台湾週報2178号(2005.2.17)
謝内閣が協調政治目指し発足
謝長廷新内閣の就任宣誓式が2月1日、総統府で行われた。陳水扁総統はこの式典で特に祝辞を述べ、与野党の協調と対話、安定した内閣運営を強調し、国保、税制の改革と社会治安改善の三項目を今後の優先課題として示した。謝長廷・新行政院長は謙虚な姿勢で協調型政治を目指すと表明した。なお新内閣は小幅改造となった。同日行われた立法院長選挙では野党連合が擁立した王金平氏と鍾栄吉氏が正副立法院長に選出された。
●新内閣就任式を挙行
謝長廷新内閣がスタートした二月一日、陳水扁総統は総統府において行政院長、各閣僚、ならびに総統府秘書長の就任宣誓式を主催し、新内閣への祝辞を述べた。宣誓式出席者と総統祝辞は以下の通りである。
〈宣誓式出席者〉
行政院院長 謝長廷
総統府秘書長 游錫堃
政務委員兼経済建設委員会主任委員 胡勝正
政務委員兼公共工程委員会主任委員 郭瑤琪
政務委員 林盛豊
政務委員 陳其邁
政務委員 林逢慶
政務委員 傅立葉
政務委員 卓栄泰
行政院秘書長 李応元
内政部部長 蘇嘉全
外交部部長 陳唐山
国防部部長 李 傑
財政部部長 林 全
教育部部長 杜正勝
法務部部長 施茂林
経済部部長 何美玥
交通部部長 林陵三
蒙藏委員会委員長 許志雄
僑務委員会委員長 張富美
主計処主計長 許璋瑤
人事行政局局長 張俊彦
海岸巡防署署長 許恵祐
国立故宮博物院院長 石守謙
大陸委員会主任委員 呉釗燮
退除役官兵輔導委員会主任委員 高華柱
青年輔導委員会主任委員 鄭麗君
原子能委員会主任委員 欧陽敏盛
国家科学委員会主任委員 呉茂昆
研究発展考核委員会主任委員 葉俊栄
北米事務協調委員会主任委員 林芳玫
農業委員会主任委員 李金龍
文化建設委員会主任委員 陳其南
労工委員会主任委員 陳 菊
原住民族委員会主任委員 陳建年
体育委員会主任委員 陳全壽
客家委員会主任委員 羅文嘉
新聞局局長 林佳龍
なお就任宣誓式には、呂秀蓮副総統、翁岳生・司法院院長、姚嘉文・考試院院長、蘇貞昌・前総統府秘書長、邱義仁・国家安全会議秘書長らも臨席した。
〈総統祝辞〉
これまで新内閣首班と閣僚の就任宣誓式で総統が祝辞を述べた例はありませんが、私は本日この場をお借りし、いくつかの点について述べたいと思います。それは今回の新内閣には特に大きな期待を寄せているからです。今回の新内閣の改造幅は非常に小さく、ほとんどの閣僚が留任され、政務の引継ぎには至便なものとなっております。閣僚の入れ替わりは少なかったとはいえ、私は行政院と立法院の新たなスタートにあたり、台湾の政局が新たな段階に進み、与野党が積極的に対話と和解を促進し、協調による政局の安定を求め、国民が安心でき、安定した社会を創り出すことを衷心より期待しております。
これまでの三年間、各閣僚の方々は游前院長の卓越した指導の下に、台湾経済を不況下から脱出させたばかりでなく、成長への道を確たるものとし、さらに世界貿易機関(WTO)加盟による衝撃を最低限に抑え、国際競争がますます激化する中において、台湾の国際競争力を絶えず高めて来られました。そのほか民生面にも大きな成果を上げられました。たとえば第二高速道路の全線開通、北宜高速道路の開通、中部科学園区の開設、基隆河全面河川工事の完成、大高雄地区飲料水改善などです。これらは游内閣がきわめて優れた実行内閣であり、効率の高い内閣であったことを示しており、私はここに游前院長ならびに閣僚の方々に最大の感謝と敬意を表明します。
しかし遺憾であったのは、これまでの三年間、政府は少数与党としての制限を受け、また各政党が政権交代による変化に対応できず、政党間対立と抗争の状態を改善できず、国会の機能が空転し、国内の力を消耗し、社会的緊張を生み、しかも重要政策と建設を推進することができず、さらに台湾内部の団結と安定にまで影響を及ぼしたことです。われわれはこうした過去の苦難の教訓を忘れず、断じて同じ轍を踏まず、似た場面をふたたび演ずるようなことがあってはなりません。
昨年は総統選挙と立法委員選挙がありましたが、台湾の政治構造を明確に変えることができず、立法院の少数与党の状況は以前のままですが、国民は明らかに、団結が必要で分裂は不要であり、安定を求め抗争を嫌悪する意思を示しました。いかなる政党も、もちろん与野党を問わず、民意のあるところを知り、民意の要求を汲み取らねばなりません。われわれは積極的に閉塞した政治状況を打開し、台湾の安定と繁栄と進歩のため、新たな出口を見出さねばなりません。今年の一月一日、私は特に「協調、対話の安定した新局面を開拓する」と題した元旦祝辞を発表しましたが、それはまず全閣僚の方々が自己を省み、前もって成すべきことを検討するよう求めるためのものでした。与党がまず施政を謙虚に見つめてこそ、野党に理性ある監督を求めることができ、政党間の和解と相互協力の条件および環境を作り出すことができるのです。
どの政党も追求すべき展望と理念を持っておりますが、与党はそこに加え国政の重大な責任を負っており、多元的な価値観や主張の中から共通点を求め、積極的に社会のコンセンサスを凝集し、行政機能を正常に運営し、国民の福祉を増進しなければなりません。謙虚な執政には、自己の信念や政策の中に、より多くの異なる考えや意見を取り入れる空間を設けることが必要です。政策決定の過程において、みずから野党の参加を求め、その意見を考慮の中に取り入れるようにしなければなりません。まだ争点があり、あるいは十分練られていない政策については、独断的もしくは強硬になり、与野党の相互信頼関係を破壊し国民の政府に対する信頼と期待を裏切るようなことがあってはなりません。
政党間協力は台湾の新たな道であり、また新たな経験でもあり、新たな観念を持ち、さらに細やかな対話と相互協力の構造を構築し、すべてに透明化を図って公開し、各党の力量を強め、国民と政党の信頼関係を醸成しなければなりません。相互協力に加わる政党は、具体的にそれぞれの留保部分と協議可能な部分を明示し、また政策と立法化推進の優先順位を示し、定期的な協議を行い、それぞれの意見をすり合わせ、その結論が確実に実行できるようにしなければなりません。そのためには与野党が共に具体論を進める状況を創造し、それを行政にも立法にも反映させることが肝要なです。これは私一人の願いではなく、二千三百万台湾国民すべての願望であり要求であると確信しております。
