけではない。誇れる資源があっても、それを提供するサービスと宣伝のノウハウが不足しているためだ。台糖では現在、江南リゾート村を多国籍企業の会議場として提供し、これに同社のSPAなどと結合させ、独自色を出すことを計画している。
「われわれが各地に持っている製糖工場は、休暇を楽しむ場所として打ってつけだ。宿舎はホテルに模様替えし、レストランも現地の特色を生かしたものにリニューアルする。たとえば旗山工場は客家料理をメインにできるだろう。これ以外にも、われわれには美しい森とミニ機関車がある。鉄道観光ももっとPRしていきたい」と龔董事長は意気込む。王執行長によると「台糖の文化遺産を活用し、とくに年配の日本人に台湾に来て懐かしさを感じてもらう『懐旧の旅』パックツアーを計画している」という。
台糖は現在六カ所でミニ機関車を運行させており、観光客の評判は上上々ながら、利益を出すまでには至っていない。
「われわれは埔里に『リトル・スイス』と呼んでいる美しい場所を持っているが、残念ながら自分たちでここを開発し経営する力がない。このためBOT(一定期間経営後、政府に移譲)方式での開発を検討している。以前、月眉投資で失敗した経験があるため、企業の募集など慎重に行うつもりだ」と話す。
●台電公司:課外学習に開放
発電所といえば、これまで厳しく立ち入りが制限され、容易には近づけない場所だったが、台湾電力は昨年から観光客に発電所内の見学を開放している。李甘常・副総経理は「発電所の敷地は広く、長年の美化整備で構内は緑のジュータンが広がり、しかも清潔だ。とくに水力発電所は山間にあり、周囲は大自然に囲まれている。観光客に入場を開放したのは、もともと付近の住民へのサービスで、今のところ入場料を取ることは考えていない。いまは近くの学校の課外学習の場として多く利用されている」と語る。
観光進出に意欲を見せるが、発電所の多くは辺鄙な場所にあるため、大勢の観光客は期待できない。このため、まずは公務員を対象に、休暇でくつろぐ場所として開放することを検討している。「最初から黒字は望まない。われわれは観光事業化の一歩を踏み出したばかりだ」
台湾電力は現在七カ所の発電所の見学を開放しており、年内には南部火力発電所、東部発電所、水力発電所も開放する予定だ。将来は、現地農水産物の販売、庭園カフェ、レストラン、ホテルなどのサービスも手がけたいとしている。
●台塩公司:塩山観光で年間一億元の収益
昨年民営化されたばかりの台塩は、七股塩山を観光の目玉に据えている。塩業博物館を建設し、塩業の歴史を紹介するとともに塩をテーマにしたさまざまなグッズを販売、「塩風呂」も開発した。また今年は第二期塩山、台湾初のシュノーケリングセンターと海水プールの建設も計画されている。台塩にとって塩山はまさに金のなる木であり、観光による収益は年間一億元(約三・五億円)にのぼっている。
《台北『中国時報』3月29日》
広島と仙台が定期航路に
台北―広島、台北―仙台間で運行されていた航空チャーター便が定期便に昇格することになった。四月三十日、亜東関係協会と日本交流協会の双方の代表が航空協定に調印した。これにより、台湾と日本を結ぶ空の定期航路は、東京、大阪、名古屋、福岡、札幌、それに広島と仙台が加わり、七カ所となった。
台湾は今年を「台湾観光年」に位置付け、海外からの観光客の誘致に努めている。二〇〇二年台湾への観光客数は二百九十七万人にのぼり、そのうち日本人観光客はおよそ三分の一の百万人近くに達したものの、翌〇三年は新型肺炎(SARS)の影響で六十五万人に減少した。一方、台湾人にとって日本は海外旅行先として常に人気があり、SARSの影響で出国者数が減少した〇三年も七十三万人が日本を訪れた。
今回広島、仙台が定期航路に加えられたことで、日台双方の観光客の交通の便にとどまらず、両国経済、文化交流の促進も期待される。
【外交部 4月30日】
台北―能登にチャーター便
