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  台湾週報2150号(2004.7.8) - 台北駐日経済文化代表処 Taipei Economic and Cultural Representative Office in Japan :::
主要ニュース
:::


台湾週報2150号(2004.7.8)

徐々に成果現われる諸政策
游錫堃・行政院長が初期成果について説明

 游錫堃・行政院長は、政府が全力で取り組んでいる諸政策の成果が徐々に現われてきているとして、その具体的な内容について次のように説明した。

●知的財産権保護について 

 知的財産権保護は、国が背負うべき義務であると同時に、産業のレベルアップと国際競争力の向上にも関わる問題であり、国民も大きな関心を持つべきだ。政府は昨年の「知的財産権保護行動年」に続き、今年から二〇〇五年まで「知的財産権保護貫徹のための三年行動計画」を策定し、引き続きこの問題に取り組んでいく。 

 各方面の努力により、台湾の海賊版問題は昨年大きく改善された。米国の国際知的財産権同盟(IIPA)が発表した最新の調査報告によると、台湾のゲームソフトにおける海賊版の数は二〇〇二年の五六%から四二%に大幅に減少した。また音楽CDの海賊版も同四七%から四二%へ減少し、ビジネス用ソフトのコピーも二〇〇一年の五三%から昨年四一%に減少した。知的財産権侵害による損失額は〇二年には八億四千八百万ドルだったのが、昨年は四億五千三百万ドルと約半分にまで減少し、この問題が大きく改善されたことが証明された。また、われわれが税関で行っている水際対策も大きく効を奏し、米国の税関で摘発された台湾の海賊版の金額は〇二年の二千六百五十万ドルから昨年六十一万ドルへと大幅に減少した。 

 こうした成果の裏には、一昨年から住民による海賊版製造業者に対する情報提供や、検察の知的財産権侵害事件の摘発、審査に対する奨励金を大幅に引き上げたことも指摘できる。台湾の知的財産権保護は、特許、商標、著作権の三つの法律が修正され、製造者および販売者に対する処罰が厳格なものとなり、法的にもより整備されたものとなった。各地の警察署が協力し、情報を共有して積極的に取締りを行っていることも、海賊版製造者に大きな威嚇効果をあげている。 

 さらに教育面でも、国民の知的財産権保護の観念を普及させるため、国民による主体的な不買運動を発動させる一方で、小中学校の教科書に知的財産権保護を盛り込み、大学の評価項目にも加えるなど、総合的に取り組んでおり、大きな効果をあげている。
【行政院新聞局 6月17日】

●雇用促進、失業率抑制について 

 行政院は六月二十一日、今年下半期の「公共サービス雇用拡大計画」を可決した。これにより新たに四万五千人余りの雇用が創出され、失業率を抑制できる。 

 経済建設委員会によると、昨年十二月末をピークに同計画により創出された雇用件数は十四万八千人余りに上り、これにより失業率は前年より〇・二三ポイント低い四・九九%に抑えられた。今年はすでに八万人余りの雇用を創出し、一~四月の平均失業率は前年同期より〇・五六ポイント低い四・四九%に抑制され、大きな効果をあげている。 

 この計画を軌道に載せ、計画終了後ふたたび失業者が増加しないよう、労働委員会に対しては公共サービス関係の雇用の創出をシステム化し、定着させてもらいたい。

【行政院新聞局 6月21日】

台湾の防衛はアジア全体の防衛
望まれる日米台の三国防衛協力の強化

 陳水扁総統は民主、自由、人権の日米台三国価値同盟の強化を訴えた。 また、中国の軍事的脅威が強まるなか、台湾の防衛力強化が国際社会で注 目されているが、台湾の言論界は一様に台湾海峡の安全はアジア太平洋地 域全体の安全につながるとして、国際社会の台湾への安保協力を呼びかけ ている。こうしたなか、李傑・国防部長は今回の漢光演習シミュレーショ ン演習が最新型で将来日米との連携演習も可能なことを明らかにした。

●日米台の価値同盟推進 

 「台湾民主基金会」設立一周年記念大会が六月十四日に開催され、陳水扁総統が出席し「台湾民主基金会の設立は、わが国民主主義発展の重要な里程碑である」とその意義を強調した。台湾民主基金会は二〇〇二年九月の三芝会議で陳総統が設立を指示したもので、昨年六月にアジアで最初の国家レベルの民主基金会として設立された。理事長には王金平・立法院長が就任し、高英茂・外交部次長が執行長となり、理事は各党推薦の立法委員、経済界、学界の代表によって構成されている。 

 この大会挨拶のなかで陳水扁総統は「台湾民主基金会設立の最も重要な意義は、台湾の民主社会を世界に知らせ、これまで国際社会が台湾の民主改革を支持し支援してくれたことに感謝の念を示すところにある。現在、民主主義は台湾の最も重要な財産となっている。台湾は第一波の民主化によって主権在民の価値観と台湾の主体性を確立した。われわれはこれに満足することなく、第二波の民主化によって公民社会の確立と国家共同体の理念を確立しなければならない」と語った。さらに「われわれは自由、民主、人権、平和という価値観によって、米国、日本と『価値同盟』の関係を確立し、積極的に国際社会に参画したいと願っている。わが国二千三百万国民の権利および義務としてこれを推進するのが、台湾民主基金会の今後の重要な使命である」と強調した。
《台北『自由時報』6月15日》

●海峡の危機回避は国際的に 

 台湾が今日の民主社会を守るため、米国から多額の防衛性兵器を購入しようとしていることが、目下国際社会の注目を浴びている。黄昭堂・総統府国策顧問は六月十九日、マスコミのインタビューに応じ「台湾海峡は国際社会の要衝であり、日本などの経済の生命線でもあり、台湾の平和と安定はアジア太平洋諸国の繁栄に決定的な影響を及ぼす。もし台湾海峡の軍事バランスが崩れたなら、アジア太平洋地域の国々の利益に重大な影響を及ぼす。したがって、関係各国は口には出さないが、心の中では台湾が米国から高度な防衛性の兵器をさらに多く購入し、台湾自身が防衛力を強化し、アジア太平洋地域の安全保障に貢献することを歓迎している」と語った。 

 さらに「世界各国は台湾が民主国家であり、先進的兵器を購入するのは他国を侵略するものではないことを認識している。台湾は長期間、アジア太平洋地域の安全に大きな貢献をしてきており、周辺諸国と安全保障について対話し協力しあう能力もある。したがって安全な台湾によって恩恵を受けている各国は、勇気を持ちタブーを打破し、台湾と安保協力あるいは暗黙の了解を増進し、共同で中国の脅威に対応すべきだ」と指摘した。 

 また魏瑞明・前アジア太平洋民主協会秘書長は「中国の経済改革加速と沿海地区住民の生活改善によって、中国が地域の覇権を狙っていることがますます鮮明になってきた。さらに急速な軍拡と戦略区域の拡大は世界に挑戦するものであり、特に日本を含むアジア太平洋地域各国は警戒が必要だ」と指摘した。同時に「中華帝国の台頭に直面している今日、アジア太平洋諸国は新たな視点で対中国外交を見直し、調整を進め、安全保障における台湾との相互協力の機会を創造しなければならない。台湾も積極的に対策を講じ、各国との実質的交流を強化しなければならない」と強調した。 