政党間の対話と相互協力の構造を早急にスタートさせるため、新内閣と新立法院がスタートした今、私はここに市民生活にも国家の永続的発展にも関わる次の三項目を提示します。第一は国民保険制度の検討と改善です。第二は税制の公平化と改革です。第三は社会治安の改善と強化です。この三大項目の関わる範囲は非常に広く、社会各層の権利と義務にも深く影響し、またこれまで長期にわたり、往々にして眼前の問題となって部分的に改善されまた微調整されてきましたが、制度そのものに対する抜本的な改革は行われておりません。私が誠心誠意望むのは、与野党の共同努力の下に、前述した三大項目に構造的な改革が進められ、われわれが公平で公正な社会を求めているという決意と公約が具体的に明示されることです。
この半世紀において、台湾は前後して経済の奇跡と民主の奇跡を成し遂げましたが、次の段階は、われわれが社会の奇跡を追求する番です。われわれは国民一人ひとりに成長と発展の機会を保障するばかりでなく、社会的弱者にさらに多くの支援と福祉を提供しなければなりません。これらを実現するためにも、与野党が積極的に相互協力の道を求め、それぞれが手を取り合い、団結する必要があります。台湾というこの美しい社会のため、閣僚の全員が共同して社会の進歩を求め、国民一人ひとりが享受できる経済発展を追求し、一人ひとりが安心して住める社会を構築していかねばなりません。
公平と正義こそ、閣僚の皆様方が民主運動に加わり、政治に参与された当初からの理念であり、ここに就任への宣誓をして国民の負託を正式に担った今、この歴史的な使命を心に改めて強く刻まねばなりません。皆様方が最大の知恵と忍耐力、さらに胆力を発揮し、十分に政策が推進できる環境と機会を創造されることを希望してやみません。
【総統府 2月1日】
●謙虚な姿勢で協調型政治を
行政院では二月一日、行政院長と閣僚の交代式が行われた。行政院長は游錫堃氏から謝長廷氏へ、行政院秘書長は葉国興氏から李応元氏へ、法務部長は陳定南氏から施茂林氏へ、人事行政局長は李逸洋氏から張俊彦氏にそれぞれ引き継がれた。
交代式のあと、謝長廷・新行政院長は記者会見に応じ「新内閣は謙虚さをもって行政にあたり、協調と対話を政務の基礎としなければならない。今後は与野党の意思疎通ばかりでなく、社会との意思疎通、党内の意思疎通も大事であり、絶えず協調によって新局面を切り開く。これまでの数年間、台湾では毎年のように選挙があり、常に戦いのような状況となり、国民は安定を希望している。今後の施政は陳総統の指示に照らし、治安、税制、健保の問題を優先解決事項とし、経済のほか公平な社会の確立、永続的な発展を基本追求事項としたい」と表明した。また「協調と対話」路線と「台湾の主体性」の関連については、「協調・対話とは包容力と多元化を意味するものであり、決して台湾の主体性を排除するものではない。主体性についてだが、人々にはそれぞれ親日、親韓、親中とさまざまな観念があるが、もしそれが台湾の利益と衝突する場合、断固として台湾の利益を優先する」と強調した。
【行政院新聞局 2月1日】
●立法院長には王金平氏再選
立法院(国会)では新内閣発足と同日の二月一日、正副立法院長(正副国会議長)の選挙が行われた。新立法院の構成は、与党連合が民進党八十九、台湾団結連盟十二で合計百一議席、野党連合は国民党七十九、親民党三十四、新党一で合計百十四議席、その他十議席で野党連合が過半数を制している。
こうしたなか立法院長選挙は国民党の王金平氏が百二十三票、民進党の柯建銘氏が百一票となり、王氏が再選された。副院長選挙は親民党の鍾栄吉氏が百二十二票、台湾団結連盟の黄宗源氏が百二票となり、鍾氏が初選出された。
再選された王氏は就任宣誓後「国民党の連戦・主席、親民党の宋楚瑜・主席ならびに国親両党の全立法委員に感謝する。これからも引き続き国会改革を進め、よい法を立て、よい策を決したい。同時に国家の団結と和解に全力を挙げ、今後とも与野党の和解達成に尽力し、立法の質と効率を高め、立法院のイメージを改善したい。各界のご鞭撻と支援をお願いしたい」と語った。
《立法院 2005年2月1日》
ニュース
辜振甫氏の追悼式が挙行 両会代表の短い会見も
今年一月三日に逝去した海峡交流基金会(以下、海基会)理事長の辜振甫氏の追悼式が二月二日、台北市の国父紀念館で挙行された。
追悼式は霧雨の降るなか午前十時から始まり、式には陳水扁総統、呂秀蓮副総統以下、政府関係者、経済界の代表をはじめ海外からも多数訪れ、合わせておよそ二千人余りが出席した。日本からは平沼赳夫、藤井孝雄両衆議院議員、香西昭夫・東亜経済人会議委員長ら政財界合わせて百人余りが列席した。
国父紀念館の舞台上にはシンプルな中国式の庭園が誂えられ、中央のスクリーンに辜振甫氏の遺影が映し出された。会場にはクラシック音楽が流れ、辜氏の生前の活躍を偲ぶ数百枚のスライドが映し出され、厳かな雰囲気のなかで式が営まれた。
陳総統は「辜振甫氏は辜汪会談十周年記念の際に『両岸の政治的立場は異なるが、それゆえに異なる意見を受け入れる寛容さをもって対話を続けることが必要だ』と語られた。私たちは辜汪会談の歴史的意義をかみ締め、両岸が当時の寛容さをもってふたたび対話を再開し、両岸の相互連動の新たな局面を切り拓き、両岸平和を追求することを期待する」と追悼の言葉を述べた。
辜振甫氏の追悼式には、海基会の中国側窓口である海峡両岸関係協会(以下、海協会)の汪道涵会長の代理として孫亜夫・同会副会長と、李亜飛・同会秘書長が招かれ、追悼式の前日に訪台した。
二人は辜振甫氏の遺体が安置されている台湾セメント本社に遺族を訪ね、汪道涵会長から託された親書を手渡し弔意を述べ、辜氏の柩に手を合わせた。追悼式には出席せず、式が終了したあと会場に姿を見せた二人は辜氏の遺影に哀悼の礼を捧げ、そのあと劉徳勳・海基会副理事長と短い会見を行った。このなかで劉副理事長は「病気療養中の汪道涵会長の体調回復を待って、いつでも台湾への訪問を歓迎する」との政府の考えを伝えた。これに対し孫亜夫副会長は「台湾で見聞きしたことをすべて汪会長に伝える」と答えた。
《台北『中国時報』2月3日ほか》
反分裂法は両岸関係を悪化 米日台の同盟関係強化を強調
陳水扁総統は一月二十八日、訪問先のパラオで内外メディアのインタビューに応え、中国が今年三月の全人代で制定を目指している「反国家分裂法」や両岸の直航問題などについて言及した。
このなかで「反国家分裂法」について、「台湾への武力行使に法的根拠を与え、一方的に台湾海峡の現状を変えようとするものだ。これは『台湾関係法』と日米の安保条約に対する最大の挑戦である。国内の世論のなかには、中国が強行にこれを可決したら、台湾は『反併呑法』を制定してこれに対抗するか、もしくは国民投票を実施し、『反国家分裂法』に対する国民の考えを表明すべきだとの声がある。『反国家分裂法』は両岸の距離をさらに広げ、より分裂を深めるだけだ」と、米日台の同盟関係強化の必要性を強調した。
