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  台湾週報2144号(2004.5.27) - 台北駐日経済文化代表処 Taipei Economic and Cultural Representative Office in Japan :::
主要ニュース
:::


台湾週報2144号(2004.5.27)

陳水扁・中華民国第十一代総統就任演説
台湾の持続発展のために基盤を築く

    二〇〇四年五月二十日

 友邦元首の皆様、各使節ならびに代表団の皆様、ご来賓の皆様、親愛なる国民の皆様:

 国内外の皆様方が中華民国第十一代総統・副総統の就任式へご参加いただきましたことに感謝申し上げます。本日我々がここで見届けるのは、台湾の民主主義前進の足取りであり、二千三百万の国民が共同で描いた成果であります。

 この喜ばしい国家の祭典において、私は荘厳なる使命を付託されることになります。今この時、私の心と脳裏に浮上するものは華麗な祝辞ではなく、さらなる責任、さらなる謙虚、さらなる反省であります。

 ●台湾民主化の成果

 二十世紀の最後の年に、台湾は初めて政党の交代を成し遂げ、民主主義発展の新しい道のりへと邁進しました。新旧世紀の交替にともない、我々は茨の如き民主の道を歩みました。今世紀における初船出の荒波には、新しさと古さ、脆弱と堅強、危機と転機が共存していました。 

 華人社会およびその他の新興民主国家にとって、台湾の民主化は試練の道であり、また手本でもあります。西側諸国の民主政治は長い歳月の洗礼を受けて今日のレベルに達しました。若い民主国家として、頓挫や試練に耐えてきた台湾の経験は貴重なものと言えましょう。民主主義はおのずと生ずるユートピアではなく、また直行列車でもなく、一つ一つを耕してこそ、一歩一歩前進の足跡を刻めるのだということを台湾の経験が証明しております。

●新たな融合に向かって

 第一波の民主化への過程は、戒厳令解除に始まり、国会の全面改選、総統の直接選挙まで、主権在民ならびに台湾の主体性を確立しました。第二波の民主化推進の要点は、公民社会の構築ならびに国家共同体への再編成であります。 

 社会意識の形成から国家公共政策への参与まで、国民投票の実施を含め、それらは公民社会の権利と義務を確認し向上させ、同時に、さらに成熟した、理性的な、責任ある民主主義の根幹を発展させるものであります。公民社会の構築を通し、共同参与によって全員でこの土地に対するアイデンティティーと共通の観念を創造してこそ、はじめてエスニックグループ、血縁、言語、文化の障壁を乗り越え、新たな国家共同体が再建できるのです。

 目下の台湾社会は確かにアイデンティティーとエスニックの厳しい課題が存在しており、我々はそれを粉飾する必要もなく、座視することもできません。執政者として、私自身と民主進歩党を含め、率先して反省し、率直に向かい合い、融和を求める意欲があります。

 数百年前、我々の祖先は海峡を渡って台湾にたどり着き、安心して住める地を探し求めました。着いた時間の前後を問わず、いずれの土地からきたのであろうと、また言葉の相違があろうと、さらに違った理想があろうとも、最終的にはこの地に根を下ろしており、互いに運命は同じであり、唇歯輔車の関係にあると言えましょう。先住民、新住民、海外に居住する華僑、外国人配偶者、また同じ太陽の下で働く外国人労働者も、この土地に大きな貢献をしており、台湾新家庭の欠かせない重要な一員であります。

 それぞれのエスニックグループは、歴史の記憶や民族的な思いによって、認識の相違があるかもしれませんが、そこには包容力と相互理解が必要です。過去の権威主義による戒厳時代には、グループ間の不平等や言語文化の抑制などが存在していましたが、ごくわずかな統治者を除けば、あらゆるエスニックグループがともに被害者であったことを認識しなければなりません。二・二八事件と白色テロでは、本省人も外省人も共に被害者となり、その根本は統治者の権力濫用によるものであり、エスニックグループの圧迫によるものではありません。

 台湾は多種類の移民社会であり、少数によって統治されている殖民地国家ではなく、どのエスニックグループも架空の歴史の重荷を負うべきではありません。今日の台湾において、出身地は広東であろうと台東であろうと、また我々の母親の出身がベトナムであろうと台南であろうと、どの人も同様な地位と尊厳を持っています。私は、台湾アイデンティティーであろうと中華民国アイデンティティーであろうと、実際には同じものに帰属していると思っております。「多様なエスニック、一体の国家」というものが、台湾の地における最も好ましい姿であり、本土と外来の区別をつけず、少数と多数のこだわりもなく、二千三百万の国民は一丸となり、すべての運命を共にしなければならないのであります。

 ●必要な台湾の団結

 今回の総統選挙は空前の激戦となり、選挙の結果が発表されてからも、野党の候補者が疑念と訴訟を提起しました。現任の総統として、私は最大の誠意をもって司法の独立公正を尊重し、結果の如何にかかわらず、率直にそれを受け入れます。法の規定に照らし、司法を信頼するのが唯一の解決の道であり、もし今回の選挙によって国民の民主法治や司法の独立に対する信頼を揺るがせるなら、結局は国民全体が負ける結果になるのみだと思っております。

 本日ちょうどよく降ってきました雨が、われわれの高ぶった感情を鎮め、気持ちを冷静にさせ、さらにわれわれの頭脳を明晰にさせております。

 民主政治によって選挙が定期的に行われるという制度は、主権在民の原理を実践するほか、民意と社会的価値観の総点検となるものでもあります。熾烈な競争は、政治家に最も直接的な評価と啓示をもたらします。私自身と政府は、今回の選挙で最も厳しい試練を受け、またそれによって反省し前進もしました。異なる陣営との間には、理念の相違や政策論争は免れず、時には民衆を動員するのもやむを得ないのですが、民主選挙の結果は、決して勝てば官軍、負ければ賊軍というものでもなく、また民衆の対立を生じさせるべきものでもありません。政党政治という監督メカニズムの構造は、民主主義の健全な根本となるものです。責任ある与党と誠実な野党は、いずれもが国民の意志の各部分を代表するものであって、また国家国民の政治的な資産でもあります。与党あるいは野党の役割を問わず、どちらにも国民はチャンスと責任を与えているのです。

 今回の選挙の最終的な試練は、多数というハードルを乗り越えるかどうかの問題ではなく、国民全体が対立の壁を乗り越え、相互信頼への溝をどう埋めるかの問題だと思います。僅差だからといって、社会の矛盾を拡大させてはなりません。たとえ一時的に対立は生じても、私は引き続き「傾聴、理解、法理、団結」を念頭に置き、選挙がらみの対立を消し去り、与野党の信頼関係修復に取り組みます。

 団結した台湾、平穏な両岸関係、安定した社会、繁栄した経済、それらのいずれもが、現在国民が最も期待しているものであり、また政府が今後の施政の要としているものであります。どの課題も、個人あるいは一政党が独自で完成できるものではありません。そのため、私は野党と世論の支持とご鞭撻を願い、さらに国民の皆様から力を賜りたいと願っております。