 林哲夫・台湾国家平和安全研究協会秘書長は「台湾海峡、朝鮮半島、南沙諸島はアジア太平洋地域で衝突を防がねばならない重点地域だ。中国はこれら地域の緊張にすべて関わっており、台湾海峡の安全に脅威を与えているばかりでなく、地域の平和と安定に挑戦しているのだ。だから国際社会は中国のいわゆる『定例』軍事演習を見るとき、それを台湾に対するものとのみ見ていてはいけない。同時に、台湾の防衛は台湾だけのものと見ていてもいけない。台湾の安全は世界の利益に合致するとの角度から、台湾の防衛力強化に協力すべきだ」と指摘した。 

 さらに「中国が台湾への軍事的威嚇を強めるなか、台湾は防衛演習や中国の軍事侵攻に対するシミュレーション演習をしているが、近隣諸国が台湾に視察団を派遣し、さらに進んで防衛問題に意見を述べたりすれば、それだけでも暗黙の防衛協力になり、中国とのバランス維持に役立つものとなる」と主張した。
《台北『自由時報』6月20日》 

●三国連携シミュレーションを 

 「漢光二十号演習」のシミュレーション段階の演習は六月十九日に終了したが、米軍顧問団の視察規模は過去最大のものとなった。演習は二〇〇六年に台湾が急襲を受けた場合を想定し、情報収集の精度、制海権・制空権の確保、「外部」軍隊の支援による「有効な反撃」、敵突撃部隊の撃破の順に行われた。同演習では米国の同盟国が使用している「戦域コンピュータ・シミュレーション・システム(JTLS)」が使用された。軍事筋は「JTLSの精度は高く、きわめて実戦に近く、日本、韓国もこれを採用している。台湾が米軍を中心とした日本、韓国と同等の兵器を装備すれば、『アジアの小NATO』形成が可能となる」と指摘した。 

 李傑・国防部長は六月二十一日の記者会見で、「今年はまったく新しいシミュレーション・システムが使用された。それは他の国々との連携が確実に可能となるものだ」と明らかにした。今回日本との連携があったかどうかについては明らかにしなかったが、「機会があれば日本との連携を進めたい」と語った。消息筋によれば、台米両国間には確実に連携シミュレーションの計画があり、二〇〇五年に米国はこれを批准する予定である。米国はすでに日本と連携しており、このことから米国、日本、台湾が米太平洋軍司令部を通じて連合シミュレーション演習をすることも可能となる。
《台北『中国時報』6月22日》 

●台湾の自衛能力強化が重要 

 行政院は中国のミサイル増強に対する防衛力強化のため、米国からパトリオット迎撃ミサイル(PAC3)、ディーゼル潜水艦、P3C哨戒機などを購入する総額六千百八億元(約一兆八千億円)の特別予算を組む方針を固めている。このため王金平・立法院長を団長とする与野党立法委員団が六月十七日、立法院での予算審議に向け、購入予定の兵器事前調査のため米国に出発した。 

 一行はハワイの米太平洋軍司令部を訪問したあと、同二十一日、ワシントンでウルフォウィッツ米国防副長官と会見した。この会見でウルフォウィッツ長官は、中国が年々軍事費を増加し、台湾海峡の安全に脅威を与えていることに高度の憂慮を示し、「台湾海峡情勢に厳粛に対応している。中国の軍事的脅威が年々強まっている現在、台湾は自主防衛の決意を固めなければならない。だから立法院が特別予算を通過するのは必要なことだ。立法院はPAC3、P3C、ディーゼル潜水艦の性能を十分認識する必要がある。PAC3はミサイルの脅威を減少させ、P3Cとディーゼル潜水艦は中国潜水艦隊の脅威に対応するためのものだ」と強調した。 

 また「両岸の軍事費は年々アンバランスとなってきている。中国が年々増加しているのに対し、台湾は年々減少し、これでどうやって中国の脅威に対抗するのか、憂慮すべき点である」と指摘した。さらに「台湾も米国と同じ民主制度であり、予算に対して議会の圧力があるのは承知している。特に膨大な軍事費に対してはそれが強い。問題は、中国の軍事的脅威にどう対応するかだ。軍事費は台湾の自主防衛への決意の現われとなる」と表明した。
《台北『聯合報』6月23日》

ニュース

改善進む不良債権率
景気回復が顕著に

 中央銀行は六月二十二日、第一・四半期の国内金融機関の不良債権率が四・四%となり、引き続き減少傾向にあると発表した。不良債権率は工業銀行が一%未満と最も少なく、商業銀行では玉山銀行が一・四二%、台新銀行が一・五%、政府系金融機関では台湾銀行が二・九八%、第一銀行が二・九八%などとなっている。いずれも政府が基準としている五%を大きく下回っているが、一〇%を超えている金融機関も十一行ある。 

 このほか預金は前年同期比九・七二%、貸出も同八・二二%上昇し、中央銀行では景気の回復が顕著になった現われと見ている。
《台北『青年日報』6月23日》 

許世楷氏が駐日代表就任の抱負
交流強化と憲法問題へ理解求む

 七月五日から新たに台北駐日経済文化代表処代表に就任する許世楷氏は、六月二十一日、メディアのインタビューに応えて就任後の抱負を語った。 

 国際的な政治学者であり、「台湾新憲法草案」の策定などに携わってきた許世楷氏は、「台日両国には憲法について共通の課題を持っている。日本の憲法は米国の影響を受けたもので、今の日本にそぐわない部分があるように、台湾にも正常な国家としての身の丈に合った憲法が必要だ。これについて日本に理解を求めることが、私の主要任務の一つである」と述べた。また、対日外交の背景について「国と国との外交には形式的関係と実質的関係があるが、日中関係は前者、台日関係は後者だと言える。台湾は主権国家であり、日本からそれを承認されていないだけだ。さもなければ日本に台湾の代表処があるわけがない」と強調した。 

 日本の文化、学術各界に多くの人脈を持つ許世楷氏は、「音楽、スポーツなどを通じ人々の連帯感をつくることも、台日関係の財産となる。日本の国技である大相撲は、日本だけでなく台湾でも人気があるため、これの台湾場所を開催し、政治以外の分野で長期的な交流を推進したい」とコメントした。 

 許世楷氏はさらに、「羅福全代表が在任中につくった基礎は数多く、今後はFTA交渉や台湾観光客に対するノービザ問題、また在日台湾人の外国人登録証の国籍正名(名を正す)問題など、この基礎のもとに解決することができるだろう。台湾は常に中国の圧力を受けており、国際社会での地位はまだ不安定だが、台米日間の間接的な防衛ラインをいかに維持し強化するかが、今後大きな課題となるだろう」と語った。
《台北『自由時報』6月21日》

ますます発展する台日関係
羅福全代表が語る四年の軌跡

 六月二十二日、羅福全・台北駐日経済文化代表処代表の離任パーティーが、東京都内のホテルでおこなわれ、日本の政治、経済、文化各界から約三百人が挨拶に訪れた。

 羅福全氏は七月一日に台湾に帰国し、亜東関係協会会長に就任する予定だが、離任パーティーには福田康夫・前官房長官、小池百合子環境相、森喜朗・前首相をはじめ、長倉寛之参議院議員、塩川正十郎前財務大臣、日華懇談会副会長の扇千景・前国土交通大臣、服部礼次郎・交流協会会長ら、政界の主要人物が数多く訪れ、羅氏の人脈の太さを物語った。 