このほか、二〇〇八年の制定を目指す「台湾新憲法」については「昨年十二月の立法委員選挙の結果とは関係なく、台湾の実状に合った新憲法を制定したい」と改めて決意を述べた。
両岸の春節チャーター便の就航については「両岸関係において歴史的な重要な意義を持ち、今後の中国との関係改善が期待できる」と述べ、将来の定期的就航については言及しなかった。
《台北『中央社』1月28・30日》
日本中華聯合総会が声明を発表 中国の「反分裂法」に厳重抗議
日本中華聯合総会は一月三十一日、中国が制定を進めている「反国家分裂法」に反対する以下の声明を発表した。
○ ○ ○
中国の制定する「反国家分裂法」が台湾国民の人権を無視していることに抗議する。
メディア報道によると、中国は昨二〇〇四年十二月十七日、第十期第十三回全国人民代表大会常務委員会で「反国家分裂法」案を審議し、同二十九日、同案を今年三月の全国人民代表大会の議題とすることを可決した。
日本中華聯合総会は、日本在住の台湾の同胞を代表し、中国のこうした横暴なやり方に厳重に抗議する。
①台湾の主権は台湾の全国民に属し、かつて英国、ポルトガルの植民地となった香港、マカオとは事情が異なる。台湾と中国は相互に隷属しておらず、そもそも中国人民代表大会には台湾の国民が選出した代表もいないばかりか会にも出席しておらず、台湾の民意を代表する権利もない。中国は「民主」の普遍的価値感と原則に反し一方的に制定しようとしているが、こうした態度は許されるのだろうか。これは台湾国民にとって不利であるだけでなく、周辺国家に対しても不安を抱かせるものだ。
②台湾はすでに何度も善意を表明している。陳水扁総統は二〇〇四年五月二十日の就任式と同年十月の国慶節において、「もし両岸が善意に基づき『平和な発展と自由な選択』を行える環境を共同で築くことができれば、将来中華民国と中華人民共和国、あるいは台湾と中国の間で、いかなる形式の関係にせよ、二千三百万の国民が同意するなら、私はどれも排除しない」と強調した。しかし台湾の善意は中国から相応の回答を得ることはできず、現在中国はさらに法律をもって台湾海峡の現状を変更しようと企てている。これは台湾への武力行使を正当化する根拠を作ろうというもので、台湾の国民の心情に全く反した間違ったやり方である。
③私たち日本に居住する台湾の同胞はどのような政治的立場にあろうと、中華民国は自由な民主国家であり、中華民国の前途や未来は台湾の二千三百万の国民により決定されるべきで、いかなる個人や党派もこれを奪うことはできないと、大多数がこのように明確に認識している。台湾海峡両岸とアジア太平洋地域、ひいては世界の平和と安定のために台湾を心から愛する私たちは、中国が台湾海峡情勢の安定を破壊し、台湾国民の人権を無視した野心、暴力的手段に対しここに厳重に抗議するとともに、中国に即刻「反国家分裂法」の制定を放棄するよう要求する。(完)
台湾のイメージアップを推進 優位性、独自性を武器にPR
台湾の国家イメージをアップさせるため、行政院新聞局はこのほど総統府国家安全会議のメンバーと共同で専門チームを結成した。台湾の優位性や独自性を武器に、国際社会に対し積極的にPRする。林佳龍・新聞局長は二月四日、メディアのインタビューに応え、具体的な戦略について語った。
問:国家イメージは政府そのものであり、官は熱く民は冷めているという印象があるが。
答:政府が国際社会に出るのは比較的困難だが、民衆こそ生きた国家イメージを伝える存在だ。このため新聞局は「台湾、私たちの家」と題したシリーズ番組を劇作家の呉念真氏、李喬氏らに依頼し制作する計画だ。政府としてはまたスマトラ沖大地震、津波災害の孤児を救済するキャンペーン「一万人の希望」など台湾の人道的友愛精神を強くアピールし、中国とは異なる点を強調する必要がある。
国家イメージで重要なのは、台湾人や台湾文化の共通性と特殊性を打ち出すことである。逆に言えば、中国と同じものをアピールしても吸収されるだけだ。外国人に対し「自分たちは何者か」、「台湾が中国の一部である」と言われたとき、どう答えるか、そのあたりの核心部分を政府として国民に宣伝していく必要がある。台湾は世界の在外機関と人材を活用し、各国のメディアにも積極的に働きかける。
《台北『自由時報』2月4日》
ニュース
両岸の平和は世界の問題 行政院大陸委員会が表明
行政院大陸委員会は一月二十八日、旧暦に基づく年末記者会見を行い、過去一年間の対中基本姿勢が「善意ある和解、積極的協力、永久平和」の確立にあったことを強調し、本年の春節(旧正月)チャーター便交渉の妥結について「壮挙であるばかりか、将来の両岸交渉および両岸関係正常化に好ましい影響を及ぼすだろう」と高い評価を示した。
同時に「春節チャーター便交渉の成功と経験は、両岸は如何なる政治的前提も設けず、対等互恵の精神で対話を進められるとの証明となった。ただし、中国は『反国家分裂法』を制定しようとしているが、これはまったく道理に反するものであり、北京当局が台湾国民の反応を無視してこの立法化を推進するなら、春節チャーター便がもたらした両岸関係改善の契機を無にし、場合によっては両岸関係を後退させ、予期せざる結果をもたらすことになるかもしれない」と指摘した。
【行政院大陸委員会 1月28日】
日米両国は海峡情勢を理解 高英茂氏、羅福全氏が評価
中国が「反国家分裂法」を三月の全人代で制定しようとしていることに対し、外交部はその侵略性と危険性を国際社会に訴える活動を展開しているが、これに関し一月二十八日、高英茂・外交部副部長と羅福全・亜東関係協会会長が記者会見を行った。この中で高副部長は「日米両国は台湾海峡の情勢をかなり理解しているが、欧州各国は地理的に遠いこともあり、『反国家分裂法』のもたらす脅威を理解するにも一定の限界があるようだ」と指摘した。
羅会長は「日本は最近、欧州連合が対中武器禁輸措置を解除しようとしていることに反対の意思表示をしたが、これは以前にくらべれば大きな変化である。同時に日本は対中ODA削減を開始した。これらは日本が中国の台頭に対し実際的な手段を取り出したことを示している」と述べ、中国潜水艦の日本の領海侵犯事件を「野獣の成長」として今後一層警戒すべきだと強調した。
《台北『中国時報』1月28日》
民進党主席に蘇貞昌氏選出 全党員が挙党一致で支持
民進党は一月三十日、全党員による主席選挙を実施した。有権者数は約三十四万八千人で全国百八十数カ所に投票所が設置され、投票率は一九・七%で、このうち総統府秘書長の蘇貞昌氏が得票率九九・七%を得て第十一代民進党主席に決定した。就任は二月十五日である。蘇氏は一九四七年生まれ、屏東県出身で台湾大学法学部卒業後、弁護士を経て台湾省議員、屏東県長、民進党中央常務委員、同中央執行委員、民進党秘書長、立法委員、台北県長などを歴任した党人派である。蘇氏は党主席選挙について「重要なのは主席を全党員の選挙で選んでいるという党の民主構造である」と語った。
