台湾週報2183号(2005.3.24)
週間ニュースフラッシュ
◆国家試験の科目から中国の歴史・地理を除外
考試院は三月三日院会を開き、公務員や外交官などの国家試験の科目から中国の歴史・地理の科目を除外することを決議した。来年一月から実施する予定で、業務の中身や専門知識を問う試験では、専門科目として残すことにしている。
《台北『自由時報』3月4日》
◆蕭万長・国民党副主席が辞任
連戦・国民党主席は三月三日、辞意を表明していた蕭万長・副主席の辞任を了承した。蕭万長氏は「辞任するには今の時期が適当と判断した」と述べ、辜振甫氏の死去により空席となっている海峡交流基金会理事長への就任については、これを否定した。
《台北『自由時報』3月4日》
◆在台チベット人も反分裂法に抗議
中国の「反国家分裂法」制定に対し、台湾在住のチベット人の間にも懸念が広がっている。同法がチベット人の人権抑圧にも繋がるとの見方があるためで、チベット亡命政府の前国会議員らは台湾で行われる抗議活動に参加し、ともに中国に反対していく姿勢を表明した。
《台北『中国時報』3月5日》
◆米下院議員が反分裂法への反対を表明
中国の「反国家分裂法」に対し、米下院では三月三日までに共和党、民主党議員二十人余りが書面や口頭で反対を表明している。
《台北『中国時報』3月5日》
◆五大都市の市長がフォーラムを設立
台南、台中、基隆、新竹、嘉義の五大都市の市長が三月五日「五福フォーラム」を設立した。政府が台北と高雄を重視している姿勢に対し、地方都市にも目を向けて欲しいとの思いから立ち上げた。同日台南市で初会合を開き、今後都市間の協力を強化し、観光や文化面での交流を促進することにしている。
《台北『自由時報』3月6日》
◆米国務省が台湾海峡の平和的解決を再度強調
中国の「反国家分裂法」に対し米国務省は三月四日、「台湾海峡は平和的に解決されなければならない」とする米国の立場を再度強調するとともに、中国に対し「一方的に現状を変更すべきではない」と述べ、同法案への再考を促した。
《台北『中国時報』3月6日》
◆立法委員が超党派で財経フォーラムを設立
江丙坤・前立法院副院長の呼びかけで三月六日、超党派の立法委員からなる財政経済フォーラムが設立された。財政、経済、両岸政策などについて、立法院内の各党、官民における調整役を担おうというもので、国民党の蔡正元・立法委員が総幹事を務め、メンバーには民進党、台湾独立連盟、親民党の各党の議員が参加している。
《台北『経済日報』3月7日》
◆日本へのノービザ五人が除外
陳唐山・外交部長は三月七日、日本政府が愛知万博期間中に台湾からの渡航客に対しノービザを適用することについて、陳総統、呂副総統、行政院正副院長、および本人を含む五人が除外されていることを明らかにした。
《台北『中央社』3月7日》
◆林佳龍・新聞局長が辞任
林佳龍・行政院新聞局長が三月八日辞任した。後任には姚文智・高雄市副秘書長が就任する見通しである。
《台北『中央社』3月8日》
◆ホワイトハウスが中国に再考を促す
ホワイトハウスのマクリラン・スポークスマンは三月九日、「反国家分裂法は最近の両岸の緊張緩和にプラスとなるどころか、その逆になる」と述べ、中国に同法案の再考を促した。
《台北『中央社』3月9日》
「反国家分裂法」に断固反対 行政院大陸委員会が見解示す
中国は3月8日、全人代において「反国家分裂法」の詳細を明らかにしたが、やはり事前に知られていた通り、その実体は侵略戦争発動法であった。行政院大陸委員会は中華民国(台湾)政府を代表し、事前に同法に対する台湾の立場を説明し、また詳細が明らかになった8日には、厳しい非難とともに、中国に制定を中止するよう呼びかける声明を発表した。以下は陸委会の一連の公式発表全文である。
●行政院大陸委員会発表①
行政院大陸委員会(以下、陸委会)は、中国当局がいかなる言辞を弄して「反国家分裂法」制定の動機を粉飾しようとも、同法が台湾海峡の現状を破壊し、台湾の民主主義の発展を阻止し、アジア太平洋地域の安定と平和に害を及ぼそうとする事実と作為を変えることはできないと認識する。
中国当局のこれまでの「反国家分裂法」に関する談話に対し、陸委会は重ねて、中国は一方では両岸問題の「平和」方式による処理を強調しながら、実際には理性的な協議による意思疎通の機会を意図的に遠ざけ、さらにまた法制化により「非平和的手段」によって両岸関係を処理する権限を作り出そうとする措置は、中国が「平和解決」を拒否したことを示すものであることを指摘する。特に中国が再三にわたりわが国の憲政と民主主義の発展を歪曲していることは、台湾国民の反感を増大させるものである。
陸委会は重ねて、台湾では八割以上の国民が中国の「反国家分裂法」制定に反対し、それがすでに高度の国民的コンセンサスになっていることを表明する。ここに陸委会は、中国がこの民意を直視し、それによる行動をとり、もって両岸関係を遠ざける措置を停止するよう呼びかけるものである。
【行政院大陸委員会 3月4日】
●行政院大陸委員会発表②
温家宝・中国総理が三月五日、全人代における「政府工作報告」の中で両岸関係の内容に言及したことに対し、行政院大陸委員会は、温家宝が一方では台湾海峡の平和と両岸関係の安定を口にしながら、一方では強硬な主張を繰り返し、軍事力増強を「国家統一」の手段となしていることは、武力による台湾侵略の意図を放棄しないとの立場を如実に反映したものであると指摘する。さらに陸委会は、中国が台湾への武力使用を放棄する以外に、両岸関係の平和と安定を保障するものは何もないことを強調する。
中国は、二〇〇五年の国防予算が前年比一二・六%増の三百億ドルであると公表しているが、陸委会は、この中には数多くの隠蔽された軍事予算が含まれていないことを指摘する。同時に陸委会は、中国は毎年国防予算を大幅に増やして軍事力を急速に増強し、台湾に対する軍事侵攻の準備をするとともに国際影響力を強化しようとしているが、こうした趨勢は「反国家分裂法」制定後にはさらに勢いを増しいっそう具体化され、それが地域の安全と安定にきわめて重大な結果をもたらすものになることを指摘する。
温家宝は談話の中で「反国家分裂法」の制定に口実を設けているが、陸委会は、中国当局が同法の制定によって両岸関係を処理しようとするなら、その結果は必然的に両岸関係および地域の平和を破壊するものとなり、温家宝が報告書の中で表明した台湾海峡の平和維持と両岸関係の安定した発展に関する字句は、まったく事実に反するものであることを明言する。
【行政院大陸委員会 3月5日】
●行政院大陸委員会発表③
行政院大陸委員会は三月六日、重ねて中華民国(台湾)は主権独立国家であり、両岸双方は互いに隷属せず平和共存しており、これが台湾海峡の現状であることを表明する。これにより陸委会は、中国が制定する「反国家分裂法」は一方的な解釈によって世界周知の台湾海峡の現状を変更しようとするものであり、この行為は勢い、アジア太平洋地域の平和と安定に重大な不安定要素をもたらすものとなることを指摘する。