昨年七月、石川県に開港した能登空港と台北間にチャーター便が就航する。華信航空が六月三十日から八月二十九日まで、毎週一便、計九回運行する。九月以降も予定されており、年間で三十六便となる見通しだ。石川県は城下町・金沢と温泉が有名で、能登空港の開港以降、日本人の間でも人気が高まっている。
チャーター便は当面、台北―能登を往復するが、将来は能登から羽田空港まで結び、東京首都圏の観光も組み入れたツアーを計画している。
《台北『中央社』5月4日》
浜名湖花博で台湾が金賞
四月八日から静岡県の浜名湖で開催されている「浜名湖花博」(会期は十月十一日まで)で、台湾の展示館が金賞を受賞した。
日本にとって三回目の国際花博となる「浜名湖花博」には世界から四十カ国余りが出展している。東京ドーム約十二個分に相当する広大な敷地内には二十六の展示館が設置され、出展されている草花は六千種類、数にして五百万株以上が並べられ、アジアでは最大規模となっている。台湾は今年一月に国際園芸家協会の正式会員となり、今回の花博では約三十坪の展示スペースに、胡蝶蘭、文心蘭、カラー、トルコキキョウ、開運竹(ミリオンバンブー)、ユリなどを出展し、高い評価を得た。
行政院農業委員会の黄子彬・国際処処長は「花博への参加通知を受け取ったのが三月下旬で急遽チームを組み、四月二日に来日した。開幕までの五日間、不眠不休で展示の飾り付けを行った。チームが一団となり理念をもって取り組んだ成果だと思う。台湾の花の質のよさも証明された」と話している。
鐘国成・台湾区花卉発展協会総経理は「日本の花博の展示は非常に繊細で、とても参考になった。二〇〇七年の国際花展を台北で開催できるよう尽力したい」と語った。
《台北『民生報』4月29日》
中日親善ヨット競技会開催
台日双方のヨット愛好家による親善競技会が四月三十日、五月一日の両日開催された。台湾から二隻、日本から十三隻が参加し、沖縄の石垣島―基隆の百四十海里で争われた。
一九九六年に始まった台湾と沖縄のヨット愛好家の交流がきっかけで九八年から二年に一度、両者の友好親善を目的に競技会が開かれている。当初は台湾と沖縄在住者による小規模なものだったが、その後日本全国の愛好者に広がった。今年はヨットの大きさや力により二つのグループに分かれて行われ、万全を期して臨んだ台湾のチームは小型の部で優勝した。同じ黒潮を共有し海に魅せられた島国の者同士が情熱をぶつけ合い、交流を深めた。
《台北『民生報』5月2日》
台湾の若者は起業志向が旺盛
人気はサービス業、政府も支援策
台湾のビジネスマンには、もともと「一国の主」を目指そうという独立志向が旺盛で、ITメーカーなど国際的企業に発展した例も多い。最近では、厳しい経済状況のなかでリストラに遭い、生計を立てるためやむなく起業するケースも見られるが、未来の台湾経済を担う若者世代はもっとプラス思考で、起業に対する意気込みも強いようだ。
行政院青年輔導委員会、IT雑誌「數位時代雙週」および政治大学「刷新と創造力研究センター」がさきごろおこなったアンケート(インターネット形式で実施、サンプル数一六二八人、有効回答数一五七九人)によれば、これから起業したいと考えている人の四九・五%が二十三歳~二十九歳までの若い世代に集中していることが分かった。また、「なぜ起業したいと思うか」との問いには、回答者の四割以上が「得られる利益が大きいため」「企画力を養い、充実感が味わえるため」と答えており、起業に対する積極的な一面が伺えた。
●サービス業に人気集中
また、同調査によると、こうした若者に人気の業種は、コンビニやコーヒーショップなどのチェーン店、スーパー、コミックレンタルショップ、飲食業などのサービス業で、青年輔導委員会では「大手チェーン店への加盟は仕入れや販売のノウハウも伝授してもらえるため、単独での起業よりリスクが低い」と、若者世代の慎重さも指摘している。