《台北『自由時報』1月31日》
六割が謝新内閣を支持 陳総統への支持率も上昇
二月一日に発足した謝長廷新内閣に対し『聯合報』が行った最新の世論調査結果によると、国民の約六割が謝行政院長を支持し、謝内閣に対する期待も六割に達した(同調査は一月三十日~三十一日に電話質問形式で実施、有効サンプル千十五人、誤差±3%)。
このなかで、謝長廷氏のこれまでの施政に対し六六%が「評価する」と答え、行政院長就任への支持率は五九%だった。注目されるのは、民進党支持者の八割以上が謝氏を支持したのはもちろん、野党支持者の半数以上も支持したことである。謝氏の与野党協調に対する手腕を期待する声は五二%、政局安定への期待は五四%に上った。また新内閣に期待する項目のなかで最も多かったのは経済で五六%、次いで行政改革が二五%などとなっている。
このほか、陳水扁総統への支持率は昨年末の立法委員選挙後の三四%から今回四三%に上昇した。
《台北『聯合報』2月1日》
春節チャーター便に関するQ&A 平和交渉と相互交流の枠組み構築へ
二〇〇五年一月二十九日、中国在住の台湾企業関係者とその家族を対象とした春節(旧正月)チャーター便の運行が始まり、一九四九年の両岸分断後初めて航空機の相互直接乗り入れが実現した。行政院大陸委員会(以下、陸委会)はこれに先駆け一月二十八日、今回の春節チャーター便運行に関するQ&Aを発表した。以下はその要旨である。
○ ○ ○
問:政府は今回、分断後初の両岸民航機相互乗り入れを実現させたが、これはどういう立場によるものか。今回の春節チャーター便運行は両岸関係の転機となるか。
答:本件について、政府は昨年十月から積極的に検討を続け、陳水扁総統は十一月の国家安全会議の首脳会議ですでに「相互乗り入れ、直接飛行、経由地なし」の原則を採用するよう指示していた。その後双方がそれぞれ委託、授権した代表がマカオで交渉に入り、最終的な合意に至った。これは両岸関係の良好な相互連動にとって大きな意義を持つものだ。
交流と対話の促進は「平和と発展」というわれわれの両岸政策を具体的に表現したものであり、今回のチャーター便運行により台湾企業関係者とその家族に便宜を図り、帰省時の往復時間を大幅に短縮することができた。両岸双方は今回、争議を棚上げし相互尊重するという原則によって両岸間に派生する問題に対峙すれば、これらを効果的に解決できることを証明した。今後このことが両岸間の良好な相互連動の契機となることを期待する。
問:政府は、両岸関係の進展を総体的にどう評価しているか。中国は春節チャーター便に合意する一方で「反国家分裂法」の制定を進めているが。
答:中国は「一つの中国」の原則に固執し、台湾に対して常に軍事的威嚇と外交圧力をかけている。このため両岸間では効果的話し合いができず、双方の関係をますます疎遠にさせている。陳総統は平和と安定を追求する立場を何度も正式に表明したが、中国はいまだに積極的な回答をしないばかりか「反国家分裂法」を制定しようとしている。これらの行為は、台湾の二千三百人国民にとって決して受け入れられないものだ。
今回の春節チャーター便交渉の妥結は、両岸における相互連動の契機になると思われるが、それは両岸関係が自然に和解へ向かうことを示すものではない。われわれは今後も従来の立場を放棄せず、誠意と善意をもって中国に交渉再開の意志を表明し、両岸の平和と安定的発展への決意と信念を示していく所存だ。
中国は春節チャーター便の運行に同意する一方で、台湾に武力で「一つの中国」を強要する「反国家分裂法」を制定しようとしているが、これこそ中国の一貫した台湾政策、いわゆるアメとムチの手法なのだ。中国が協議と交渉による相互紛争の解決を受け入れないなら、今回の交渉で示された善意も、両岸関係を効果的に改善することはできなくなるだろう。中国が「反国家分裂法」をあくまで制定しようとするなら、双方の関係は後退するだろう。
問:台湾政府は今後、別の形態でのチャーター便運行を考えているか。また今年中に両岸の直航が実現する可能性はあるか。
答:春節チャーター便に続いて、政府は貨物チャーター便やその他の可能な方式について積極的に検討する方針だ。両岸直航についてもすでに方針を固めているが、これは航路や国旗など多くの問題に関わるため、双方の政府の公的権力をもつ機関による交渉と航空協定の締結が必要となる。具体的な交渉のスケジュールに関しては、中国側の反応を見なければならない。中国政府が政治的前提を持ち出さなければ、双方は随時交渉をスタートできる。
問:中国はチャーター便が運行するこの時期に、台湾の友好国グレナダと国交を結んだが、これは何を意味するのか。また、両岸間の政治、外交面での緊張状態は今後も継続するのか。
答:中国は「台湾国民に希望を寄せる」と再三強調しているが、これまで一貫して台湾への武力による圧力を放棄していない。ここ数年はさらに台湾の友好国に激しい外交攻勢をかけ、両岸間が正常に発展する機会を著しく損なっている。グレナダとの国交樹立は、中国が台湾への外交圧力を緩めていないことを示すものであり、チャーター便運行の好意的ムードとは裏腹のまさに「アメとムチの策略」と言えよう。中国が台湾とアジア太平洋地域の安全を脅かす情勢は今後も国際社会の憂慮を招き、さらに台湾国民の反感を呼び、両岸関係を疎遠にさせるだろう。中国は古い考えに固執し強硬な圧力またはその他の政治的口実によって両岸関係を悪化させるべきではなく、台湾海峡における平和と安定の契機を逸するべきではない。
問:台湾国民はチャーター便運行について支持しているか。チャーター便の対象が企業関係者だけに限定されていることに対してはどうか。
答:陸委会の世論調査では、政府の「第三地を経由しない相互乗り入れの直行便」という方式に、七五・二%の国民が賛成と回答した。今回対象から外れた人々からは不満の声もあったが、国民は概して「順次推進」という政府の方針を理解していると思われる。
問:台湾は両岸の経済貿易、文化交流を推進する一方で、憲法制定、正名の問題などをどのように処理していくのか。
答:われわれは「バランスのとれた両岸関係」の実現を一貫して主張して来た。両岸における経済貿易、文化交流は緊密であり、政府はこの基礎のもと両岸間の秩序ある交流を積極的に推進し、政治、経済および軍事面で均衡のとれた両岸関係の実現を目指し、関係正常化を促進する。憲政改革に関しては、われわれは憲法修正により政府がさらに効率化されることを望むものであり、陳総統は「これは統一か独立かという問題とは無関係だ」と何度も表明している。また、憲法修正のプロセスは現行憲法に則り行われるべきで、決してその順序を飛び越えてはならない。正名(台湾の名を正す)については、海外駐在機関の正名など、国際社会で識別しやすいかどうかに重点を置き、実際の需要に応じて行う。これは国名変更とは無関係であり、決して台湾の現状を変えるものではない。外国政府の理解を得、混乱を避けることが目的である。