李肇星・中国外交部長の三月六日の談話に対し陸委会は、中国は常に国際社会および両岸関係に「一つの中国」の一方的原則を持ち出し、台湾国民の活動の場を圧迫することを意図し、横暴にもその一方的な定義を両岸平和交渉の前提条件となし、台湾に対する武力使用を意図して軍備配置を着々と進めているが、中国のこうした行為は民主主義ならびに平和という世界普遍の価値にまったく反するものであることを強調する。「反国家分裂法」の制定は、台湾問題の解決に「非平和的手段」を行使するための法的根拠を準備するものであり、すでに日米欧各国の疑念を惹起しており、中国の一方的な行為はアジア太平洋地域の安全と安定に重大な影響をもたらすことはもはや明白である。
さらに陸委会は、わが国は平等互恵と国際支援の原則によって外交を進めているのであり、中国と「金銭外交」の競争を展開するものでないことを表明しておく。ところが中国のここ数年の拙劣な行為は衆目の認めるところであり、たとえばナウルに一億三千七百万ドルを提供し、グレナダには二億五千万ドル提供の公約をしたことなどは、南アジアへの災害支援をはるかに上回るものである。中国はまさにわが方の国交国を一つ一つ当たり、なりふり構わぬ手段を講じているのである。
陸委会はここに、中国は終始巧言を弄しており、いかに平和的な語句によって「反国家分裂法」制定に合理的な口実を設けようとも、それらは一方的な両岸相互連動の構造を設定し、台湾に対する武力発動の名目を手に入れ、両岸関係の平和と台湾海峡の安定を破壊しようとする忌まわしい動機を粉飾するものであることを強調する。中国のこうした作為は、台湾国民の感情をわずかなりとも考慮しようとするものではなく、まったく強引な覇道的なやり方に他ならない。陸委会は同時に、中国が立法の形式によって両岸関係の平和的発展の空間を押し潰そうとするのは、中国の指導者が口にするいわゆる「平和を愛する」「台湾人民のために努力する」さらに「台湾人民に希望を寄せる」などの文言は、世を欺く言辞であることを明言する。台湾国民および国際社会は必然として、中国の覇権の陰謀および台湾攻撃の野心を喝破し、その粗暴な行為を唾棄するであろう。
【行政院大陸委員会 3月6日】
完全に現した武力侵略の本質
(中国の「反国家分裂法」の立法説明に対する正式説明)
●行政院大陸委員会発表④
中国が「反国家分裂法」を制定する意図は、中華民国(台湾)の主権を否定し、一方的に台湾海峡の現状を変更しようとするものであり、すでにアジア太平洋地域の緊張を醸成しており、国際社会ならびにわが方が中国の「反国家分裂法」制定に示していた憂慮が正確であったことを証明するものである。「反国家分裂法」は中国が台湾併呑のために武力使用を強行し、地域に覇権を唱えようとする意図を完全に暴露するものであり、実質的にすでに軍部に対し台湾に対する武力使用の手形を与えたものであり、中国の武力侵略の本質を証明するものである。わが国政府は、こうした東アジア地域の平和および台湾海峡の安定を破壊し、台湾国民の自由な選択の意志を侵犯する暴力的な手段に対し、最も強烈な抗議をするものである。
行政院大陸委員会はここに、今日の台湾海峡の現状とはすなわち、中華民国(台湾)が主権独立国家であり、両岸双方は互いに隷属していないことを厳正に宣言する。台湾国民は「一国二制度」に組み込まれることを絶対に容認するものではなく、台湾海峡の現状を変更するには二千三百万台湾国民の同意を得ることが必要であり、中国はこの事実を受け入れねばならない。中国当局は我意を張って虚言を弄し、わが方を矮小化して「一つの中国」と「一国二制度」を法律の問題に転化し、両岸の争議を「非平和的手段」で解決することに固執しようとしているのである。陸委会は、一九九六年に台湾が実施した総統直接選挙が、民主主義深化のための重要な過程であったにもかかわらず、中国が台湾海峡にミサイルを発射して軍事的恫喝を加え、各方面に高度の不安を高めたことを、国際社会は記憶を新たにすべきことを強調する。中国が今に至ってなお台湾に対する武力使用を、法的授権と随時可能の手段に持ち込もうとするのは、台湾海峡の平和と安全をいっそう危機に陥れるものになることは必然である。
中華民国(台湾)が自由と民主主義を追求しているのは、一貫して国際社会から高く評価されていることであり、われわれは「平和の最大の希望は自由と民主主義の拡大にある」と認識する。このことは米日EUなど主要国も共に追求する共同の価値観でもあり、また中華民国(台湾)と中華人民共和国が最も異なる点でもある。陸委会は、台湾国民の総合的意志が民主主義の深化であり、中国が反民主的ならびに「非平和的手段」により台湾国民を圧迫するのは、中国に民主主義の知識が欠けていることを如実に示すものであり、国際的人権および民主主義の普遍的価値観に対する最悪の蹂躙であることを強調する。
これまで台湾の民意は、平和で安定した両岸関係を求めるとともに、自己の民主主義体制をさらに強く堅持しようとするものであることを、再三にわたって示してきた。よって陸委会は、国際社会が中国の「反国家分裂法」制定について広く関心を示しているにもかかわらず、中国当局は台湾国民に共通する心の声をわずかなりとも考慮しようとせず、さらに国際社会の憂慮を無視し、口先では「台湾人民に期待する」「平和を望む」あるいは「覇権に反対する」などと唱え、実際には「非平和的手段」の立法化によって台湾国民を抑え、台湾国民の感情を著しく害していることを指摘する。
陸委会はここに、これまで五年間わが国政府が両岸関係の改善において数々の努力をし、両岸交流と対話についても両岸平和安定メカニズム確立の具体的提議をしていることを重ねて表明する。中国が「反国家分裂法」を制定するのは、わが国政府がこれまでおこなってきた両岸関係改善への努力と配慮をまったく抹殺するものであり、両岸が将来対話を再開しようとすることに障害となるものである。われわれはここに改めて、国際社会が中国の言行不一致に粉飾された覇権行為を直視し、具体的行動をとり、台湾海峡の現状と平和を維持することに協力するよう呼びかけるものである。
【行政院大陸委員会 3月8日】
各党がそれぞれの反応示す
民進党中央常務委員会は三月八日、中国の「反国家分裂法」の内容に対し「中国の『反国家分裂法』は重大な平和を破壊する戦争発動法規であり、武力によって現状を変更し台湾を侵略するための法律である。民進党は現状が一方的に変更されるのを座視することはできず、同時に『反国家分裂法』の制定が台湾国民の生存に脅威を与え、台湾の自由と民主主義の基礎を破壊し、台湾の根本的国家利益に損害を及ぼすこともなおさら座視できない」と決議した。
このなかで蘇貞昌・主席は中国に危険から引き返すよう呼びかけるとともに「もし中国の『反国家分裂法』が台湾の自由と民主主義を破壊するなら、民進党は必ず台湾国民と一致団結し、強固な行動をもって決意を示すであろう」と表明した。