 羅福全氏は挨拶のなかで、「この四年間で、台湾と日本の関係は新たな時代に入った。李登輝前総統の訪日に始まり、台湾のWTO加盟、昨年の重症急性呼吸器症候群(SARS)発生時における台日間の協力、そして今年五月のWHO年次総会では、日本政府から台湾支持の賛成票を得、さらに札幌、広島、仙台と台湾間の航路開設が進み、双方の人的往来がすでに百万人に達する時代が到来した。台湾の新幹線建設も最終段階に入り、各分野での貿易や投資、経済交流がいままさに促進されつつある」と語った。また政治面については、任期中の四年間、二百四十名を超える国会議員が訪台したことに触れ、双方の各レベルでの交流を「旧い幹に新しい枝」と形容し、今後のさらなる発展を期した。羅氏はさらに、「台湾は日米と同様、自由民主主義の価値観を持ち、今後はアジアの一員として国際社会での責任をまっとうする。台日関係は今後さらに強化される」と強調した。
《台北『中国時報』6月23日》

大陸住民の観光を新たに開放
APECで協議、年内実現を目標

 林陵三・交通部長は六月二十一日、大陸住民の台湾観光を新たに開放する考えを明らかにした。今年十月にチリで開催されるアジア太平洋経済協力会議(APEC)において、これについて中国側と正式に協議し、年内の実現を目指したい考えだ。 

 大陸住民の台湾観光は、背景によって三つに区分されている。政府は現在、香港、マカオ以外の第三国に観光したあと台湾を訪れる第二類に相当するケース、および香港、マカオ以外の第三国で居留証を取得、あるいは留学や仕事で第三国に四年以上滞在している第三類に属する大陸住民に対し台湾への観光を開放している。

 今回新たに開放を検討しているのは、大陸に住む住民で直接台湾を訪れる第一類のケースだ。基本的には団体での観光のみに限定し、出入国の場所は台北、高雄のいずれでもよく、訪問先は科学園区や国の実験施設、軍事基地など、国防とハイテク関連施設以外はすべて開放するとしている。人数については初期の段階は一日、千人を超えない範囲に留める方針だ。 

 大陸住民への台湾観光の新たな開放について林交通部長は「両岸関係の安定にプラスとなるものであり、陳総統の就任演説での政策方針にも合致する。観光の開放は国家の安全保障の懸念材料とはならず、このことはすでに陳総統ならびに国家安全会議、大陸委員会にも報告済みで、両岸交渉の議題に盛り込むこともすでに了承を得ている」と述べた。中国側にも民間ルートを通して、APECでこれについて正式に協議したい旨を伝えてあるという。 

 「台湾は総統選挙が終わって政治も安定し、政策の上でも両岸関係の安定化を目指す方針が確定している。開放への具体的な交渉について、複数の民間団体に委託して行うかどうかなど大陸委員会の決定を待つ必要があるが、いずれにしろ交渉は両岸の平等と尊厳のもとに行われなければならない」と強調した。 

●台湾観光市場の潜在力は大 

 大陸住民の台湾観光を専門に扱う旅行業者によると、一度台湾を訪れた人で再度観光を望む割合は非常に高く、なかでもタロコ渓谷、阿里山、日月潭は大陸の教科書にも載っており、これら美しい自然風景に魅入られる大陸住民は多いという。ちなみに、大陸住民の台湾観光が開放された二〇〇二年一月以降、台湾を訪れた大陸住民は約二万五千人となっている。
《台北『中国時報』6月22日》

両岸の良好な相互連動望む
大陸委員会プレスリリース

 行政院大陸委員会は六月十八日、最近の中国による台湾の企業、芸能人に対する活動の圧迫や、密航者の引き取り問題などについて、以下のプレスリリースを行った。 

    ○     ○     ○ 

 中国が行っている一連の行為は、両岸の良好な相互連動と信頼の確立に大きなマイナスとなっている。われわれは北京に対し、両岸の経済、文化交流を阻害するこうした行為を即刻停止し、今後一切、政治的にそれらに干渉しないことを明確に宣言することを呼びかける。 

 中国が大量のミサイル配備と軍事演習によって台湾住民を威嚇していることは事実であり、現状である。政府は中華民国の生存と発展のため、また国民を守るという責任において軍事防衛を強化していることはやむを得ないことであり、また必要である。もし北京が自意識の枠を取り払い、われわれとの早期交渉を望むのなら、政府は両岸軍事の相互信頼メカニズムの確立に関して話し合い、締結する用意がある。 

 大陸住民の台湾への密航問題が台湾の社会治安に深刻な影響を及ぼしている。われわれは大陸への早期送還を求めているが、残念なことに今年三月以降、北京は政治状況が好ましくないとの理由で密航者の受け取りを拒否し、現在も派遣する船舶の修理などを口実に問題を先送りしている。これは基本的人権の上からも理解できないことだ。もし北京が船舶を用意できないのなら、われわれが提供することもできる。われわれは北京が善意ある回答を示し、両岸が今後実務的で柔軟性のある方向で発展していくことを期待する。 

台湾の農業は国際レベル
マンゴー千三百トン対日受注

 陳水扁総統は六月十九日、故郷台南県で輸出青果燻蒸処理場の落成式典を主催し、「台湾農業の前途は明るく、国際的な農業王国となる能力とチャンスがある」と挨拶した。陳総統はこのなかで、最近、杜普公司と中華民国対外貿易発展協会(以下、外貿協会)の努力により、日本の三菱商事から、台南産愛艾マンゴーを過去最高数量の千三百トン受注したことを告げ、「今後、台南のマンゴーは国内のみならず、日本でも一躍有名になるだろう。これは台湾の誇りである」と語った。陳総統は、今回受注したマンゴーの品質の高さを賞賛するとともに、外貿協会に対し、今後はハイテク技術を利用して農産品の全面的な販促を行い、「活力台湾、健康美食」のイメージを国際的に確立するよう指示した。台湾では数年前からマンゴーの害虫駆除技術を強化し、日本向け輸出の拡大を図っており、今回の燻蒸処理場開設も対策の一環である。 
《台北『青年日報』6月20日》 

国民党は選挙結果を認めよ
アイデンティティーの確立を

 李登輝・前総統は六月十九日、李登輝学校の領袖学院農経領袖班の総合座談会で、「農業は台湾における経済発展の基礎であり、指導者の資質と姿勢が農業の発展に影響する」と述べ、「歴史を振り返ることは重要だ。物事は表面だけでなく問題の本質を理解しなければならない。台湾意識と台湾の主体性という言葉には深い意味がある」と語った。また「今後四年のうちに、国民の八割近くが台湾のアイデンティティーを持つようになるはずだ」と強調した。   

 李前総統はさらに、「歴史的経験からみて、組織が成功するカギは指導者の資質と能力にある。だが国家の指導者を選出することはそう容易なことではない。政権交代は歴史の常であり、国民党は過去執政にあたっていたが、現在はすでに政権は移っており、選挙結果を認めるべきだ」と語った。李氏のこうした発言について国民党サイドでは、「敢えてコメントはしない」と述べている。
《台北『自由時報』6月20日》 

