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  台湾週報2163号(2004.10.21) - 台北駐日経済文化代表処 Taipei Economic and Cultural Representative Office in Japan :::
主要ニュース
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台湾週報2163号(2004.10.21)

陳水扁総統国慶節祝辞 
国民の同意において両岸関係を促進

 今年の双十国慶節に日本からは日華議員懇談会、民主党祝賀団、時局心話会など約40人の国会議員をはじめ、多数の民間友好団体、個人が参加した。総統府前のケタガラン大通りを埋め尽くし歓呼する国民の前で、陳水扁総統は全国民に対し、台湾の団結を訴えるとともに、国民の同意の下に両岸平和関係を促進することを公約し、中国には対話再開と軍事の信頼構造確立を呼びかけた。以下はその全文である。


 遠路お越しいただいたご来賓のお一人お一人に感謝致しますと共に、長期にわたって台湾に関心をいただいている友人の皆様に感謝しつつ、本日二千三百万の国民同胞と共に中華民国九十三年の双十国慶節をお祝い致します。 

 二〇〇四年は台湾国民の永遠に忘れ得ない一年として価値あるものであります。たとえ十年、二十年を経ようとも、歴史の記録と国民の記憶は、記された忘れられない瞬間、すなわち台湾より参加したスポーツ選手が、二〇〇四年アテネ・オリンピック競技場において、自己のため、台湾のため、また二千三百万国民の一致した期待のため、敢然と一つ、二つと金メダルを獲得していったことを、明確に焼き付けていることと思います。 

 あの瞬間、多くの国民同胞とわれわれの選手は共に感動の涙を流しましたが、外国人にはそこに交差する複雑な辛酸と歓喜は理解できないかもしれません。外国の友人が理解できないのは、なぜ台湾がオリンピックで金メダルを獲得したのに、国旗を掲げられず、国歌も歌えず、わが国の選手が大声で国際メディアに向かって「私は台湾から来た」と叫ばなければならなかったかという点であります。 

 これは台湾の物語―辛酸な過程の中に絶えず記してきた栄えある物語です。これまでのおよそ半世紀にわたり、二千三百万の台湾国民がこの土地において、精魂を尽くし全力をこめて創造した経済の成功と民主の成果は、この感動と一体的なものであります。

 本日の国慶祝賀大会は、特にすべてのオリンピックとパラリンピックの「台湾の英雄」に、われわれを先導し、共に高らかに国歌を斉唱することをお願いしました。この意義は共に台湾の栄誉を分かち合う以外に、一人一人の国民同胞が台湾の英雄であることを示すものであります。 

 台湾は非常に小さく、われわれは実力をもって国際舞台に立ち、最も過酷な試練と競争に向かい合わねばなりません。外的な困難に向かい、われわれ内部はさらに団結しなければなりません。政党の交替や民主主義の実践など、すべてが国家の体質改善を持続させ、台湾の国際競争力を増強するためであり、毎回の選挙の勝敗にこだわるのではなく、それによって国家社会の中に内紛の種を作り出すようなことがあってはなりません。これまでの長期にわたった権威主義の統治によって作り出されたエスニック政策の失策と国家アイデンティティーへの分岐が、政党の交替後において行うべきは、対立と紛争ではなく、団結と新たな契機を創造するためのものでなければなりません。 

 本年五月二十日の就任演説において、私は厳粛に、台湾社会には確実にアイデンティティーとエスニックの問題が存在すると指摘しました。政府指導者として、私と民主進歩党を含め、すべてが率先して反省するとともに真摯に対応し、かつ効果的に氷解させたいと願っております。与党はこの九月に、党の最高原則で全党を挙げて貫徹しなければならない「エスニックの多元化、国家の一体化の決議文」を採択しました。行政院は目下、鋭意「エスニックと文化の発展会議」開催の準備をしており、国慶節のあと正式に開催されるはずです。これの具体的行動は、理解の開始を象徴するものであり、反省するだけのものではありません。 

 台湾の歴史は、この土地に各エスニックが共同で描き出したものであります。そこは先住民族、客家人、河洛人の故郷であり、大陸より来た新住民の新たな故郷でもあり、外国籍の新移民の新天地でもあります。台湾の主体性は各エスニックが共同で参加して構築したものであり、各エスニックがすべてわれわれ台湾の主人であり、各エスニックの母語がそれぞれ台湾の言語となるものです。中華民国と台湾のいずれにアイデンティティーを感じるかに関係なく、いずれも国家アイデンティティーへの忠誠の表明であり、それは歪曲したり分化したりするものであってはならず、相互尊重、相互理解、相互受け入れでなければなりません。 

 中華民国の主権は二千三百万台湾国民に属するものであり、中華民国はすなわち台湾であり、台湾すなわち中華民国であり、このことは誰も否定できない事実であります。

 今日、世界の多くの地域で、台湾より派遣された農業技術チーム、医療班が黙々と地域発展に貢献しています。国際参加、経済支援、人道関与などを、台湾はこれまで絶やしたことはありません。なぜなら台湾国民は国際社会が最終的には「徳は孤ならず、必ず隣有り」の公平な道理に立ち返ると信じているからです。 

 来年は国連創設満六十周年になり、国際社会は普遍的に改革および国連構造の強化を期待しており、国際社会の参与が拡大している時、二千三百万台湾国民が「平和、尊重、平等、友好」および「加盟国普遍化の原則」を標榜する国連に議席を持っていないということは、間違いなく欠陥と不公平を明確に示すものです。 

 一九七一年の国連総会第二七五八号決議は、中華人民共和国の国連および関連機関における代表権問題を処理しただけであり、決して中華人民共和国に国連およびその関連機関において「台湾国民を代表する」権利を付与したわけではありません。だからこの二七五八号決議が、台湾を国連機関の外に排除する理由として誤って引用されてはなりません。したがって台湾国民の参加を排除するのは、「国連憲章」「世界人権宣言」さらにその他の国際人権規約に反するばかりでなく、「加盟国普遍化の原則」に対する一大風刺ともなっております。 