一方、昨二〇〇三年に経済部中小企業処が同処の経営相談を受けた起業家二千五百人を対象におこなった調査でも、人気業種のトップはサービス業(二九・九%)であった。喫茶、飲食関係や雑貨店が多く、最近では補修班(予備校や学習塾)や習い事教室、民宿経営なども増えているという。以下、販売業(二三・四%)、食品関連業(一三・六%)、製造業(一〇・五%)と続いているが、こうした起業家の六割が、「一番頭の痛い問題」は「資金繰り、融資問題」と答えていた。中小企業処では「最初から融資を当てにするのではなく、まず自己資金での起業を考えるべき」と、少ない資金で始められる企業形態として、インターネットを利用した無店舗起業などを提案している。
《台北『民生報』4月16日》
●経済部は起業バックアップ策
経済部中小企業処でも、現在「起業の夢実現計画」を推進中だ。起業のレベルを準備期、創建期、成長期の三段階に区分し、各段階に合わせたバックアップ計画で、その一は電話、インターネット、直接面接方式による無料カウンセリングで、現在すでにおこなわれている。二つ目として同処では、今二〇〇四年中に二十八の起業家特別講座を開講し、千人の知識創業エリート育成を目指す。起業計画書の作成ノウハウから財務計画、マーケティングなどの専門的な内容を、週六回四十八時間、五千元(約一万五千円)で受講できる。三つ目は全国十七カ所に起業家相談センターを設置することで、プロの起業カウンセラーによる相談と指導が受けられる。これらの対策により、同処では今年二百社の起業を成功に導くことを目標としている。これにより一社あたり百万元(約三百万円)が投資され、五人雇用されれば、民間投資額二億元(約六億円)および千人の就業機会を創出する計算となる。
《台北『中国時報』4月7日》
●「老店」再生大作戦!
新たに起業する人があれば、昔から細々と営まれてきた「老店」もある。古びた店内は今にも潰れそうな雰囲気だが、多くの人から親しまれ、心の拠りどころとなる店だ。地域住民の生活レベル向上のため設立された「台湾好隣居基金会」では、昨二〇〇三年四月から「老店救済大作戦」を推進中で、こうした店のリニューアルに一役かっている。
この活動は、起業三十年以上の地域密着型あるいは伝統的価値のある飲食店、特産品店を対象に、劉坤堂・経済部商業司(局)長をはじめ、グルメと販売管理の専門家で構成された評価委員会が、応募店に対し具体的な再生プランを提案するもので、各地の特色ある老店を発掘し、地方経済振興を目的としている。対象店に選ばれれば、宣伝や販売促進の方法などが伝授されるほか、改装費二十万元(約六十万円)も提供される。
昨二〇〇三年四月以降、すでに五店舗がこの活動で再生に成功しており、同基金会では引き続き全国から参加店を募り、今年中にあと十店舗のリニューアルを予定している。
●蘇った「老店」
一九四五年創業の「常美氷店」は、高雄市の山あいの街、旗山にある。
店の主、郭李常美さんの夫は油の販売を生業としていたが、友人の代わりに借金を背負い、その後数十年、この店は一家の生計を支えてきた。
常美さんは逆境にめげず、早くにイタリア製のアイスクリームミキサーを購入し、地元の食材を使った商品を研究した。バナナや芋、小豆を使ったアイスクリームがこの店の人気だ。
七十八歳の今、彼女の店も老朽化 し、四人の子供は独立し、去年夫にも先立たれた。店を畳んで同居しようという子供たちの勧めにも耳を貸さず、「目の黒いうちは店を閉めないよ」とがんばる常美さんに、海外赴任していた長男が根負けして帰国し、経営を手伝うことになったが、そんななかで好隣居基金会の再生策対象店に選ばれ、事業展開にはずみがついた。
リニューアルされたアーチ型の出入り口にカフェ風に椅子を並べて、古びた看板もお洒落に一新、長男だけでなく二人の娘も、仕事を辞めて店の経営を手伝うことになった。五十七歳にして初めて氷菓子製造を学んだという息子の郭さんは、「今後は地元の味を台湾のほかの地域でも食べられるよう、チェーン展開したい」と語っており、すでに第二号店を開業したという。