台湾海峡の現状に変更はない
陳外交部長が訪米時に強調

 陳唐山・外交部長は六月二十二日、訪米先のロードアイランド州Salve Regina大学で「台湾の民主化とアメリカンスピリット」というテーマで講演し、「陳水扁総統は就任演説で台湾が今後進むべき三大方向を挙げた。すなわち、①民主深化と効率的政府の樹立、②台湾海峡の平和維持、③核心的価値観連盟を樹立し、自由、民主、人権と平和を国際友誼の基礎とすることである。われわれは中国との平和的な対話再開を願っており、一方的に台湾海峡の現状を変更することはあり得ない」と語った。

 陳外交部長はさらに、「台湾海峡の平和は米国の利益に合致していることを、台湾は充分理解している。しかし、米国の利益は権威政治や市場の趨勢だけに左右されるべきではなく、米国は人権、民主、自由の立場で問題に対応すべきだ」と強調した。

 今回の訪米は陳氏が外交部長に就任後初めてであり、高等教育機関での初の公式講演となった。
《台北『聯合報』6月24日》
 

遷都問題で各界の意見紛糾
総統府は呂発言報道を否定

 呂秀蓮副総統が六月十九日、高雄市でおこなわれた旅行業者主催の会合で「高雄への遷都案は将来の施政計画に組み込まれている」とコメントしたとメディアが報じた後、高雄、台中両サイドで、遷都問題に対する論議が高まった。 

 高雄サイドでは、観光業者など諸手を挙げて賛成する積極派と、「遷都は各地域の均衡な発展を促すべき」と主張する高雄南社の曾貴海社長ら、慎重派に分かれた。一方、台中では胡志強市長らが「中央政府は南北にのみ重点を置き、台中を忘れている。高速鉄道が完成すれば、交通の便もよくなり、台中には気候、地理、社会的環境など、どれをとっても理想的な遷都の条件が揃っている」と強くアピールした。しかし総統府公共事務室は六月二十日、「政府は高雄への遷都について、何ら具体的な計画や検討はおこなっていない」とコメントし、呂副総統の発言に関する報道を否定した。
《台北『中国時報』6月21日》

「国際的研究開発基地」計画、好発進
両岸経済研究所代表  水橋佑介

 ある台湾情報誌の編集長が、最近「台湾の研究開発動向に関する記事はほとんど読まれない。この点、台湾のR&D分野に対する日本企業の期待度の低さ、台湾における同分野の脆弱性が伺える」という趣旨のことを言ったそうだ。だが、二〇〇二年五月に発表された台湾政府の国家発展重点計画「挑戦二〇〇八」の一つの柱である「国際的研究開発基地」計画は、「技術小国」の知恵として見過ごせないのではなかろうか。 

●デル社のアライアンスと相似 

 「国際的研究開発基地」計画の下、二〇〇四年五月現在、多国籍企業 二十社が台湾に 二十二のR&D センター を設立している。HP(ヒューレットパッカード)社、デル社、IBM社、マイクロソフト社、インテル社、モトローラ社、デュポン社など、いずれも超有名企業であり、日本企業ではソニーが唯一肩を並べている。 

 多国籍企業とのアライアンスによる「国際的研究開発基地」計画は、世界最大のパソコンベンダーであるデル社が構築している技術モデルを想起させる。デル社は直接販売方式で大躍進している企業で、技術にはあまり金をかけず、提携しているマイクロソフト社、インテル社、オラクル社、レックスマーク社、EMC社、SAP社といった世界のIT市場を牛耳る有力企業の技術を大いに活用している。 

 二〇〇二年秋のHP社を第一号に多国籍企業が台湾にスタートさせたR&Dセンターを、最終的に従事する開発要員の予定数で見ると、飛び抜けて多いのはHP社とデル社がそれぞれ百人以上、フェニックス社九十人、インテル社六十人で、その他は、ソニーLSI及びモジュール設計研発センターの二十人と同程度とみられる。 

 パソコンの世界市場で覇を競うHP社とデル社は、昨年の台湾製品の買付け額がそれぞれ百六十億ドルと百億ドル、両社合計で台湾に調達事務所を置く外国企業七十五社全体の半分に及んだ。またフェニックス社は、パソコンのBIOS(出入力基本システム)で世界シェアの七割を占め、台湾の大手パソコンメーカーからのロイヤリティー収入が相当な規模である。さらに世界シェア四分の三以上のインテル社のCPUは多くの台湾企業のライフラインとなっている。

●日本企業が少ない理由

 日本企業の台湾製品の買付け額は、ソニーの四十億ドルが最も多く、二番目のNECはその半分位、あとは一桁台である。日本企業はR&Dセンターを作ってもペイしないのである。ちなみにR&Dセンター設立に際してはその費用の一部が補助されるほか、ハイテク人材の獲得などで優遇されるが、設立申請の審査は厳しいようだ。 

 HP社のアジア低コスト技術開発センターとデル社の台湾設計センターは、台湾企業への生産委託に際してのデザインインを、エンジニアが太平洋を往来せずに台湾で行うことにより、製品開発のスピードを一段と速めるのが狙いのようである。HPのセンターが英業達と取り組んだノートPCでは、製品開発期間を八十五日に短縮した。

 研究開発センターの設置が認められる条件としては、台湾の技術水準向上、台湾の産業への貢献等が重視されるが、そうした例として、インテルイノベーションセンターは、台湾大学、清華大学、交通大学の電機及び情報工学研究所との共同研究、台湾PCシステム大手八社との合作で、次世代無線通信技術に取り組む。 

 また、米サンマイクロシステム社は、台湾にRFID研究開発センターを年内に設置する準備を進めているが、五月には三千万元(約一億円)相当のRFIDソリューションシステムを工業技術研究院に贈呈した。RFIDは無線信号で商品情報を読み取れるICタグ(荷札)で、現在のバーコードシステムに代わる先端技術である。サン社は、世界のITメーカーが同センターをアジア太平洋地区におけるRFID技術テスト基地とすることを目指している。台湾政府も、台湾を世界で五指に入るIDタグの生産国にしようとしている。 

 HP社も今年四月、全世界で四番目、アジア太平洋地区では初めてとなる「RFID Center of Excellence」を台湾に設立した。同センターは、顧客にオーダーメイドのRFIDシステムとソリューションを提供し、サプライチェーン管理機能を強化する。また、工業技術研究院と共同で国際標準の普及を推進し、技術交流と各業界向けソリューションの開発を進める。日本のメーカーもIDタグ関連技術を数多く持つが、台湾での動きはまだ見られない。 

●台湾企業も本腰入れる 

 「国際的研究開発基地」計画では、当初、二〇〇六年までに多国籍企業には三十カ所以上、台湾企業には四十カ所以上、双方合わせて七十カ所の研究開発センターを設立させる目標だったが、台湾企業の数は昨年末までに六十を超えている。 