 台湾に自信を持ち、継続して国際競争力を高め、住みやすく環境保護の整った永続的な社会を創造しなければなりません。改革を堅持すること、それは政治、司法、教育、金融、財政、メディア、社会などの改革を進めることであり、国民が長く抱いてきた期待に応えるものであります。自信は力となり、堅持してこそ理想を実現させることができるのです。現在傾注している努力は、我々の次世代に、社会の正義、経済の正義、司法の正義、男女の平等および国際正義に合致した、新しい台湾のもとに生活させるためのものです。

●憲政改革に邁進

 現在、台湾は全面的に急速かつ激変している国際競争にさらされており、いかにして全国民の力を結集し、またいかにして政府の効率を向上させるかが、国家発展の急務となっております。ところが特殊な国情や歴史的要因によって、政府機関効率化への改造など、まさに憲政体制の難問に直面しています。

 憲法とは国家の基本法であり、政府と国民との契約書でもあります。わが国の憲法は制定当時の背景にとらわれ、大多数の条文は目下の台湾と将来のニーズに合致しておりません。憲政改革を推進し、本来あるべき憲政を打ち立てることは、国民の期待であるだけでなく、すでに与野党のコンセンサスも得ています。

 憲政改革の目的は、政府の良好な管理と効率を向上させ、また民主法治の基盤を固め、国家の永久的な安定をもたらすためであります。その中で、顕著化した問題は三権分立か五権憲法か、大統領制か議院内閣制か、総統選挙制度を相対多数にするか絶対多数にするか、さらに国会改革と関連措置法、国民大会の位置づけとその存廃、省政府組織の存廃、投票年齢の引き下げ、兵役制度の調整、基本的人権とマイノリティの権利保障、国民経済条項……等々の問題は、いずれも重要な問題であり、その影響もきわめて大きいと言わねばなりません。

 これまで十年間で六回も憲法を改正したというような轍を踏まないために、憲政改革は一個人あるいは一政党が主導するのではなく、また一時的な便宜によるものであってはなりません。今後、我々は与野党、司法、学界など各界の代表に要請し、憲政改造委員会を設置し、憲政改革の範囲および順序に関して社会のコンセンサスを求め、国民と世論の監督を受けてまいります。

 二〇〇八年に私の総統任期が満了するまでに、台湾国民、そしてわが国のニーズに合致した新憲法を台湾国民に手渡すこと、これが私の歴史的な責任であり、国民への公約であります。もとより私は、国家の主権や領土にかかわる問題、また統一か独立かなどの問題に関しては、現在の台湾社会にはまだ絶対多数のコンセンサスを形成していないことを理解しております。このため私は、この問題は今回の憲政改革の範囲に組み込むべきではないと明確に提起いたします。一方、最初の憲政改革の手順ですが、我々は現行憲法と追加条文の規定に従い、国会で採択されたのち、最初となりそれが最後となる暫定任務型の国民大会代表を選出し、それによって憲政改革を完成させ、国民大会の撤廃、さらに国民投票の憲法条文化を完遂し、民主憲政の永続的な発展と、将来国民が国会の憲法修正案を国民投票によって決定するための基礎を打ち立てます。

 過去四年間、世界の政治と経済の情勢変化が明確にあらわれ、台湾は国際新秩序の変化に直面し、自己成長をはかり、基盤を固めるほか、グローバル化の競争と国際協力の間に新しい立脚点を探さねばなりませんでした。これまで、台湾とアメリカ、日本および多くの友邦との友好関係は、共同の利益を守るだけではなく、重要なのは、自由、民主、人権、平和といった「価値観による同盟」関係の上に打ち立てられてきたものであります。

●国際参加に一層の努力

 台湾の民主主義発展と台湾海峡の平和安定は、常に国際間の注目するところとなっております。これら距離を越えた友情に対し、私はわが国政府と国民を代表し、改めて心から感謝の意を表します。台湾国民は平和を愛し、誰よりも国家の安全保障に関心を寄せています。海峡の対岸が絶えず強化している軍事的脅威に直面している今、与野党ならびに全国民は強固な国防意識を結集し、積極的に有効な防備を強化して自己防衛の能力を向上させなければなりません。同時に、国際社会が引き続き、台湾海峡の平和とアジア太平洋地域の安定に関心をそそぎ協力して下さることを希望いたします。

 台湾はこれからも積極的に国際社会に参与し、貢献してまいります。これは二千三百万国民の当然持つべき権利であり、また国際社会の一員としての義務でもあります。反国際テロ活動と国際人道支援の隊列のなかに、台湾は一貫して加わっております。これまでの数年間において、我々は民主太平洋連盟を創設し、民主基金会を設置し、積極的にNGOに参加し、国際社会の他のメンバーとともに、自由、民主、人権といった普遍的価値観を分かち合い、かつ守ってまいりました。

 台湾は現在世界第十五位の貿易国であり、各項目の国際競争力ランキングも常にトップクラスにありますが、我々は十二年を経る努力の結果、世界貿易機関の第百四十四番目の加盟国となり、その過程の困難さには筆舌には尽くし難いものがありました。現在、我々はさらに粘り強く世界保健機関に加盟する努力を続けております。昨年のSARS流行の教訓がまだ新しいことに鑑み、医療、衛生、防疫に国境はないとの観念と、基本的人権の普遍的価値観に基づき、台湾は公平な待遇を受けるべきであります。

ここにおいて私は皆様に、われわれはさらに団結し、努力を継続し、今後二年以内に世界保健機関加盟の願望を実現するよう呼びかけます。

 すこし前ですが、欧州連合は新規加盟の十カ国を熱烈に歓迎しました。欧州連合が十数年の努力を経て、各国およびその国民の自由意思による選択を尊重することを基礎に、ヨーロピアンの共同利益の統合に成功したというその貴重な経験は、新世紀の世界情勢に大きな影響とインパクトを与えております。地域統合は現在だけではなく、将来のトレンドでもあります。こうした地域統合はグローバルな発展に加え、人間社会における既存の国家主権の原理、さらに国境の壁というものに、構造的な変化をもたらしております。世界の大同はすでに叶えられない夢ではなくなりました。

●両岸の平和構造を確立

 海峡両岸の新世紀における指導者は、国民の最大の福祉を創出するため、この新しい趨勢を前向きに受けとめ、さらに新しい思考とスケールをもって、共同で両岸の将来の問題に対応し、処理して行かなければなりません。

 両岸人民は共通の血縁と文化、歴史的背景を有しており、過去一世紀のあいだ、ともに強権による圧迫と専制統治を受けてきました。今日、両岸人民は自らを主人として立ち上がる強い意欲を持っており、この点において互いに十分な理解が得られるものと思います。

 我々は海峡の対岸が歴史的要素と民族的感情によって「一つの中国の原則」を放棄できないことを理解しています。逆に、北京当局も台湾国民が民主を欲し、平和を愛し、生存を求め、発展を求める固い信念を持っていることを十分に理解すべきであります。もし、対岸が二千三百万国民の純粋で善良な願望を体得できず、引き続き台湾に軍事的脅威をかけ、政治的な孤立化を謀り、無理やりに台湾を国際社会から排除しようとするなら、台湾国民の心と海峡両岸の距離はますます離れていくことになるでしょう。