《台北『中国時報』4月16日》
文化ニュース
交通大学にバーチャル古都長安
百八周年記念し発展館が登場
交通大学では創立百八周年を迎えるにあたり、デジタル技術と人文芸術を融合させた「交大発展館」を新たにオープンする。
館内には一九七一年に同校で開発された国内初の小型電子計算機や、一九六三年に台湾で初めて設立された電晶体実験室の資料など、半導体研究における交通大学の歴史と成果が展示されるが、なかでもとくに目を引くのは、「バーチャル古都長安」と「キャンパスの壁」だ。
「バーチャル古都長安」は、大学デジタル建築研究所の設計により、歴史的資料から長安の町を六つの場面に再現した立体動画映像で、特殊メガネをつけて大型スクリーンの前に立つと、古代の美女や馬に乗った戦士などが自分のすぐ傍をすれ違い、まるで長安の城内に入り込んだような感覚が味わえる。
「キャンパスの壁」は、三万枚もの小さな写真をコンピューターで自動処理して組み合わせ、長さ四メートル、幅二メートルもの広大なキャンパス写真にしたものだが、実は一枚一枚の写真は同校の教員と学生の頭の写真が使われているという。キャンパス画のどこかに自分の後頭部が 使われているというのが面白い。同館は総工費約二千万元(約六千万円)、四年の歳月を費やしてこのほど完成し、四月十日の創立記念日から一般開放される。
《台北『聯合報』3月30日》
「優劇場」が結成十五周年
名前新たに国際舞台へ
台湾で唯一、太鼓と演劇を融合させた劇団「優劇場」が、今年で設立十五周年を迎えた。今後は劇団名を「優人劇場」と改め、世界の舞台を目指してさらなる飛躍を図る。
「優劇場」は創立当初、伝統技芸、現代舞台芸術などを研究する劇団 り口にカフェ風に椅子を並べて、古びた看板もお洒落に一新、長男だけでなく二人の娘も、仕事を辞めて店の経営を手伝うことになった。五十七歳にして初めて水菓子製造を学んだという息子の郭さんは、「今後は地元の味を台湾のほかの地域でも食べられるよう、チェーン展開したい」と語っており、すでに第二号店を開業したという。
《台北『中国時報』4月16日》
週間ニュースフラッシュ
◆客家人の国際親睦団体が大阪と東京で大会
客家人の国際親睦団体である日本関西崇正会、世界客属総会日本分会、全日本崇正会連合総会が四月二十四日、大阪で連合懇親会を開催し、台湾から饒穎奇・国策顧問が出席した。翌二十五日には東京でも東京崇正公会の年次総会が開かれ、台湾から葉菊蘭・行政院客家委員会主任委員が出席し、挨拶のなかで「政府は客家を重視しており、客家文化、芸術、言語、伝統の継承に努力している」と述べた。
《台北『中央社』4月25日》
◆李登輝前総統が野党に選挙結果受け入れを呼びかけ
李登輝前総統は四月二十四日、「総統選挙に敗れた候補者は、勇気をもって結果を受け入れ、敗因を検討すべきであり、大衆行動を利用して自己の失敗を隠蔽するなどは、政党の発展を犠牲にするものであり、残念なことだ」と野党側に選挙結果受け入れを呼びかけた。
《台北『中国時報』4月25日》
◆欧州連合が対中国武器禁輸を継続
欧州連合(EU)外相理事会は四月二十六日、一九八九年の天安門事件以来続けている対中国武器禁輸を今後も継続することを決定した。武器禁輸にはフランスが解除を主張したが、オランダ、デンマーク、スウェーデンなどが人権尊重と軍事バランス維持の立場から継続を強く主張した。
《台北『青年日報』4月28日》
◆台湾の安全は日本にとって重要
内田勝久・交流協会台北事務所長は四月二十七日、長栄大学(台南県)で講演し「日本は中国を恐れておらず、台湾との非政府の実質関係を維持している。両岸にもし戦争が発生したなら、日本にとっても脅威であり、このため台湾の安全は日本にとってもきわめて重要である」と語った。
《台北『自由時報』4月28日》
◆来年には公約の一つである失業率四%を達成