 台湾企業の研究開発投資も近年急ピッチで増えている。二〇〇三年の研究開発費は百二十三億元(四百三十億円)の台湾積体電路を筆頭に、三十億元(約百億円)以上のデバイスメーカーが七社あったが、向こう一、二年にはセットメーカーでも年 間三十億元(約百億円)を超えるところが四、五社現われそうである。 

 世界市場におけるパソコン販売競争が激化するとともにブランド大手は、台湾メーカーへの生産委託をOEMから設計まで含むODMに移行しているが、最近、デル社やHP社などはコスト削減のためフロントエンドプロダクト開発プロセスの二割(=コンセプト開発やプロダクトデザインが主)をコントロールしているのみで、あとはすべて台湾メーカーに委託しているといわれる。これに対応して、OEM専業の緯創資通の例でもシャーシー設計に七、八十人、外観設計に二、三十人を配している。広達電脳や鴻海精工なども目下デザインチームを強化している。ODMは、主導的に技術を使える余地を格段に大きくする。 

 世界のノートPCの四分の一を生産する広達電脳は、目下林口に広達研究所を建設中だ。その規模は、エンジニア七千人収容可能という。広達電脳の研究開発要員数が、これまで台湾最多であった明基通訊の二千人を抜くことは間違いない。 

 広達研究所はディスプレイ応用、コンピュータ技術、無線技術、システムオンチップの四センターからなる。同社林百里董事長は、研究開発能力の飛躍的向上により、代理生産メーカーから主導的企業への脱皮を目指すと発言している。 

 昨年台湾の民間企業で一〇〇億ドル企業に一番乗りした鴻海精工は、同年、米国マサチューセッツ工科大学のテクノロジーレビューパテントスコアカードで、コンピュータ部門世界第九位に入った。パテントスコアカードというのは、パテントの取得件数と内容を総合した技術力である。鴻海精工が米国特許を取得するようになったのは一九九六年からだが、二〇〇〇年以降は年間五百件前後を取得している。

●日本の設計力も落ちる 

 液晶は米国で開発された技術を日本が得意の量産技術で商品化したものだが、すでに韓国と台湾の生産規模が日本を上回るようになっている。台湾製液晶テレビが日本製の半値で売られ、日本のメーカーに脅威となっているほどである。 

 六月上旬の日本経済新聞に、日本製欠陥品がふえているのは日本の製造業の設計力が落ちているからだという記事が出た。団塊世代のベテランが定年退職期に入り、技術の伝承が製造現場に加えて設計部門でも課題になっているとのことだが、同記事は翌日台湾の新聞でも紹介された。日本も台湾の技術動向に、より関心を持つべきではないだろうか。
(完) 

◆著者紹介:台湾の経済、IT産業の研究者。主書に『電子立国台湾』(日本貿易振興機構/二〇〇一年)、『ARCレポート二〇〇三 台湾』(財団法人世界経済情報サービス/二〇〇四年)。共著に『上海経済圏情報』蒼蒼社/二〇〇三年)、『台湾の産業政策』(勁草書房/二〇〇三年)。 


『見証台湾―蒋経国と私』㊤
李登輝前総統が明かす国民党台湾化への道

 李登輝前総統は五月十六日、台北市内で『見証台湾―蒋経国と私』の出版発表会を行った。本書は李登輝氏が蒋経国総統(当時)から副総統に任命され就任した一九八四年五月二十日から、蒋総統が死去し自らが総統に就任する一九八八年一月十三日までに李登輝氏が書きつづけたメモ、蒋経国総統との会談内容をまとめたものである。

 蒋経国総統はなぜ李登輝氏を副総統に任命したのか。また、蒋経国総統は李登輝副総統を後継者として認識していたかどうか。それらが本書によって明らかにされており、国民党の台湾化ならびに台湾民主化の出発点を記した貴重な歴史資料といえる。以下はその抜粋である。 

カギとなった瞬間 二中全会での指名獲得

 一九八四年二月十五日、国民党は中山楼で第二回中央全体会議を開催した。主たる任務は総統と副総統の指名であった(注一)。会議に出る場合、私は常に三十分前には会場に着くようにしており、この日の会議は九時開始予定であったが、八時過ぎに中山楼に到着し、報告の準備をしてから一番前の列に座り、開会を待った。国民党では座る席の順序はきわめて重要で、最初が総統の蒋経国で、つぎに何人かの党長老が座り、そのつぎが私であった。 

 私が席に着いてしばらくしてから行政院長の孫運璿が私のとなりに座り、「やあ、おめでとう。総統はもうすぐあなたを副総統に指名しますよ。それが可決されるのに問題はないはずです」とささやいた。同時に彼は私への祝福の言葉を述べ、「もちろん私は大賛成です」と語った。おそらく蒋経国は事前に孫運璿に人選の腹案を示していたのだろう。だから行政院長は私に「おめでとう」と言ったに違いない。当時、孫運璿の副総統就任に期待する声がかなり強かった。あとから孫運璿は中風にかかっており、それで蒋経国は孫運璿を副総統に指名しなかったといった噂が流れたが、この当時、彼は中風などにかかってはいなかった。 

 中山楼には蒋経国の専用室があり、演台の左側の小さな階段を上ったところだ。その部屋は接客用に使われているが、会議のあるときはここでいつも開会を待っており、休憩室としても使っている。二中全会のとき、参会者は皆、誰がその階段を上っていき、誰が下りてきたかに注目していた。それはきわめて微妙なものであり、誰もが蒋経国から声がかかることを期待していた。呼ばれることは、昇格かあるいは異動を意味したからだ。その日、私は孫運璿が呼ばれ階段を上って行ったのを見ていないし、彼は会場に着くとすぐ私に声をかけてきたのだ。蒋経国がいつ孫運璿に話をしたのか知らないが、多分電話で話したのだろう。 

 孫運璿が私に祝辞を述べ、いよいよ開会の時間が迫ってきた時、侍衛長が下りてきて謝東閔に声をかけ、彼が階段を上っていった。謝東閔は上ってからほんの五、六分で下りてきた。下りてきてから彼は自分の席に座り、あとは黙して語らず、顔色もよくなかった。私は、いったい何があったのだろうと思った。そのあと、侍衛長が私のところに来て「総統がお呼びです」と告げた。私が階段を上り、その部屋に入った時、総統は事務机には座っておらず、背後のソファーに腰かけていた。彼は突然「やあ、今回あなたを副総統に指名することにしたから」と言う。私は「どういうことです。私は適任ではない。能力にも経験にも、その他の面でもまだまだ問題があります」と述べたが、彼は「私が見たところ問題はない。あなたは必ずしっかりやれるはずだ」と言う。すでに決定事項のようで、これ以上の話はなく、私は彼に礼を述べ、階段を下りてきた。改めて席に着いた時、孫運璿がチラリと私の顔を見た。彼はこの時、蒋経国が私に何を話したかを覚ったようだった。 

 私が階段を上り、下りてきた時、この件は確定したのだ。会議の進行過程の中で、蒋経国は私を副総統候補に指名することを宣言し、会場には大きなどよめきの声が沸き起こった。私は起立し、参会者のすべての人々に謝意を示した。この時の私の気持ちは、言葉では到底言い表せないものだった。 