 中華民国が台湾、澎湖、金門、馬祖に存在し、台湾が国際社会に存在するという事実は、いかなる人もいかなる理由を付けようとも否定できるものではなく、ここに全台湾国民の意志も存在しております。過去半世紀間、二千三百万国民が力を合わせて創り出した台湾経験は、中華民国の存在価値を証明しただけではなく、華人社会と両岸人民の共同の資産でもあるはずです。

 歴史的な要素によって両岸は異なった政治制度と生活様式を発展させてきましたが、もし両岸が歩んできた「異」と「同」を前向きに見つめたなら、それらを活用することができ、さらに進んで協力互恵の関係に邁進することができるはずです。台湾は完全に自由、民主化した社会であり、いかなる個人あるいは政党も、国民に代わって最後の選択をすることはできません。両岸が善意を基礎として、共同で「平和の発展、自由な選択」の環境を創り出したなら、将来中華民国と中華人民共和国、もしくは台湾と中国の関係がいかなる形に進もうとも、二千三百万の台湾国民の同意さえあれば、我々はそれを拒否するものではありません。

 過去十数年における両岸人民の相互連動と交流は、すでにきわめて緊密な関係に発展してきており、両岸関係の進展に重要な価値と意義を備えております。我々は今後、すでにできた基礎の上に、継続して規制を緩和し、両岸のマスコミ、情報、教育、文化、経済貿易などの交流の関連措置を拡大し、両岸の対話と意思疎通のルート回復を推進することを希望しています。そうしてこそ、互いの距離を縮めることができ、相互信頼の基礎を打ち立てることができるのです。

 二十一世紀に入ってからのこの二十年間は、台湾にとって全面的に向上するターニングポイントであるばかりでなく、中国にとっても民主化と自由化に邁進する絶好のチャンスです。双方の政府はこの機会を掌握し、全力を挙げてグローバルな競争という趨勢に目を向け、ふたたび政治的争議に力を消耗するようなことがあってはなりません。我々は、中国の指導者が最近安定的な発展の重要性を再三にわたって強調し、十三億大陸人民の福祉を強調し、また「平和的思考」を国際関係開拓の基調に据えたことに注目しています。我々はまた、北京当局が、両岸双方の発展とアジア太平洋地域の安定に対し、台湾海峡平和の現状を維持することの重要性を理解するものと信じています。

 私は、両岸が建設と発展に尽力し、平和安定の相互連動メカニズムの構築を協議し、共同で台湾海峡の現状を一方的に変えないことを確保し、さらに一歩進んで三通を含む文化、経済交流を推進することこそ、両岸人民の福祉と国際社会の期待に合致するものだと確信しています。

 私は中華民国の総統として、台湾国民の付託を受け、国家の主権、安全、尊厳を守り、また国家の永続的発展と台湾海峡の平和と安定を維持し、国民全体の意志とコンセンサスを結集し、適切にこれからの両岸関係を処理しなければなりません。本日、私はここにおいて、二〇〇〇年五月二十日の就任演説に掲げた原則と公約は、過去四年間に変化はしておらず、これからの四年間も変わらないことを改めて申し上げます。この基礎の上において、私は一歩進んで与野党と社会各界の参加を要請し、「両岸平和発展委員会」を設置し、与野党の知恵と国民全体のコンセンサスを結集し、「両岸平和発展綱領」を制定し、共同で両岸の平和安定と永続的な新関係を打ち立てます。

●台湾の新たな門出

 来賓の皆様、親愛なる国民の皆様。世界地図では、台湾、澎湖、金門、馬祖は太平洋沿岸のいくつかの小さな島に過ぎませんが、これら島嶼の麗しい山河、多元的なエスニックグループ、多様な生態を詳しく見れば、二千三百万国民がこれまで数世紀にわたって書き綴ってきた政治、経済、文化などの成果は、あたかもバラエティーに富んだ百科全書の世界に入ったような思いを与えるに違いありません。海洋国家としての包容力、世界の島としての闊達さは、この土地に住む者の視野と胸襟を、水平線のかなたまで無限に引き伸ばしています。

 台湾の営みが人の胸を打つのは、先天的に恵まれた環境によるものではなく、重なる挫折や苦難の試練を経てきたあとに放たれる光があるからです。これがすなわち「台湾精神」であり、我々の祖先の代から今日の我々の一人ひとりに伝わってきたものなのです。

 現在、歴史のバトンはふたたび私の手に回され、また国民の皆様一人ひとりの手に握られました。これから四年間、私は誠心誠意、慈悲心を持ち、公正無私に中道を歩みます。国民の皆様が私を支持し、いっそうご鞭撻して下さることを希望いたします。

 私は平凡な人間であり、偉大な総統ではなく偉大な国民があってこそ、偉大な国家が創出できるものと確信しております。国民の皆様の力をお借りし、民主の持続、改革の持続、安定社会の持続、平和の持続、さらに国家発展のための基盤を築き、台湾中華民国を団結と調和、公平と正義、富の平均化、活力ある社会に向かって邁進させることが、歴史が私に付与した責任であり、また国民が私に付託した使命であります。

 本年二月二十八日、何百万人もの民衆がフォルモサのこの土地に立ち、エスニック、年齢、性別を問わず、手と手をつなぎ、五百キロにわたる民主の長城を築き、最も美しい台湾の姿を描き出しました。台湾は立ち上がるだけではなく、果敢に世界に歩み出し、世界地図の上に永続的に発展し、揺るぎなく立ち続けなければなりません。

 親愛なる国民の皆様、共にこの土地に感謝し、共に国民に敬意を表しましょう。台湾の団結と守護と前進を強化し、二十一世紀に再度台湾の感動的な姿を描き出しましょう。

 最後に、中華民国のますますの興隆、ならびに皆様のご健康とご多幸をお祈り致します。ありがとうございました。(完)

総統就任祝賀会が東京で開催
台湾自由民主の新たな一歩祝う

 五月二十日、台北駐日経済文化代表処主催の陳水扁総統・呂秀蓮副総統の就任祝賀会が、東京都内のホテルで開催された。会には安部晋三・自民党幹事長、服部礼次郎・日本交流協会会長、岡崎久彦元駐タイ大使、小林興起・衆院議員、関谷勝嗣・参院議員ら日本の政界人をはじめ、約千五百人が出席し、正副総統の就任を祝った。

●羅福全代表祝辞

 本日はご多忙中、中華民国第十一代総統陳水扁先生及び呂秀蓮副総統の就任祝賀会に御臨席賜り、衷心より感謝申し上げます。陳総統、呂副総統にとりましては第二期の当選でございますが、この十二年、台湾は三回目の総統直接選挙によって我国の民主政治制度が一段と深化され、この度の選挙には八〇パーセントの投票率に達し、台湾における自由民主主義の一大勝利を誇りに思っております。