 台湾は主権在民で、自由と人権を十分に備えた国家であり、国土面積は三万六千平方キロメートルに及び、十分な統治能力を持った政府と政治制度を有し、国民一人当たり所得は一万四千ドル近くに達し、外貨準備高は二千三百億ドルを越え、世界第十五位の貿易大国であり、さらに国際社会の他のメンバーと有効な国際関係を結んでおり、同時に「世界貿易機関」など国際組織の正式メンバーとなっており、二千三百万台湾国民が引き続き「政治的隔離」に遭い、長期にわたって身分証を持たない国際遊牧民になっている理由はどこにもありません。 

 台湾が畏縮することなく敢然と国際舞台の上に立ち、平等な地位と基本的尊厳を持つこと、これが二千三百万台湾国民の共通の願望です。オリンピックの表彰式において、一人ひとりの国民が自国の国旗を仰ぎ、自国の国歌を歌いたいと願っていることと同じです。こうした素朴な心情は、文明社会のいかなるメンバーも軽視してはならず、「誰がお前など相手にするか」といった横暴な態度をとるべきではありません。 

 台湾国民はこれまで一致して「経済発展」の輝かしい時代を創造し、さらに「民主改革」の栄えある歴史を記してきましたが、われわれのこの世代における最大の責任は、後世の子孫のために「平和と安全」「永続的な発展」の台湾の将来を確保するところにあります。 

 もし国家の安全が確保できなかったなら、あらゆる経済の果実も民主の成果もすべて水泡に帰してしまいます。これはすべての人に分かる道理です。「運命に任せれば餓死し、人に頼って戦えば失敗する」。もしわれわれが自己防衛の固い決意と能力を持たなければ、台湾海峡の平和、台湾の安全は最後の拠り所を失うことになります。 

 武力の脅威が台湾海峡における最大の「恐怖の影」であり「暗黒の勢力」となっております。目下、海峡対岸では六百基を越えるミサイルが台湾に照準を合わせており、毎年平均五十基から七十五基の速度で増強されておりますが、これは台湾国民および国際社会が断じて座視し得ない重大な脅威です。こうした「恐怖の影」「暗黒の勢力」は直接台湾海峡平和の現状に脅威を与えるのみならず、地域の安定と世界の安全にとっても最大の問題点となるものです。 

 台湾は中国の改革の進歩と安定した発展を望み、さらにオリンピックの平和と平等の精神を前提として、二〇〇八年北京オリンピックが開催されることを祝しております。国際社会は中国の発展に期待していますが、そこには「平和の覚醒」が伴っていなければならず、武力による侵略や覇権があってはなりません。 

 今年五月二十日の就任演説において、私は真摯に、海峡両岸の新世紀の指導者が地域の整合と世界大同の新局面に向かって進み、まったく新しい視野と構造によって、共に両岸の将来の問題に対応し処理しなければならないと呼びかけました。もし両岸双方が善意に基づいて、共同で「平和の発展、自由な選択」の環境を打ち立てることができたなら、将来の中華民国と中華人民共和国、あるいは台湾と中国の間が、いかなる形の政治的関係に進もうとも、ただ二千三百万台湾国民の同意において、われわれは排除するものではありません。 

 私は重ねて、五月二十日の就任演説で提示した内容を、私の任期中は変更するものではないことを表明致します。当然、われわれは対岸の政権の人事変動に注目しており、さらに双方が一層高度な知恵を用い、両岸関係の新たな進展のためにさらなる好ましい機会を創造することを希望しております。

 これまでの経験が、武力による脅威と国際社会での圧迫は両岸人民の距離をますます遠ざけ、言葉を激しくし表情をしかめ、非難しあうばかりとなり、相互の信頼関係と理解を増進するのになんら役立たないことを証明しております。「両岸は必ずしもゼロサムゲームを演じるのではなく、ウィンウィンでなければ本当の勝者にはなれない」。この点を、対岸第四世代の指導者は深く認識しなければなりません。 

 両岸の政府と国民は、多くの問題点において確かに異なる見解を持っており、時には意思疎通ができないために、誤解を生じることもあります。それゆえに私は何度も、すでにある基礎の上に、両岸が対話と意思疎通の道を復活させ、相互の距離を縮め、相互信頼の基礎を確立すべきだとする希望を表明してきました。本日、私は「九二年の香港会談を基礎」とし、「完全ではないが受け入れられる」方策を求め、協議と交渉の準備を一歩進めることを提議いたします。 

 台湾海峡のいかなる衝突も両岸人民に癒されない被害をもたらすことに鑑み、私は、両岸は真摯な思考をもって、さらに実際の行動によって「武器のコントロール」を行い、台湾海峡での軍事的脅威を低減することを主張します。少し前、台湾は九月の「漢光演習」を中止しましたが、これもそうした思考によるものです。われわれは、両岸双方が自己規制の保持を公約し、いかなる紛争の複雑化あるいは衝突の発生を生む行動を排除することによってこそ、両岸関係を平和と安定の道において促進することが確保できるのだと認識しております。長期的な目で見れば、両岸は正式に敵対状態を収束させ、さらに協議と交渉を通じて、両岸の軍事面における相互信頼のメカニズムを確立し、双方同時に軍備政策に検討を加え、さらにまた、共同で「海峡行動規則」の制定を研究討議し、台湾海峡の永久的平和の具体的保障とすべきであります。 

 両岸双方は現在共に経済の発展と社会の安定を追求しており、共に重要な転換期と発展の機会に直面しております。グローバル化の構造における両岸の経済戦略は、共に平和進展の思考に合致しています。もし中国市場の投資リスク低減ができたなら、両岸は世界の供給チェーンにおける十分な分業体制を確立することができ、一種の競争あるいは相互協力の両岸経済関係を逐次形成できるようになるはずです。台湾は同時に経済構造を転換し、台湾を深く耕し、世界に進出し、実力を養い、リスクを分散する必要があり、そうしてこそ積極的に両岸経済関係発展の契機を効果的に掌握できるのです。目下行政部門は両岸間における「人と貨物のチャーター便」という便利で快速な方案を検討しており、早急に対岸と協議を進め、両岸三通(直接通商、通航、通信)実現に一歩前進することを希望しております。 

 ご来賓の方々、親愛なる国民同胞の皆様、台湾の団結、両岸の安定、社会の安定、経済の繁栄、これは私の台湾国民に対する公約であり、同時に与野党が共同で責任を負わねばならないものです。年末に実施される立法委員(国会議員)選挙は、与野党のいずれにとっても一つの試練となり、またチャンスともなるものです。私は、各党が平和で理性的な競争を通じて、選挙後の国内政治の新たな状況において、団結、平穏、安定、繁栄の機会を台湾にもたらすことを希望しております。 