国民党立法院党団も同日「中華民国は主権独立国家であり、それに対するいかなる変更、あるいは台湾の主権を矮小化する行為は受け入れられない。『非平和的手段』によって台独に対処するというのは、被害を受けるのは台独派だけではなく、すべての台湾国民が害を被ることになる」と表明した。
宋楚瑜・親民党主席は同日「中国当局は反分裂法のなかで両岸分治の状態を受け入れており、『中華人民共和国』を強調せず、『中国』『中華民族』を強調しており、これは注視するに値する」などと語った。
蘇進強・台湾団結聯盟主席は「中国の態度は大国を装いながら実際は自信がなく、戦々恐々としていることを示している。だからかれらは心理戦、世論戦、法律戦の『三戦』を利用して台湾のアイデンティティーを崩そうなどとしているのだ」と、台湾人としての自信を示した。
《台北『中国時報』3月9日》
台湾には国防力強化が必要 高まる中国軍の脅威、市街戦も視野に
●漢光演習は市街戦も想定
台湾では年次主要国防演習を「漢光演習」と呼称しているが、今年はこの名称を使用し始めてから二十一回目となる。
国防部は三月八日、今年の「漢光二十一号演習」は四月中旬から展開し、中国の脅威の状況から市街戦も起こり得ると判断できるため、都市部での戦闘演習も計画に組み込むと発表した。それによれば、演習の重点は「三軍連合作戦シミュレーション対抗演習」「反テロ、反超限戦(非対称型戦略への防衛戦)」「市街戦」「防災支援」であるが、市街戦演習が重点項目に入れられたのは今回が初めてである。
これに関連して劉志堅・国防部スポークスマンは「中国の『反国家分裂法』は中央軍事委員会に『非平和的手段』行使の権限を付与するものであり、中国の最終的な意図は軍事行動の採用にあることが明らかになった」と指摘した。さらに「中国軍は、奇襲による台湾占拠を目標としており、台湾には都市部が密集し、これらで市街戦が発生する可能性はきわめて高い。とくに西海岸の都市部が戦場となる公算が大きい」と明らかにした。
さらに記者団からの「国防部はこれまで域外決戦を主要目標としていたが、今回市街戦演習を重点にしたのは、国防作戦指導要綱の変更を意味するのか」との質問に対し、劉スポークスマンは「市街戦演習は久しく行っておらず、それを今回重点の一つに組み入れたのであり、指導要綱の中心が市街戦に移ったことを意味するのではない。あくまで主戦場を域外での立体作戦とする防衛を考慮している」と答えた。
《台北『中国時報』3月9日》
●高まる中国の脅威
国防部は三月九日、立法院国防委員会に業務報告書を提出し、そのなかで「中国軍の特殊作戦部隊(奇襲機械化部隊)は降下部隊を含め、すでに六万人を越える兵力となっており、降下奇襲攻撃によって台湾の主要港湾、空港を瞬時に占拠する能力を有している。同時に台湾内部に浸透した第五列(スパイ・テロ組織)が呼応し、後方攪乱作戦を展開することになろう」と明らかにした。同報告書の主な内容は以下の通りである。
○ ○ ○
中国は特に海軍力増強に力点を置いており、キロ級潜水艦の増加を目指している。将来的には台湾本島の周辺に十六カ所の潜水艦巡回水域を設定すれば、台湾を海上封鎖により長期にわたってシーレーンを絶ち、市民生活と経済を枯渇させることが可能となる。近年、中国の海上艦と原潜が頻繁に台湾東部水域と西太平洋に出没しており、作戦能力はすでに第一列島線(日本列島、台湾、フィリピン)を越えている。封鎖水域の主たるものは、日本との往来を断つ基隆、米国との蘇澳、花蓮、東南アジアとの高雄などである。
第二砲兵隊(ミサイル部隊)は二十余個旅団を有し、台湾に照準を合わせたミサイル七百基を配備している。二〇〇六年には短距離戦術ミサイルは八百基を越すと予測できる。さらに現在二十基の衛星を運用しており、これらにより地上、海上、水中、航空、宇宙、電子戦のコントロールと監視能力は強化され、早期警戒、統合作戦、遠距離精密攻撃の能力も飛躍的に増大している。
台湾に対する作戦兵力は年々増強されており、現在は十五個師団(旅団を含む)兵力数約二十万人で、いずれも緊急出動が可能である。来年には二十個師団(同)約三十万人に増強されていると推測できる。
《台北『自由時報』3月10日》
●望まれる特別予算案の通過
李傑・国防部長は三月九日、立法院国防委員会において、パトリオット迎撃ミサイル(PAC3)、ディーゼル潜水艦八隻、P3C哨戒機十二機を米国から買い入れる兵器購入特別予算案は当初総額六千百八億元(約一兆八千億円)であったのが、調整およびレート変動等により五千八百六十一億元(約一兆七千六百億円)になったと説明し、立法院での同案早期通過を要請した。
《台北『青年日報』3月10日》
謝長廷・行政院長が施政報告(続) 和解と共存の理念により新社会建設
四、社会意識を凝集
健全な台湾は健全な地域社会から確立される。地域社会は公共行政の最小単位であり、民主主義を永続的に運営する基礎的単位でもある。この十年間、行政院文化建設委員会が進めた地域総合運営、九・二一再建委員会の進めた地震被害からの地域再建、行政院農業委員会が示した模範農村建設、内政部の推進した地域の治安確立等々に見られるように、政府はすでに大量の資源を投入し、逐次成果も見られている。この次の地域改革計画は、地域住民の社会意識の深化であり、各地域のアイデンティティー向上により、一体感を醸成することである。
私は、台湾にエスニック間の対立や政党間の不毛の闘争などがあったのでは、健全な地域社会は生まれないと認識している。だがエスニックの問題は、治安や環境保護の問題にくらべれば、それほど深刻とは思えない。われわれが抽象的なイデオロギー上の意識よりも、具体的な市民生活の利益を重視したなら、社会の対立は自然に緩和するのだ。
地域社会運営の業務多元化のため政府は「産業の発展」「地域の治安」「地域の福祉医療」「社会教育」「生態保護」「景観保護」の六項目を「台湾の地域健全化六星計画」として推進する。まず各関連セクションの資源を整合し「産業の発展」「地域の治安」および「地域の医療福祉」の具体化を強化し、就業の機会を増やし若者のUターンを促す。とくに先住民の集落における就業の機会、健康、教育を重視する。今後十年間で台湾全土の地域社会健全化を目標とし、各地の住民が安定した環境のなかに暮らせるようにする。
相互意識がなくそれぞれに信頼感もなかった社会を共存と共栄、連帯の社会に変えることが、わが内閣が推進する「台湾の地域健全化六星計画」の目標である。政府と民間の協力を通じ、下から上へと地域健全化六星計画を推進することにより、健全な生活ネットを作り上げ、相互信頼の社会の基礎を固め、草の根参加の裾野を拡大し、「永続的発展、共存と責任分担」の地域社会意識を生み出すことを希望している。健全な地域社会が発展してこそ、台湾が安定した成長を得られるのである。
五、台湾の主体性確保