 陳総統は今後の四年の施政目標として、台湾国内の融和団結、両岸関係の平和、社会の安全、經濟の一層の繁栄を掲げて国政に臨む所存であります。

 特に両岸関係の平和安定はアジアの安定と繁栄の礎であり、台湾が国際社会に対する責務でもあり、陳総統再選後の最重要課題でもあります。中国は現在、台湾の対岸に五百基のミサイルを配置され、両岸の現状維持が危ぶまれる事に台湾人民は立ち上がり、今回の総統選挙には二百万人以上の国民が台湾南北五百キロに人間の鎖で手をつなぎ「Say Yes to Taiwan. Say No to China」と我々の立場を国際社会にアピールし、最初の公民投票によってミサイル配置に「No」と表明しました。最近、米国も再度中国の冒険主義的な声明に強く懸念を表明し、両岸の対話再開と平和的な現状維持を強く主張しています。陳総統はこの四年間、二〇〇〇年の現状維持の所信を守り、今後この信念を堅持することを表明されました。

 さらに陳総統は、現在の憲法はすでに現時点では、その機能を失い、二〇〇八年までに新憲法を制定することを表明されました。これは台湾民主改革の重要な一環であり、政府の行政効率を高めるためにも必要なことであって、「統一か独立か」の問題とは無関係のものでございます。

 日本と台湾の関係は深くて長く、近年、台日両国の経済貿易ならびに文化面などの交流活動も益々活発でございます。今週、日本政府が、WHO年次総会における台湾のオブザーバー参加支持に投票されるなど、台湾に対し温かい支持を示されたことに、私は我国政府および国民を代表し、感謝の意を表明いたします。今後、すでにある友好の基礎の下に、政府上層部の相互訪問が促進され、自由貿易協定(FTA)が調印、日・台・米の安全メカニズムの構築、また文化交流などが強化されることを希望しております。日台両国は民主と自由という価値観を共有しており、私は、これらが両国の信頼と実質関係向上の新たな向上となるものと確信しております。

 ここに私はあらためて、長年にわたって日台関係を促進してこられた各界の方々、ならびにわが国華僑界の皆様のご貢献とご協力に感謝いたします。本日、陳水扁総統就任式典の目出度い日に、代表処主催の祝賀会にお越しいただいたことに心から感謝いたします。台湾中華民国のますますの発展と台湾と日本の末永い友好を祝福することともに、皆さま方のご健康とご発展を祈念致します。ご清聴ありがとうございました。(完)

週間ニュースフラッシュ

 ◆国民党本部ビルの三分の二を公益団体に提供

 国民党党務改革小組は五月六日、党資産処理の第一弾として、党本部ビルの三分の一を保留し、残り三分の二を非政府組織(NGO)や宗教団体などの公益団体に提供することを決定した。また、同党が経営する中央投資公司と華夏投資公司についても売却先を探すことにしている。
《台北『中国時報』5月7日》

 ◆連戦主席は立法委員選挙まで下野すべきでない

 馬英九・台北市長は五月六日、党中央常務委員会で「党内改革や立法委員選挙、総統選挙に関する訴訟など、すべてが進行している現在、連戦主席が選挙敗北の責任をとって下野するのは好ましくない。今年十二月の立法委員選挙後に討論すべきだ」と述べた。これに対し連戦主席はとくに反対しておらず、林豊正秘書長は「両氏の関係は良好だ」と語った。
《台北『中国時報』5月7日》

◆鉄道警察部隊を増員

 鉄道の駅が犯罪の温床になっていることや、海外でテロ事件が相次いでいることから、行政院と人事局はこのほど鉄道警察部隊の定員を現在の三百人から五百五十人に大幅に増員することを決定した。ただし、年齢を三十五才以下とし、科学機器の使用強化やボランティアの推進を通して鉄道の治安を確保することにしている。
《台北『自由時報』5月7日》

◆米国は両岸の対話再開を積極支持すべき

 唐飛・元行政院長は五月八日、米カリフォルニア大学アーバイン校で講演し「米国の軍事専門家の多くが最近の台湾海峡での衝突の可能性を危惧しており、米中台にはそれぞれ衝突を回避する責任がある」と指摘し、「米国は両岸の対話再開をもっと積極的に支持すべきだ」と強調した。
《台北『自由時報』5月8日》

 ◆蕭万長・国民党副主席が近く辞任

 蕭万長・国民党副主席は五月七日、党内の世代交代を促し、党に新たな力を吹き込むため、党政策の策定と戦略論述小組の任務が終了次第、副主席を辞任する意向を発表した。蕭副主席は「これはみずから決定したことであり、辞任後、政府のいかなるポストにもつかない」と述べた。
《台北『中国時報』5月8日》

 ◆年内の両岸対話の再開は期待できず

 林文程・国家安全委員会諮問委員は五月八日「中国が陳水扁総統の再任を受け入れられず、年末の立法委員選挙も変数が見込まれるなかで、年内の両岸対話の再開は期待できない」との考えを示した。
《台北『自由時報』5月8日》

 ◆企業間FTAで現状突破を

 新しい経済部長に内定した何美玥・行政院経済建設委員会主任委員は五月七日「二国間の自由貿易協定(FTA)の締結には事実上の困難が伴うが、われわれは他国籍企業による『企業間FTA』を通して国際社会に積極的に進出し、国内経済の発展を図るべきだ」と語った。
《台北『青年日報』5月8日》

◆米国は「一つの中国」政策を放棄すべき

 米ペンシルベニア大学のワードロン教授はさきごろ出版された『Far Eastern Economic Review』のなかで「これまで米国は中国の主権が台湾に及んでいると認めたことはない」と指摘し、「米国は『一つの中国』政策を放棄すべきだ」と述べた。
《台北『自由時報』5月12日》

 ◆主要金融機関の不良債権率が減少

 四月の国内主要金融機関七行の不良債権率が前月比四・一四%減少し、不良債権総額は二千七百四十五億元(約八千二百三十五億円)となった。
《台北『経済日報』5月13日》

WHO加盟問題、日米の支持に感謝
進展を実感し、来年に向け一層の努力

 五月十七日にジュネーブで第五十七回世界保健機関(WHO)年次総会が開幕されたが、総務委員会において、台湾の総会オブザーバー参加問題は、今年も中国の横ヤリによって却下された。だが、昨年の総務委員会で台湾支持の発言をした国は七カ国、中国支持発言が二十七カ国であったのに対し、今年は台湾支持発言十二カ国、中国支持発言十五カ国となった。この数字からも、台湾のWHO加盟問題が徐々に国際理解を得られつつあることが見て取れる。これについて外交部は同十八日、以下のプレスリリースを発表した。
 

 わが国の友好国が提出した「台湾をオブザーバーとして年次総会へ参加を招請する」案は、総会初日の総務委員会において討議され、表決に付された。同案が委員会の表決に付されたのは、わが国が一九九七年に最初の活動をして以来、これが二回目である。中国は友好国を動員した強力な反対運動により、わが方の提議は総会本会議に上程されることはなかったが、この表決において米国と日本が初めて賛成票を投じ、台湾支持を明確にしたことは、不成功のなかにも大きな前進と言える。 

 本総務委員会の一般弁論では四十七カ国が発言したが、十六カ国がわが国支持の発言をした。このうち十五カ国はわが国と国交のある友好国であったが、米国もまた初めて総務委員会において、WHOに政治問題を持ち込むべきでなく、台湾のオブザーバーとしての参加を支持すると台湾支持の発言をした。 