 私はここに、年末の立法委員選挙後、最大の誠意をもって与野党の指導者に要請し、共同で「両岸平和発展委員会」を組織し、一致して憲政改造の作業を進め、同時に国民が関心を示す重大な国政問題について、与野党のコンセンサスと協力を求め、政局の安定と国家の長期的な発展のために団結し貢献することを公約致します。 

 親愛なる国民同胞の皆様、最近九・二一再建に関するドキュメンタリー・フィルムが完成しましたが、題名は『生命』と申します。多くの友人は私と同様に、見たあと思わず涙を流しておりました。それは悲劇の傷跡に対面したからではなく、強靭な生命力の無限に感動したからです。『生命』というこの記録フィルムは、ただ九・二一大地震の物語を収めたものではなく、台湾というこの土地の物語、さらに勇敢で強靭な台湾人の物語を集成したものです。 

 生命は曲折した暗黒のトンネルを経て、運命の打撃を受け、数知れない挫折に遭遇し、時には抜き差しならぬ状況をも徘徊します。しかし希望の堅持とこの上ない強靭な生命力は、われわれに勇気を持たせて前進させ、そして生命の出口を見出し、トンネルの向こうの光明を見つけ出すはずです。国慶節の今日、私は皆様にこのドキュメンタリーを見ることを推薦するとともに、すべての国民同胞が強靭な台湾の生命力を発揮し、団結のため努力し、永遠に放棄せず、共同で国家の前途のために出口を見つけ出し、台湾の歴史に輝かしい一ページを描くことを期待致します。 

 最後になりましたが、中華民国誕生の日と国運隆盛を慶祝するとともに、ご来賓各位および国民同胞の皆様の健康とますますの発展を祈念致します。ありがとうございました。(完)


新たな台湾示唆する国慶節式典
台日双方のさらなる発展を祈念

 今年九十三回目を迎えた双十国慶節の記念式典が、世界各地で盛大に行われた。日本では那覇、福岡、大阪、横浜、東京の各地で開催され、このうち十月八日ホテルオークラで行われた東京の式典には、台風接近に伴う大雨の悪天候にもかかわらず日本の政財界をはじめ在日僑胞ら、およそ千八百人が参列した。 

 例年会場には国慶節を祝う横断幕が張られるが、そこに今年は「中華民国(台湾)九十三年雙十国慶酒會」と書かれ、初めて中華民国の後に台湾の文字が加えられた。 

 式典では最初に許世楷・駐日代表が挨拶し「台湾は世界の普遍的な潮流の中にあり、共産主義の中国とは異なる道を歩んでいる」と指摘し、国慶節の意義について強調するとともに「台湾は民主主義を一層強化しなければならず、そのためにも台湾の背丈に合った憲法の制定と憲政改革が必要だ」と述べ、日本に理解を呼びかけた。 

 続いて、今年二月、日華議員懇談会会長だった山中貞則氏の逝去後、新しく会長に就任した平沼赳夫・衆議院議員が挨拶し、台湾の国連を初めとする国際機関への加盟を支持することと、日本政府の台湾からの旅行客に対するノービザ早期実現への期待を述べた。 

 また服部礼次郎・交流協会会長は「日台交流は一つの機関によって行われるものではなく、各界の力強い、忍耐強い努力のもとに行われなければならない。日台はともに価値観も思想も共有しており、今後ますます発展するに違いない」と期待を語った。 

 さらに総統府資政の彭明敏氏も会場に姿を見せ「毎年国慶節を迎えるたびに複雑な心境になる。九十三年前に中華民国が建国された際、台湾は中華民国の領土ではなく、日本の統治下にあった。台湾国内にはさまざまな問題があるが、基本的には台湾海峡の安全と平和が問題だ」と指摘し、会場から大きな拍手が起こった。 

 このほか来賓として日本経団連副会長で東亜経済会議日本委員会委員長の香西昭夫氏、文部科学省の鳥居泰彥・中央教育審議会会長がそれぞれ祝辞を述べた。なお、東京の会場には国会議員の中野寬成・衆議院副議長、竹山裕・前自民党参議院議員会長、藤井孝男・前運輸大臣、中川秀直・自民党国会対策委員長、斎藤斗志二・前防衛庁長官、岩国哲人・民主党副代表、浜四津敏子・公明党代表代行らおよそ五十人が参列した。

《台北『中国時報』10月9日ほか》 

●各地で祝賀ムード

 国慶節の十月十日には日本各地でパレードや獅子舞、園遊会など、さまざまな祝賀イベントが行われた。

 東京中華学校で開かれたイベントには東京近郊からおよそ二千人の僑胞らが集まり、一日中祝賀ムードに包まれた。また横浜の中華街では爆竹が鳴り響くなか国旗を手にした大勢の僑胞が沿道を取り囲み、許世楷・駐日代表を先頭に政府関係者や僑胞代表らが街中をパレードし、国慶節を祝った。

《台北『中央社』10月10日》

ニュース

対岸は一律「中国」と表記 行政院長が関連省庁に指示へ

 游錫堃・行政院長は九月二十四日、立法院(国会)での質疑応答で、今後政府の公文書において、中華人民共和国を一律「中国」と表記するよう関連省庁に指示する意向を明らかにした。 

 游院長は、「陳水扁総統は二期目の就任後、常に対岸を『中国』の名称で呼称しており、今後は外交部など各関連省庁などに指示し、この名称を口頭および文書でも一律に使用する」と述べ、与党議員の質問に「これは確定事項だ」と答えた。 

 また「行政院の今年の施政報告における第一の柱は、台湾の主体性を明確にすることだ。両岸の一方は中華民国、もう一方は中国すなわち中華人民共和国であり、『一つの中国』ではない」と強調した。さらに「『中華民国』の名称は台湾の護り札か」という質問に「現段階ではその通りだが、台湾は主権独立国家であり、重要なのは国家のアイデンティティーだ」と述べた。 