問:両岸関係は今後どう進めていくべきか。
答:政府の中国政策はこれまで、両岸間の誤解を少なくし、正常化された相互連動を通して互いの信頼を確立することで一貫しており、これは今後も同様である。
陳水扁総統は、昨年五月二十日の就任演説と国慶節の挨拶で「両岸が善意に基づきともに『平和の発展、自由な選択』という環境をつくることができたなら、将来両岸間がいかなる形の関係へ発展しようとこれを排除しない」と明言した。また、両岸双方が敵対関係を終結させ、協議と交渉を通して軍事的相互信頼メカニズムを構築し、さらに共同で「海峡行為準則」の制定を検討し「両岸の平和と安定の相互連動メカニズム」を構築することを具体的に提議した。しかし、これらは両岸双方がともに責任を負うべき問題であり、今年のチャーター便の交渉が両岸関係正常化のよいスタートとなるよう希望する。
問:春節チャーター便運行後、両岸は平和交渉と相互交流の枠組をいかに構築するか。
答:平和と発展は両岸共通の言葉であり、この目標を達成するためには双方は互いに実務的に、善意の第一歩を踏み出す必要がある。そうしてこそ両岸の恒久的平和を保障することができる。一九九二年、海峡交流基金会が両岸海峡関係協会と香港で会談し、その際「争議を棚上げし、実務的に交渉し、問題を解決する」という姿勢が十分に示された。昨年十月、陳総統は国慶節の挨拶で「九二年の香港会談を基礎とした」両岸の対話再開を正式に提起した。これはわれわれが両岸交渉再開に向け、さらに一歩踏み込んで発した回答であり、中国がこの提案を実務的に受け止めるよう期待する。
今回、われわれが提案したチャーター便運行に対し中国側が示した同意は、すでに両岸がともに発展する場を切り拓いた。中国が今後もこの「ダブルウィン」の精神を政策の要とし、両岸双方が積極的に交渉を再開することを望むものである。
【行政院大陸委員会 1月28日】
中国の軍事拡張と台湾の防衛戦略④ 「二〇〇四年国防報告書」概要
第三章 中国の国防政策と軍事動向(続)
五、軍事演習
近年、中国軍は年々軍事演習を増加する趨勢にあり(二〇〇三年はSARSの影響で若干減少した)、「南京」「広州」の両軍区では三軍合同による上陸演習が際立っている。それらは「深く進入し、突破する」戦術を研究するとともに実戦演習を積み重ねている。
〔三軍合同演習の強化〕
(一)第二砲兵隊(ミサイル部隊)‥短距離、中距離、大陸間弾道ミサイルの検測、試射、操作に演習の重点が置かれている。このうち二〇〇三年の短距離ミサイル試射回数は前年比十五%増となり、二〇〇四年はさらに各種ミサイルの試射は増え、戦術ミサイルの増強には注目すべきものがある。
(二)地上部隊‥沿海軍区では台湾の地形に合わせた機械化部隊を編成し、渡海上陸演習を繰り返している。東南沿海部での上陸演習では、海空軍との合同演習に力点を置き、作戦能力の強化を図っている。
(三)海軍‥陸空軍との合同演習により集結時間の短縮と上陸支援、ミサイル攻撃などに力点を置いている。同時に新型兵器の投入などにより、制海権掌握を意図している。
(四)空軍‥陸海軍との合同演習により、対地攻撃能力拡充と全天候型支援能力の強化を進めている。
〔対テロ演習〕
北京、瀋陽、江西、安徽、黒竜江、新疆、四川、山西などの地域の武装警察隊が「国際テロ発生」に備えた演習を展開しており、特に新疆での演習が強化されている。近年、新疆を含め湖南、湖北、甘粛での大型演習が目立つ。演習は「防御、救護、攻撃」を柱としている。
〔演習の強化〕
中国軍は演習の要点として一九七五年に「三打三防」(戦車、航空機、空挺部隊への攻撃と核、化学、生物兵器からの防御)を打ち出したが、一九九九年に「新三打三防」(ステルス航空機、武装ヘリ、巡航ミサイルの迎撃、精密ミサイル、デジタル撹乱、偵察からの防御)を打ち出し、各部隊ともそれらによる演習を展開している。
六、科学技術研究の促進
中国軍は戦争形態の変化に対応するため、ハイテク、IT、宇宙兵器の開発と実戦配備を今後の重要な課題としている。
防空、対ミサイル、対衛星兵器に対するレーザー兵器を開発し、防御態勢を強化しようとしている。デジタル攻撃からの防御ならびに敵方撹乱も主眼に置いており、さらにナノ兵器の開発によって現有兵器の小型化、軽量化を図っている。
宇宙開発としては通信、気象、静止、軌道、海洋観測、情報蒐集の各衛星を十数個打上げており、全地球型の監視体制を強化している。山西省岢嵐太原基地、四川省西昌基地、甘粛省酒泉基地に衛星打上げセンターを有しており、太原と酒泉は低軌道衛星基地であり、西昌基地は高軌道打上げ基地となっている。今後五~十年に海南島に新たな高軌道衛星基地を建設する予定である。
二〇〇三年十月十五日に中国は有人宇宙船「神舟五号」を打上げたが、二〇〇五年には二人乗りの「神舟六号」を打上げる予定である。これらは中国の宇宙監視能力を大幅に上昇させると見られる。
七、国際軍事交流
国際軍事交流は現在中国の国防政策の重点となっている。目的は「中国脅威論」を打ち消し、中国軍のイメージを改善するところにあり、「長期安定、未来志向、善隣友好、全面協調」の外交政策と相俟って各国との政治、経済、民間交流に加え、軍事交流を重要な一つとしている。
〔軍事交流の目的〕
各国と軍事交流、武器の輸出入、人員の訓練、科学技術研究の相互協力などを積極的に進めている。その目的は、軍事交流により第三世界の軍備拡充を支援して国際的地位を高め、米国、ロシア、欧州など先進国の現代軍隊の理念と技術を吸収し、アジア太平洋地域での覇権確立の目標を達成し、世界戦略の仲間入りをし、米国の間接的包囲網を打破するところにある。
〔上層部の外国訪問〕
(一)党と政府の上層部‥この数年で胡錦濤、江沢民ら七十数人の党と政府の幹部らが前後して各国を訪問しており、それは百二十余カ国、三百余回におよび、米国が最も多く、日本、ロシアがそれに次ぐ。
(二)軍上層部‥近年、曹剛川、徐才厚ら五十余名の軍幹部が前後して米、露、英、仏、独、日、韓など九十余カ国を訪問している。
〔外国からの中国訪問〕
(一)政党、政府上層部‥三十余カ国から約五十チームが訪問しており、米国からが最も多く、ロシアがそれに次ぐ。
(二)軍上層部‥七十余カ国から百十余チームが訪問しており、ベトナムが最も多くパキスタン、タイ、フランスがこれに次ぐ。