 表決の結果、わが国のオブザーバー参加賛成は二十五票で、反対百三十二票、棄権二票であった。賛成二十五カ国のうち二十三カ国はわが国と国交のある友好国であったが、他の二カ国は米国と日本であった。 

 わが国支持の二十五カ国は以前よりわが国に理解があり、正義と公理を重んじる国であり、総務委員会においてわが国支持の立場を堅持したことに、政府は感謝の意を表明するものである。 

 米国と日本が今回初めて総務委員会においてわが国支持を明確にしたことは、わが国が加盟活動を推進して以来八年間、最大の前進であり、その意義は深く、今後の活動において大きな力になるものと確信する。 

 また、棄権あるいは欠席により、間接的にわが国支持を表明した国にも、わが国政府は感謝を表明する。多くの国がわが国に理解を示しているものの、中国の圧力が強大であるため、公然と支持を表明できないのが実情である。こうした潜在的なわが国支持の国々には、今後積極的に働きかけていく。 

 EU各国が反対票を投じたのは遺憾である。EUはわが国に、「一つの中国」政策をとっている立場上、反対票を投じざるをえないことを、事前に通知してきていた。欧州議会および多くの欧州の友人らが、わが国を熱心に支持してくれていることに、わが国政府は感謝の意を表明する。またEUの各行政府が、台湾が衛生実体の立場をもってオブザーバーとしてWHO年次総会に参加することを望んでいる点を理解し、支持することを望む。外交部は今後さらにEU各国に、国際防疫体制強化の観点から台湾の参加が必要なことを強く訴え、来年は支持に回ることを要請していく。 

 中国に対しては、「ゼロサムゲーム」の発想を放棄し、二千三百万台湾国民がWHOに加盟したいとする願望、および国際社会がわが国の訴えに理解を示していることを尊重し、わが国の国際活動の場に圧力をかけないよう希望する。台湾がWHOに加盟できたなら、両岸人民の心の融和が増進でき、両岸の相互信頼が確立でき、共同で世界の防疫に貢献できるのである。 

 本年、中国の強力な圧力にもかかわらず、わが国参加の案は米国、日本などの支持を獲得し、大きく前進した。このことは、国際社会で同案に対する大きな反応があったことを示すものである。今後ともわが国は強い決意と自信をもって、積極的にこれを推進し、早い時期に最終的な目的を達するであろう。 

【外交部 5月18日】
 
新内閣閣僚名簿が発表
民進党政権二期目に向け新たな布陣

 ●新旧閣僚交代式挨拶 

 陳水扁総統、呂秀蓮副総統の就任と同時に発足する民進党政権二期目の新内閣の閣僚名簿が発表された。游錫堃・行政院長は五月二十日、新旧閣僚交代式で挨拶し、「四年間の基礎の上にさらなる努力を重ね、より明るい未来を築いていこう」と呼びかけた。以下はその要旨である。 

      ○     ○     ○ 

 過去四年間を振り返ると、民進党は政権交替を果たし、大きく変化する国際情勢のなかで、困難ななかにも改革を進めてきた。数々の障害に直面しながらも、われわれは改革の理想を堅持し、陳総統の指導のもと「緑のシリコンアイランド」の未来図を提示することができた。 

 台湾はすでに民主の歴史的大転換を経験し、多くの挫折に見舞われながらも政府と国民の努力により、台湾が成功したことをわれわれは証明した。とくにこの二年間は、いままでにない行政能力を発揮し、これまで不可能だったことを可能にし、多くの奇跡を作り上げた。これらの輝かしい実績の背後には多くの苦労があることを、私も皆さん方も承知している。「事実は雄弁に勝る」で、皆さん方が民進党の優秀な行政能力を証明した。 

 本日、内閣を去る方々には、台湾が困難に遭遇した際、国のために力を合わせ尽力して下さったことに心から感謝と敬意を表したい。そして新たに内閣のメンバーとなった方々には、これまでの四年間の基礎のうえに、さらなる努力を重ね、改革を通して、より明るい未来を築けるよう期待したい。 

 新内閣はいまスタート地点に立ったばかりだ。これから時間との競争になる。新内閣はさらなる挑戦に向け、陳総統の掲げる「台湾の団結、両岸安定、社会の安定、経済繁栄」の施政目標を徹底すべく努めなければならない。
【行政院新聞局 5月20日】

●新閣僚名簿
(新)は新任、なしは留任。*は女性
行政院長    游錫堃
行政院副院長 *葉菊蘭(新)
行政院秘書長  葉国興(新)
政務委員    林逢慶(新)
政務委員    胡勝正
政務委員    林義夫(新)
政務委員    傅立葉(新)
政務委員    林盛豊
政務委員   *郭瑤琪
政務委員    陳其邁(新)
内政部長    蘇嘉全
外交部長    陳唐山(新)
国防部長    李 傑(新)
財政部長    林 全
教育部長    杜正勝(新)
法務部長    陳定南
経済部長   *何美玥(新)
交通部長    林陵三
蒙藏委員会委員長  許志雄
僑務委員会委員長 *張富美
中央銀行総裁    彭淮南
主計処主計長  許璋瑤(新)
人事行政局長  李逸洋
新聞局長    林佳龍(新)
衛生署長    陳建仁
環境保護署長     張祖恩
故宮博物院院長    石守謙(新)
大陸委員会主任委員  呉釗燮(新)
経済建設委員会主任委員 胡勝正(新)
退役軍人指導委員会主任委員 高華柱(新)
青年指導委員会主任委員 *鄭麗君(新)
原子力委員会主任委員  欧陽敏盛
国家科学委員会主任委員 呉茂昆(新)
研究発展考核委員会主任委員 葉俊栄(新)
農業委員会主任委員  李金龍
文化建設委員会主任委員 陳其南(新)
労工委員会主任委員 *陳菊
公平交易委員会主任委員  黄宗楽
公共工程委員会主任委員 *郭瑤琪
体育委員会主任委員  陳全寿(新)
原住民委員会主任委員 陳建年
海岸巡防署署長    許恵祐(新)
消費者保護委員会主任委員 *葉菊蘭(新)
客家委員会主任委員  羅文嘉(新)
中央選挙委員会主任  黄石城
行政院スポークスマン 陳其邁(新)

域外海運センターに台中、基隆港を追加
両岸の貨物輸送、第三地を経由せず直接往来可能に

 行政院大陸委員会と交通部は五月七日、両岸の貨物輸送について、域外海運センターの業務範囲を、第三国と中国を往来するクリアランス船、および外国船籍の貨物の輸出入にも拡大し、合わせて同センターの適用を高雄港以外に台中、基隆の二港を新たに加えると発表した。これにより台湾から中国向けの貨物を輸送するのに、従来は日本の石垣島や香港などの第三地を経由しなければならなかったが、今後は直接中国に輸送できることになる。高雄港を例にとると、石垣島を経由せず直接中国へ輸送した場合、十六時間短縮できる計算だ。しかし両岸の輸出入貨物の通関は依然として許可しておらず、台中港とアモイ、福州港との往来は安全保障の観点から開放しないなど、なお一定の条件付きとなっている。 