《台北『自由時報』9月25日》

海外代表処の「正名」は必要 民間団体が名称変更求めデモ

 台湾の「正名(名を正す)」運動を推進する民間団体「台湾外館正名運動連盟」は九月二十七日、「台北駐日経済文化代表処」を「台湾駐日代表処」に名称変更するよう求めるデモをおこない、陳唐山・外交部長に請願書を提出した。これに対し、陳部長はマスコミの取材に応え「海外駐在機関の名称は非常に紛らわしく、『正名』は確かに必要である」と表明し、日本政府に台湾の民間の声を伝える意向を示した。 

《台北『中央社』9月27日》

旧正月チャーター便交渉へ 陸委会が柔軟な対応を表明

 呉釗燮・行政院大陸委員会主任委員は十月四日、来年の旧正月チャーター便に関し「今後政府は柔軟な方法で双方の交渉を進める方針である」と述べ、まずは双方が受け入れ可能な、適切な人選をおこない、交渉に臨みたい意向を明らかにした。また邱太三・副主任委員は貨物のチャーター便についても交渉の準備があることを示し「中国にその意向があればあらゆる可能性を否定しない」と述べた。 

 呉主任委員は四日、游錫堃・行政院長らとともに海峡交流基金会主催の中秋節の晩餐会に出席し、これらのコメントを発表した。同晩餐会では、游院長が「陳総統が就任演説で宣言した両岸の健全な交流促進を軸に、政府は引き続き両岸の経済貿易交流を推進する」と述べ、これを受けて呉主委は上記の具体的方針に言及し、「台湾企業に便宜を図るため、中国からの早急な返答を望む」と語った。 

《台北『経済日報』10月5日》 

日本の常任理事国入りを支持 陳外交部長が日本の姿勢評価

 陳唐山・外交部長は十月五日、新たに駐日副代表に就任した陳鴻基氏と面談後、マスコミの取材に応え、「さきごろの訪米中に日本が国連常任理事国入りを訴えていることについて意見を求められた際、日本の姿勢を評価し、支持した」と述べた。  

 陳部長は、実際の政策は関連省庁でさらに検討すべき問題としながらも、個人的立場から支持を表明し、「日本政府は国連の総経費のうち二〇%を拠出しており、日本経済は世界から注目されている。各国は六十年前の歴史を蒸し返すべきではなく、安全保障理事会の常任理事国の議席について合理的枠組みのなかで検討すべきだ」と指摘した。

 日本の常任理事国入りについて、総統府、行政院ではまだ正式なコメントを発表していないが、彭明敏・総統府資政、許世楷・駐日代表は支持表明をしており、呂秀蓮副総統も「台湾は国連加盟国ではないが、道義的に支持する」と表明している。 

《台北『中央社』10月6日》

備えあってこそ戦争を防止できる
台湾海峡の安定に必要な特別防衛予算

●兵器購入は平和のため 

 目下、立法院で審議されている兵器購入特別予算案が国民の大きな関心事となっているが、政府は国民にこれへの支持を呼びかけている。同予算案は今後十五年間に六千百八億元(約一兆八千億円)を投入するというもので、購入予定の主たる兵器はディーゼル潜水艦八隻、P3C対潜哨戒機十二機、パトリオット3型ミサイル八組である。 

 この予算案について游錫堃・行政院長は九月二十二日、立法院での答弁において「政府と二千三百万国民は共に平和を望んでいるが、平和のためには相応の防衛力が必要だ。どの程度が必要かについては、相手側からの脅威の内容を見なければならない。中国は依然としてわが方に敵意を抱き、台湾への武力使用を放棄していない。したがって、われわれには自己防衛能力の保持が必要であり、兵器購入特別予算案は自主防衛確立のためのものであり、国民に広く理解と支持を求める」と語った。 

 また、一部の国民や野党が同予算案に反対していることについては、「中国がわが方に敵意を抱き、武力侵攻を放棄していない以上、わが方はそれに備えなければならない。備えあってこそ平和は守られるのだ。もし相応の防衛力がなければ、それは台湾にとって危険と言わねばならない。中国は一貫してわが国に敵意を抱き、武力侵攻の意図を持ち、またその能力も有している。中国が台湾への武力使用を放棄していない以上、国民の安全を守るため、国を守るため、相応の防衛力は是非とも必要なのだ」と強調した。

《台北『青年日報』9月22日》 

●中国の軍拡は世界の脅威

 陳水扁総統は九月二十三日、カナダ国会議員訪台団と会見したおり、中国問題に言及し「胡錦涛が中央軍事委員会主席に就任し、軍事委拡大会議において『党の軍に対する絶対的指導を堅持する』と強調し、軍が党に服従することを要求した。これは中国の軍隊が共産党に属していることを鮮明にするものであり、世界各国の軍隊が国家と国民に属しているのと異なる点だ」と強調した。

 また「軍事委主席の顔は変わっても、江沢民も胡錦涛も台湾への武力使用は放棄せず、沿海部に台湾へ照準を合わせた戦術弾道ミサイルを六百基も配備し、しかも年間五十基から七十基のスピードで増強している。これは台湾海峡のみならず、アジア太平洋地域の平和に重大な脅威となるものだ。世界各国は平和を追求するなかにおいて、台湾海峡ならびにアジア太平洋地域の平和が脅威にさらされていることに注目すべきだ」と指摘した。

《台北『青年日報』9月23日》
 
 ●退役将官の反対論は不道徳

 退役将官の一部が兵器購入特別予算案に反対を表明したことについて游錫堃・行政院長は九月二十三日、記者会見において「台湾は平和を愛するが、妥協主義は採れない。特に今回の兵器購入案は一九九五年の国民党政権時代に政府側から建議されたものであり、今回反対を表明した元将官の多くは当時現役であり、購入を政府に要求した人々だ。なぜ退役してから反対するのだろう。もしイデオロギーから反対しているのなら、それは二千三百万国民を不安の中に追い込むものであり、不道徳である」と批判した。 

 さらに「中国は目下六百基以上のミサイルを台湾に照準を合わせており、台湾侵攻用の戦闘機、艦船なども備えている。もしわが方が防備を整えねば、ひとたび中国が侵攻を開始した場合、台湾を救う道はない。政府は二千三百万国民の安全を確保するため、十分な防備をしなければならない。そうしてこそ中国に危険な冒険をとどまらせることができるのだ」と指摘した。同時に「第二次大戦を例にとれば、イギリスのチェンバレン首相はヒトラーに妥協主義を採り、それによって世界大戦が発生したのだ。わが国は早急に兵器を整え、防衛を固めなければならない。台湾は戦いを求めないが戦うことを恐れない。戦いに備えてこそ戦いを阻止できるのだ」と語った。 