(三)軍事演習観閲‥二〇〇三年八月に中国は初めて内モンゴル合同戦術訓練基地を外国人の視察に開放し、米国、ロシアなど十数カ国の軍事オブザーバー、観閲武官らを招き、装甲部隊の対抗作戦演習を披露した。
〔艦隊の相互訪問〕
(一)艦隊の外国訪問‥中国海軍は遠洋航海能力と経験を積む以外に、外洋戦略の拡充を図るため、艦隊の外国訪問を積極的に進めている。二〇〇二年に最初の世界一周航海を達成し、航路は五カ月を要して三大洋を回り、韓国など十余カ国を訪問した。二〇〇三年には米国グアム島、ブルネイ、シンガポールを訪問し、シンガポールでは「二〇〇三年アジア海洋博」と「西太平洋軍事フォーラム演習」に参加した。二〇〇四年の艦隊外国訪問は一回だが、一九八五年の初訪問以来二十数回、約四十カ国を訪問している。
(二)外国艦隊の中国訪問‥二〇〇二年はドイツなど二十数隻が青島、上海、香港、湛江などを訪問した。〇三年は米国、スペインなどから二十数隻が訪問し、パキスタンとインドの艦隊が訪問した時には海上合同救助演習を実施した。〇四年には米、英などから十数隻が香港、上海などを訪問し、このうち仏、英、豪とは海上合同救助演習を実施した。
〔武器の輸出〕
中国は近年来、東南アジア、アフリカ、中東など約二十カ国に殲八型機、運八型機、直九型ヘリ、歩兵戦闘車、対戦車誘導砲、常設レーダー、防弾着、各種拳銃、弾薬などを輸出している。これらは外貨獲得以外にも、性能向上と地域への影響力拡大の目的もある。
八、アジア太平洋地域への影響
中国は「二〇〇二年国防白書」の中で「現代化の推進と祖国統一の完成」を新世紀の最大任務と規定している。その国防力現代化はハイテク兵器の購入、開発となって現れ、周辺諸国に脅威を与えるところとなっている。
〔周辺諸国への影響〕
中国の現代化計画は海空軍とミサイルの強化以外に、即応態勢と遠距離作戦能力の向上を含み、水域での演習を強化しているため周辺諸国からの疑念と不安が高まっている。米国は中国を最も主要な「戦略的競争相手」と見なし、日本は中国を軍事的脅威と認識し、守りの主力を北方から西方に移し始めている。東南アジア各国はASEAN地域フォーラムを通じて中国を制御しようとしている。中国は「中国脅威論」を緩和するため経済交流や軍事交流を強化し、アジア太平洋情勢は表面上平穏を保っているが、実際には暗雲が漂っている。
〔台湾海峡への影響〕
中国は二〇〇二年十一月に開催した第十六回「全人代」で「世界に中国は一つ。台湾は中国に属し、中国の主権と領土は分割されない」と定義づけ、現実に多数のミサイルを配備し、台湾への威嚇を強めている。さらに「台湾問題の解決を無期限に延ばすことはできない。台湾問題の解決には一戦をも辞さない」と何度も表明するようになった。
現段階における中国軍は台湾海峡渡海作戦と上陸作戦の敢行は困難であるが、その戦力は近年飛躍的に増強されており、ASEAN諸国には秋波を送り、「台湾問題」には武力解決を放棄するようすはなく、台湾海峡の平和に対する危機は日増しに高まっている。米国は中国の戦略に疑念を抱き、台湾への防衛兵器売却の姿勢を堅持している。将来の台湾海峡の軍事情勢は不安定であり、十分な観察が必要である。
【国防部 2004年12月14日】
数字でみる台湾
台北人の愛読書は「武侠小説」
台北の人々がよく読む本は何だろう? 台北市立図書館が一月二十六日に発表した調査結果によると、利用者がもっともよく借りる本は娯楽書籍で、このうち「武侠小説」と漫画が人気だった。「武侠小説」はいわゆる時代活劇もので、貸し出しランキングでは映像化もされている「大唐双龍伝改訂版」と「大唐双龍伝」が一位と五位に、金庸の「笑傲江湖」、「天龍八部」がそれぞれ三位と八位に、古龍の「新絶代双驕」が四位に入った。金庸の小説などは日本でも翻訳本が出版され、根強い人気を博している。
また、貸し出し書籍を分類別で見ると、児童図書の貸し出し率がもっとも多く三四・五%、次いで文学一九・七%、美術八・五%となった。閲覧では、「新聞の社会面をよく見る」と答えた人が約四割で、娯楽面が二六%、政治面が二三%だった。閲覧の利用者を年齢別で見ると二十五~五十四歳が大半を占めており、十五~二十四歳までの「ゲーム・ネット世代」の図書館離れ対策が今後の課題と言えそうだ。同調査は台北市の十五歳以上を対象に電話質問形式で行われ、有効回答数は千六十八人である。
《台北『中国時報』1月27日》
台湾の携帯普及率は世界一
行政院主計処の統計によれば、二〇〇三年の台湾における携帯電話普及率は人口百人あたり百十八台で、二位以下のデンマーク八十八・七台、ドイツ七十八・五台を大きく引き離し、世界トップとなった。四位以下はオーストラリア七十二台、韓国六十九・四台、日本六十八台、米国五十四・三台、中国が二十一・四台となっている。またインターネットの普及率(人口百人あたり)では、韓国が六割以上、米国、カナダ、スウェーデン、デンマーク、シンガポールなどで五割を超えたのに対し、台湾は日本の三十八・二台と並び三十九台に留まったが、フランス、中国などを上回った。市内電話の利用率は、百人あたり五十九台で、これは台湾、中国、オーストラリア、ドイツで前年より増加したが、その他の国では減少した。
《台湾『青年日報』1月19日》
昨年の不動産価格が平均一割高騰
景気の回復が、不動産価格にも徐々に影響を及ぼしているようだ。大手不動産会社の信義不動産が発表した最新の統計によれば、昨二〇〇四年の台湾における不動産価格総指数は一〇〇・七七で、一〇・〇七%上昇した。これは同社が米ウェスト・バージニア大学と共同でおこなっている統計で、不動産価格総指数は坪当たり平均単価に建築年数、階数、坪数などを加味して算出した価格指数であり、一九九三年以降、初めて一〇〇以上に回復した。
国内主要都市のなかでは、台北県が年間の価格指数上昇幅がもっとも大きく一五・六五%となり、高雄が一〇・四六%、台中市が八・二七%で最低となった。同社では本指数に基づき、台北県および市、台中都市部の実際の不動産価格は前年比で約一割高騰し、また台北市では大安区がもっとも上昇幅が大きく三割以上値上がりしたと分析している。
《台北『中国時報』1月22日》
二〇〇四年の出生率九・六%に
内政部は一月十四日、昨二〇〇四年における台湾の出生届出人数は二十一万六千人で、前年比四・七ポイント減少し、史上最低を更新したことを発表した。新生児数は一九九〇年代初期の毎年約三十二万人に比べて三分の一に減少していることがわかった。同部の統計によれば、二〇〇四年の出生率(人口千人に対する出生数を五年間の年平均で表したもの)は九・六%で、日本、ドイツ、スイス、韓国、シンガポールなどの低出生率諸国に並ぶ数値となり、米国、英国、フランスなどを下回った。