 この日記者会見した陳明通・大陸委員会副主任委員は「両岸貨物輸送の迅速化は政府の既定の政策であり、今回の措置は中国の規制緩和に応えたものだ」と語った。中国は世界貿易機関(WTO)への加盟を受けて今年三月から福州、アモイ以外に、上海や寧波にも両岸直接航路を開放した。 

 交通部は「中国が今後さらなる善意を示し、広州、大連、上海、青島、天津の五大商港を開放して台湾の高雄、台中、基隆との往来が実現すれば、将来の両岸経済発展に応えることになる」との期待を示した。

●海運業者の反応

 長い間中国への貨物輸送の迅速化、直接輸送を訴えてきた国内の海運業者は、今回の政府の措置を一様に歓迎している。 

 全国船舶連合会長の盧峰・陽明海運会長は「両岸三通に向けた大きな一歩だ」と語り、長栄海運も「中国に進出している台湾企業と国内の海運業者の国際競争力を高め、運輸オペレーションセンター設立の後押しとなるだけでなく、両岸の経済交流と発展に大きなプラスとなる」と評価している。 

 ここ数年、台湾企業の中国進出や工場移転などで、台湾の国際港の輸出入貨物の取扱量は増加しているものの成長幅は縮小しており、現在は貨物の転送業務が主体となっている。高雄域外海運センターの貨物コンテナ取扱量を見ると、設立された一九九七年は十二万七千TEU(二十フィートコンテナ換算)で、二〇〇〇年には四十三万TEUとなり、さらに〇三年には六十三万TEUへと増加しているものの、成長率は鈍化している。これについて黄清藤・高雄港務局長は「今後台湾の国際港が成功するには、より多くの外国船舶を惹きつける必要があり、そのためにはサービスの質と作業効率を高め、合理的な施設使用料と迅速な輸送を実現しなければならない」と強調している。

 ●台中港に期待

 台中港は世界の主な海運ルート上にあり、中国沿岸部との往来にも地理的に大きな優位性を持つ。高雄港に限定されていた中国との往来が台中港にも拡大されたことで、今後台中港はますます重要性を増してくるだろう。台中港は港の拡大計画により、九十個のコンテナバースを擁する一大国際港に発展すると期待されている。 
《台北『工商時報』5月8日》

台北港貨物貯蔵センター起工式

 国内の主要海運業者が共同で総額二百三億三千万元(約六百九億円)を出資して建設する「台北港貨物貯蔵センター」の起工式が五月六日に行われた。敷地面積は百十㌶、完成予定は二〇一四年十一月で、全長約二千三百㍍、水深約十六㍍の七つのコンテナバースが設置される計画だ。台湾で唯一、積載量一万TEU(二十フィートコンテナ換算)以上の大型コンテナ船が停泊でき、センター完成後の生産高は三百九十三億元(約一千百億円)以上となる見込みだ。台北港と桃園国際空港との距離はわずか二十三㎞しかなく、今後空海双方による転送に期待がもたれている。
《台北『経済日報』5月7日》
 
両岸の経済交流は「点」の自由化から
台湾の優位性発揮し相応の準備を

 外交部長就任が内定している何美玥氏はこのほど、今後の台湾経済について語り、台湾経済の優位性や両岸経済のあり方などについて自らの見解を述べた。以下はその要旨である。

台湾独自の優位性を強化

 台湾の競争力を高めるカギは、自由貿易港区にある。現在世界でも有数の港を持つのは香港、シンガポールで、年間のコンテナ取り扱い量はそれぞれ二千万件および千八百万件に上るが、両者はともに貨物の転送を主とする港である。台湾の港はもともと現地生産品の輸出入を主体としており、両者とは性格が違うため、これらに対抗するには、台湾独自の優位性を強化すべきである。それはすなわち、研究開発と製造力であり、付加価値の高い自由貿易港の建設であると考える。 

 台湾が自由貿易港のモデルとして参考にできるのはオランダである。オランダは欧州でも最大規模の港を持つが、国土面積は台湾と変わらない。だが輸入貨物を直接加工できる最先端のオートメーション・デリバリーシステムを有しているため、膨大な量の貨物がこの港に集中している。台湾でもこれを参考に、陸揚げされた貨物を港区内で加工または修理して付加価値をつけ、スピーディに再輸出できる自由貿易港区を建設したい。これにより、「世界の貿易センター」としての独自性を打ち出すことができ、中国との差別化が明確になる。安い商品は中国で生産し、「高付加価値」と「スピード」を求めるなら台湾だ、ということになる。企業はこうした同港区のメリットを活用し、顧客の要望に合わせたオーダーメイドのサービスを提供できるようになり、国内および世界に向け事業拡大を図れるようになる。  

 中国の強みは生産コストの安さだが、技術力やインフラ、公共サービスの面ではまだまだ台湾に遠く及ばず、われわれはこうした面をさらに強化していくべきだ。今後、両岸の位置づけは、「世界の工場」中国に対し、台湾は研究開発、高付加価値の製造力とサービスを有する国内企業の「オペレーションセンター」となるだろう。資金調達や人材育成、ブランド創設や研究活動など、これらはすべて台湾のアピールポイントとなる。 

 このほか、語学力の強化と国際化レベル向上も今後の課題だ。法律やコンサルタント業への外資参入をさらに自由化し、海外から多くの人材を吸収していく必要がある。

事前の準備整え商機逃すな 

 現在、両岸の経済交流は政治的影響を受け、直航が実現していないため、時間とコスト面で大きな枷となっている。しかし、われわれはこれをただ座視しているだけではなく、しかるべき時期に商機を逃さず機敏に対応するために、いま必要な準備をしておかなければならない。現時点で全面的な自由化が無理ならば、部分的な「点の自由化」を先行すればよい。自由貿易港区もこうした考えに端を発したもので、政府は現在、高雄と基隆に自由貿易港区を設立しているが、まずこれらの運営を成功させたうえで、徐々に範囲を拡大していけばよいのだ。

 マクロコントロールの影響 

 台湾における二〇〇四年第一・四半期の対中輸出額は三五%に達し、最近中国で景気過熱抑制のマクロコントロールを宣言したとたん、台湾株が下落するなど、両岸経済の依存度は高い。

 中国経済は現在確かに過熱傾向にあり、これは中国への過度な投資とその生産に伴う原材料の急激な高騰などが原因だが、中国では二〇〇二年から、すでに預金準備率の引き上げやセメント、鋼材産業などへの投資制限をおこなってきた。資金コスト面での影響はあるものの、調整の対象となっている分野への台湾からの投資は、対中投資全体の九%に満たないため、国内企業が中国の経済調整によって受ける影響は、そう心配する必要はないだろう。
 《台北『聯合報』5月10日》