 また蘇貞昌・総統府秘書長も同日記者会見において「安全があってこそ社会福祉も建設も進められるのだ。今回の兵器購入案は国民党政権時代の一九九五年と九七年に提議されたものであり、今になって当時現役であった将官の一部が立場を翻し特別予算への反対を表明している。これは国家の安全保障を、政党間闘争である反対のための反対の中に翻弄させるものだ」と指摘した。 

 同時に「敵が毎年二ケタ以上の軍事費拡大を示している時、われわれがもし自己努力もせず万一有事に際した場合、他人に助けてもらおうとしても、米国は助けてくれるだろうか。かれらが台湾のために血を流してくれるだろうか」と強調した。 

《台北『自由時報』9月24日》 

 ●両岸間に軍拡競争はない 

 李傑・国防部長は九月二十四日、立法院での答弁において「両岸間に軍拡競争は存在しない。なぜなら中国軍の規模はわが方から見て強大すぎ、われわれの数倍はあろう。われわれにとってかれらと軍拡競争をする方途はない。われわれの目的は先端科学兵器を整えるところにある。当面は米国から第一線の防衛兵器を購入し、これらの先端兵器によって質的優位を確保し、台湾水域での優勢を維持することである」と表明した。続けて「今回の特別予算が通過したなら、中国の台湾封鎖は困難となり、ミサイル攻撃にも有効な防御ができ、台湾は今後三十年間にわたる安全を確保することができる」と表明した。 

《台北『青年日報』9月25日》 

●両岸には「力の均衡」が必要 

 游錫堃・行政院長は九月二十五日、行政院研究班の式典において台湾の安全保障問題に言及し「国防部の戦略はあくまで『有効な抑止力、専守防衛』であり、この戦略目標を達成するためには相応の反撃能力の保持が必要である。対岸との軍事均衡の確保は、かつての冷戦時代における『相手が攻撃する能力を持てば、当方も反撃能力を持つ』というものと同じであり、すなわち『力の均衡』を保ってこそ衝突を防ぐことができるのだ。今日の台湾が相応の反撃力を持ち、相手が台北、高雄を攻撃すれば、わが方も上海を攻撃する。相手が百発のミサイルを撃てば、わが方は五十発のミサイルを打ち返すという能力を持ってこそ、台湾の安全は確保できるのだ」と語った。 

 さらに「これまでの台湾は、イスラエルのようにみずから積極的に兵器を研究開発するのではなく、安全保障は他人任せであった。今回の特別予算が通過しても、国防費はGDPの二・八五%にすぎず、イスラエルの八・七%に遠く及ばず、米国の三・六%にも及ばないのだ」と語った。また游院長は「現在の台湾の国際環境は、世界の国々から兵器を購入できるという状況にはない。米国のみが敢えてわが国に売ってくれるのだ。一部の人は価格が高すぎると言うが、米国がわが国に兵器を売却するにはコストが必要であり、利潤も必要だ。割高になるのは『売り手市場』であるからかもしれない。わが方には、値引き交渉の空間はないのだ。国防部はすでに価格を明確にしており、米国との交渉も合理的に行っている」と表明した。同時に「六千百八億元(約一兆八千億円)の特別予算案が通過すれば、国防部の試算では今後三十年間の安全が確保される。年平均二百億元(約六百億円)の割合になる」と述べた。 

《台北『自由時報』9月26日》 

●緊迫化する中国の脅威 

 国防部は九月二十二日に立法院に送付した「計画報告」の中で「二〇一二年以降、中国の総合国力は大幅に上昇し、武力による『台湾問題』解決の能力を持ち、台湾に対する武力発動の危険性がきわめて高くなる。二〇〇六年前後にもし台湾の防衛力が整備されていなかったなら、軍事力は中国優勢に傾き、二〇〇八年以降は中国軍が台湾を威嚇し、半身不随にするかあるいは攻略するのに有利となる」との見通しを示した。 

 さらに李傑・国防部長は九月三十日、立法院国防委員会での報告において「二〇〇六年には台湾に照準を合わせた東風十一、十五型弾道ミサイルは八百基に達し、中国は十時間にわたって五波の波状攻撃を仕掛ける能力を持つに至る。さらに同年には目下開発中の巡航ミサイルも二百基が運用可能となる。これは地上からも航空機からも発射でき、かつ射程千海里に達し、台湾の重要機関を攻撃目標にできる。台湾の現有ミサイル防御能力では、これらを防ぐのは困難だ」と明らかにした。

《台北『中国時報』10月1日》

台日関係強化で地域の平和維持を
「台日フォーラム」が台北で開催

アジア地域の安全保障について意見交換する目的で毎年開催されている「台日フォーラム」の第三回会議「台日フォーラム二〇〇四年台北会議」が、十月三日、台北の遠東ホテルで開催された。会議には游錫堃・行政院長、邱義仁・国家安全会議秘書長をはじめ、大河原良雄・世界平和研究所理事長、内田勝久・日本交流協会台北事務所長、許世楷・台北駐日経済文化代表処代表のほか、日本から多数の国会議員と各界専門家が出席した。 

●台日米の「価値観同盟」構築を 

游錫堃・行政院長は挨拶のなかで、アジア地域の平和維持について「米日間には『日米安保条約』、台米間には『台湾関係法』がある。この二つのメカニズムは台米日の安全保障面での協力の基礎となるものであり、三方はこれを一歩進めて『安全保障の対話ライン』を構築し、反テロへの協力体制と地域の安全を強化すべきである」と述べた。また、「台日米は経済の面でも相互補完関係にある。わが国はすでにWTOに加盟し、米日両国との経済関係はますます緊密化している。今後はさらに、台米日間の自由貿易協定(FTA)締結を推進し、相互の経済協力を拡大し、地域経済の軌道に乗せるべきである」と強調した。 

●二十一世紀の関係促進へ 

邱義仁・秘書長は同フォーラムで「七二体制を越えて、二十一世紀の新たな台日関係を創造する」と題した講演をおこない、「台日が一九七二年に構築した『七二体制』はすでに国際情勢に合致しておらず、双方の交流を処理するに十分でない」と指摘した。邱秘書長は「世界とアジア太平洋情勢が変化し、台湾の民主化が実現した今、日本はさらに実務的、積極的な姿勢で、二十一世紀の台日関係を処理すべきである」と強調した。