「共存と和解」の理念を提示した時、社会はこれを高く評価したが、ある種の疑問の声も聞かれた。私は本日の報告を総括する前に、次の三つの疑問点についてさらに一歩進んで施政の理念を述べたい。
①共存は台湾の主体性を喪失させるか
陳水扁総統は常に「台湾の主体性堅持の立場は変更しない」と表明しており、これはわが内閣の施政における基本路線でもある。共存と台湾の主体性堅持は矛盾するものではなく、いわゆる「共存」とは「多元化」と「包容」であり、主体が存在してこそ他人を包容することができるのである。したがってわれわれが強調する台湾の主体性とは、異なる相手を否定するのではなく、各エスニックの独自の歴史的観念や発想を尊重しようとするものである。「台湾優先」があってこそ異なる主体も包容できるのであり、もとより「優先」とは単一を示すものではなく、多くの並存を示すものである。
台湾の主体性を確保するには、二つの原則を堅持する必要がある。その一は「平和の堅持」である。平和は人類共存の基本であり、平和があってこそ、われわれは将来の自由を選択できるのである。その二は「対等の堅持」である。台湾海峡両岸の和解には対等と尊厳の堅持が必要である。たとえば、春節チャーター便は相互尊重と実務的協議の原則によって「相互乗り入れと直行」の目標を達成することができたのだ。この基礎の上に行政院は「貨物便のスピード化」を進めようとしている。それは将来の両岸関係の正常化にも有益なものとなろう。
中国との話し合いは台湾の主体性を失うことにならないかとの疑問を提示する人もいるが、台湾が平和や進歩を追求するのは、人類文明の主流的価値観に基づくものであり、中国との平和共存は、われわれが追求する台湾の主体性となんら矛盾するものではない。われわれが自信を持ち、台湾の進歩を継続して求め、台湾の国民が平和を堅持し、継続的進歩の地盤に立ってこそ、台湾は将来にわたって主体性を保持することができるのである。
われわれが追求する台湾の主体性とは、団結するなかに存在するのであって、対抗分裂するなかに形成されるものではない。また、われわれが求める団結とは、単に過半数を主体とした団結ではなく、一つのコンセンサスに基づく全体の団結である。与野党和解の目的は台湾が団結するためであり、政党の特色とは、台湾を分裂させるものではないはずである。実際において、現在台湾で中国との統一に賛成する世論は一〇%にも満たず、もし半数近くの人が統一を主張していると誤解されたなら、国際社会でも誤解を招くばかりでなく、中国に誤った判断をさせることにもなろう。
②和解は理想を喪失させるか
政党の協調を促進するため実務的な協議を進めるのは、民主国家の常道である。実務とは目標を射程の範囲内に置くものであり、それは譲歩ではなく、対等の基礎の上に話し合うものであり、和解とは弱さを示すものではなく、逆に強い勇気がいるものなのである。行政改革を例にとれば、行政院は決して理想を放棄するものではなく、希望は与野党のコンセンサスのなかに存在し、共同で完成させるものである。歴史に照らしても、これは間違いのない道であるはずなのだ。
③相互協力は成功するか
いかなる改革にも抵抗はつきものであり、どのような新しい主張も誤解を招くものである。だが、そこに堅持すべきものは、いかなる困難に遭遇しようとも情熱を持ち続けることであり、自信をもって敢然と対処すれば、社会は必ず支持するようになると確信している。
政党が内部において熾烈な戦いを演じたあとだからこそ、一致して外に対応できるのであり、中国に武力による威嚇をやめるように要求してこそ、海峡両岸がゼロサム・ゲームではなく共存の新局面を切り拓くことができるのである。われわれは中国が提示している「一国二制度」に反対しており、中国が「反国家分裂法」を台湾に対する武力侵攻の口実にすることにも当然反対している。各種の世論調査は、国民の多くが両岸関係の平和と安定を求めながらも、中華民国・台湾の国家主権、安全、尊厳を堅持しようとしていることを示している。政府の両岸政策は、この二つの民意を基礎に組まれており、「立場を堅持し、実務的に進む」ことを基本路線とし、両岸問題に関する国民のコンセンサスを凝集し、文化、経済、さらに政治における良好な相互連動を促進しようとするものである。
六、台湾の奇跡再現
行政院新内閣と立法院新国会が共に歩むことに、国民は大きな期待を寄せており、私はここに共存協力の新局面を期待するものである。
わが国はいま内外ともにさまざまな問題に直面しており、国民の政局安定に対する期待には大きなものがあり、その期待に応えようとする意思には、行政院も立法院も違いはないはずである。これまでの数年間、双方は抗争を繰り返し、共に出口を見出せず、国民の失望を招き、共に無力感を味わってきた。
台湾はいま重要な関頭に立っており、私はここに立法委員の方々に対し「立法院と行政院は共存と和解に向かって邁進しよう」と呼びかけたい。立法院も行政院も共に政府の一部分であり、二人三脚によって悪性な内紛を脱し、人心を鼓舞して台湾向上のため尽力しなければならないのである。ふたたび国民を失望させてはならず、希望を持たせなければならないのである。
十年後、二〇一五年の台湾は、国民一人当たり所得は二万五千ドルを越え名実共に先進国の仲間入りをし、二〇二〇年のオリンピックを誘致し、国民のすべてが健全な地域社会の一員となり、百メガの光ファイバーによって全土が結ばれ、充足と希望に満ちたなかに暮らしているものと確信している。かつて台湾は経済奇跡を創造したが、さらにわれわれは政治面での奇跡と文化面の奇跡を創造しなければならないのだ(完)
【行政院 2月25日】
ニュース四題
立法院が反「反分裂法」を決議 中国に熟慮を呼びかけ
立法院は三月四日、中国が制定を進めている「反国家分裂法」に対し与野党一致でこれに反対する決議を行った。決議の内容は以下の通り。(一)中華民国は建国以来主権の独立した国であり、いかなる一方的な現状の変更や台湾の主権を矮小化する行為も、台湾の国民および国際社会の共通の意思に反している。(二)平和と発展は国際社会の共通の価値であるだけでなく、両岸人民の共同の願いである。「反国家分裂法」が台湾の国民の権益を損なうことがあれば、台湾の国民はこれに強く反発する。われわれは中国に熟慮を求める。(三)春節チャーター便の運行で良好な雰囲気が醸成されたことを重視し、これを契機に両岸は対等と尊厳をもって交渉を行い、互恵と相互利益の関係を創造すべきである。(四)立法院は両岸が対等と互恵の関係を構築できるような政策を与野党とも積極的に推進し、両岸の平和のために最大限努力する。
《台北『青年日報』3月5日》
馬市長が石原都知事らと会見 観光促進などで意見交換
馬英九・台北市長は三月二日から日本を訪問し、同四日、東京都庁に石原知事を訪ね会見した。このなかで中国人の不法滞在に伴う治安の悪化が日台双方で問題になっている点や、日台の観光促進などについて意見交換するとともに、馬市長は年末に台北で開催される「国際健康都市シンポジウム」への出席を石原都知事に要請した。