ニュース  

「一国二制度」反対が八割
陸委会世論調査で明らかに

 行政院大陸委員会がさきごろ発表した世論調査「現在の両岸関係に対する国民の意識」によれば、国民の八割が「『一国二制度』を両岸関係の原則とする中国の主張に反対」と答えたことが分かった。統一・独立問題に対しては八四%が、広い意味での「現状維持」と答え、このなかで「状況により独立、統一を決める」と答えた人が四割に上った。また、両岸の経済貿易交流については三八%が「ちょうど良い」、政府の投資制限策には五一%が「少々厳しい」と答え、直航問題には七四%が「条件付きで開放」と答えていた。さらに外交の優先度について三八%が「中国以外の国との友好関係のほうが重要」と答え、「両岸関係のほうが重要」「同様に重要」を上回った。本調査は四月二十三日~二十五日、台湾地区の成人を対象に電話質問形式で行われ、有効サンプル数一○八三人、信頼度九五%、サンプル誤差約±3%である。
【行政院大陸委員会 5月7日】

中国は台湾の現状知るべき
両岸政策に後退の余地なし

 蔡英文・行政院大陸委員会主任委員は五月七日、嘉義県で「米中台関係と台湾の安全保障」と題して講演した際、「平和と安定は米中台三方共通の利益であり、グローバル化と中国が影響力を増している流動的局面のなか、台湾国民全員が力を結集してこそ、国家の安定的発展の基礎を固めることができる」と強調した。 

 蔡主委はさらに、「両岸政策は陳水扁政権二期目における最重要課題だ」と述べ、「中国の思惑に反し、台湾はすでに変化しつつある。中国がこの現実を認めなければ、台湾問題は終始解決できない難題となるだろう。二〇〇〇年以降、両岸関係は量から質の時代を迎えた。世界と中国が変わり、環境が急激に変化したためであり、台湾の両岸政策には後退する余地はない。われわれは自ら十分な準備を整え、主導権を持ってこそ相応の政治、経済、軍事力により状況に対応し、僻地化を防止できるのだ」と強調した。
《台湾『自由時報』5月8日》 

イラクが電子化協力を要請
台湾のハイテク力を求める

 関係筋によれば、イラク統治評議会高官はさきごろ、イラクの情報インフラ再建について台湾に協力を求め、教育訓練や文化交流などを求める意志を明らかにした。ヨルダンで行われた環境関連の国際会議で、イラク復興問題が討議され、評議会高官が会議に参加していた台湾の科学者らにこの意向を伝えた。それによると、サウジアラビアやヨルダンなどのアラブ各国は、台湾が総人口五億人のアラブ地域の情報インフラ向上を実現できる力があると考えており、協力を求めている。 

 これについて総統府筋は「これまで台湾はイラクへの人道的援助をおこなってきたものの、イラクの治安が不安定なため、イラク再建に協力したいという台湾企業は少なかった。しかし今回のような民間からの熱心な提案は、政府の一考に価するものであり、今後の台イ間の実質的関係発展にも功を奏すと思われる」とコメントしている。
 《台北『自由時報』5月9日》 

外交妨害は「現状変更」に匹敵
陳唐山・外交部長が主張表明

 陳唐山・外交部長は五月十日、「台湾海峡の現状を安定させ、これを変更しないことは、国際社会の一致した意見である。しかし中国は最近、世界各地で台湾の友好国に強引に近寄り、圧力をかけている。これこそ一種の『現状の変更』に他ならず、米国など大国は中国に働きかけ、両岸の外交戦がこれ以上激化しないよう働きかけてほしい。さもなければ、台湾は国際的生存の場を失い、台湾海峡の平和安定は破壊されることになるだろう」と強調した。 

 陳部長はまた、「台湾は米日など大国との関係を強化し、ハイテク産業の優位性を活用し、世界各国と実質的関係を開拓すべきだ。中国がますます妨害の手を拡大する現状に直面し、台湾もまた、自ら外交の意義について考えるときが来た」と述べ、中国が現在働きかけている南太平洋とカリブ海の友好国については、「現在友好関係は十分安定している」と説明した。
《台北『中央社』5月11日》

台湾観光年
台湾観光年で各種優待

●台湾観光年パスポート発行 

 交通部観光局は「二〇〇四台湾観光年」キャンペーンの一環として「観光護照Tourist Pass(観光パスポート)」を発行した。 

 観光パスポートには台湾各地の観光施設や各種イベント、デパートや免税店、専門店などショッピング全般から、ホテルや現地発観光年特別バスツアー、交通案内図など、旅券サイズ(約八十ページ)で盛りだくさん紹介されている。またこのパスポートには、施設入場料の割引や各種優待サービスなどの特典が受けられるクーポンも付いている。 

 入手方法は、中正国際空港および高雄小港国際空港の到着ロビーにある交通部観光局旅客サービスセンターにて無料で配布している。(日・中・英の三カ国語対応)

 ●チャーター便の乗客に補助金 

 台湾観光最大の顧客である日本人観光客に対し、観光局は定期便(那覇、福岡、大阪、名古屋、東京、札幌)と定期チャーター便(広島、仙台)のある都市を除く地点から出発するチャーター便(百人以上)に対し、一機につき八十万円を補助し、桃園国際空港または高雄小港空港以外の空港を利用した場合は百万円の補助を出す。

●国際会議、団体ツアー客にも補助 

 このほか台湾で開催される国際会議や団体ツアーにも優待策が準備されている。国際組織が主催し、三カ国以上の持ち回りで開催されている定期会議で、海外からの参加者が三十人以上の場合、会議の規模に応じて最高三十万元(約九十万円)を補助する。また参加者には参観、観光、文化イベントなどに対し、一日一人当たり最高五百元(約千五百円)が支給され、会社などの団体ツアーについても、人数に応じて記念品の贈呈や宴会へのサポートなどを行っている。

 ●郷土料理を提供 

 台湾では一年を通じてさまざまな民俗芸能、年中行事が行われており、こうしたイベントを観光プランに組んだツアーも増えている。観光局ではツアーのスケジュールに観光局推薦のイベントが含まれている場合、一人当たり最高三百元(約九百円)相当の郷土料理を提供する。それらの観光プランでは、地方の特色ある祭りを楽しみながら、客家料理、先住民料理、台湾茶を使った茶葉料理、花料理、紹興酒宴など、当地ならではの料理が楽しめる。

 ●観光局フリーダイヤルホットラインを設置 

 観光局は台湾観光年推進の一環として、四月から「中華電信公司」と協力し、フリーダイヤル(0800-011-765)の観光ホットラインを設置した。海外観光客からの中国語、英語、日本語による問合せに二十四時間体制で対応している。
《『台湾観光月刊』5月号より抜粋》 

花蓮空港がリニューアル

 拡張工事を終えた花蓮空港が、三月十八日より正式に運営を始めた。総工費二十三億元(約六十九億円)をかけて完成したターミナルビルは地上三階、地下一階、延べ面積約二万㎡で、従来の六・三倍に達する。国内線のほかに国際チャーター便の施設とスペースが増え、三百四十台駐車可能な地下パーキング場も完成した。搭乗手続きと通関はターミナルビル二階で行い、出迎えは一階ホールとなっている。
《『台湾観光月刊』5月号より抜粋》
 