また、許世楷・駐日代表は台日間の民間交流についてコメントし、「日本では二〇〇五年三月の万国博覧会開幕までに、台湾人観光客へのノービザ開放を実現する可能性がある」と述べ、李登輝前総統の訪日に関し、来春実現の可能性が高いことを明らかにした。 

 内田勝久・日本交流協会台北事務所長も挨拶のなかで、「両岸問題はこれまで『一つの中国』の原則のもと、内政問題と見られてきたが、台湾海峡の平和維持はすでに国際問題であり、多くの国家がその影響を受けるため、もはや内政問題ではない」と述べた。さらに「陳水扁総統が就任演説で述べた両岸関係安定への決心は台湾の信頼を高めた」と語った。 

●日本の「正常な国家」への姿勢を評価  

一方、日本が国連憲章の「旧敵国条項」を廃止し、安全保障理事会の常任理事国となることを求めていることに対し、游錫堃・行政院長と邱義仁・国安会秘書長はともに同フォーラムのなかで、「正常な国」へ発展しようとする日本の姿勢を支持した。 

邱義仁・秘書長は、「東アジア全体の安全のため、台湾は日本が台湾海峡の平和に関しさらに大きな役割を担うことを歓迎する」と述べ、「両岸問題に対し日本と十分に意思疎通し、互いに能力を発揮して平和の道を模索したい」と語った。中国が歴史問題を持ち出して日本の常任理事国入りに異を唱えていることについては、「すでに戦後六十年が経ち、米ソ冷戦も終結した今、日本は東アジア地域最大の民主国家であり、すでに歴史を乗り越え、アジア各国とともに未来に向かって邁進しようとしている」と強調した。 

また、游錫堃・院長と邱義仁・秘書長は、ともに「日本が『正常な国』となり、アジアのリーダー的役割を担うことは、東アジアの平和と民主繁栄の助けとなる。台湾も日本と協力し、東アジアの平和と繁栄のために尽力したい」と表明した。 

《台北『中国時報』10月4日》

陳総統が台日フォーラム訪台団と会見
ともに国際社会に貢献しさらなる飛躍を

 陳水扁総統は十月四日、世界平和研究所の大河原良雄会長をはじめとする「日台フォーラム」訪台団と会見し、フォーラムの成功を祝すとともに、諸問題に対する政府の方針を語った。陳総統の挨拶要旨は次の通りである。
 
 わが国政府と国民を代表し、皆さんの来訪を心より歓迎する。台日間に「台日フォーラム」という定期交流の場があり、台日関係とアジア太平洋情勢について意見交換できることは、非常に喜ばしいことだ。ここ数年、台日は、政府、学術界ともに非常に緊密な関係にあり、頻繁な往来がある。両国間には正式な外交関係こそないものの、こうした交流を通して、数多くの友情と実質的関係を結んでおり、将来の関係正常化に向けて、深く厚い基礎を築いている。 

 近年、台日両国はともに、二十一世紀のグローバル化と自由化競争に対応するため、過去の体制に対し検討と反省をおこなっており、しかるべき政治、経済改革を推進し、国際活動に積極的に参加して国際社会での責任を全うすることを強く望んでいる。 

 この数年、日本で「普通の国」あるいは「正常な国」が叫ばれ、日本国内で憲法改正の議論が高まっていることは、注目すべきだ。小泉首相はさきごろ国連総会で、安全保障理事会における日本の常任理事国入りを呼びかけたが、これは国際社会でさらに積極的な役割を担いたいという日本の願いを象徴している。こうした姿勢は、日本が歴史に検討と反省をおこない、改革と新たな方法によって、二十一世紀における国際競争への準備をしていることを示している。 

 これと同様、台湾でも、民主化と経済発展という過程を経て、いま国民は改めて自己のアイデンティティーを模索しており、正常化された完全な国家となることを願っている。台湾国民は身の丈に合った、時代に則した新憲法が誕生し、それによる行政効率と国際競争力の向上を求めており、また国際活動に参加し、台湾の民主と経済発展の経験を他国と分かち合い、世界人類の福祉を促進したいと願っているのだ。 

 台日はまた、アジア太平洋地域における安全保障の面でも、非常に緊密な関係にある。近年、アジア太平洋情勢では中国の勢力が急激に拡大し、日米安保の役割が強化されつつあるが、こうした情勢の変化でもっとも大きな影響を受けるのはほかでもない台湾と日本なのだ。両国はともに海洋国家であり、台湾海峡問題、アジア太平洋地域における安全保障の枠組みおよび経済協力に関し、大きな協力の余地がある。中国は常に台湾を安全保障と経済協力の枠組みから排除しようとしているが、これらの課題を解決するうえで、台湾は間違いなく大きな役割を果たすことができる。 

 皆さんが、フォーラムでの討論の成果を、実際の政策に着実に実現されていかれるよう願っている。台日関係のさらなる強化は、アジア太平洋地域をいっそう安定、繁栄させるだろう。「台日フォーラム」の円満な成功に、心からの感謝を表したい。 

   ○   ○   ○ 

 陳総統は、その後の意見交換のなかで、台湾の現状維持を求める訪台団の問いに応え「われわれは台湾の民主、繁栄、平和の現状を維持するべく努力している。民主化の深化は正しい道であり、台湾は引き続き民主、自由、平和、人権の道を歩んでいく所存である。そうしてこそ、台湾海峡は安定し、台湾の現状が一方的に変更されることはなくなるのである」と強調した。 

【総統府 10月4日】

台湾観光年

「JATA世界旅行博二〇〇四」に台湾が出展

 アジア最大規模の旅行博覧会として定着している「JATA世界旅行博二〇〇四」が九月二十四~二十六日、東京の国際展示場で開催され、今年も台湾から訪問団が来日し出展した台湾館に注目が集まった。 

 一昨年まで二年に一度、昨年から毎年開催されている同博覧会は、今年世界百十八カ国・地域が参加し、史上最大規模となった。今年台湾から許銘海・交通部観光局副局長を団長に、航空会社や旅行業者など官民合わせて総勢七十人余りが来日し、台湾観光をPRした。 