馬市長はまた鈴木康雄・総務省政策統括官、小尾敏夫・早稲田大学教授と会見した。台北市は現在、市内全域での無線ブロードバンド・ネットワークの構築を進めており、日本の無線LANの構築状況について質問した。これに対し鈴木統括官は「日本でも無線ブロードバンド・ネットワークが発展すると予測した業者もあったが、日本の現状から言えば外出先では携帯電話を通してインターネットを利用する人が多く、政府が通信環境を整備する環境にはない」と述べた。
《台北『自由時報』3月5日》
反分裂法抗議デモ各地で開催 高雄では五万人が参加
中国の「反国家分裂法」制定に抗議する大規模な集会やデモが三月六日、台北と高雄の両市で行われ、国際社会に台湾の主権と団結を強くアピールした。
このうち、高雄市で行われた台湾独立連盟主催の抗議デモには五万人が参加し、「対外団結」「台湾を守れ」などと書かれたプラカードを手に、「反併呑、台湾を守れ」と高々と叫び、中国への強い抗議を示した。なかには中国の五星紅旗を焼く場面も見られた。
また台北市では民進党の主催で「台湾を守れ、併呑反対」集会が開かれ、およそ二千人の支持者が集まった。蘇貞昌・民進党主席は「台湾のいかなる現状の変更も、台湾の国民が決定すべきだ。もし『反国家分裂法』が制定されたら、民進党は五十万人を動員して大規模なデモを行い強く抗議する」と述べ、台湾の主権を強調するとともに、台湾の団結を訴えた。
《台北『自由時報』3月7日》
総統銃撃事件の犯人を特定 犯人・陳義雄は事件後に自殺
昨年三月十九日、台南で総統選挙の遊説中に陳総統、呂副総統が銃撃を受けた事件を解明していた警察は三月七日、台南市に住む陳義雄を犯人と特定したと発表した。
警察は、事件に使われた改造銃の特徴が陳義雄のものと一致したこと、事件当時現場に居合わせ、発生後に姿を消したこと、妻から事情聴取し事件に関わっていたことを確認できたこと、の三点から犯人を特定したと述べた。陳義雄は事件発生から九日後、台南市の運河に飛び込み自殺した。警察では、事件現場が監視カメラに収められていたことから、いずれ判明することを恐れたためと見ている。
犯人が特定されたことについて陳水扁総統は同日「胸をなでおろした」と述べた。一方、事件は「自作自演」だと非難していた連戦・国民党主席は「まだ多くの疑問点が残り、真相は解明されていない」と語り、引き続き事件の究明を求めた。
《台北『中国時報』3月8日》
テレビコマースがもたらす新商機 特性活用しサービス業振興を促進
近年、台湾ではテレビコマース(T-Commerce、テレビによる商取引)の成長が目覚しく、国内企業に新たなビジネスチャンスをもたらす新産業として注目されている。行政院経済建設委員会(以下、経建会)では三月六日、「二〇〇五年サービス業異業種統合ビジネスチャンスシリーズ・シンポジウム」のなかで「T-Commserce産業成長の啓示」と題した討論会をおこなった。本会議は(財)台湾シンクタンク、全国商業総会が合同主催し、各界のパネリストがテレビコマースの利便性と安全性、消費者市場における新たなビジネスチャンスなどに関し討論した。以下はその要旨である。
○ ○ ○
サービス業振興の新たな原動力に 胡勝正・経建会主任委員
この数年、東森、富邦、中信など大手グループ企業が相次いでテレビコマース市場に参入し、著しい成長を呈している。
サービス業の振興は台湾経済成長の新たな原動力であり、テレビコマースが創出するサービス業のビジネスチャンスは、国内にある数千社の中小企業に大きなメリットとなり、物流、金融、情報流通など複数の業種にまたがる商機を創出すると思われる。テレビコマースのなかでもっともよく利用されているのはテレビショッピングであるが、今後デジタルテレビが普及し、ケーブルテレビの双方向広帯域ネットワークが整備され、セットトップボックス(テレビの機能を拡張する装置)が普及すれば、テレビは「単一方向の伝播メディア」から「双方向のバーチャル伝送プラットフォーム」へと変わり、テレビコマースは無限の可能性を発揮するだろう。
台湾の製造業の実力は世界の知るところであるが、経済成長率に占める割合で見ればサービス業はその二倍にもなる。二〇〇四年におけるサービス業の生産高は国内総生産(GDP)の約六九%を占めており、今後の台湾経済にとってカギとなる産業になることは間違いない。
経建会では昨年十一月「サービス業発展綱領および行動方案」を打ち出し、二〇〇八年までにサービス業の生産高がGDPに占める割合を七一・四%まで引き上げ、サービス業を媒体とした農業および工業の成長促進を図り、経済成長率五%以上を維持する方針だ。
便利で安全な特性を活かすべき 汪庭安・行政院科学技術顧問組秘書
行政院では「挑戦ニ〇〇八年国家重点発展計画」のなかで電子商取引(E-Commerce、インターネットによる商取引)を重点発展項目のひとつに挙げているが、利便性と安全性の面から見れば、テレビコマースもまた今後の商機が期待できる産業だ。ネットショッピングでは、カード番号など個人情報の漏洩が問題になっているが、ケーブルテレビのネットワークは個々の視聴者と個別に結ばれており、個人情報が漏れる危険が少ないメリットがある。事業経営者側では、テレビショッピングの利用者は店頭購入者とは層が異なり、従来の小売業市場とは別に新たな商機を創出できると考えている。
官民の協力で健全な市場構築を 林佳龍・行政院新聞局長
「テレビコマース」は最近国内で新たに成長してきたサービス業であり、新聞局の統計によれば二〇〇四年におけるテレビコマースの売上げは三百億元(約九百億円)に達している。政府はこれを評価するが、産業政策の面から言えば、適度な管理は必要だ。新聞局では伝播改革法案の制定を進め、デジタル化、公共化、効率化を前提にテレビコマース産業の振興政策を展開する方針である。政府と産業界は今後協力し、テレビコマースとE-コマース、従来の店頭販売業を同時に振興させていくべきだ。
振興政策のポイントは、政府のメディア政策を浸透させ、良好な産業政策のもとにバックアップすることである。メディア政策の面では、二〇一〇年のテレビ・ラジオ放送の全面デジタル化を目指し、新聞局は今年一月から「有線テレビ公益および鑑賞チャンネル企画案」を実施し、番組のジャンルごとにブロックを分け、違法なチャンネルやショッピング広告の取り締まりを強化した。産業政策面では、産業構造の整備が重要であり、市場開放を慎重におこない、秩序ある効率的な産業環境を確立すべきである。事業経営者、商品製造者、商品の販売者、消費者間で健全な取引がおこなわれることが肝要であり、行政院新聞局、同公平交易委員会および消費者保護委員会などの機関はこれを監督し、公平で健全なテレビコマース市場を確立しなければならない。
三年後には二千億元市場へ 王令麟・全国商業総会理事長