国内の地域別に見ると、昨年の出生届出人数は台北県が最多で三万三千二百三十一人、以下台北市二万二千百五十四人、桃園県が一万九千八百二十五人と続いた。出生率がもっとも高かったのは新竹県の一二・八%と新竹市の一二・四%で、最低は高雄市で八・二%となった。
《台北『青年日報』1月15日》
文化・芸能情報
朱銘氏が行政院文化賞を受賞
ダイナミックな作風で人間を描き出す台湾の代表的彫刻家・朱銘さんが、二〇〇四年度の行政院文化賞を受賞した。
朱さんは一九五三年、十五歳で彫刻を学び始め、その後仏教彫刻から現代彫刻へと作風を転換した。郷土をテーマとした作品を多く作り、当時はその作風から、台湾文化界における郷土運動の旗手と評された。
その後一九八一年、四十三歳で単身渡米し、その作品はモダンアートの洗礼を受けてさらに広がりを見せ、現実の人々をモデルにした「人間シリーズ」を完成させ、木材のほかにステンレスやスポンジ、青銅な どを使った新しい表現を作り上げた。これらの異なる作風のなかで彼が一貫して表現したのは人間の生命力であり、それぞれの人生を歩み続ける人間の姿が映し出されている。
《台北『中央社』1月24日》
何潤東が日本ホラー映画に出演
台湾を拠点に活躍する人気俳優・何潤東(ピーター・ホー)が、日本のホラー映画「着信アリ2」に出演し、注目を集めている。この映画は昨年一月大ヒットを記録した「着信アリ」の第二作目で、ピーターは恐怖の着メロ事件を追うルポライターの夫でジャーナリスト役。今回は恐怖の連鎖が台湾にも伝播するという設定で、物語では台北の町並みも登場する。ピーターは上映に先駆けて来日し、二月三日には東京都内で合同取材もおこなわれた。
ピーター・ホーはアメリカ生まれの三十歳。幼少期を台湾で過ごし、大学二年の時台湾でスカウトされ芸能界入りした。英語、国語(中国語)、広東語にも通じ、映画やドラマで幅広く活躍している。日本でも映画「T.R.Y」で織田裕二と共演、また「仮面ライダー555 パラダイス・ロスト」で外国人初のライダー役に抜擢されるなど、話題を呼んだ。最近では出演作の人気ドラマ「エーゲ海の恋」が東京MX テレビで放映され、日本でオフィシャルファンクラブも結成された。
《台北『中央社』2月3日》
第二回国際鼓楽フェスティバル開催
力強い響きで魂を揺さぶる太鼓の音は、万国共通だ。台南市主催の「台湾国際鼓楽フェスティバル」が二月八日~十三日まで開催され、旧正月気分を盛り上げた。この催しは今年で二回目。昨年八月の第一回フェスティバルでは、阿里山、日月潭など公演を行い、最終日には千八百九十九人が同時に同じ曲を叩く催しでギネス新記録となり、話題となった。
今年は、米国、日本、韓国、台湾の四カ国から五つの団体が参加し、台南市の一級史跡「億戴金城」で六日連続二十ステージがおこなわれた。
二十歳前後の若手中心で生きのいいバチさばきを見せた日本の「雅太鼓」、日本の太鼓奏者が創立したという米国の「太鼓道場」、また韓国からはそれぞれ女性と男性だけのグループ「動天」「HATA」の二団体が特色ある演奏を見せた。地元台湾の「十鼓撃楽団」は観光局の要請で度々海外公演をおこない、三年連続で台南市の芸術団体賞を受賞した有名グループである。軽快なリズムと鍛え抜かれた身体表現に、会場は熱気と大きな拍手に包まれた。
《台北『民生報』1月28日》
経済学に基づく映画研究書が出版
台北県立十三行博物館研究員の謝彩妙さんが、さきごろ「青冥剣を探して――グリーン・ディスティニーから中国語映画の国際化を語る」を出版した。本書は台湾の学界では初めて映画経済学と経営戦略の観点から中華圏映画の展望を分析し、台湾、香港、北京の専門家にも取材している。四年前に発表されたアン・リー監督の「グリーン・ディスティニー」は芸術性と娯楽性を併せ持ち、国際的に高い評価を得た映画だ。謝さんは「世界に通用する作品をつくるには、市場調査や顧客分析が不可欠」と語り、台湾映画の制作現場に問題を提起した。
《台北『中央社』1月25日》
二〇〇五年観光情報
ランタンフェスティバル開催
毎年旧暦一月十五日の元宵節に行われる台湾のランタンフェスティバル。政府主催のイベントはここ数年台北市以外の地方で開催されており、今年は台南市で二月二十三日~三月六日に開催される。
毎年その年の干支にちなんだメインランタンが設置されるが、今年は酉にちなんで「鳳凰」がモチーフとなっている。高さが二十三㍍、重さが二十㌧にもなる大型のもので、鳳凰が山に向かって鳴く様子をハイテクを駆使し、迫力ある光のショーを展開する。
期間中、街中にはさまざまな形や色、素材のランタンが飾られ、華やかな雰囲気に包まれる。丸型の赤い伝統的なランタンだけでなく、斬新な現代アート感覚やエコロジー感覚のものも展示される予定だ。今年とくに注目されるのは、台南の国宝級ランタン制作職人として知られる魏俊邦さんのランタン。不要になった十万個のペットボトルを利用し、これに職人の技を加え、高さ三十㍍の大型ランタンがお目見えする。
フェスティバルの主な会場は台南安平港浜歴史公園、台南運河、億載公園文化園。会場では各地の小吃(小皿料理)百店舗が連ねる美食街や、各地の特産、民芸品を販売する民俗街コーナーなども設置される。
●各地でランタン祭り
政府主催のフェスティバル以外に、元宵節には各地でランタン祭りやその他イベントが行われる。代表的なものは以下の通り。
①台北ランタンカーニバル:二月十一日~同二十七日。会場は台北市市政府広場周辺。
②平渓天灯祭り:二月十九日~同二十三日。会場は台北県十分風景特定区。天灯はランタンの中に蝋燭の火を点し天に放つもので「空飛ぶランタン」と言われる。期間中、約三千個の天灯が放たれる。
③塩水蜂炮:二月二十二・二十三日。会場は台南県塩水武廟。疫病退治を目的に、大砲から火花が四方に発射され、その間隙をぬって廟から出たみこしが練り歩く。
④高雄ランタンカーニバル:二月二十一日~三月六日。会場は高雄市愛河と埠頭。
《台北『民生報』1月24日ほか》
温泉観光バスが運行
台北市の北投温泉行き観光バスが一月二十六日から(三月末まで)運行を始めた。
これまでにも何度か温泉観光バスは運行されていたが、「搭BuBu遊台北」の名称でレベルアップした。車体に一目でわかるデザインを施し、車内には観光地の紹介を掲載したパンフレットや音声ガイドを装備、同バスのイメージキャラクター「BoBo」のデザインが入ったタオルやイベント情報の冊子なども置かれている。
コースは、新交通システム(MRT)北投駅から水美温泉会館、春天酒店、吟松閣、北投文物館などを経由し、陽明山国家公園まで運行する。市内の観光インフォメーションセンターなどで、観光バスと温泉、会館での施設利用がセットになったお得なチケットを販売している。