 台湾は今年を「観光年」に位置付け、積極的に取り組んでいる。さきごろは東京で「台湾劇場」をテーマに、JR山手線のAD車輌を一カ月間借りきり大々的にPRした。台湾館は今年会場のほぼ中央の絶好の場所に陣取り、先住民族の歌と踊りが雰囲気を盛り上げるなか、台湾のグルメや特産物、旅行社が推薦するツアーが人気を集めた。 

《東京『中央社』9月24日》

鹿港のドラゴンランタンがギネス記録を達成 

彰化県鹿港で九月二十八日、全長が三百八十四メートルもある巨大なドラゴンランタンがギネス記録を達成し、市民八百人余りがランタンを持って町を練り歩いた。 

これまでギネスブックに記録されている最長のランタンは、一九九九年に香港政府が北京の天安門広場で公開した二百七十七・二メートルのドラゴンランタン。骨組みがステンレスで作られていたため、動かすことはできず、展示されただけだった。 

今回、見事ギネス記録を達成した鹿港のドラゴンランタンは、鹿港の町役場と護安宮が共同で制作したもので、環境保護に配慮し骨組みに竹を編んだものを使い、その上を白い布で覆い彩色した。全体で四百個の電球と発電機三台が使われ、制作費は五十万元(約百十五万円)。北京のそれと違い、生きたごとく動かせるのが強みだ。 

今年二月一日に陳水扁総統により点眼され、元宵節の夜初めて鹿港の住民に披露された。。八月には彰化県が八掛山の大仏祭りに鹿港から借り受けて彰化の町をパレードし、予想以上の反響があったことから、ギネス記録に挑戦することを決めた。 

認証式には、ギネス会社の担当者、弁護士、翁金珠・彰化県長、彰化県議員、それに二千人余りの市民が詰め掛け、ドラゴンランタンの最後尾で三百八十四・三メートルと読み上げられた瞬間、大歓声が夜空に響き渡った。 

《台北『聯合報』9月29日》

アジア太平洋映画祭で台湾映画がグランプリ受賞

 アジア太平洋地域の国々が毎年持ちまわりで開催している「アジア太平洋映画祭」。四十九回目を迎えた今年は福岡で九月二十一日~二十五日まで行われ、台湾の最新映画二本が見事グランプリ(作品賞)と助演女優賞を獲得した。 

今年の映画祭には十四カ国から四十六本の作品がノミネートされ、台湾からは楊順清(アレックス・ヤン)監督の『台北21』、尹祺監督の『黒狗(ブラックドッグ)親分が来た』、陳映蓉監督の『FOMULA17』の三本が出品された。前評判では韓国の『オールド・ボーイ』や日本の『嗤う伊右衛門』が有力視されていたなか、同映画祭グランプリに相当する作品賞に『台北21』が選ばれた。 

『台北21』は、台北に住むごく普通の若いカップルが、七年間の付き合いに終止符を打つべく最後に過ごした七日間に起こった出来事を描いた作品。楊監督は作品を通して「自分たちの文化を大切に思う心」を強調したかったという。楊順清監督は楊徳昌(エドワード・ヤン)監督の下で脚本、助監督を務め、今回の作品は監督として二作目に当たる。日本人俳優も出演し、セリフ全体の五分の一が日本語で語られるなど、日本との接点も多い作品だ。 

一方、助演女優賞を獲得したのは『黒狗(ブラックドッグ)親分が来た』に出演した林美秀。作品の中で快活で味わいのあるキャラクターを巧みに演じ、台湾の金馬奨受賞に続き、今回同映画祭で見事、助演女優賞に輝いた。 

《『台湾電影網』9月25日ほか》

第54回「新日台交流の会」

 八月二十一日、台湾資料センター会議室で第54回「新日台交流の会」が催された。今回はNPO文化財保存支援機構(JCP)の林煥盛氏を講師に迎え「日本と台湾の文化財保存支援交流の現状」について語っていただいた。 

 今回の講演は、JCPが日本と台湾との文化財保護と修復に関する交流事業の「第一回 台湾修復視察&故宮博物院ツアー」実施を記念して、JCPの協力のもとで行われた。JCPはこれまで「龍山寺色彩保存事業」を手がけており、台南市の「國立文化資産保存研究中心籌備處」などを通して台湾とは深い関係にある。 

 講師の林煥盛氏は、一九六三年台湾屏東生れ。国立台湾大学文学部大学院中国美術史を専攻し、修士を取得。九四年京都の㈱宇佐美松鶴堂(東洋美術品修復の会社)入社。今年八月から東京国立博物館で研修を行っている。講演では、台湾の文化財についての修復・保護の意識の変化を、台湾の歴史と共に検証しつつ、その重要性を強調した。また林煥盛氏自身も含めた近年の台湾と日本との文化財保護・修復に関する交流活動についても具体的な事例を写真映像で紹介しつつ語っていただいた。 

 とくに興味深かったのは、日本統治代一九一六年に建築された元台南州庁の庁舎の修復と再利用について、二〇〇〇年にJCPが台湾で行われたシンポジウムに参加し、そこから台湾と日本との具体的な協力活動が始まったことである。この元台南州庁は、二〇〇二年に「國立台灣文学館」を併設した「國立文化資産保存研究中心籌備處」として発足し、台湾の文化財保護・修復に努めている。 

「一九九九年に起きた台湾中部大地震が台湾国内での文化財保護と修復機運を高めたと同時に、日本からの様々な文化財修復に関する支援を得て、台湾と日本との文化財保護・修復に関する人的交流が深まった」と林氏は強調した。 

 また今後の問題点として、文化財保護・修復の考え方(現状保存か復元か)が国によって異なること、台湾での文化財保護・修復に携わる人材が少ないことなどが指摘された。 
     《交流の会事務局》

寒雲さんが台日交流の架け橋に
台湾伝統音楽の日本公演を計画

日本在住で、台日交流活動に熱心な歌手の寒雲さんが、九月二十七日、台北駐日経済文化代表処に許世楷代表を訪問し、来年台湾から六十人の伝統音楽と交響楽団を招き、北陸―大阪まで六日間のコンサートツアーを計画していると伝えた。