 この時の詳しい状況は、日本の読売新聞が報じていたが、同紙はこれが私の将来を決定するカギとなるものだと報じていた。このあと私には総統に就任する機会が訪れるが、まさにこの瞬間は、私にとって最も重要な瞬間となったのである。 

(注一)国民党は一九八四年二月十四、十五日、第十二期第二回中央全体会議を開いた。

事前にあった兆候 中央常務委員会での評価 

 一九八四年七月に私が国民党中央常務委員会に提出した業務報告「省行政が下に向かって根を下ろす方法」が、当時蒋経国から高い評価を受けた。聞くところによれば、この評価の言葉は蒋経国が口頭で述べ、総統府副秘書長の張祖詒が記録したものらしい。本来、蒋経国は副秘書長に評論の原稿など書かせないのだが、この原稿は中常会の前日に用意された。その評論文は長く、その論評は型にはまったものではなく、彼が私を評価する語句の一つ一つに人々は驚いたものである(注二)。 

 これは明るい兆候であり、蒋経国はすでに「これは使える人物だ」と表示していたのだ。政治に携わる者なら、雰囲気を読み取り、状況が判断できなければならない。そこに敏感でなかったなら、政治は無理だ。当時、私は蒋経国が自分にかなり目をかけてくれていることを感じ取っていたが、いま思えば、それが副総統指名への暗示とは感じられなかった。政治に携わる者は、直接意思表示をしたりはせず、事前にそれを吐露したりはしないものだ。 

 一九八四年旧暦元旦(二月二日)、私は台湾省主席の任にあり、ある公的なパーティーの席上で、蒋彦士と立ち話をしていた。彼は私に学歴と経歴の詳しい資料を準備するように告げ、それが「経国先生の意思だ」とも言った。このとき私は、蒋経国の胸中に副総統の人選の件があるのではと感じた。同時に蒋彦士は私に「これは極秘で、絶対人に話してはならない」とも告げた。当時の人事は、まず国民党が決定し、行政機関の人事はそれに従っていた。だから蒋経国はこのニュースを、行政側である総統府秘書長よりも先に、党側である蒋彦士・中央党部秘書長に知らせたのである。私本人には、二中全会開会のときに知らされたのであり、事前に決定事項は何も知らされなかったのだ。 

 私は蒋彦士の言葉を心の奥にしまいこみ、人に洩らすことはなかった。そうした中に、蒋経国が誰を副総統に指名するのか、人々は疑心暗鬼になった。私は決して確信をもっていたわけではない。なぜならこの時期の政界においては、いかなる人事も発表前に随時変化する可能性があったからだ。さらに、私は省の行政に全力投入していたし、この任務から異動することは望むところではなかったのだ。だから、私から情報が洩れることはさらになかった。 

 (注二)一九八三年七月六日、李登輝は国民党党員の身分をもって党中央常務委員会に報告書を提出し、蒋経国・国民党主席はそれについて論評したが、そこに次のような部分が見られる。 

 「近年、台湾省の建設は、省政府ならびに各県市の行政機関の活力ある推進のもとに、長足の進歩を遂げている。特に各方面が団結協調し、互いに協力しあい、新たな観念と新たな思潮をもって総合力を発揮し、省政府が順調に任務を遂行していることは喜ばしい限りである。報告書に見られる各施政項目は、重点がよく整理され、適切なものである。問題点の処理についてもきわめて的を射ており、賞賛に値する。李登輝同志が指導する省行政は、開明的なやり方によって現実を重視し、効率を高め、さらに前向きな計画によって、すべての建設に具体的な成果をあげている」
《台北『中国時報』5月13日》


台湾観光年

総統客車で花蓮へ行こう

 デラックス、そしてレトロな雰囲気いっぱいの総統客車で行く鉄道の旅はいかが? 中華民国鉄道観光推進協会は「総統客車で行くー花蓮二日間の旅」を、七月と八月の二カ月間主催する。台北を毎週水曜と土曜日に出発するもので、料金は平日が五千元(約一万五千円)~、週末が五千七百元(約一万七千円)~となっており、十六人以上申込みがあった場合のみ実施される。 

 総統客車は一九七一年、厳家淦前総統の視察用に運行されたのが最初で、李登輝前総統はこれに乗って台湾を一周した。その後、総統客車は団体客向けに開放されたが、これまで一般の団体旅行市場で姿を見せることはほとんどなかった。 

 総統客車は展望室、食堂、休憩室からなり、展望室の回転式ソファーに腰掛けると、特大サイズの窓からは、太平洋に続く青い海、中央山脈につらなる山々の雄姿、それに豊かな田園風景が広がる。喉がかわいたら食堂のカウンター・バーで、コーヒーやデザートを注文できる。またちょっと疲れたら、休憩室でくつろぐことも、椅子をベッドにして横になることもできる。 

 なお、花蓮では兆豊休◆農場や海洋公園などを観光する。 

●「総統客車で行くー花蓮二日間の旅」申込先:0800-213372/0800-093666
http://wwwrail.com.tw

白河の「蓮の花祭り」開催中 

 蓮の花は外観の美しさにも増して仏教に親しむ東洋人にとっては身近な存在だ。台湾でも池のあるところには必ずといっていいほど蓮の花が植えられているが、台湾で最もたくさん蓮の花を見ることができる場所と言えば、台南の白河を置いてほかにない。白河では毎年「蓮の花祭り」が行われており、今年も六月十九日から八月三十一日まで開催中だ。 

 祭りを楽しむために、まずは観光手帳を取得しよう。台南県観光局と民間が協力して開発した白河の「蓮花茶」を買えば、観光手帳をもらえる仕組みとなっている。この「蓮花茶」は期間中、全国のコンビニエンスストアで発売されており、観光手帳には祭りの案内のほか、台南県の旅行業者による約千六百元(約四千八百円)相当のクーポン券がついている。 

 今年は、蓮の花を使った化粧品類や、蓮の実や殻を染料にして染めた衣服などが紹介され話題となっている。期間中、会場では蓮の実の早剥き競争や、蓮を使った染物教室、蓮の花の写真展などが開催されているほか、八月二十二日の七夕には、ロマンティックな特別イベントが予定されている。また、近くのレストランで打ち出している「蓮の花を使った各種特別料理」も見逃せない。 

 ●白河の「蓮の花祭り」http://www.lotuscarnival.org.tw
《台北『民生報』6月15日》

鰹節工場が博物館に大変身 

 台湾国内で唯一の鰹節博物館が花蓮七星潭に誕生した。博物館はもともと二十数年の歴史を持つ鰹節工場だったところで、無料で鰹節の製造過程を参観できる。もう一つの楽しみが、ここでしか味わえないマンボウの魚団子と黒潮ラーメン。太平洋をバックにした同博物館は、テーマ別展示や物産紹介、体験コーナーのほかに、カフェテラスもあり、海原を眺めながらのコーヒーはまた格別だ。博物館からサイクリングロード沿いに進むと二十分で七星潭、原野牧場に到着。 