《台北『民生報』1月27日》
光華商場が移転先で営業
「台北の秋葉原」の異名を持ち、コンピュータや電子製品、それらのソフト販売の店が密集する台北市の光華商場が、建物の改築にともない第一銀行跡地に移転し、一月二十九日から「彩虹3C資訊広場」となり営業を始めた。
およそ四十の店舗が同地で営業しており、開店当日には、ノートブック型PCが一万元(約三万円)以下、19インチの液晶モニターが約九千元(約二千七百円)で販売され、長い行列ができた。
《台北『聯合報』1月29日》
「一万人の希望」NGOに委託
スマトラ沖大地震と津波災害で孤児になった子どもたちを救おうと、行政院新聞局が各界に募金を呼びかけていた活動でこのほど約四億元(約十二億円)が集まり二月三日、NGO四団体に運用が委託された。
これは新聞局が「一万人の希望」と題し、孤児約一万人に三年分の養育費として三億六千万元(約十一億円)を目標に一月十五日から募金活動を行っていたものだ。林佳龍・新聞局長は「活動からわずか二週間の間に、各界からこれまでにない大きな愛と思いやりが示された。これを透明化、効率化、定期化し、今後書面契約などの形で政府と国民の善意を責任をもって処理したい」と語った。
募金は以下のNGO団体にそれぞれ運用が委託された。家扶基金会:スリランカを中心に三千人分、約一億八百万元(約三億二千四百万円)。世界展望会:インドネシアを中心に三千人分、約一億八百万元(約三億二千四百万円)。慈済基金会:スリランカ、インドネシア両地域に四千人分、約一億四千四百万元(約四億三千二百万円)。なお、国内の孤児への支援についても児童福利連盟に依託し、支援の必要な児童の数や経費を調査することにしている。
張杏如・信誼基金会執行長は「家庭で大きな変化が起きたとき、児童こそ最も助けを必要とする。この『一万人の希望』活動は、倒れた児童に手を差し伸べ起こさせるだけでなくその後の道のりをかれらと共に歩もうとするものだ。今後の募金活動の手本となるだろう」と述べている
【行政院新聞局 2月3日】
台湾地名ものがたり 16
●澎湃とし湖のような澎湖島
このシリーズは今回で一応終わりとなるが、ここに記す澎湖島は最初に書くべきであった。というのは、台湾の開発史は澎湖島を起点としているからだ。この島の存在が文献で確認できるのは、元和十五年(八二〇)に施肩吾なる人物が進士の試験に合格したが任官せず、一族を率いて澎湖島に移住した、と宋朝の興国六年(九八一)に編纂された『太平広記』に記されている。その施肩吾なる人物だが、『全唐詩』にも名が見られ、次のような七絶を遺している。
暒臊海辺多鬼市(悪臭の海辺総て闇の土地)
島夷居処無郷里(島民住む処、定むる無し)
黒皮少年学採珠(黒皮の少年、取貝に勤む)
手把生犀照塩水(手先き鋭く、塩水に照る)
漁労をする先住民はいたものの、厳しい環境を想像させる。この七絶は「題澎湖嶼」とあり、すでに「澎湖」の名がこのころよりあったことが分かる。また施肩吾が文献に残る漢人移住民第一号だが、進士の合格者がなぜ「闇の土地」に渡ったかは不明である。
この「澎湖」だが、外海は荒波が澎湃としているが、島の湾内に入ると水面は湖のように穏やかだったというところから「澎湖」の名がついたと言われている。また一方、南宋のころには「平湖」とも呼ばれていた。「平」とは島を形成する玄武岩の台地を指し、「湖」は同じく穏やかな水面を指すと言われている。
この二つの名前のうち、「澎湖」の方が歴史もあり、また明の頃、日本では室町から戦国にかけての時代、大陸沿岸や台湾海峡に跋扈していた漢人海賊たちが巣窟として「澎湖」の名を常用していたことから、この「澎湖島」の名が今日まで引き継がれるようになった次第である。(完)
お知らせ
「台湾蘭嶼島の民具―先住民の伝統的なくらし」展
台湾南東沖に浮かぶ蘭嶼島に暮らす海洋民族・達悟(タオ)族の生活民具を集めた展示会が東京都内で開催されます。トビウオ漁や芋、粟などの農作物栽培を主な生業とし、独自の文化を築いてきたタオ族の一九三〇年~七〇年に収集された生活民具を通してタオの暮らしを紹介します。
日 時: 2月21日(月)~4月2日(土) 月~金:午前10時~午後6時
土日祝:午前10時~午後4時
※入館料無料。3月6日(日)、同20日(日)午後1時半からは学芸員による説明も行われます
会場・問合せ: 東京神田天理ギャラリー(東京都千代田区神田錦町1-9 東京天理教館9階 TEL:03-3292-7025) http://www.sankokan.jp/exhibition/gallery/guide.html
交 通: JR神田駅または地下鉄・新御茶ノ水、小川町、淡路町の各駅から 徒歩7分
春 夏 秋 冬
1月27日、台湾中の目が台南-高雄間に釘付けられた。当日の新聞も翌日の紙面も、台湾現地ではこのニュースを大きなカラー写真入りで報じ、テレビは何度もこの中継を画面に流していた。日本の新幹線700系の改良型で、白色のボディーにカモノハシを思わせる先端部をオレンジに塗った700T型12両編成の試運転が行われたのだ。台湾の鉄道超高速時代の幕開けの日だった。
もちろんこのニュースは日本の各紙もかなりのスペースを割いて報じた。日本にとっての意義とは、東京新聞(1月27日付)が報じた林陵三・交通部長の言葉「台湾は商業性と地理的特性を考え、日本の新幹線を選んだ。日本の新幹線が国外で走行することは歴史的。日本にとっても大きな意味を持つ」と、朝日新聞(1月28日付)が報じた日本の国土交通省審議官の言葉「(新幹線技術が)今後市場に出ていけるかどうかの試金石」に言い尽くされているだろう。
台湾にとっては、台北と高雄(約345km)を一時間半で結び、台湾を代表する南北の大都市が一日生活圏になるのだから、それの経済的意義には大きなものがあると言わねばならない。もちろんその沿線においても、台北や高雄との一日生活圏実現に相俟って再開発が始められ、地域間格差の縮小が大いに進むことになるだろう。
また日本のマスコミも台湾各紙も、本来この試運転は昨年9月に行われる予定だったのが3カ月遅れになったことも報じ、今年10月開業予定も遅れるのではないかとの懸念を示していた。これについては殷琪・台湾高速鉄道董事長が試運転当日、「計画目標を貫徹する決意に動揺はない。軽々しく10月開通の目標を放棄するなど絶対に言えない」と断言していた。関係者の方々に奮起をお願いするとともに、われわれとしては開通後に夢を馳せたい。たとえば日本から観光旅行に出かけるにしても、北部と南部を一つのものとして予定を組むことができる。在台日本企業にとっても、南北一体化のメリットは大きいだろう。台湾新幹線は、台湾南北だけでなく、日台の距離も縮めそうだ。(K)