寒雲さんの本名は廖漢華、台湾の有名な歌仔戲(コアヒ)役者の廖瓊枝さんの娘で、十八年前に石川県で結婚したが、その五年後には離婚、女手一つで三人の子を育てた。生活は楽ではなかったが、寒雲さんは石川県を拠点に各地でボランティア活動や演奏会をおこなってきた。昨年はSARS関連の問題で観光客が大幅に減った香川県小豆島に赴き、貯金をはたいて二百人を地元ホテルに招待してコンサートをおこない、町は賑わいを取り戻した。 

寒雲さんはまた、許代表に、将来石川県に台湾の味、手工芸品や音楽を楽しめる「台北小城」を建設するのが夢だと語った。 

《台北『中央社』9月27日》

パラリンピックで金二個
五輪に続き史上最高の成績

 十九種目、五百二十六種類の競技がおこなわれた第十二回アテネパラリンピックが、九月二十八日(台北時間)、閉幕した。台湾はこのうち八種目に参加し、金、銀、銅メダル各二個ずつという過去最高の成績を残し、参加国百三十六カ国のうち、四十四位となった。 

 台湾が初めてパラリンピックに参加したのは一九九二年の第九回からで、銅一個を獲得した。九六年のアトランタ大会では、金一個、銅二個、前回のシドニーでは金一個、銀二個、銅四個の成績を記録していた。 

 今大会の金メダリストは、陸上競技の槍投げ江志忠選手とリフティング女子七十五キロ級の林資恵選手だ。江選手は、世界新の五十九・三八メートルを記録して堂々の金メダルを獲得した。一方、生後九カ月で小児麻痺を患い、生涯車椅子の生活となった林資恵選手は、百三十七・五キロを挙げ、銀メダルの中国・胡明霞選手を大きく引き離して台湾に二個目の金をもたらした。

 このほか、林金妹選手が十メートル女子エアピストルで銀メダル、魏美恵、蕭淑卿選手が女子卓球団体で銀メダル、魏美恵選手が女子T5車椅子卓球で銅メダル、胡銘福、許志杉選手が男子卓球団体で銅メダルを獲得した。 

《台北『中央社』9月28日》

平和願う中学生の画が切手に
「国際平和デー記念切手」発行

 画のなかに中華民国(台湾)の国旗が描かれていたとして、中国の圧力を受け国連記念切手の図柄から外された台湾の中学生・楊智淵さんの作品が、中華郵政の「国際平和デー記念切手」として蘇った。この記念切手は、九月二十一日の国際平和デーにちなみ、中華郵政が初めて販売した記念切手で、国内および日米英、シンガポール、香港など海外で、合計百枚が同時発売された。中華郵政ではこのほか、アテネ五輪金メダリスト・陳詩欣、朱木炎両選手の記念切手も発売している。 

《台北『聯合報』9月15日》

春 夏 秋 冬

 最近、オヤッと思う記事に出会った。それは毎日新聞(9月27日付)の『日本のスイッチ』という欄で、副題に「あなたに問いたいことがある」とあり、軽いタッチの世論調査欄だ。携帯電話で参加する形式で、2週間おきに結果が発表されている。 

 設問は毎回8項目で、それも日常身近なものが多い。ところが今回の第94回は「仲人を立てる結婚式が激減と聞いて」すこし残念12%、構わない88%、「旅先で、テレビのチャンネルがいつもと違ったら」不便を感じる54%、何かうれしい46%、といったものに混じって「台湾の国連への加盟要求は、認められるべきだと」思う81%、思わない18%、というのがあったのだ。なお、この回の参加者は44338人だった。携帯電話での参加だから回答者は若い人が多く、かつ手軽なところから、最も素朴で庶民の声を適切に反映しているのではないかと推測する。 

 また、日本政府は外交問題において何かと中国の顔色をうかがう姿勢を今なお続けているが、それは国民の意識とますます乖離するものとなっている。それを毎日新聞のこの小さな定期世論調査が明らかにした。そう解釈してもよいのではないか。 

 この結果は、台湾の各紙とも日本駐在員が打電し、かなり大きなペースを割いて報じていた。林佳龍・行政院新聞局長も同29日、この欄に現れた数値を挙げ、「この調査は歴史的な意義がある。日本政府が最新の民意を汲み取り、早急に現状に合わない『一つの中国』政策を調整し、台湾の国連加盟を支持することを望む」とのコメントを発表した。

 林局長がここで「歴史的」と言ったのは、決して大袈裟ではない。日本に限らず米国でも台湾でも、内政、外交、経済などに関する問題について毎週のごとく世論調査を実施し、刻々とその結果を報じている。現代国家にとって、それの意義は大きい。ところが日本での各種世論調査では、不思議なほど台湾問題が問われることはなかった。そこへ今回の『日本のスイッチ』に台湾の国連加盟問題が問われた。ここが「歴史的」なのだ。 

 東アジアにおける日本と台湾の地理的関係を見れば、台湾の状況が日本の経済のみならず、安全保障問題にもさらに大きな影響を与えることは理解できよう。それを考えれば、日本の世論調査が通常的に「台湾」を取り上げて然るべきではないのか。各紙とも問題から逃避するのではなく、日本の国益と必要性を第一に、問うべきことは堂々と問い、世論の動向を明確に示し続けて欲しい。
(K)

お知らせ

シンポジウム「台湾映画と日本」と台湾映画鑑賞会
日 時 11月1日(月)
①シンポジウム:午前10時~12時30分 
▼「日台映画交流の検証」門間貴志(明治学院大学文学部助教授)
▼ 「台湾映画のなかの省籍矛盾」陳儒修(国立台湾芸術学院電影系副教授)通訳あり
▼「中央電影公司の台湾映画における役割」廖金鳳(国立台湾芸術学院電影系副教授)通訳あり
司会:戸張東夫(交流協会助成プロジェクト「台湾映画と日本」代表) 

②映画鑑賞:午後2時~
『夢遊ハワイ(夢遊夏威夷)』
(徐輔軍監督 2004年東京国際映画祭出品作)
※作品上映後、徐輔軍監督と鄭文堂監督『時の流れの中で』(同映画祭出品作)を囲んでQ&Aを予定
※シンポ、映画鑑賞ともに参加無料
会 場 早稲田大学大隈小講堂(東京都新宿区西早稲田)
問合せ・申込み 03-3444-8724