陳水扁総統は任期中に失業率を四%まで引き下げると公約していたが、四月三十日「今年三月の失業率は四・四五%で、過去三年間最低を達成した。今後任期四年間を待たず、公共サービス拡大就業計画、新十大建設計画などによって、来年には四%の公約を達成する」と語った。
《台北『青年日報』5月1日》
◆三月十九日、軍に戒厳体制の事実はない
一部のマスコミが、「軍は三月十九日に総統が銃撃されたあと、誰かの命令で戒厳体制をとった」と報じた件について、国防部軍事発言人(スポークスマン)室は五月二日「そのような事実はない。軍は憲法を遵守し政府の指導に従い、行政には厳正中立を保っている」と言明した。
《台北『青年日報』5月3日》
◆台湾の経済競争力はアジアで三位
スイスのローザンヌ国際経営開発研究所(IMD)が五月四日に発表した世界競争ランキングによれば、台湾はアジアでシンガポール、香港についで三位、世界十二位(昨年17位)であった。中国はアジア六位、世界二十四位(同29位)、日本はアジア五位、世界二十三位(同25位)であった。
《台北『中時電子報』5月4日》
◆四月の消費者物価〇・九三%増
行政院主計処は五月四日、四月の消費者物価は前年同月比〇・九三%増となり、十三カ月来最大の上げ幅を記録し、デフレ傾向脱出が顕著になったと発表した。
【行政院主計処 5月4日】
◆四月末の外貨準備高は二千二百七十七億ドル
中央銀行は五月五日、四月末の外貨準備高は二千二百七十七億六千万ドル、日本、中国に次いで世界第三位で、前月比上昇幅は最近一年半で最小となったと発表した。
《台北『経済日報』5月6日》
春 夏 秋 冬
いま香港が揺れている。無理もない。北京の全国人民代表大会(全人代)が4月26日、1997年に世界に示した公約を反故にし、香港市民の意思に反する決定をしたのだから、揺れない方がおかしい。
香港では2007年に行政長官、2008年には香港立法会(議会)の選挙が予定されている。行政長官は800人の選挙委員によって選ばれ、立法会議員は定数60議席で、30議席が親中派の多い職能代表枠に振り分けられ、市民が直接選挙で選べるのは残り半数の30議席にすぎない。民主国家の目から見れば、まるで植民地統治の選挙制度である。そこで北京は香港市民に「一国二制度」を約束し、当時定めた香港基本法にも、この変則的な選挙は「必要があれば」2007年以降変更できると謳ったものである。当然香港市民は、国家的行政版図は中国だが「一国二制度」を盾に、完全な民主化への期待を持った。ところがその「必要性」を決めるのは全人代常務委員会だとされており、香港市民はそこに不安を禁じ得なかった。そこで発生したのが、昨年7月1日(香港返還記念日)の民主化要求50万人デモであり、今年元旦の、07年の行政長官選挙と08年の立法会議員選挙の普通選挙要求10万人デモである。
全人代の4月26日の発表は、こうした香港市民の声に対する回答だったのだ。すなわち、07年も08年も普通選挙の「必要」はないというものである。香港基本法という香港独自のミニ憲法があっても、その解釈権が北京にあるというのでは、公約の「一国二制度」など最初から北京は守る意思はなかったと解釈してもよいのではないか。それを示すのが、今回の全人代の決定であり、香港市民が具体的に今後の民主化への方向を討議する前に、北京はその道を封じてしまったのだ。
香港民主派リーダーの楊森・民主党主席は「港人治港(香港人が香港を治める)ではなく、京人治港(北京が香港を治める)だ。一国二制度は破壊された」と批判し、これら香港の民主派や法曹界は、今年も7月1日にふたたび大規模な抗議行動を起こすよう市民に呼びかけている。
北京はこの「一国二制度」を台湾にも押し付けようとし、非現実的だがその根源となる「一つの中国」の受け入れを両岸対話の前提条件にしている。対話はいま停滞しているが、それの原因が北京にあることは誰が見ても明白であろう。台湾は香港と違い、主権の独立した国家なのだ。北京がこの現実を認識するのはいつになるだろう。 (K)