台湾のテレビショッピングにおける最大の特色は、購買者の平均購買金額が百五十ドルと高いことだ。テレビショッピング普及国の米国でも平均四十五ドルであるから、ショッピングチャンネルが国内でかなり受け入れられていることが分かる。
テレビの双方向システムが確立すれば、二〇〇八年にはテレビコマースの生産高は二千億元(約六千億円)規模に達するだろう。また、台湾のテレビコマースは小売流通業としてすでに独自のブランドを確立している。店頭販売の小売業では三越(日本)やセブンイレブン(米国)など外資系がほとんどだが、テレビコマースの分野では台湾の国内企業が自社ブランドで業績を上げている。例えば「東森ショッピング」チャンネルのこの五年間の売り上げは、五百億元(約一千五百億円)で、全国に十五万人のチャンネル契約者を有している。これは台湾のテレビショッピング番組の内容が国際レベルになったことを示しており、政府はこれを重視し振興を促すべきだ。
ネットショッピングとの相違点 詹宏志・網路家庭(PCHome Online)董事長
テレビショッピングは、数年前に東森テレビがこの事業に全面参入し、七日間のクーリングオフ(購入取り消し)制度などを導入して消費者の信頼を得てから、一段と成長に拍車がかかってきた。
小売業の販売に関しては、顧客数、製品の陳列、販売促進という重要な要素があるが、テレビとネットではそれぞれメリットとデメリットがある。テレビの普及率は絶大で、顧客数はすべての年齢層に及ぶが、ネットでは子供や高齢者などパソコンを利用できない世代がいる。一方、商品の陳列という面ではネット上でなら膨大な量の情報を無限に掲載できる。またネットショッピングでは誰でも多くの情報を発信でき、業者の数も無数にあるが、テレビショッピングはチャンネル数も限られているため、今後大手数社がこの産業を仕切るものと思われる。テレビショッピングの普及には、デジタルテレビなど関連機器にかかるコスト面で、消費者になんらかの優遇政策をとることが必要だろう。
―結論―
少量で特性ある販売を 陳博志・台湾シンクタンク董事長
本日の討論を総括すると、テレビコマースの特性と成長のポイントに行き着く。まず、テレビの普及率は新聞、ラジオ、雑誌など各メディアのなかでもっとも高く、操作も簡単で、一般市民にとって非常に利用しやすい。またテレビは、他の作業をしながら情報を得られるという「同時性」の特性が強く、娯楽性が高い。人々はテレビを視ることでリラックスし、楽しみや知識を得る。またテレビの視聴者は常に受動的だが、かえって店頭購入のような煩わしいやり取りをしなくて済むメリットとなっている。一方、テレビは公益性を備えたツールであり、政府の管理規制は必須である。テレビは辺境地方までかなり普及しており、誰でも簡単に情報を得られるため、政策普及のツールとしても効果が大きい。
こうしたなかでテレビコマースは今後、より少量の特性ある取引が求められるだろう。従来、商品の販売は業者がコスト削減のためにまとめて仕入れ、価格競争が激化するというのが常であった。こうした販売方法は中小企業にとっては大きな負担であったが、テレビコマース産業の誕生により、少ないコストで効率的に利益を上げられる販売方法が提供されたと言えるだろう。国内企業がテレビコマースの特性を活かし、新たなビジネスを拓く契機とするよう期待する。 (完)
二〇〇五年観光情報
「台北101」展望台がグランドオープン
今年一月十九日からソフトオープンしていた世界一のノッポビル「台北101」の展望台が、三月一日より正式にグランドオープンした。
「台北101」は五百八㍍という世界一の高さに加え、世界最速のエレベーターを備えており、八九階の展望台までわずか三十九秒で到達する。グランドオープンにより営業時間が午後十時までに延長され、大パノラマが広がる台北の夜景を思う存分楽しむことができる。
●「台北101」展望台概要
住所 台北市信義路五段七号
営業時間 午前10時~午後10時(最終入場は午後9時まで、月曜休)
料金 一般:350元(約千円)、団体(20人以上):300元(約九百円)
※20人以上の場合、一週間前までに予約が必要
チケット売り場・専用エレベーター口:5階
※中国語、英語、日本語、広東語、ドイツ語、台湾語の無料音声ガイダンスを提供
オフィシャルHP http://www.tfc101.com.tw/
亀山島の観光三月から開放
宜蘭県東部沿海に浮かぶ亀山島の観光が三月から受付けを開始した。軍事要塞の島だった亀山島が一般に開放されたのは今から六年前で、毎年三月から十月に限り観光を開放している。
火山島特有の硫黄の噴気孔や海底熱泉があり、無人島ならではの原始の自然が今も随所に残されている。その豊かな生態系を保護するため観光客が島へ上陸できる人数は一日最大三百五十人(土・日は四百五十人)までに限定されている。
また亀山島はイルカやクジラの観察スポットとしても有名で、多くの動物愛好者を引きつけている。
亀山島への観光は上陸の三日前までに所轄機関にインターネットで申し込み、翌日に許可通知を受ける仕組みとなっている。
問合せ・申込先 東北角管理処
TEL:02-2499-1115(内線221,181)
http://www.necoast-nsa.gov.tw
《台北『民生報』2月25日》
東台湾に高級リゾート村オープン
大自然をバックに一流の設備とサービスで、ゆったり贅沢な時間を過ごす高級リゾート施設が東台湾にお目見えした。
温泉地として知られる花蓮県瑞穂郷の山麓に位置し「蝴蝶谷温泉リゾート村」の名称で今年二月から営業を始めた。行政院農業委員会が昨年六月からBOT方式で建設を進めていたもので、建設費は二億元(約六億円)。七十㌶の敷地には楠木などの原始林が広がり、あたり一面深い静寂に包まれている。ここに、花蓮で産出される最高級の大理石と木材を使ったデラックスなコテージが並ぶ。天井から床まで一面がガラス窓の部屋からは緑一色の風景が広がり、テラスは十二坪の広さがあり、露天風呂、プールまで備わっている。宿泊料金は一泊一万二千元(約三万六千円)からとなっており、大自然のなかで、ゆったりと贅沢に過ごせるのが売り物だ。
このほかリゾート村にはリゾート会館(十四室)、和風旅館(九室)、バンガロー(十二棟)などの宿泊施設もある。三月末の正式オープンに合わせて、現在サウナ付きの大型露天風呂施設の工事が急ピッチで進められている。
《台北『民生報』3月6日》
桃園にケーキ博物館オープン
桃園市の桃園婦女館内に、このほどケーキ博物館がオープンした。館内には日本で大人気のケーキをはじめ、欧米風ドーナッツやアイスクリーム、シュークリーム、コーヒー、各国のチョコレートなど、百種類を超える商品が勢揃いしている。圧巻は高さが二㍍以上もある大型のケーキ。今後は東京の自由が丘に学び研究を重ね、音楽と映像、読書会などを結び付け、ノーブルな環境づくりを目指す。
●ケーキ博物館
桃園市延平路147号(婦女館3階)
℡ 03-362-7555
《『台湾観光月刊』441号より転載》