教育関連ニュース
大学国際化計画で成果発表会

 教育部は、全国五十カ所の大学を対象に、約四千万元(約一億二千万円)を投入し推進中の大学の国際競争力向上計画について、さきごろ成果発表会をおこなった。 

 同会では各校の学長、主任らが出席し、それぞれの成果を発表したが、このうち台湾大学では、学術交流センターを設立し、学長や教授が各国際組織の年次総会や学術シンポジウムをはじめ、世界各国で開催される学長会議に出席するなど、積極的な国際交流を行っている。外国人留学生には、歓迎会や各種交流活動を企画し、無料の国語(中国語)研修クラスを開講し、さらに交換留学やサマースクールを奨励して学生の海外交流をはかり、提携学位修得制度も設けた。清華大学ではスウェーデンのリンチェピング大学と提携し、すでに三名の学生が同校の修士号を修得しており、また最近五年間に、十名の交換留学生を同校に送っている。さらに、博士課程以上の研究生を定期的に海外での短期研究に派遣し、すでに延べ三十名がこれに参加した。  

政治大学でも、「国際レベルの優秀な人材育成は、国力強化の要」とし、英語圏の大学との提携学位修得制度を実施している。一方、世新大学では学生の英語力強化のため、大学のホームページに英語習得ウェブサイト「沈浸英語圏」を開設し、ゲームやキャンパスを舞台にした会話練習のページを学生に提供している。 

 黄宏彬・教育部高等教育司(局)司長は同会において、「昨今の出生率低下により、台湾の大学は深刻な学生不足に陥っている。WTO加盟後は海外の教育機関も国内市場に参入し、わが国の教育機関は早急な国際化を迫られている」と指摘した。同部では引き続き「国際学術交流活動」、「国際化学学習環境の整備」、「国際学習過程の合同開設と連合学制の設立」、「国際評価への参与」、「インターネットによる学術交流」を五つの柱として、大学の国際化を促進する方針だ。
 《台北『青年日報』4月29日》

●専門外でもハイテク素養を 

 台湾大学、政治大学、輔仁大学では、文学、法学、商学各部学生を対象に、「ハイテク産業技術実務」課程を設けている。文学、法学、商学各部の学生を対象としたもので、ナノテク、光電、通信およびバイオテクノロジー産業などの講義を毎週三時間受講し、年間六単位を履修する。 

 関係者によれば、知識経済産業の時代において、証券、金融、管理、法律の分野においてもハイテクの素養を持つ人材の需要が高まっており、専門外の学生にもハイテクの基礎知識をつけさせる必要があるという。現役学生のほか、社会人枠もあり、みな熱心に受講しているという。
《台湾『聯合報』4月13日》 

初の民間「電子書包」が登場
学習意欲高めハイテク人材を

 教科書の内容を画面で閲覧でき、膨大な量の資料を活用できる「電子書包」が、重たいランドセルに取って代わる日も近い。ネット英語スクールを手がける小哈波電脳美語(HA PO コンピューターイングリッシュスクール)はこのほど、昌宏科学技術(旺宏グループの子会社)およびマイクロソフト社と共同で、台湾で初の民間による文教児童・青年専用「電子書包」を発売した。重い教科書を何冊も持ち歩く必要がなく、ネットに接続すればメールの送受信やさまざまな情報のダウンロードも可能で、語学放送、録音、動画などのツールも使え、学習現場での活用方法が格段に広がる。さらに、家庭との連絡や児童の学習記録も作成・保存することができ、教師はこれを参考に適切な指導をおこなうことができる仕組みだ。 

 電子教科書の構想は、二〇〇二年から教育部が利用奨励と宣伝を開始していた。全国二十数校で試験的に利用された結果、学校や保護者から利用を求める声が続々と寄せられており、今回発売される商品は、こうしたニーズに注目した民間企業による初の市場参入となった。哈波電脳美語では、今年夏から「携帯学習、小さなハイテクエリート」キャンペーンを実施し、電子書包を利用してさまざまな学習にネットで参加する「児童学習ハイテクセンター」の設立を予定しており、二年以内に五百人のユーザー獲得を見込んでいる。
《台北『聯合報』4月14日》

お知らせ

王侠軍ガラスアート展

 台湾の現代ガラスアートのパイオニアで、パート・ドヴェール法を駆使した高度な作品を次々と創作し、独特の東洋スタイルを確立したことで世界的に高い評価を受けている王侠軍氏の作品展が日本で開催されます。王氏の作品は世界の美術館・博物館の所蔵品ともなっており、日本では飛騨高山美術館や東京のフォーシーズンズホテルが所蔵、展示しています。今回出展される作品は書道や盆栽、仏教といった東洋のモチーフを使い、それらの力強さや美感を幾何学的、装飾的に表現した、氏の代表的な作品です。これを機に日本と台湾のガラスアートのさらなる交流と発展が期待されています。 

日 時 6月8日~同13日(午前10時~午後5時/8日のみ正午まで)  
※入場無料
会 場 上野の森美術館
東京都台東区上野公園1-2
tel: 03-3833-4191
主 催 中華ガラス芸術協会
 
春 夏 秋 冬 

 陳水扁・呂秀蓮体制が装いを新たに再スタートした。選挙直前に総統銃撃事件が発生したり、また勝敗が僅差であったこともあり、選挙後に社会的混乱が発生したが、すでに民主主義体制が定着している台湾の社会では、それらの争議など一過性のものに過ぎないと言えよう。台湾はこれからさらに民主体制を深化させ、台湾アイデンティティーの意識を高め、本来あるべき台湾の姿に向かって進展して行くことになろう。 

 陳水扁総統は就任演説のなかで「本日われわれがここで見届けるのは、台湾の民主主義前進の足取りであり、二千三百万の国民が共同で描いた成果である」と述べ、台湾の特質については「多様なエスニック、一体の国家というものが、台湾の地における最も好ましい姿であり、……二千三百万の国民は一丸となり、すべての運命を共にしなければならない」と強調していた。 

 その通りであろう。台湾全体がこの理念に沿い、もちろん経済も、台湾に根を下ろし、台湾を主体とした経済発展を中心とし、その体制をもって世界経済に伍して行くことになろう。そこにもまた、日本との関係の深さが大きく浮かび上がってくる。それを象徴するかのような経済交流がある。来年10月に予定されている、台湾版新幹線の開通である。本誌先週号で紹介したとおり、工事は急ピッチで進んでいる。5月18日に神戸港から積み出された新幹線700T型車輌は、同25日に高雄港に陸揚げされ、9月には試運転が行われ、12月には各新駅周辺開発区への企業誘致が開始されることになる。 

 これが来年10月に開通すれば、台北─高雄間が時速300㎞、一時間半で結ばれ、台湾の南北が一日の生活圏になるばかりではない。途中の各新駅の周辺にはニュータウンが建設される。もちろんそこには各地方自治体の協力が必要となる。しかもそれは、各地がバラバラに行うのではなく、一本のレールによって結ばれているため、他地域との連携が不可欠となる。当然、各地方自治体はみずからの位置付けのためにも独自の計画を提示し、それらを基礎に台湾の総合的再開発が進むことになろう。 

 その結果、これまで政治も経済も台北を中心とした北部に片寄りがちだった構造が崩れ、南北が実質的に一体のものとなる。その実質的変化の、社会意識に与える影響には大きなものがあろう。そこに日本の新幹線が一役買っている。経済面はもとより、精神面においても、日台友好はさらに進むだろう。
  (K)