馬英九総統が東シナ海の彭佳嶼を視察
馬英九総統は4月9日、東シナ海の彭佳嶼を視察し、「和平東海 国疆永固」(平和な東シナ海 国境の永久堅持)の記念碑の除幕式を行い、重要談話を発表した。この中で、馬総統は彭佳嶼と中華民国(台湾)北方三島の地理的、歴史的関係について説明した。また同時に、政府による地域の平和推進への尽力および、「3つの海(台湾海峡、東シナ海、南シナ海)の平和」構築への努力と決意を改めて表明した。
馬総統は記念碑除幕のあいさつの中で、東シナ海平和イニシアチブ記念碑建立の目的は、『台日漁業協議』調印3周年を記念するためであると説明し、「同協議の調印により、台日間で40年間にわたる漁業争議を解決し、『主権は譲歩できないが、漁業権は大幅に拡大へ』の目標を達成し、国際社会からも広い支持と評価を得た」と述べた。
この日の彭佳嶼視察の理由についても、「彭佳嶼、綿花嶼、花瓶嶼は釣魚台列島(日本名:尖閣列島)と同様に、地質学上はいずれも新第三紀層で、火山の噴出物が堆積し形成された『幼年期の錐状火山島嶼』である。これらの島々は、台湾本島北部の海岸山脈にある観音山、大屯山などが海中に伸びて盛り上がった部分であり、地質学上、同じ海岸山脈の延長線上であることから、水文および動植物などの面で、彭佳嶼は釣魚台にきわめて似ている。面積1.1平方キロメートルの彭佳嶼は、面積4.5平方キロメートルの釣魚台の4分の1であり、小釣魚台と言うことができる」と説明した。
彭佳嶼と北方三島の歴史的つながりについても、「15世紀より始まる。琉球王国で新王が即位するたびに、明・清両朝廷は特使を派遣し、冊封(付庸国の国王に爵号を授ける)と祝賀を行い、いずれの冊封使も『使琉球録』(琉球使録)を著している。この記録の中では、航路は北方三島から出発し、花瓶嶼、綿花嶼、赤尾嶼を通過し、黒水溝を越えた後、琉球に到着している。これはきわめて重要な歴史的証拠であり、これは北方三島と釣魚台列島が歴史的にも地理的にもきわめて密接な関係があったことを示している」と強調した。
馬総統が前回、彭佳嶼を視察したのは2012年9月7日だった。同年8月5日が『中日和約』(日本名:日華平和条約)発効60周年であったことから、馬総統は当日『東シナ海平和イニシアチブ』を提起し、関係各方面が「緊張状態を緩和し、対話を行う』の原則で、平和的方式により東シナ海の争議解決を願ったと説明した。馬総統は前回の彭佳嶼視察の際、『東シナ海平和イニシアチブ推進綱領』を提起し、「台日対話」「両岸対話」「陸日対話」といった3組によるそれぞれの話し合いから、3方面による1つの合同の話し合いの構想で、「東シナ海平和協議」の具体的歩みの実践とし、東シナ海の資源を共同で開発していくことの実行可能性ついて共に話し合うよう主張した。
2013年4月10日、台湾が『東シナ海平和イニシアチブ』を提起した8カ月後、台日間において『台日漁業協議』が調印され、これは国内外から普遍的な評価と支持を得た。馬総統は、安倍晋三首相が「台湾は日本の重要なパートナーであり、台日間の漁業協議調印は、双方にとり、きわめてプラスである」と表明し、米国のジョン・ケリー国務長官も「『台日漁業協議』は、地域の平和安定推進のモデルである」と公式に表明したことを紹介した。さらには、米国の国会議員、欧州議会およびオーストラリア政府の関係者らがいずれも『東シナ海平和イニシアチブ』は地域平和を達成する効果的方法であると称賛したことも取り上げ、馬総統は「これらはいずれも『東シナ海イニシアチブ』の中で主張した、平和的方法により争議を解決する方法で適切に実行できることを十分に証明している」と述べた。
また、南シナ海の主権争議について、馬総統は2015年5月に『南シナ海平和イニシアチブ』を提起したことにも言及した。この中で馬総統は、「平和は我々の最高の価値観である」ことから、関係各方面が緊張状態を緩和し、対話を増やし、国際法を遵守し、各国の航行および飛行の自由を保障し、南シナ海地域の平和と安定を維持すると共に、平和的な方法で争議を解決するよう呼びかけたと説明した。
最後に、「我が国は台湾海峡から始まり、平和の主張と行動を一歩ずつ東シナ海および南シナ海へと推し進め、これまでにきわめて重要かつ多大なる成果を上げてきた。この数年間、政府は順を追って、『3つの海の平和』のビジョンを一歩ずつ構築してきた。本日、東シナ海の彭佳嶼に建立された『和平東海 国疆永固』の記念碑は、我が国政府が領土の主権と平和を求める確固たる決意を示すことができるものであり、『台湾の人々が徐々に平和的環境の中で生活していく」ことができるようにしたい」と述べた。
【総統府 2016年4月9日】
写真提供:中央社