●鰹節博物館:花蓮県新城郷大漢村七星街148号(Tel 03-823-6100)
(開館:午前9時~午後8時)
《『台湾観光年』6月号より転載》

宝島あれこれ

今年のちまき事情

●キーワードは「豪華」と「健康」 

 旧暦五月十五日は端午の節句。今年は六月二十二日にあたるが、市場には六月初旬からすでにたくさんの種類のちまきが登場し、消費者の購買意欲をそそっている。 

 この一、二年、市場で注目されているのが「健康」と「豪華さ」を謳ったちまきだ。赤米をはじめ、はとむぎ、オートミールなど、体によい雑穀や山芋などを使った新種のちまきが次々と登場し、価格は一個五十元(約百五十円)前後が相場だ。一方、豚肉やエビ、しいたけなどオーソドックスなちまきも、東坡肉やブラックタイガー、日本産のどんこといった贅沢な素材を使い、竹の皮の替わりに蓮の葉を使うなど、豪華さ、高級感を前面に打ち出したちまきが人気となっている。ちなみにこのちまき、二個で三百五十元(約千円)で、贈答用に売れているそうだ。肉嫌いな人にはシーフードちまきもいろいろ揃っており、貽貝、イカ、貝柱、アワビ等々、こちらも贅沢な高級素材が売り物で、一個九十元(約二百七十円)から百七十元(約五百円)まで、さまざまだ。 

●アイスちまき、ハーブちまきも 

 年間の売上総額が十億元(約三十億円)以上と言われるちまき市場。その七、八割がこの端午の節句に集中するため、老舗の菓子メーカーも好機とにらみ、さまざまなアイデアちまきを打ち出している。 

 たとえばアイスちまきは、外皮がもなかの皮で、中にアイスクリームと、歯ごたえをよくするためにもちが入っているのが特徴だ。今年はさらに葛粉を加え、餡の透明感と歯ごたえを高め、味のバリエーションも増やした。このアイスちまき、昨年は品切れになるほどの人気で、国内に十一カ所直営店を持つこのメーカーでは今年八十万個の売上を目標としている。 

 また別のメーカーは、今年ハーブちまきを発売した。端午の節句に欠かせない菖蒲も、もとはハーブの一種で、竹の皮の替わりに菖蒲の葉でくるんだ甘いちまきや、鶏肉にローズマリーでアクセントをつけたものなど、新しいもの好きの若者をターゲットに展開している。
《台北『民生報』5月29日》

●ちまきの故郷・石門 

 ここ数年、台北県石門郷のちまきが北台湾で有名な特産物の一つとなっている。端午の節句ともなると、ちまきを売る店の前には数百メートルもの行列ができる。 

 そもそも石門のちまきの由来は、その昔、十七人の開拓者と一匹の犬がこの地を開墾しようとやってきた際、海で遭難し、流れ着いたのがここ石門だった。住民がちまきを供えかれらを祀ったところ、霊験あらたかとなり、遠方から信者が絶えず訪れるようになったという。 

 石門郷の農協は三年前からちまき販売部門を設立し、独自のちまきを売り出している。自然の素材を使い伝統的な手法で調理されたちまきは、油っぽくなくさっぱりとした味わいが人気の秘密だ。箱入り八個で百六十八元(約五百円)。台北圏内に限り宅配も受けつけている。
《台北『民生報』6月17日》 

端午の節句にボーナス支給

 三大節句の一つに数えられる端午の節句に、官民を問わず、台湾では職員、社員に対し、ボーナスを支給する習慣がある。ここ数年は景気の低迷で企業によっては支給しないところもあったが、今年は景気が回復し、収益が拡大している企業では額を奮発するところも出ている。裕隆自動車は月給一か月分、国泰世華銀行は同一・八か月分で、経済部の職員は六千元(約一万八千円)などとなっている。
《台北『民生報』6月18日》


「台湾の声」世界に響かせよう
国内三百カ所の土集め国連へ

 「ここは私たちの生きる場所、もっとも愛する場所、緑と青空のある、心が通い合う永遠の家。ここではもう恨みや悲しみは要らない、もっと多くの喜びと希望が必要なんだ」。 

 六月十七日、外交部に面したケタガラン通りに歌声が響いた。 

 一九七一年、台湾が国連を脱退してから、すでに三十余年が経つが、今年、国立大学の有志らによって、別の方法で「台湾」が国連の門をくぐることになる。 

 今年初め、台湾芸術大学応用マスコミ芸術研究所と東華大学の教員、学生らが、「台湾は生きた生命体である」という理念に基づき、「台湾の土を国連に送り、台湾の存在を知らせる」ために、国内三百十九カ所の土を集めて台湾の模型を作り、国連を脱退した日と同じ十月二十六日に、国連本部に届けるという行動を開始した。 

 土集めのスタートはまず総統府から始まり、それから五カ月の間、全国の郵便配達員に協力を頼み、模型をかたどる小瓶に全国各地の土を詰めた。この間、発起人の芸術大学応用メディア研究所所長の謝章富さんが重症の肝炎で入院するなど、アクシデントもあったが、奇跡的に回復し、五月末には学生ら二十数名を引率して玉山に登り、台湾の最高峰の土を採った。 

 謝さんの志は社会各界を感動させ、蔡両全・郵政工会全国連合会理事長の全面協力を得て、ついに予定したすべての場所の土を集め、台湾の大きな模型を完成させた。

 十七日、教員、学生ら十数名は台湾の土を詰めた小瓶を並べて作った大きな台湾の模型を手にして集まり、国連アナン事務総長やG8各国の首相に扮し、「私たちは国連に向って進み、世界に台湾の声を響かせる」と題した寸劇を演じた。その後、学生らはスタート地点の総統府で最後に再び土を採り、完成させた模型を呂秀蓮副総統に手渡し、署名と祝福を受けた。もと民謡歌手の夏学理・芸術大学教授も、総統府前で自作の曲「Taiwan,We Care」を独唱した。 

 学生の一人は「全国、東西南北それぞれの地から集めた土が、今こうして私たちの手元にある。私たちもこれと同じように融合し、協力し合うべきだ」と感慨深く話した。信念のもとに模型造りを成し遂げた謝章富さんは、「土があって、初めて命が生まれる。暖かい心遣いがあって、初めて喜びがある。今回の計画を通して、この土地がいかに認められるべきかということの重要さが分かったと思う。学生たちの声が国連と国際社会に届き、台湾の声を響かせることができるよう願っている」と語った。 

 十月二十六日には、謝さんは学生とともにニューヨークの国連本部を訪問し、「台湾土」の模型と台湾の工芸品を別途送付する。また、「台湾土」の国連入りを確実に果たすため、土そのものが税関で通れない場合も想定し、台湾土を使った「同根生」と名づけた陶器も制作している。
《台北『中国時報』6月18日》

文化ニュース

小学生「数学五輪」で好成績
台湾は金六個と団体優勝も

 「二〇〇四年アジア太平洋地域小学生数学オリンピック」が、さきごろシンガポールの華僑中学校でおこなわれ、台湾勢は六個の金メダルと団体優勝を獲得し、六月三日、帰国した。 

 今年で十四年目となるこの数学オリンピックには、シンガポール、マレーシア、ブルネイ、フィリピン、オーストラリア、中国海南島、香港、韓国各地から計五千人が参加し、このうち四百人が、決勝戦に進んだ。台湾は予選参加者百三十二名のうち、十二回の研修と国内での決勝を経て最終的に十名が選ばれ、シンガポールでの決勝戦に出場した。
《台北『中国時報』6月3日》 