台湾の農産品を日本で積極PR FOODEXJAPAN2005に過去最多の出展
アジア最大の食の見本市「FOODEX JAPAN2005」が三月八日から十一日まで千葉の幕張メッセで開催され、台湾は今年過去最多の業者を引き連れて展示を行い、日本の市場と消費者に台湾の農産品を積極的にPRした。
台湾にとって日本は農産品の最大の輸出国であり、日本市場の開拓は台湾の農業の発展に大きなカギとなる。このため台湾は日本で開かれるこの見本市に例年出展しているが、今年は全国の農・漁協組合、および各業界の十三団体と、お茶、飲料、スナック菓子、冷凍食品、果物、野菜、米などのメーカー六十九社が出展した。
開幕初日には台湾ブースのオープンを祝う式典が行われ、対外貿易促進の窓口である外貿協会や行政院農業委員会の関係者ほか許世楷・駐日代表も出席し、テープカットなどが行われた。許志仁・外貿協会理事長は「農産品は一生懸命努力すれば工業製品より利潤を出せる。とくに最近、日本では中国産の農産品で抗生物質や農薬の過度の使用が問題視され、台湾に関心が向けられるようになっている。台湾は今後農産品の産地や生産状況などを追跡できる履歴管理(トレーサビリティー)システムを徹底し、品質管理を高めることが重要だ」と挨拶した。また許駐日代表は「日本は生活レベルが高く質のよいものを求めており、一方台湾の農産品はここ数年、量だけでなく質を重視している。日台双方のニーズと条件がマッチし、この見本市で成功をおさめるよう祈っている」と述べ、出展者を激励した。
行政院農業委員会によると、昨年の台湾の農産品の輸出総額は三十五億ドルで、そのうち十四億ドルが日本向けとなっており、全体の約四〇%を占めている。政府は現在日本向けの主力輸出品目として、お茶、胡蝶蘭、台湾鯛、マンゴーの四品目を指定し力を入れており、すでに成果が挙がっているという。台湾鯛はアメリカのNASAが選んで初めて宇宙に行ったという呉郭魚を品種改良したもので、完全な飼料と無汚染の水質管理のもとに養殖されている。肉質は弾力性があり、脂が乗り、しかも生臭さがなく、刺身や寿司ネタとして日本でも人気が高い。会場では台湾鯛を使ったにぎり寿司の試食会が行われ、肉厚でプリプリとした本物の鯛を超えるその味に大勢の参観者が列を作り、舌鼓を打った。
また昨年から見本市にも登場し最近日本市場の開拓に力を入れているのが米だ。その先駆けとなったのが花蓮県の「富麗米」で、昨年日本の厳しい農薬残留検査に合格し、日本の商社が九十㌧を買い付け、年末から日本へ輸出されている。米は主にコシヒカリなど日本の米と台湾の蓬莱米などを掛け合わせて品種改良したもので、有機栽培や合鴨農法(無農薬)といった安全性を重視した栽培をセールスポイントにあげている。もちろん味も保証付きで、たとえば今年の見本市に出展された「大広香米」は炊き上がった米に透明感があり、しかも日本人好みの適度な粘りと味わい、それにさといもの香りが特徴だ。「台湾の農産品は今後もっと日本への輸出が増え、台日の交流が進む」と、黄子彬・行政院農業委員会国際処長は日本市場への開拓に自信を見せている。
●都内に台湾農産品コーナー開設
外貿協会などの働きかけで三月七日、東京都内のデパート、玉川高島屋の地下一階に、台湾の農産品を販売する特設コーナーが設置された。お茶や加工品などが中心に扱っており、シーズンにはマンゴーなどの果物類も販売するという。さらに五月にはそごう横浜店にも二号店がオープンする予定だ。
《取材:本誌編集部・山田》
文化ニュース
画家張義雄さん「四等景星勲章」 駐日代表処で授賞式を挙行
日本在住で九十二歳の画家・張義雄さんに、台湾本国から「四等景星勲章」が授与された。二月二十七日、許世楷・台北駐日経済文化代表処代表が陳水扁総統の代理で賞を授与し、張さんの長期にわたる創作活動の成果を称えた。
張義雄氏は一九一四年台湾嘉義市生まれ。早くから日本に留学して画を学び、常に芸術への理想を持ち、留学して十二年後、台湾へ帰国し後進の育成に尽力した。これまでにも美術最高賞など数々の賞を受賞している。日本のほか、パリでも生活しフランスの春秋季サロン展で何度も入選している。一九八七年には台湾人として初めて、フランス政府から栄誉ある芸術家年金を受けた。現在は日本在住である。
二十七日の授賞式は駐日代表処内でおこなわれ、許代表をはじめ、僑胞界の主要メンバー、代表処職員ら数十名が立会った。張氏は受賞に際し理想のために奮闘してきた半生を振り返り「名声や利益を求めず、ひたすら最高の作品を画くことだけを思ってきた」と語った。
《台北『中央社』2月28日》
長野「SO」で台湾勢が奮闘 自らの目標と闘う姿に感動
「二〇〇五年スペシャルオリンピックス(略称SO)冬季世界大会」が、二月二十四日~三月六日まで、日本の長野県で開催された。SOは知的発達障害を持つ人々に日常的なスポーツトレーニングと成果発表の場を提供する国際的なスポーツ組織である。一九六三年に故ケネディ米大統領の妹であるユーニス・ケネディ・シュライバー夫人が、知的障害者だった姉のために家の庭を開放し、皆でスポーツをしたのが創始となり、現在は百五十以上の国と地域がこの活動に参加し、オリンピックと同様四年に一度、冬夏季世界大会が開催されている。大会の授賞式では国旗掲揚や国歌斉唱というセレモニーはない。なぜなら、参加者一人一人の努力と目標達成に対する激励を、その主旨としているからだ。
今年、長野で開催された世界大会には、八十の国と地域から、三千百五十人のアスリートとその家族三千百人、来賓千人、そして九千人に及ぶボランティアが参加した。台湾からはアスリート六十人、家族やコーチ、ボランティアなど合わせて百十七人が参加。台湾チーム付きボランティアのなかには日本の学生もおり、極寒の長野へ行くのも厭わない彼らには心温まる思いがした。
台湾チームは各競技で活躍したが、とくに台湾対中国のフロアホッケー競技が印象深い。台湾チームはSOの規定通り、選抜後くじ引きで結成されたため、背丈も年齢もまちまちだったが、大型選手の揃った中国チームを相手に正々堂々と勝負に挑み、最後まで戦い抜いた雄姿には大きな拍手が起こった。両親やボランティアはじめ、多くの人々に支えられた台湾チーム。その奮闘ぶりは、見ている者にも熱い感動を与えた。メダルこそないが、勇気と成果を携えて帰国する選手たちを、国民は暖かく迎えて欲しい。
《盧千惠・代表夫人記録より》
WTOスキー競技会に台湾が参加 フォルモサ名義で四つのメダル
三月六日、世界貿易機関(WTO)と欧州自由貿易協定(EFTA)事務局が共同主催した第十七回WTOスキー競技大会に、台湾駐WTO代表チームが「フォルモサ」の名義で出場した。この大会は加盟国同士の連携と交流促進のため、WTOが毎年開催しているもので、台湾チームは去年「オブザーバー」として参加したが、今年初めて正式に競技に参加した。
競技はスイス、フランスとイタリア国境のスキー場で行われ、欧米の選手のなかで、アジアからは台湾と中国のみが参加した。台湾チームは記念すべき初戦に挑み、亜熱帯地域とは思えない高いレベルで奮闘した。顔慶章・駐WTO代表は全競技に立会って応援し、台湾チームは個人競技では第三位、児童部門で二つの賞を取るなど、合計四つのメダルを獲得した。
《台北『中央社』3月6日》
故宮が記録映画を制作、公開 国宝の新しい魅力を映像で
中華圏の文化財所蔵数では世界有数の故宮博物院。期間ごとに変わる展示品は、合計十六万点に上る。
若い世代にもっと文化財に親しみ、博物館を活用してもらおうと、同院ではさまざまな試みをおこなっている。なかでも、文化財をテーマにしたゲームソフトや映画制作など、映像によるプロモーションには、とくに力を入れている。
故宮博物院では二〇〇三年に、日本、フランスなど各国の芸術家を招き、文化財を鑑賞後おのおのが感じたインスピレーションをアニメ、陶芸、衣裳、映画などの作品で表現するという催しをおこなった。映像表現では、台湾の新世代映画人・鄭文堂監督が故宮の文化財を巡る物語を描いた「経過(時の流れの中で)」を制作、また王小棣監督が、当時、この企画の参加者が作品を仕上げるまでを撮影した記録映画「歴史典藏的新生命(歴史のなかの新生命)」を完成させた。「経過」は二〇〇四年の東京国際映画祭に出品され、「歴史のなかの新生命」はこの三月一日、台北市内の書店で初めて一般公開されて話題を呼んだ。八十分に及ぶこの記録映画は、近く公共テレビでも放映される。現在故宮では、映画界の大御所・侯孝賢監督に依頼し映画「盛世裡的工匠技芸(平和の世の職人芸術)」を制作中だ。故宮側によれば、この映画は「職人のクーデター物語」であり、「日本などでは優れた職人は人間国宝と呼ばれ地位が非常に高く、職人の心が尊重されている。それに比べ台湾では長い間『職人』は低い地位にあり、それへのアンチテーゼが映画のテーマになっている」という。同院ではこの映画におよそ千二百万元(約四千万円)を投入する予定だ。
さらに、広告デザイナーの王俊傑氏とCF監督の彭文淳氏に依頼し「翠玉白菜」「毛公鼎」など国宝級文化財の動画フィルムを制作しており、完成後はこれらをバスや地下鉄、空港などで流す計画だ。また、世界的に有名な日本の宮崎駿監督に、故宮をテーマにしたアニメ制作も依頼する予定で、関係者は「今後も故宮と現代人との距離を近づけるよう、努力したい」と語っている。
《台北『聯合報』3月2日ほか》
台湾の女流芸術家が海外で活躍 ユネスコ主催の女性六人展に
三月八日の国際女性デーに国連教育科学文化機関(ユネスコ)パリ本部が主催した展覧会「芸術のなかの六人の女性」に、台湾の女流画家である林麗玲さん、陳美岑さんの作品が出展された。ユネスコ主催の展示会への参加は、台湾としては初めてである。
二人はともにフランスを拠点に活動しており、各国でおこなった作品展では評価を受け、今回フランス本部からの強い要請でフランス、セルビアの芸術家らとともに同展に参加した。林麗玲さんは女性のアイデンティティを追究した油絵、また陳美岑さんは化石が新しい生命へ生まれ変わる力を写真で表現した。
《台北『中国時報』3月8日》
お知らせ
海外留学生支援計画のお知らせ
海外留学している学生の国際学術会議参加などを奨励する「教育部鼓励在国外留学生参加留学国家全国性及国際性学術会議実施計画(二〇〇三年度で申請締め切り)」に関し、教育部では二〇〇四年十二月、その更新版「教育部鼓励在国外留学生参加留学国家全国性及国際性学術会議或芸能展演補助要点(二〇〇五年一月一日発効)」を公布しました。
詳細は教育部文教処ウェブサイトhttp://www/edu/tw/bicerをご参照下さい。
《台北駐日代表処文化組》
「秘すれば花 東アジアの現代美術」
会 期 3月29日(火)~6月19日(日) 会期中無休
場 所 森美術館 (六本木ヒルズ森タワー53階 東京都港区六本木6-10-1 03-5777-8600
http://www.mori.art.mseum)
開館時間 月~日[3/29(火)、5/3(火・祝)含む]10時~22時、火10時~17時、いずれも入館は閉館時間の30分前まで。但し4/3(日)、4/17(日)は最終入館時間21時。
入館料(税込)一般1500円、学生(高校、大学生)1000円、子供(4才以下~中学生)500円
主 催 森美術館
協 力 日本航空、日本アジア航空ほか
*台湾からは、李明維、林明弘、林書民、呉季璁各氏が参加します。
なお、本展のチケットでストーリーテラーズ展、展望台、東京シティビューおよびMAMプロジェクト003(但し5/14~)にもご入館いただけます。
春 夏 秋 冬
中国の「反国家分裂法」の制定がいかに理不尽で危険きわまりないものであるかは、本号を含め本誌ではこれまで何度も指摘してきたが、同法は中国国内においても市民の言論を抑圧するいかにも共産主義国らしい法律であることにお気づきだろうか。
もし日本国内で、政府の政策に異議を唱える言論は処罰の対象にするという法案が議員立法かなにかで提出されたとすれば、国民はどう反応するだろうか。怒るよりも先に、その非常識さにあきれ返るだろう。言論を政府の政策一本に統一しようというのだから、日本ばかりか一応の民主主義の政治構造を整えている国では、まず考えられない法律なのだ。これより13億中国人民は、「台湾問題」を冷静に考え発言することが許されなくなったのだ。発言は、武力行使を含む政府支持のみに限定される。とりわけおよそ120万人といわれる、中国に在住している台湾企業関係者とその家族は深刻だ。自分の国の将来について、口をつぐむ以外にないのだ。日本国内で、在日朝鮮人や華僑の言論を制限するような法律は存在するだろうか。逆に在日外国人に参政権を与えようとしている地方自治体まであることを考えれば、中国の「反国家分裂法」がいかに前近代的なものであるかが分かろう。
それに審議の過程からも、一党独裁を守る共産主義国ならではの手法がうかがえる。われわれ民主社会の国民は、重要法案が国会を通過するまでには、まずその必要性と内容が公開され、国会ばかりかマスコミ界でも賛否両論の論争が行われ、その上で採決に付されるのが普通と認識している。ところが中国の「反国家分裂法」は、昨年暮れにその名称の法案が今年3月の全人代で審議されるとの発表があったのみで、内容の詳細は通過するまで公表されなかった。要するに中国的手法では審議すなわち可決であり、一般庶民は政治に何の発言も許されないのだ。北京当局はこれで対台武力使用の法的根拠を得たつもりになっているだろうが、その国の立法とはしょせん上記のような手法で行われているのであり、われわれ民主社会でいう「法的根拠」とは程遠いものなのだ。
こうした国によって、いま台湾海峡の現状が一方的に変更させられようとしている。それはすでに中国対台湾のみの問題でなく、独裁体制対自由民主体制の問題といわねばならない。日本社会はこの観点から今後の台湾海峡問題を見つめる必要があり、しかもそこは日本と至近距離の場であり水域なのだ。(K)