全国六十の小学校に「育成室」
台北市で評価報告会が開催

 男女平等を主旨とする彭婉如基金会と全国十六カ所の小学校が運営する「放課後育成クラス」の成果発表会が、五月二十九日、台北市の万華小学校で行われ、十一カ所の小学校の代表が参加した。放課後育成クラスでは、月三千元(約九千円)以下で宿題や各種指導が受けられ、現在母親三百五十人のボランティアが指導にあたり、四千人もの児童が参加している。放課後の課外活動は、二〇〇三年に政府が通過した児童福利法でも奨励されており、低所得家庭や先住民については、教育部からの全額助成が受けられる。
《台北『中国時報』5月30日》 

太鼓背負って玉山に挑む
「九天技芸団」の登山修業

 大太鼓を背負って山に登る――そんなユニークで厳しい「修行」に挑む芸術団体がある。台中県にある大雅郷霊修院の住職・許振栄さんが主宰する「九天民俗技芸団」だ。

 一九九五年に立ち上げられた同技芸団は、学校中退者を多く集め、全国を徒歩でまわり健康な身心を育てる活動は恒例となっているが、今年は四十キロの大太鼓五台を背負って台湾最高峰の玉山に登るという。 

 一行は六月十三日、同山の登山口・塔塔加に到着し、三九五二メートルの頂上制覇を前に気勢をあげた。 

 「なぜそんな危険を冒すのか」との問に、許さんは「『成功に偶然はあり得ない』ことを若者に実感させるため」と語る。同技芸団は、人々に親しみ深い縁日大道芸をもとに台湾独自の民俗芸術を追求し、すでに国内各地のほか、カナダなど海外でも公演を成功させている。
《台北『中国時報』6月14日》 

第一回「北銀身心障害者芸術賞」
台湾全土から四十組が参加

 六月十九日、台北銀行公益慈善基金会が主催する「第一回北銀身心障害者芸術賞」の授賞式が、台北市の中山堂でおこなわれた。 

 障害者の文化芸能活動を奨励し、活動の場を広げることを目的とするこの芸術賞には、台湾全国から百組以上が応募し、六月五日の最終審査では、選抜された四十組が、打楽器、舞踊、ピアノ、ジャズドラム、バイオリン演奏などで実力を競った。舞台袖には付き添いの家族や医師も控え、通常にない緊張感が漂った。 

 主催者側によれば、今回の参加者は総統府のコンサートでバイオリンを弾いた経験を持つ李尚軒さんをはじめ、経験豊富な参加者が多く、レベルの高い熾烈な戦いとなった。油絵部門を含め、賞金総額は百二十万元(約三百六十万円)と、障害者対象のコンペでは最高額の賞金とあって、屏東、宜蘭、台南、台中など、遠方を厭わず応募者が殺到した。 

 第一回目の最優秀賞「梅花賞」は、舞台芸術部門、油絵部門で重度の視覚障害を持つ「啄木鳥楽団」と、中度精神障害の兪振威さんがそれぞれ受賞し、第二位の「蘭花賞」、第三位の「百合賞」のほか、両部門合わせて十八名の佳作賞が授賞された。 

●体の不便さ克服し芸術の道に 

 「北銀芸術賞」の参加者一人一人には、自らの障害を克服し、努力してきた背景がある。その一人、王銘遠さんは、先天性ダウン症のため発達が普通よりも遅く、八歳でようやく歩けるようになったが、父親の通流さんが熱中するバンド活動を見ているうち、見様見真似でドラムを叩くようになった。今年十九歳の王さんは、ジャズドラムの好手となり、他大会では打楽器部門で金賞を受賞、現在は公共施設でドラムの指導もしているという。重度の聴覚障害を持つ鍾宜芳さんの師匠は、母親の陸麗さんだった。筆談と読唇術で曲を理解した後、肩を叩かれながらリズムを覚えた。「技術は二の次。娘には音楽の喜びをまず知って欲しい」と陸麗さんは言う。今では琴を弾くことで自信がつき、公の場で堂々と弾きこなせるようになったという。
《台北『中国時報』6月6日》

お知らせ

躍動台湾・台日友好歴史写真展 in ISHIKAWA

 日本統治時代、台湾の水利事業の振興に大きく貢献した八田與一氏の彫像が今年五月、台湾から氏の故郷である金沢に贈られたのに合わせ、台日友好を目的にした写真展が開かれます。日本統治時代から戦後の復興、台湾の豊かな自然風景、伝統芸能、文化など約百五十点が展示されます。 

 ※入場料無料
日 時 7月7日(水)~12日(月)
会 場 
①メイン会場:めいてつエムザ「エムザギャラリー」2階
②サブ会場:「エムザダイニングガーデン特設会場」地下1階・レストラン街
(①は午前10時~午後8時/②は午前10時~午後10時)
主 催 行政院新聞局、台北駐日経済文化代表処、台北駐大阪経済文化弁事処
問合せ 遠東亜太交流センター 東京事務局(TEL:03-5336-6255)

春 夏 秋 冬 

 「なんともやることがみみっちいねえ」、「精神的な病にも、狭心症というのがあるんだねえ」。最近、台湾でこういった声がよく聞かれる。すでに日本でも報道されている通り、中国のなりふり構わぬ反「緑色」キャンペーンのことである。与党民進党のシンボルカラーが緑であることから、中国は台湾において台湾政府を支持する財界人や芸能人を「緑色台商」とか「緑色芸人」などといった新造語で呼び、「みみっちい」行動に出てきたのだ。 

 陳水扁総統就任式の5月20日前後に、中国が台湾の奇美実業の許文龍氏を「台独派」と名指しで非難し、中国市場からの締め出しを示唆したときには、中国の国際音痴ぶりを改めて見た思いがし、まだWTOの一員になった自覚がないのではないかと疑ったものである。経済グローバル化の今日、そこに特定のイデオロギーを持ち込むなど、まったくWTOの理念に反するばかりでなく、中国経済のためにもよろしくない。現在中国政府は投資抑制政策をとっており、それの一環として台湾の一部企業を抑圧し、かつ国内の狭量な民族主義者たちをも満足させようとの一石二鳥を狙っているのではないかと勘繰りたくなる。いずれにせよ狭量な政策で、大国のやるべきこととは言えない。 

 つぎに日本でもかなりのファンを持つアーメイこと張恵妹さんの中国杭州市でのコンサートが急遽中止になった件だ。恵妹さんは2000年の総統就任式で中華民国国歌を独唱し、世界にその美声が流れたのだが、このとき中国はそれが気に入らないとして恵妹さんを中国の芸能舞台から締め出し、それをまた持ち出し、いきなりコンサート中止の挙に出たのだ。6月13日に帰国した恵妹さんは、「私は一歌手にすぎないのに、なんで政治的な色を被せられなければならないの」と肩を落としていた。これと中国の「女子十二楽坊」が日本だけでなく台湾でも受け入れられ、6月19日に台北でコンサートを開き成功させたこととを比較すれば、中国人と台湾人の国際感覚と度量の差が明確に見えてくる。文化は経済よりもさらにグローバル化しているはず。中国人には、まず国際感覚を養い、度量をもう少し大きく持ってもらいたいものだ。 
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